飯能河原天幕合宿リターンズ

朝のかまど

夜中、食材を置いてある場所のあたりでゴソゴソ音がしていた。気にはなっていたのだが、同じテントで寝ている仲間がいる時に起き出すのは迷惑だろう。結局「聞かなかったこと」にしてそのまま寝てしまった。

朝になってかまどのあたりを見てみると、そこには猫?犬?のものと思われる糞が転がっていた。

「おい!ビッチがあるぞ、ビッチが!」

おかでんが全員を呼び寄せる。しかしここでおかでんは大きな間違いをしている。本来ここでは「シット」と言うべきところだが、慣れない外来言葉を無理して使ったので、「ビッチ」を連呼してしまったのだ。

言うまでもないことだが、「ビッチ」とは「あばずれ女」などの意味であり、全く意味が違う。夜明け早々になんとも場違いな言葉を連呼してしまった。

一方のシットだが、これはそのものずばり「糞」を意味しており、日本語で「くそったれ!」とか「畜生!」とののしる際に使われる。シット(糞)に対して「シット!」と叫ぶのは正しい使い方。

というわけで、すっかりビッチになってしまったシットだが、幸いにしてわれわれのご飯のタネを盗むといった犯行には及んでいなかった。さすがにわれわれは素人じゃない、皿などは洗わないけど、食材はちゃんと片付けてある。

ビッチという名のシットをいやいや片付け、さあそこから食事の準備だ。

朝食準備中

食事準備中。

このころのアワレみ隊は、「料理長:ばばろあ、料理補助:ひびさん」という役割が自然と与えられていた。薪を拾ってくるなど肉体労働にはひびさんは向かないからだ。また、「女性が料理をやっている」光景がなんだかお得感があるというか、うれしいという心境もあった。

しぶちょおは朝一だけどナタで薪をかち割っている。朝ご飯を用意するのも、当然薪なので適切なサイズの薪が必要なのだった。

ねぎを刻むばばろあ

ねぎを刻むばばろあ。お味噌汁の薬味用だ。

ばばろあの背後に赤い橋が見える。飯能河原を形成する入間川が削った結果谷ができており、あの赤い橋があるところが谷の一番上、ということになる。お手洗いがあるのはこの橋の向こう側の河原にあるので、水汲み、およびトイレはわざわざ橋がある高さまで崖を登り、橋を渡り、また河原に下りるという段取りを取らなければならなかった。女性であるひびさんは特に大変。

飯能河原のメインとなる場所はこの橋のもっと奥のあたり。われわれがいるところから200~300mくらいは離れている。われわれがいかにあまのじゃくな場所で天幕合宿をやっているかがわかる。

あと、ばばろあの背後に建物が見えるが、これはホテル。「岩清水」という名前で、飯能河原ビューが売りの(?)宿だった。アワレみ隊はこの宿を仮想敵とみなし、「岩清水に泊まっているブルジョアども!悔しかったら河原に下りてこい!」などとキャンプファイヤー中何度もアジりまくっていた。ブルジョアが泊まる宿なのかどうかは知らないけど。

具だくさんのお味噌汁

二日目の朝ごはん。

具だくさんのお味噌汁。油揚げがいっぱい入っているだけで幸せな気分になるのはなんでだろう?

あと、ご飯は昨日の残りものなのか、それとも汁かけご飯なのか、何か茶色になっている。これはなんだったか忘れた。でもたぶん白米は炊いたはず。

朝ご飯中

お味噌汁とご飯なので、おかずが存在しない。干物を炙ったりしても良いものだが、当時はそんなものはいらないという考えだった。確かに、具だくさんのお味噌汁があれば特にこれ以上は必要とは思わなかった。

あと、これ以上の料理は不要だったのは、食べている環境に依るところも大きかったと思う。アワレみ隊としては珍しく椅子が並ぶ天幕合宿となったが、こうなると皿数が増えると面倒なのだった。皿を地面に置いたとしたら、ご飯皿取って、食べて、地べたに戻して、おかずの皿取って・・・と何度も太陽礼拝をやるかのようにペコペコ体を動かさないといけない。面倒。だから、皿数が少なくて済む朝食というのはちょうど良かったのだろう。

これが、机を手に入れた天幕合宿以降は朝食に魚が出ることが増えた。

ごみひろいボランティア

食後、自分たちの食器や調理器具を洗うことをしたが、あともう一つやらなければならないことがあった。われわれの大本営からさらに50mほど下流のところに、ゴミがいっぱい捨ててあった。これを片付けないと。

昨晩、われわれが宴会をやっている最中、この場所で若者たちが宴会をやっていた。暗くて姿形は全く見えなかったのだが、声の感じからして地元の高校生といったところだろう。それが酒飲んでいるのかどうか知らないが、妙に高いテンションで大声でしゃべっていた。われわれがテントに引き上げてからもその宴会は続けられ、なんだか変な展開になってきた。

ざぶん、という水しぶきとともに「助けてー」なんて声がする。こっちはひやひやもんですよ、もう。本当に助けを求めているのか、それとも仲間内の冗談半分なのか。

そんな騒がしい連中の宴の後が、写真のとおり。まあよくぞここまでまんべんなく散らかしてくれたものよ、と感心するくらいのゴミだった。これはひどい。

「本来だったら俺たち関係ないけどね・・・」
「でも、ここで片付けておかなかったら、俺らが散らかしたみたいにみられるかもしれん」

それは嫌だ。とんだとばっちりだ。

そんなわけで、見て見ぬふりをするわけにもいかないので、しばらくの間手が空いている人総出でゴミ拾い。どこの馬の骨が散らかしたんかわからんけど。

片付けが終わって「ようやく終わったねぇ」なんて話をしていたら、ワカモノ数名がひょっこりとやってきた。

「あれ、片付いているよ」
「ホントだ」

どうやら、夜は散らかすだけ散らかしておいて、片付けは夜が明けてからにしようと思っていたらしい。

「ごみを拾いに来たのは感心だが、そもそもこんなに散らかしてはいかん」

とやってきた彼らに訓示を垂れておいた。

燻製制作中

おかでんが何やら土下座をしている。拝んでいる先は段ボール。かまどとは別の場所にガスストーブを設置し、そのうえに段ボールを組み立てている。果たしてこれは何か。

玉子の燻製

用意していたのはこちら。簡易燻製キット。

段ボールと、簡単な網と、スモークチップを入れる皿と、料理をぶら下げるフックと、スモークチップのセット。確か980円。

燻製なんて作るなんて毛唐かぶれめ・・・そんなことをアワレみ隊はやっちゃいかん、と最初のころは思っていた。というか、燻製なんてのは大きな燻製器が必要であり、人力輸送が原則だったアワレみ隊とは無縁のものだと思っていた。しかし、今は使い捨てでこんな簡単な燻製キットがあるのですな。

玉子やチーズを燻製にしてみることにする。

しばらく時間がかかるので、下からいぶしながら放置。

丸太を運ぶ

川の対岸から巨大な木を運んできたしぶちょお。これだけ太い木だったら、たき火のしがいがあるってもんだ。でも、切り口を見るとなんだか不安になってきた。

「おい、これ生木じゃないか?まさかまだ生えている木を切り倒したんじゃないだろうな」

さすがにそれはまずい。

「大丈夫、ちゃんと枯れて倒れていた奴だから」

それなら安心だ。それにしてもこのしぶちょおのどや顔よ。

へとへとのけじん

一方、のこぎりによる切り倒しを担当していたけじんは汗びっしょり。おおよそ11月らしくない雰囲気。

「くそー、こののこぎりは切れん!わし、もう自腹でのこぎり買うわ」

この後、本当に彼は金物屋に出向き、3,000円くらいするのこぎりを自腹で買った。よっぽどたくさんの木を切り倒したかったのだろう。

食事の準備

ばばろあとひびさんが食事の準備を始めた。そろそろお昼ご飯の時間。

かまどからのぼるけむたい煙と、フライパンから立ち上がるおいしそうな臭いがまじりあって空へと舞いあがっていく。

ひびさんはやることがなくてベンチで待機中。

カーペンターズ

ばばろあ、ひびさんが料理。おかでんが燻製を作っていたり記録写真を撮影していたり。そして残る2名、けじんとしぶちょおが薪を拾ってきてそれを細かく刻む作業。

ここでどれだけ頑張ったかが、この日の夜のキャンプファイヤーに反映される。実力主義だ。

けじんの手元には新しいmyのこぎりが。

先ほど切り倒してきた太い木を一生懸命切っているところ。

お昼ご飯

お昼ご飯。

ばばろあはもともと理論的な人間であるが、時々「ええじゃん」と言いながら非論理的行動に出ることがある。彼が「(これくらい)ええじゃん」と言うか言わないかで、料理が大幅に変わってしまうので、周囲はちょっと振り回されるのだった。

この日のお昼ご飯は、ばばろあの「ええじゃんスピリット」が発揮されたもの。

焼きそば、サバの塩焼き、麻婆茄子。

ばばろあの「ええじゃん」は手抜きをする際によく使われる言葉だが、今回に関しては全然そんなことはなく、むしろ手が込んでいる。でもなんでこの組み合わせ?

サバの塩焼きが朝出てこないで昼に出てくる不思議。あと、せっかく鉄板をレンタルしているのに、鉄板を使わずにフライパンで調理をしてしまうというのは効率重視のためか。

それにしてもどうしてこうなった。「ありもので調理したので、バラバラなんですよ」というならわかるが、食材は今朝買ってきたばかりのものだ。焼きそばは昨日、お好み焼きが解体された結果食べたような気がするし・・・。今思えば謎なお昼ご飯だ。

お昼ご飯食べてます

組み合わせは変だが、味は問題ない。

5人で食べれば、3種類の料理はあっという間になくなってしまう。

それ、遠慮していると食べそびれるぞ。早くとりわけなくちゃ。

燻製できあがり
牛タン

燻製は夜の酒の肴にするつもり。まずは第一弾ができ上がった。でき上がった・・・といっても、できたかどうかの判断ができない。ただ何となく「できたことにしよう、うん。」と力強くうなずき、それで良しとした。

玉子、チーズ、牛タン。

牛タンはタンに干からびただけのような気がするけど、鼻を近づけてみたらちゃんと桜の匂いがするので問題ない、んだろう、たぶん。

分かりやすいのはチーズで、色が黄色から茶色に変わった。そうそう、やっぱりこれくらいわかりやすいとおっちゃんうれしいです。

燻製第二弾
たことか鰺をぶら下げる

燻製第二陣。

チーズ、玉子は第一陣から引き続きで、かまぼこ、タコ、アジの干物を用意してみた。

ばばろあが何か小麦粉をこねはじめた。

C.W.ニコルの本で読んだとかなんとかで、「バノック」というパンのようなものをこさえるのだという。

誰も「バノック」なる料理を見たことも聞いたこともないので、彼のやることをただ遠巻きで見守るだけだった。

木を細かく削る

ナタで木を細かく削るしぶちょお。

焚き付けの際に細かい木が必要になるので、その準備。

焼き芋が真っ黒

「あー、忘れとった!」

ばばろあの大きな声。声見ると、かまどからアルミホイルが出てきた。焼き芋(ジャガイモ)をこしらえていたのを、すっかり忘れていたのだった。

「表面は焦げていても、中は大丈夫かもしれん」

と一縷の望みを託してかち割ってみたが、ありがとうございます、中まで炭になっておりました。あーあ。

「どうもこの手のの焼き芋でうまくいった試しがないな」

ぼやく一同。

たき火が早くも開始

「たくさん薪があるけえ、ちょっとだけたき火させて」

とけじんが言ってきかない。結局一同の了承を取り付けたけじんは、ミニたき火を始めた。

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