スパイシーな夜を、貴方に。(メキシコ料理/ソル・アミーゴ)

第08夜:メキシコ料理/ソル・アミーゴ@東京都千代田区
[2011年11月12日]

ソル・アミーゴ外観

第八回のスパイシーナイツはメキシコを舞台に繰り広げようということになった。メキシコが特別辛いという話は聞いたことがないが、「でも、メキシコ料理ってあんま食べた事ないよな」「確かに!」ということでメキシカンナイツと相成ったのだった。東京(および東京近郊)に住んでいると、どこの国の料理でも食べることができるのは非常に長所だ。地方では絶対に無理だ。

メキシコ料理で思い出されるのはタコス。あとは飲み物でテキーラ。以上。・・・というくらい、事前知識が無い国の料理だった。調べてみると、チョリソーなんてのはメキシコ料理らしいので、ああそれだったら知ってますとにっこり。あと、トルティーヤなんてのは聞いたことはあるけど、さてなんだったっけ。ピタパンみたいなやつだったっけ。そんなレベル。

スパイシーナイツとは本来「辛いものを食べる」オフ会ではあるが、その名前のとおり「スパイシーな料理(辛いもの以外も含む)」を食べるのも大歓迎だ。さて、メキシコにはどんなスパイシーが潜んでいるのか。

選ばれたお店は、「ソル・アミーゴ」というところ。東京都内に何店舗かあり、手広くやっている。webサイトのメニューページに、辛い料理には唐辛子マークがついていたので、ここにした。こういう「分かりやすく辛いものを明示してくれている」のは辛党にとっては大変にありがたい。

ふむふむ、唐辛子マーク3つがついているこのお店で一番辛いのはチョリソー、チリなどか。覚えておこう。

そんなわけで、2011年11月12日夜、神田店に一同集結。参加したのは、やっさん、まゆみさん夫妻、おかでんの4名。

は、半額だってー!?

「おい、なんだこれは」

びっくりしてしまった。店頭に掲げられている看板だが、「ただいまのお時間 食べ物すべて半額」と書かれていたからだ。

半額!すげえ!という意味で驚いているわけではない。半額であることはあらかじめ知っていた。・・・ぐるなびクーポンで食べ物全品半額、というのを見ていたからだ。予約の電話を入れた際も、店員さん、「ぐるなびクーポンはご覧になりましたか?」と確認してきたくらいで。

そんなわけで、家のボロいプリンタでゆがんだ印刷をしたぐるなびクーポンを握りしめていたおかでんだったが、それをあざ笑うかのように誰でもウェルカムな「全品半額」の看板。どうなってるの、これ。

ちなみに、半額が適用されるのは月曜日から木曜日、そして土用日。このお店、日曜日が定休なので、実質金曜日以外は半額なのだった(祝祭日前日も適用除外)。つまりほとんどの日が半額ってなわけで、じゃあメニューに載っている金額ってほとんど意味無いよね、ということになる。怪しいお店だ。まったく。ちなみに金曜日は10%オフなので、定価で食べ物を提供している日はないのだった。なんじゃそりゃ。

「気をつけろー、二重価格ってやつだぞぉー。半額といっても量まで半分だったりするかもしれないから注意が必要だぞぉー」

油断ならぬお店だ。

お通しはタコス

店内は結構狭い。6人がけのテーブルに通されたが、4人で座ってちょっとゆったり、といった風情で、詰め込んでいる感はある。でもそれが「半額」実現の秘訣なのかもしれないと思えば、手狭感も許せるってえもんだ。

お通しで出てきたのはタコス。これを見てふっと思い出した。ああ、僕ぁ昨日の夜、「ドンタコス」をつまみにビール飲んでたっけなあ、と。何でメキシコ料理店に行く前日にメキシカンスナックを食べていたんだか、我ながら謎すぎる。

サルサソースにつけて召し上がれ、っと。おっと、飲み物頼まないと。

このお店の作戦はもう分かっている。料理は安いけど、その分ドリンクが高いに違いない、と。何しろ、「食べ物」が「全品半額」なだけであって、飲み物は除外されているからだ。でも、仕方が無い。ビールいっぱい600円700円したとしても、食べ物が安い分帳尻は合うだろう。で、生ビールは一体おいくら・・

えっ、250円?

うそだろ。グラスビールか、これ?発泡酒じゃあるまいか?え?ちゃんとしたジョッキだし、ちゃんと生ビールだって?まじすか。

ビールってお店にとっては一番もうけなければならないアイテムにも関わらず、この破格値は一体何。冗談もほどほどにして欲しい。

実際卓上に届けられた生ビールは、れっきとした中ジョッキに入ったご立派きわまりないものだった。

「か、乾杯・・・・」

おそるおそる飲んでみたが、マジモンの生ビールだ。「味の劣化もないぞ。生ビールサーバー、ちゃんと掃除しているな」とひそひそ仲間内で話をする。あり得ん。このお店、趣味で営業しているんじゃあるまいな。半額料理をしこたま食べて、半額みたいな値段の生ビール飲んで、なんてことをお客さんにやられたら、商売として成立しないと思うんだがどうだろう。

「うわあ、このお店怖い!」

思わず悲鳴があがる。

チリ

チリ 550円→275円

まず最初に出てきた料理は「チリ」。メニューによると唐辛子マーク3つでこのお店では一番辛いらしい。「青唐辛子の辛ーいピクルス」だって。

出てきたチリはぱっと見ピーマンかパプリカか、といった風情。しかし、食べてみるとこれが予想以上に辛い。

「これは辛いけど、美味い!」
「美味さの中に辛さがあるって感じですね」

酢漬けにしたおかげで、とげとげしい辛さはないのだけど全体的にまんべんなく辛くなりました、すくすくと健やかに辛く成長しました、まる。といった感じ。

「辛くて、美味い」という料理との遭遇に一同騒然。今まで、辛い料理というのは「うわあああ」とか「ひぃぃぃい」と言いつつ食べるものである、と勝手に思い込んでいただけに、「おぅ、辛いね。でも美味いね」という展開になるとは思っていなかったのだった。「平然としている」=「辛くない」もんだとばかり思っていた。いやいや、辛くても平然としていられる料理があるのだよ、それがコレ。

「うわ、(一緒に酢漬けにされていた)人参まで辛くなってる!辛い人参食べるの、生まれて初めてだ」

新しい発見もあったりする。

チョリソ

チョリソ 680円→340円

チョリソといえば馴染みがある。辛い物好きなわれわれとしては、スーパーでソーセージを買うとなるとついついチョリソを選びがちだ。そんな関係。

このチョリソもメニューでは唐辛子マーク3つで最強の辛さ。「スパイスの効いた自家製メキシカンソーセージ。ピリッとした刺激がビールによく合う人気メニューです」だって。あれれ、ピリッとする程度で「唐辛子マーク3つ」もあげちゃっていいのかね。辛いのか辛くないのか、どっちだ。

チョリソは小さい。小指ほどの大きさ。早速囓ってみると、思わず「あれ」という声。チョリソといえば、粗びきで皮がぱりっとしている先入観があったが、ここのチョリソはもっちりとした食感でそのまま歯が入った。

辛いか、と言われると・・・

「さっきのチリのせいで味がよく分からなくなった!」

という意見が。確かにこのチョリソは辛いんだが、それはさっきのチリの辛さを引きずっているからなのか、それともチョリソそのものが辛いんだかよくわからなくなっちゃった。

「どっちにせよ、美味い!美味いということは良いことだ!」

強引にその場をまとめる。

ホットスパイシーチキン
追加トルティーヤ

ホットスパイシーチキン680円+追加トルティーヤ90円→340円+45円

「なんか辛い料理、ありませんかね?」と店員さんに聞いたとき、「そうですねえ、これなんかどうですか?」と言われたもの(その1)、ホットスパイシーチキン。おお、見落としていた、「スパイシー」と銘打たれいてるではないか。しかも「ホット」だし。これをわれわれが食べなければ、だれが食べるというのか?

メニューによれば「ちょっとピリ辛に仕上げたスパイシーチキン」なんだそうだ。「ちょっとピリ辛」というのはなんとも残念な響きだが、きっと「ホット」で「スパイシー」に違いない。そう願って注文。

出てきたのは鶏もも肉1枚。あと、トウモロコシの粉で作った?トルティーヤという春巻の皮みたいな生地。このトルティーヤにくるんで食べよ、ということらしい。

さっそく肉を四等分し、各自トルティーヤを手にし、くるんでみる。それ、かぶりつけ。

「・・・どう?」
「辛いんだろうけど、わからないよ」

やっぱりさっきのチリだ。チリのせいで「辛さ耐性」が妙に高まってしまい、どれもふつうに感じられてしまうのだった。決して口の中がビリビリし続けている、というわけではない。辛さ自体は何も感じていないのだが、新たに辛いものを食べても辛さを感じないのだった。

「なんで?なんで?」

一同不思議がるが、こればっかりはだれもわからなかった。

もちろん、辛さを全く感じないというわけではない。辛いものは辛い、と気づくのだが、それに対して涼しい顔して受け流すことができてしまうのだった。辛さに対してチート状態。なんだこれ。

チーズポテト

チーズポテト 730円→365円

お次はチーズポテト。

「日和ったな!チーズポテトなんて辛いわけじゃないじゃないか!」と言われそうだが、店員さんいわく「ポテトにかけられているソースが辛いですよ」ということなので頼んでみた。

実際食べてみたら、確かにチーズとポテトでまったりした味にもかかわらずピリ辛。あれれ、これは意外だった。

ハバネロスープ

ハバネロスープ 680円→340円

ハバネロスープは、これでピリ辛なわけないでしょうという料理。一同、身が引き締まる思いがする。

ただ、想像していたハバネロスープはどす黒い茶色、というものだったが、こちらは赤みが強い色合いだった。茶色っ気が強ければ強いほど濃度が濃いハバネロ料理ということになるから、これはそれほど大したことないかもしれない・・・思わず緊張がほぐれる。

で、食べてみた。

わおう。油断させておいて、やっぱりハバネロはハバネロだった。辛いぞ、これ。でも、我慢できない辛さではない。

「うま辛い、って感じですね」
「これはうまい!辛くてうまい!」
「これまで、辛いものって我慢しなくちゃいけないと思っていたんですけど、これならおいしくて辛いので丁度いいです」

などと絶賛の声多数。

「我慢して食べるのが激辛の道じゃないんですねえ。美味くて辛い、っていうのに今日は目覚めたかもしれない」

しみじみと語る。

もちろん、おかでんをはじめとする「辛さに対する味覚バカ」によるコメントであって、たぶん一般的な味覚の人からしたら「辛くて食えねぇよ、こんなスープ」という内容かもしれない。

ロシアンチーズタコスの張り紙
ロシアンチーズタコス

ロシアンチーズタコス 500円→250円

ロシアンチーズタコスというのが壁に貼ってあったので、店員さんに聞いてみた。

「4等分されたタコスのうち一つにデスソースが入っていますよ」

とのこと。なるほど、やっぱりロシアンルーレットのタコス版か。面白れぇ。

でも、デスソース入りのタコスに行きついた人、「ハズレ」ではなく「あたり」だよな。スパイシーナイツ的には大当たりだとほめたたえたい。そんなおいしい思いを一人だけが独占するのはなんとも悔しい。

「・・・全部にデスソース入れてもらうこと、できます?」

テンション高かったからか、こんな阿呆な注文をしてみた。ダメ元だったが、実際できるという。やぁ、聞いてみるもんだ。

食べてみたら、どれもデスソースがしたたるほど入っていた。全員大当たり!ヒャッホウ。

辛さ耐性が人一倍ついているわれわれにとっては、そつなくこなすことができる辛さだった。やあ、美味いなこれもまた。

チョリソ コン ウェボス

チョリソ コン ウェボス 680円→340円

チョリソ・コン・ウェボス。「豚肉と卵のスクランブル」なんだそうだ。

今まで、「チョリソ」といえばピリ辛ソーセージのことだと思っていたが、どうやら「チョリソ」は「豚肉」という意味なんだろう。

この料理を食べるころになると、250円のビールをしこたま飲んだ上にテキーラベースのカクテルを飲んでいるので、味覚がどうも怪しくなってきたぞと。どんな味だったか覚えていない。

麦酒飲み人種のおかでん、250円ビールにどれだけ酔いしれたことか。椅子から転がり落ちんばかりに喜んで、何度も「250円は信じられんなあ」とつぶやきつつ、ぐいぐいと飲んだ。そのせいで後半は明らかに失速。おかげで味を覚えていないという失態。

これもトルティーアに包んで召し上がるスタイル。ピリ辛だった・・・と思う。

もう一回チリ追加注文

最後、何か追加注文しようという話になって、結局最初に出てきた「チリ」をもう一度頼むことにした。われわれの味覚をいっぺんにバカにさせた料理、チリ。最後の一皿となったが、相変わらずホットな味わいだった。このチリ、お持ち帰りが可能ならばお土産にしたいくらい、好きだ。

そんなわけでメキシコ料理編のスパイシーナイツはこれにて終了。

次回はタイ料理編で臨むことは満場一致で了解されている。さらにその次は未定だけど、いずれはスパイスの本場・インド料理の夜を過ごさないといけないだろうと思っている。

タイ料理編は来年1月ないし2月ころ開催の予定。

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