14時22分、第21投目に突入。
サーキットコースに乗ってしまうのか、それとも名古屋中心部に向かってイチから出直しとなるのか。この分岐でどっちに向かうのかは、ものすごく大きな意味を持つ。
サーキットコースに乗ってしまうと、恐らくそのまま302号線に引きずり戻され、例のごとく大小ピストンをそれぞれ満喫、これで1時間以上タイムロス・・・となるのは目に見えている。それだけは、避けたい。なんとしても、直進しておかなければ。
もう、名古屋市東側の国道は飽きたよ。
おかでん 「1,3,5で名古屋中心部に戻ります。もう、奇数しか選択肢はあり得ない!偶数、ファック!お願いします!」
ばばろあ 「え、またわしか」
おかでん 「奇数だぞ、奇数。頼んま・・ああ!何をやってる!ああああ!待て待て待て待て!ああああ!」
ばばろあは、歌も踊りもしないまま、車中でぽいとサイコロを放り投げてしまった。
一同 「ああああ!」
6。
おかでん 「ああー!早いってば!」
しぶちょお 「だからばばろあ、早いって!かけ声もなんもせんうちに投げるんだから。だから結果的にこんな」
ばばろあ 「いや、おなかいっぱいだったから面倒臭くなって、さっさと」
おかでん 「それでいい目を出してりゃいいけどさ、結果はこれだぜ?ちゃんと歌って踊れって」
狭い車中、説教が始まる。
おかでん 「14時27分。緊急事態発生です。なんとこの国道、途中で一方通行になってしまっていました。しかも、一方通行は逆方向からで、こちらから先に進むことができません。国道で一方通行、なんてあってもいいのでしょうか?」
しぶちょお 「あるんだねぇ、これが」
おかでん 「ということで、結局このルートも実は『ピストン』だったということで、折り返す事になります」
ひび 「おお!?ここにもピストンが!」
おかでん 「意外、意外。でも、ピストンルートのおかげで、先ほどの分岐まで戻ることができるということだ。要するに、もう一度名古屋中心部の目が出てきた、ということ」
ばばろあ 「うわ、ついさっき通り過ぎたお店の前を通るって結構恥ずかしいのぉ」
しぶちょお 「さっき居たオバチャンがまだあそこにいるもんな・・・端から見れば道に迷ったように見えるんだろうな、わしら」
おかでん 「馬鹿いっちゃいけない。全てがサイコロの目に従って、粛々と進んでいるだけだ!」
おかでん 「ピストンの役務を終え、また153号の分岐に戻ってきました。名古屋中心部への可能性を残してはいるんですが、同時にまた302号線に戻る、という可能性も捨て切れません。もし、右折して302号方面に行ったら、サーキットコースには・・・」
しぶちょお 「多分、あそこって曲がれんぞ。サーキットしてまたここに戻ってくる事はできないと思う」
おかでん 「あ、そうだったのかやっぱり。・・・5投目の時は曲がれることを前提にサイコロを振った分岐でしたが、やはり鋭角な交差点ゆえに曲がるのは無理そうです」
しぶちょお 「ということで、うわぁ、また302かよ、と」
ばばろあ 「えーと、次1/2で153号線東行きじゃろ、そしてそこで2/3の確率で302号に入る事になるわけで・・・この時点で、1/3の確率で302号線行きの可能性があるって事よ」
ひび 「いやー、302号はもう、いやー」
しぶちょお 「わぉ!うわぉ!」
おかでん 「うーん、この時点で1/3というのを高いとみるか、低いとみるか・・・」
ばばろあ 「くるでー。302号がどれだけ執念深いか、ようわかっとるじゃろうが。その程度の確率、なんて思っとったら、確実にくるでー」
おかでん 「要するに、僕がここでビシっと名古屋中心部への目を出せば何ら問題ないんだろ?わかった、任せとけ。次はきっちりと責任を果たすからな。よーし、よーし、そこに車を停めろォ」
サークルKの前に車を停める。
おかでん 「よし、気合い入れてくれよ?気合い」
手にしたサイコロをみんなに見せて、念を入れて貰う。
おかでん 「いくよ?」
♪何がでるかな、何がでるかな、それはサイコロ任せよ♪
いつもよりも派手に踊る、飛び跳ねる。
そりゃっ
1!
一同 「・・・・・・・・・・・。」
ばばろあ 「はい、次行くぞぉ。さっさと次行って、302号ピストンしにいくぞぉ。」
おかでん 「だ、駄目だったぁ・・・。」
その場で崩れ落ちるおかでん。
ちなみにこの写真はヤラセでも何でもなく、本当に腰砕けになった瞬間の写真である。首からはデジカメをぶら下げ、左手にはICレコーダー。これがおかでんのサイコロをする際の必須装備となっている。
隣を、地域住民の皆様が自転車で颯爽と通り過ぎていく。サイコロを前にうずくまっているおかでんをけげんそうに見ながら、それでも相手にしないようにと避けつつ通り過ぎていった。
おかでん 「む、無情なり・・・また302号線かぁ」
動き出した車の中、今までで最高の重苦しい雰囲気が充満していた。
おかでん 「いやぁ・・・・・・・・・・。」
二の句が継げない。
ばばろあ 「ほんまに・・・・・・・・・。」
やっぱり次の言葉が出ない。
ひび 「でられない~」
おかでん 「ホントに出られないなあ」
しぶちょお 「また302号だぞ。302号を軸に行ったり来たりしてるだけだぞ、俺ら」
おかでん 「いやぁー・・・・・・。いや、もうね、こうなったら一度302号で小ピストンやって、もう一度ここまで折り返してきた方がいいぞ」
しぶちょお 「いや、でも、もう一度ピストンをやる気力はもう誰も残ってないぞ」
おかでん 「しかし、また153号直進で豊田方面、というのもねぇ・・・。まあ、いいや。諦めた。名古屋中心部から進路新たに目指せ下呂温泉、ってのはやめた。夕飯、浜松でうなぎ。コレでいこう」
しぶちょお 「浜松ぅ?よっぽどいい目を出さないと浜松までたどり着かんぞ、それは」
おかでん 「やばい、だんだん持久戦の様相を呈してきたな」
ひび 「ひひひ」
おかでん 「おかしいなあ、さっきものすごい気合い入れてサイコロ振ったのになあ。どうしてこうなっちゃたんだろう。車一周しながら踊ったのにな」
しぶちょお 「回ってたねえ」
おかでん 「隣を歩いていたお兄ちゃんから白い目で見られたさ。それでも、けなげに踊ったさ。それであの結果・・・駄目、って言われちゃ、僕もう何がなんだか」
ひび 「神はいないのか・・・?」
ばばろあ 「ああ・・・」
(しばらく沈黙)
おかでん 「せちがらいねえ。・・・だってもう、3時になるぞ?」
地図を眺めていたばばろあが、しぶちょおと何やら確認をしている。
ばばろあ 「ここ、やっぱ曲がれんのか?」
しぶちょお 「ここ?いや、駄目駄目。朝はそこ、曲がらんかった。曲がれない時点で、真っ直ぐ行った・・・ん?いや、振るには振ったんだな、サイコロ」
おかでん 「うん、振って、その結果真っ直ぐ行ったんだぞ。ということは、朝、サイコロ振ったのは間違いだったということか?」
しぶちょお 「・・・!?いや、曲がれるんだ。鋭角かもしれんけど、曲がれることにしよう。曲がれんことはないだろう」
おかでん 「じゃあ、ここでサイコロ一回、だな?」
しぶちょお 「そうだ、そういうことだ。サイコロだ」
おかでん 「おおお、まだ助かる可能性があった!302号に突入しなくて済むなら、何でもいいぞ」
ばばろあ 「でも、ここでグルグル回り始める可能性があるわけだがな」
おかでん 「まだマシ!302号のピストンやるくらいだったら、まだマシだ!」
しぶちょお 「結局ねえ、さっきサイコロを振ったところは、上下線ともに(一方通行のため行き止まりだった)盲腸の153号に入る事ができたんだよね。それは間違いだった。第4投目のときに中央分離帯が邪魔だから、ってサイコロ振らないで通過しちゃったけど、本当は入ることができた」
おかでん 「ああ・・・もしそこで153号盲腸に入って、ピストンしていたら・・・今頃は全然違うところに向かっていたかも知れない。まあ、今更半日前の事を仮定でしゃべってもしょうがないわけだが」
14時46分。またもや車は東に向かいつつ、旧道のサーキットコースとの分岐点に戻ってきた。
サイコロの目は、いつもどおり奇数だと右、偶数だと直進という割り振りにしてある。
ここでは、何としてでもサーキットコースに入らなければならなかった。後戻りを推奨するというのはおかしな話だが、もうあの302号線には近づきたくなかった。このまま302号分岐にやってくると、確実に大小ピストンをおみまいされるのは目に見えている。
おかでん 「と、いうわけでサイコロはひびさんにお任せなのだ」
ひび 「はいー・・・でも、ここ人がけっこう歩いてるんですけど」
おかでん 「さっきの僕と比べりゃまだマシだろうが。ぜいたく言っちゃいかん」
しばらく歩道でうろたえた後、ひびはトテトテと駐車場の奥の方へと進み、自分が目立たないよう姿を隠した。
ばばろあ 「頑張ってねー」
おかでん 「うわぁ、何か怪しいぞ。ここの土地の人に見つかったら確実に通報されるぞ。さっさと振れ!」
・・・・・・
ばばろあ 「何?1?」
おかでん 「1!右!オッケー!オッケ、オッケ、オッケー!」
駆け足で車に戻ってくるひび。小声で「よしっ」と言っている。
おかでん 「お疲れさまー。ということで、1がでましたー。はい、写真とるからサイコロ持ってて」
かしゃり。
おかでん 「よしっ、よくやった!戻れる!まだ戻れる!戻ろう!」
がぜん活気づいてきた車内。しかし、「戻ろう!」と叫んだばかりのおかでんがあることに気が付いた。
おかでん 「とうとう、『戻ろう』なんて、企画の主旨から考えると大間違いな発言を自らしてしまいました」
しぶちょお 「はははは・・・戻ろう、だぁ?『行こう』って言わないといけない場面だろ、今のは!」
おかでん 「さあて、14時52分、またもやサークルKのところまで戻ってきました。本当であれば、『またか!』という感じで気分も萎えるんですが、今回はちょっと違います。302号に背を向けている、この事実だけでも勇気百倍です。さあ、今度こそ名古屋中心部に行きましょう!」
おかでん 「さあ、今回もさっきの運をアテにして、ひびさんに振ってもらいます。今回の出目は合議の結果、ちょっと変則的なサイコロの目にしてみました。即ち、1,2,3で302号さんコンニチハ。4,5,6で名古屋中心部へ、ということでいきましょう。じゃ、外にいるひびさんに頑張ってもらいましょう。・・・頑張れよー」
ひび 「誰も外に出てきて見守ってくれないのデスカ?」
おかでん 「もうね、先に進みたくってしょうがないのよ。名古屋中心部、楽しみだなあ。・・・って事で、車中待機。よろしくー。ちゃんと踊れよ?恥ずかしがらないで」
ひび 「あうー」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・
ころころころ
ひび 「きゃーっ」
辺りに響き渡る甲高い悲鳴があがった。
おかでん 「何だ?一体何が出たんだ?え?1?」
ひび 「一瞬、6の目が出かかったんだが・・・力及ばずでした」
おかでん 「馬鹿を言え、サイコロの表と裏は足して7になるようになっているんだぞ。6のウラは1だろう。1出しといて6が出かかったは無いぞ。このA級戦犯め!」
しぶちょお 「ということで、サーキット二周目に突入、って事でいいね?」
おかでん 「そりゃよかぁないけどさ、しょうがないよな。行っちゃってくださいまし。それにしても・・・うっわぁ、恐れた通りになりつつあるなあ・・・。ギャグのつもりは全くないのになあ・・・。」
おかでん 「えー。15時4分。一体今が何投目に相当するのかさえ分からなくなりつつありますが。まだわれわれはサーキットから抜けられずぐるぐると回っております。さて、今回はばばろあにサイコロがバトンタッチされましたので、期待したいと思います」
車のすぐ脇でサイコロを振るのかとおもったら、ばばろあはそのまま隣の駐車場にまで侵入し、ものすごい勢いで走り込みながらサイコロを振った。
おかでん 「あいつもまた、拘るよなあ・・・。写真撮る側からすれば困っちゃう被写体だよな」
しぶちょお 「さあ、どの目がでるかな。で、サイコロの目はどれがどれで?」
おかでん 「えっ?」
しぶちょお 「決めとらんの?どっちがどっちか」
おかでん 「決めてなかった!」
その時点で、既にサイコロを振り終わったばばろあがこっちに駆け戻ってきつつあった。
慌てて、
しぶちょお 「1,2,3で旧道ね」
と宣告したところで、ばばろあが助手席に滑り込んできた。
しぶちょお 「何だった?」
ばばろあ 「1!」
しぶちょお 「旧道だ。オッケ!・・・よかった、危なかった!」
おかでん 「あのね、僕はねぇ、ばばろあが出した目を見ちゃってたんだ実は」
ひび・しぶちょお 「あははは」
おかでん 「だから、何も言えなかったんだよ。しぶちょおが即座に割り振ってくれて、助かったぁ」
しぶちょおが、ばばろあに状況を説明する。
しぶちょお 「俺が今、ばばろあが戻ってくる直前に1,2,3は旧道ね、って言ったんだよ」
ばばろあ 「ほー」
しぶちょお 「・・・危なかったぁ!」
ばばろあ 「早よ言ってくれや、戻ってくるまでの間に」
おかでん 「忘れてたんだよ!つーか、キミがこっちのキューを出す前に勝手にサイコロを振りに行くからだ!毎回そうだけどよ」
しぶちょお 「今、マイクで録音する暇すらなかったもん。もうしょうがない、後づけで録音するしかない」
おかでん 「えー、というわけで、1,2,3は旧道、4,5,6は真っ直ぐという選択肢だったわけですが、もう1が出てしまった、ということでまたもやサーキット続行になります」
しぶちょお 「危なかった、後もう少しで偶数右折、奇数真っ直ぐ、って言うところだった」
おかでん 「やっぱこのサイコロ、1が出やすいんじゃないのか?目の割り当て方、これから気を付けなくちゃ・・・。」
普通の車ではこう曲がらんぞ、という鋭角カーブを、交通の間隙をついてぐりんと曲がる。車中のみんなは、遠心力でぐわしと左側に体が偏る。
おかでん 「大体なんだこの道は。普通の住宅地の道じゃないか。こんな道を国が管理する必要があるのかってんだ」
腹を立てても始まらないのだが、確かにどう見てもこれは市道レベルであって、国道とは信じられない。しかし、道路の入口には燦然と青い看板で「153」と書かれていたので、何かの間違いではなさそうだ。
ばばろあ 「おい!あそこにいるオバチャン、さっきもおった人だぞ」
おかでん 「ありがとうございます!皆様のアワレみ隊でございます!また飯田街道に戻って参りました!ご声援ありがとうございます!」
意味もなく、オバチャンたちに手を振る。やけくそだ。
しぶちょお 「ホント、わしら何やっとるんだろうね。同じ所ぐるぐる回ってて」
おかでん 「いい加減、周囲の人に気付かれて通報されるかもしれんぞ。放火魔が下見してるとか何とか、勘違いされて」
また、サークルKに戻ってきてしまった・・・。
運転手のしぶちょおの疲労もさることながら、サイコロの目で一喜一憂しているわれわれの疲労も相当なものだ。さっきブロンコビリーで昼食をとって、まだ1時間程度なのだが軽く休憩を入れる。
ただ、休憩といってもドリンクをゴクゴクと飲めるわけでもなく(→トイレが近くなると悲劇)、非常に遠慮しがちなお休みとなる。
エコノミー症候群にならないように、下半身の屈伸を行いながら鋭気を養う。・・・といっても、養える鋭気なんてもうどこにも残っていないのだが。
おかでん 「今現在の時間、15時17分。今、これから第26投目に入ります。今度も、ばばろあがサイコロを振るのですが、ネガティブトーク全開でブラックホールにわれわれを誘う彼に目の配置を教えるとヤバいので、彼に内緒でこっちで目を決めてしまいたいと思います」
しぶちょお 「ほい」
おかでん 「どうも1が出やすい傾向があるんで・・・」
しぶちょお 「156号線でこれから先、進みたいんだよなあ。じゃあ、こうしたらどうよ。2,3,4で戻る」
おかでん 「ん?じゃあ、5,6と・・・ああ、1か、で名古屋中心部に進む、というわけだな。随分変則的だな。イイよそれイカすよナイスだよ」
きまりましたー
♪何がでるかな、何がでるかな・・・おりゃっ
コンビニ前の駐車場で踊っていたばばろあが投げたサイコロは、アワレみカーの屋根に着地した。ちょうどその屋根の近くにいた、ひびとしぶちょおが甲高い声を上げて大笑いしだした。
おかでん 「何だ?・・・えっ?・・・何?」
しぶちょお 「3、だ」
おかでん 「3、かぁ・・・3かあ・・・」
急にがっくりくる。変則的な設定であっても、このサーキットはモノともしないらしい。何としてもわれわれを302号に引き戻そうとしているのか!?
サイコロの目について知らされていなかったばばろあが無邪気に聞いてくる。
ばばろあ 「え?3って、右?」
その質問に答えることをせず、ひたすらおかでんは
おかでん 「3、かぁ・・・・」
という言葉を繰り返すのみだった。サーキット3周目、決定。
車に乗り込みながら、叫ぶ。
おかでん 「まだまだ、回りますよぉ!あっはははははははは。はぁ。・・・いやぁ、おわんない!」
しぶちょお 「いやぁ・・・まさか車の屋根の上にサイコロが乗っかるとは思わんかったなあ」
ばばろあ 「いや、屋根の上にのせちゃろうと思っとったんだけど」
おかでん 「余計な事したから、バチがあたったか?」
ひび 「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
車は、いつもの定位置となりつつある駐車場の前でぴったりと止まった。
おかでん 「はい、えー、27投目。行きます。もう、今回は素直に1,2,3・・・戻る!4,5,6・・・進む!で行きたいと思います。で!サイコロはやっぱり白いのは駄目だ、赤に切り替えて行くぞ!」
一同 「おう」
ばばろあの失敗により、おかでんにサイコロを振る権利が回ってきていた。うまく行かない白のサイコロを諦め、赤のサイコロを握って路上に降り立つ。
♪何がでるかな、何が出るかな・・・・
よいしょっ!
おかでん 「2!おっけ!戻る!」
ヨロコビ勇んで車に駆け戻る。
ひび 「おっかしいなあ、ここだけはちゃんと狙い通りの目が出るのに」
しぶちょお 「もう一回、次ん所でいい目が出れば言うこと無いのにな」
おかでん 「やっぱ、302号が近づくと緊迫感が違うからな、サイコロ振るときにも力が入るんだよ」
ばばろあ 「最初からその力を入れといてくれや」
何度目のサークルKになるのだろうか。またもやいつもの定位置に戻ってきたわれわれ。一体何をやっているのか、だんだん頭がぼんやりしてきて訳が分からなくなってきた。
おかでん 「えー。・・・28投目に、なるのかな。そうですね、なんだかぼんやりしてきたよ。28投のうち、一体このサーキットがらみが何割占めてるんだか」
おかでん 「今回は、1,2,3で名古屋中心部に進む!・・・最近、若い目の方が塩梅いいみたいだからね・・・4,5,6でもう一周!で行きたいと思います。もう後が無いぞ!今度こそ行くぞ!」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・
お願いしますっ!!!
5!
ひび 「あっ!」
おかでん 「あああぁぁぁぁぁぁぁぁ」
しぶちょお 「戻る方か・・・5。」
ばばろあ 「え?5?5出してしもうたん?」
おかでん 「あぁぁぁぁぁぁ」
ひび 「なんかもう、反応が薄くなってきた・・・」
おかでん 「うわぁぁぁぁ、4周目だ。ぅわぁぁぁぁぁ」
やけくそになるだけの気力も体力もない状態で、車に乗り込む。
ばばろあが「もうこうなったら、気分転換せんといかんじゃろ?」と言いながら、アニメ&ゲームの主題歌集のCDをオーディオにセット。そして、冒頭にかかった曲「Brand New Heart」を、全員で大声で絶叫。
おかでん 「♪Brand New Heart 今ここから始まる♪・・・うわあああん、始まるどころか、サーキット終わらないんだよぉ。♪Brand New Heart 可能性を信じて・・・♪くそっ、信じられるか、そんなこと!♪君に届け、テレパシィ~♪届かねぇんだよ、そんなものは!」
歌っているのだか、愚痴っているのだかがさっぱりわからない。
おかでん 「はい、えー。いい加減疲れてきて、次のサイコロが何投目だかわからなくなってきました。29投目か、30投目か。どっちでもいいや。時刻は15時49分。もう一回、名古屋中心部に戻るか・302号に引きずり戻されるかの選択肢のお時間がやってまいりました」
おかでん 「で、今回は1,3,5で戻る、2,4,6で進む・・・という形にしたいと思います。今回は、さっき僕がヘタをうってしまったので、ばばろあにバトンタッチしたいと思います。先ほど、ばばろあには『さっさと投げるのはやめろ、ちゃんと溜めを作ってから投げろ』と厳重注意しておいたので、今回は大丈夫だと思います。期待したいと思います」
おかでん 「先ほどから車中では『Leaf Vocal Collection Vol.1』のCDが流れていまして、みんなで歌っていたりしているうちにちょっと元気が出てきた感じです。この勢いを駆って、そのまま景気よくこのサーキットを抜け出したいところです。では!」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・そりゃっ
ばばろあ 「4!・・・真っ直ぐです」
おかでん 「真っ直ぐです。わははははは!さあ来たぞ、ついに来てしまったぞ!」
しぶちょお 「4で真っ直ぐ、でいいんだよね?」
おかでん 「偶数真っ直ぐ、奇数戻るだから、その通り」
しぶちょお 「そうかぁ・・・」
おかでん 「やっぱり。やっぱり、われわれ、豊田方面に引っ張られていたって事なんですね」
ばばろあ 「豊田方面はいいんじゃ。その手前の」
おかでん 「言うな!それより先は言うな!」
ばばろあ 「302号ピストンが」
おかでん 「あ、言いやがった」
おかでん 「さあ、今お伝えしておりますこの曲は、Leaf・・・」
しぶちょお 「おい、もうそろそろだぞ」
おかでん 「あれ?そうなん?えええと、只今の時刻は16時9分。夏とはいえ、そろそろ夕暮れの気配が漂って参りました名古屋市街ですが」
ひび 「うー、まだ名古屋市だよー」
おかでん 「またもや302号分岐に戻ってきました。今日これで何度目でしょうね、ここを通過するのは」
おかでん 「うわ、どっちにももう行きたくない。右で小ピストン、左で大ピストン、真っ直ぐで井げた国道ときたもんだ。すまんがここでリタイアさせてもらえんかのお」
ばばろあ 「ええでわしはそれでも」
おかでん 「ううむ、そうあっさりと言われるとこっちも悔しくなってくる。では、1,4で右・小ピストンへGO。2,5で真っ直ぐ、豊田市へ。3,6で左、大ピストン方面・・・と敢えて言わないで、尾張瀬戸方面と言っておこう、とりあえず。それでは、今回は趣向を変えて、ドライバーであるしぶちょおに振って貰います。自分のハンドル右左は自分で決めろ、ということで。お願いします!2,5で真っ直ぐをとりあえず!」
それっ
♪何がでるかな、何がでるかな・・・ そりゃっ
6!
一同 「うぎゃああああああああああああああああ」
ばばろあ 「来たぞぉ、また来たぞぉ大ピストンへの道が」
しぶちょお 「なんで6が出てしまうんだぁぁぁ」
おかでん 「あぁ・・・ははははぁ」
笑い声に力がない。
隣ではひびが一生懸命このありさまにフォローを入れようとしていた。
ひび 「ここで左に曲がって302号進んで、その後右に曲がるんだよな?そうだよな?それだと、尾張瀬戸に行って、岐阜に行って」
ばばろあ 「これから先、結構長いよ。相当時間がかかるで。302号、夕方で渋滞しとるからなあ。倍くらい時間かかるんじゃないんか」
おかでん 「長いなぁ・・・終わりが見えねぇ・・・。何しろ、朝9時頃の状況と変わってないもの。一体何をやっとるんだ俺らは。タクシードライバーか」
おかでん 「でー。案の定大渋滞なわけですが。不毛ですなぁ、このひととき。おかしい、なぜわれわれはこんなところに居るのだろう。当初予定だと、既に蒲郡とか浜松あたりに着いているはずなのに」
ばばろあ 「そんなにうまくいく訳がないじゃろうが。大体よ、三叉路があったら、2/3の確率で曲がってしまうんじゃけえ。それを繰り返しとったら、先に進むなんて事はそう簡単にできん事くらい・・・」
おかでん 「分かった!分かった!今更確率論を語ってもはじまらんよ、われわれはサイコロの奇跡を信じて進むだけだ」
ひび 「奇跡・・・サーキット4周・・・」
おかでん 「うぐっ」
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