117号線を南下開始。
しぶちょお「やっぱねえ、南に引きずられとる気がするんよ。北には素直に行けないだろ、僕ら」
おかでん「うーん、北に向かっているときは、『逃げる』っていう表現がぴったりだったもんな。なんか、自信満々と進むって感じじゃない。こっそり、どさくさに紛れてえいっ、って感じ」
しぶちょお「南下ルートに入っちゃったので、気づかれたぞ、長野市さんに」
おかでん「松本さんかもしれないよ・・・?」
ひび「ひゃー、松本さんはイヤだよう」
しばらく田舎道を進んでいると、長野自動車道が前方に見えてきた。
しぶちょお「この道は・・・まっすぐ行くと、カーナビさんだと行き止まりになっとるけど?実際は?」
おかでん「僕のロードマップでも行き止まりだな。工事途中らしい。工事が終わっていて、貫通できた場合は・・・ああ、さっき道が真っ黒になっていて通行止になっていた117号と合流だ。イマイチ冴えないルートだなあ」
しぶちょお「じゃ、高速乗るか?松本方面に一直線・・・」
おかでん「いや、高速も捨てたもんじゃないぞ。北に向かう目を出したと仮定しよう」
しぶちょお「仮定、だなそれは」
おかでん「そうすると、野尻湖の方に行けるのだよ。信濃町」
しぶちょお「おお、『ふじおか』(蕎麦屋の名前)でお昼ゴハンか?」
おかでん「そういう可能性もある。そして、そのままインターを下りずに突っ走った場合は・・・」
ひび「日本海!」
おかでん「海の幸だよ」
しぶちょお「いいね、それ。でも、1/2の確率で南に行く可能性も」
おかでん「さあそれが悩ましいところだ」
おかでん「さあ・・・10時58分。豊田飯山インターに入るかどうか、という分岐になります。青看板を見る限り・・・国道、繋がっているのかなあ・・・?まだここでは確認できません。行き止まりだったらピストンとなるわけですが、どうしたもんかな」
ひび「どうします?」
おかでん「この際だから・・・インター入って、信濃町方面に抜けましょう!ンで、まっすぐ117号が偶数。曲がってインターに入るが奇数、で行きましょう!」
ひび「あい」
おかでん「先ほどの責任をとって、サイコロはひびさんに引き渡されています!頼むぞ、ここは一発、かましてくれい!」
♪何がでるかな、何が出るかな・・・
それっ
おかでん「おい、どこに投げてる?おい!」
ひび「よいしょ」
おかでん「なんでわざわざヘンなところに投げるかなー。で?結果は?」
ひび「1!」
おかでん「いち!奇数!・・・高速入りますぅ」
しぶちょお「高速入る!?」
一同大笑い。
おかでん「そうかぁ。高速かぁ。やっぱり、避けては通れなかったかこの企画じゃ」
しぶちょお「一気に動くぞぅ。止まれ、って言っても止まらないぞぅ、高速はぁ」
おかでん「高速ですかぁ・・・望んでいたとはいえ・・・高速も怖いなぁ・・・」
インターへの入り口の交差点で、117号線の先をよく見ると、交差点の200mほど先で国道が終了となっていた。結局、まっすぐに行けたとしてもピストンになっていたわけだ。
おかでん「結局は、ここで高速に入るっていう可能性が非常に高かったわけか。何か運命めいたものを感じるな、ええ?」
インターの自動発券機でチケットを受け取り、高速道に踏み出すアワレみカー。
チケットをしぶちょおが受け取る瞬間、車中全員が「ああああー」という悲鳴ともため息ともつかぬ声を上げてしまった。
一体、このあとどうなってしまうのか、わしら。
あまりに、不安。あまりに、ドキドキ。これから先は、「インターを下りるか・下りないか」という1/2の選択がインターのたびに発生することになる。高速道路を乗り続ける、ということは、確率で言うと1/2,1/4,1/8,1/16・・・とどんどん低くなってくる。そんなに遠くまでいかず、下道に復帰するはずだが、果たしてどうなることか。
おかでん「さあ、ただいまの時刻は11時1分。豊田飯山インターの料金所から中に入ったところです。ああ・・・入っちゃいましたねえ、高速道路に。さて、ここからどちらに向かうか、というジャッジメントをしなくちゃいけません。面倒ですね、高速の場合は。えー・・・・偶数の場合は、松本。奇数で、上越。ということで」
しぶちょお「松本、って言うなよ。本当に松本に行っちゃいそうじゃないか。松本方面、だ」
おかでん「失礼。松本、方面、だな。さあ、ひびさん。次の目は分かってるだろうね?頼むぜ!?」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・
おかでん「奇数!!!!!!」
だだだだだだっ
しゃがみ込むひび。
おかでん「ええっ?・・・えええっ?」
しぶちょお「ぎゃはははははは」
おかでん「あっ!!!あ!!!!!!」
ひび「えへへへへへ」
しぶちょお「この女は・・・やってしまいました!」
おかでん「ああっ!(しばらく絶句)・・・やったなぁ」
ひび「やってはいけねぇー」
おかでん「ああ!・・・(踊っている最中に)急に加速しはじめたから、どうするのかと思ってたら・・・偶数を出したかったの?」
ひび「出しちゃいけねぇ目を・・・」
おかでん「全てが無駄になっちゃった・・・」
しぶちょお「ああ・・・」
車中、悲鳴があがる。
「ああああ・・・・」
乗客の思惑を全く無視し、車は「松本・上田」と書かれたレーンに突入していった。
しぶちょお「やっぱり、南だった」
おかでん「えー、時刻は11時15分。何だかしらんが、長野自動車道をひたすら南下中のアワレみカー車内からの中継です。さぁ、車内はがぜん重っ苦しい雰囲気に包まれていますが・・・」
ひび「えへへ」
おかでん「まぁ、とりあえず次のインターで下りるべきか、下りないべきか・・・って考えたら、下りた方がいいような気がします。下りると・・・」
しぶちょお「須坂の近く」
おかでん「わぁ、須坂まで戻ってきたのか。今、立ちくらみ・・・じゃなかった、座りくらみしそうになった。ボク、もうどうでもいいやって気になってきました」
ひび「うん」
おかでん「でも、とりあえず下りましょう。下りたから何があるってワケでもないけど・・・えー、まっすぐ高速突っ走るのが、偶数。高速下りて、出直しを図るのが奇数。で、行きます」
しぶちょお「おう」
おかでん「では、行きます!」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・車内でやりますよ!?何でもいいぞ、いけ!
おかでん「6!奇数・・・じゃなかった、偶数!偶数だ!まっすぐ!」
しぶちょお「まっすぐ!?」
おかでん「はい、まっすぐ。」
しぶちょお「まっすぐ!?」
ひび「まっすぐ。」
おかでん「(沈んだ声で)はい、真っ直ぐに行きまーす」
・・・
おかでん「はい、ますます空気が重くなりました」
しぶちょお「はははは。ずずーん」
おかでん「はい、現在の時刻は11時23分。ただいま、松代PA近辺を通過しているところです。そろそろ、次の選択肢を考慮しなければいけないわけなんですが・・・次はシビレるなあ。更埴ジャンクションに突入なのです。上信越道、上田・軽井沢方面に向かうか、長野道経由で松本、そして諏訪の方面に向かうか?」
しぶちょお「松本か、否か」
おかでん「松本か、伊那か、じゃないぞ。あ、このイナってのは、伊那地方のイナだからな」
しぶちょお「どっちも同じ方向じゃないか」
おかでん「それはイヤだ」
しぶちょお「うん、イヤだ」
おかでん「これまでわれわれが検討した中では、やっぱり中央道方面に向かうのは気分が重い。上信越道に入って、上田菅平インターで下りるのがいいのではないか、という意見でほぼ一致を見ています。いい加減、長野県からおさらばしたいので・・・上下の、タテの動きではなく、そろそろヨコの動きにシフトしていきたいぞ、というわけです。タテ長の長野県なので、上下運動していたらいつまで経っても長野から脱出できない。じゃ、そろそろサイコロを振ってしまってヨロシイですか?」
しぶちょお「まだ待った。・・・トンネル抜けたあたりで」
おかでん「あ、わかりました。では、トンネル抜けるまで待ちます」
更埴JCTは、更埴ICも併設されている。更埴ICは、長野道側にあるICであり、まずは上信越道との分岐を見送り、更埴ICがあるという構図だ。すなわち、松本方面に抜けようとするには、「上信越道をパスして、更埴ICもパス」しなければならず、1/4の確率だ。車内には、やや安どの雰囲気が漂う。1/4の確率で松本方面、というのはあまりなさそうだ。
おかでん「もうすぐ更埴JCTです。偶数で、真っ直ぐ。更埴ICで下りるか・下りないかの選択肢に進みます。奇数で、左折。上信越道に入って上田方面。はい」
♪何がでるかな、何が出るかな・・・よいしょっ車中のでこぼこしたところでサイコロを振ったため、サイコロが斜めに着地してしまった。
おかでん「うわー、ダメだ。判別不能。もう一度」
しぶちょお「♪サイコロまかせよ、ほい」
おかでん「・・・ダメ。もう一度」
しぶちょお「おい、もう分岐だぞ、急げ」
おかでん「サイコロ任せよ、それっ」
おかでん「3!奇数!」
しぶちょお「左?」
おかでん「しだり。関越道方面に向かいます!おおお、松本さん!サラバだ!」
更埴JCTを左折し、アワレみカーは上信越道に入っていった。まだ、高速を下りようとしない。一体どこまでこの車はわれわれを連れて行くつもりなんだ。
しぶちょお「気がついたら・・・宇都宮で餃子食べてたりしてな」
おかでん「ははは。でもこのルートだとあり得なくもないんだよな。まだお昼前だし」
しぶちょお「そのまま宇都宮から東北方面に北上していったらどうする?」
おかでん「いや、どうするもなにも。一番困るの、愛知に住んでるしぶちょおだろ」
しぶちょお「困るねえ、東北に向かわれたら」
おかでん「でも、サイコロ任せだから。」
しぶちょお「サイコロ任せだから。こればっかりは仕方がない」
高速道路を走る、ということは、大抵中・遠距離の旅行をするときと相場が決まっている。その道中は、これからの旅の楽しみを想像してワクワクしているもんだ。
なのに、この車中といったら・・・
高速道路は、確実に人々のココロをむしばむ。代わり映えのない風景、そして、どこに連れて行かれるか分からない恐怖と、不安と、無力感。
とくにこの無力感、というのは強烈で、「どーせ高速から下りたら、またゴチャゴチャとサイコロふって、ウダウダ行ったり来たりするんでしょ?いつまで経っても前にすすまねーよ」という気になる。「どこに行っても、同じ」という気になる。地道に、一歩一歩国道を前進していくのと、気分的に異なる。
ゆえに、既に車中はダレてきた。もちろん、サイコロ2にはない「猛烈に移動しまくっている」という要素が、オドロキと興奮を招いているのは事実だ。でも、今まで10分おきとかでサイコロを振るのに慣れていたわれわれからすると、20分、30分とサイコロを振るまで間が空くとがぜんだれる。
カーナビで、「女陰の滝」という地名を発見して車中大盛り上がり。中学生の修学旅行か、わしら。
おかでん「11時37分。ただいまトンネルの中を通行中ですが・・・女陰の滝の下をくぐり抜けてきまして・・・」
ひび「えへへ」
しぶちょお「うひひ」
おかでん「ええいキモいわお前ら。ソレはともかく、そろそろ上田菅平インターが迫ってきているということで、次の選択肢。実は、ここでインターを下りない、という事になってしまうと、ずずずずーっと先に進んでしまう事が判明しました。軽井沢を軽く通過して、次の分岐は下仁田インター」
しぶちょお「群馬県、ですね」
おかでん「そう。軽井沢インターって、国道に繋がっているかと思っていたんだけど違うんですねえ。結局、上田を逃すと、東武湯ノ丸、小諸、佐久、碓氷軽井沢、松井田妙義と5つのインターを素通りして、6つめの下仁田に向かうわけだ」
しぶちょお「高速道路の醍醐味(だいごみ)、って奴だな」
おかでん「高速、やめられんなぁ。・・・といっても、カネもかかることだし、あまり高速であてもなくウロチョロしたくないところだ。サイフのカネがいくらあっても足りなくなる。ここはさっさっさと上田菅平で下りないと」
しぶちょお「でも、真っ直ぐ高速で行った場合、初の県外脱出・・・だぜ?」
おかでん「そうだよなあ、サイコロ2ではどうしても果たせなかった『他県入り』が、もう今リーチかかってるわけだよな」
しぶちょお「サイコロ2でも、三重県入りにリーチがかかっていたところでチョンボしたけどな。だれかさんが」
おかでん「俺の事かい。ちぇっ。まあ、下に下りる方向でちょっと考えましょ。あんまり高速道路使っての移動が前提になっちゃうと、楽すぎる。えーと・・・でも、上田で下りてもなあ、微妙なんだよな。市街地はいると、おきまりの国道グチャグチャで面倒臭い。しかも、えーと、143号線に間違って入り込んでしまうと、おっと、気がつくと松本だ」
しぶちょお「まだ松本さんからご招待されてるのか。もう勘弁して欲しいよな」
おかでん「うーん、高速下りたら下りたで面倒なんだな。まあ、それがサイコロの旅なんだけど。理想を言えば、上田で下りて、144号を北上して草津方面に向かう、という形なんだろうな。あ、でも」
ひび「でも?」
おかでん「一歩間違えると、このルートは菅平に入ってしまう。菅平を抜けると、そこは須坂」
しぶちょお「また須坂に戻るんかい!」
おかでん「それはもうイヤだ、須坂は勘弁だ。・・・というわけで、もうどのルートもダメダメ。正直、どうでもいいやって感じ。みなさんだったら、どのルートがいいですか?高速、下りた方がいいですか?それとも真っ直ぐ行っちゃった方がいいですか?」
しぶちょお「下りたい。」
おかでん「ほいしぶちょおは下りたい、と。ひびさんは?」
ひび「行っちゃってもいいんじゃないか、と」
おかでん「1対1に意見が分かれました。ボクも正直どっちでもいいや。もう、それこそサイコロ任せ・・・サイコロの神様のご意向に従って、われわれは着いていきます。偶数が、直進。奇数が、下に下りる、と。では行きます」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・ソレはサイコロまかせよっ
「高速道路編!!」
おかでん「3!奇数!下ります!上田菅平で下ります!」
一同笑。
しぶちょお「下りるのね・・・」
おかでん「いやぁ、やっぱりこのサイコロってのは、他県に移動させたがらないのね。長野県をまだまだ満喫せよ、という指令が下りました。しゃーない、上田の町を散策しますかねぃ」
おかでん「いやー、上田菅平インター下りてきました。またシャバに戻ってきた、って感じですね。今までしばらく、高速移動で楽させてもらってきたんで、そろそろ振って振って、サイコロを振りまくらないといかん時間帯になってきたかな、と。えーと、左折で長野原・菅平方面、右折で上田・国道18号方面っていう標識が正面に見えます。偶数で、上田市街地方面に右折。奇数で、菅平方面に左折、ですね」
ひび「むぅ」
おかでん「どっちもイヤだけど・・・奇数かなあ?奇数で狙ってみます」
ひび「はい」
♪何がでるかな、何がでるかな、それはサイコロ任せよっ!
外は風が強かった。転がったサイコロは、一度止まったあと、また風に煽られて転がって行った。
おかでん「あああっ!?」
3人がかりで、サイコロを追いかける。
おかでん「5!奇数!・・・ところで、さっきサイコロ風で転がったよな」
しぶちょお「3から5に変わった」
おかでん「あ、最初3だったのか。だったら、結局どっちにせよ奇数で左折だったわけね」
<ここで重要なお知らせ:記事がこれ以降欠損しており、いきなり2日目に話が飛びます。記事が消失してしまったことは本当に残念です。以下、地図だけ掲載します>
144号・406号分岐 →406号へ
菅平へ
須坂市街に入る
国道が一方通行だったため、中に立ち入ることができず。菅平にUターン
菅平で「ラガーめん」を食べることにする
※群馬県突入確定!
145号・146号分岐 →145号へ
145号・145号バイパス・292号分岐 →292号へ
292号(志賀高原方面)・292号(草津温泉方面)分岐 → 292号(志賀高原方面) へ
※長野県逆戻り確定!
渋温泉で一泊
※精神的に疲れ果て、アワレみ隊おなじみの渋温泉(国道292号線からほど近い)に投宿
2003年09月16日(火) 2日目
292号・403号号分岐 →292号へ
292号・403号分岐 →403号へ
406号(長野市街方面)・403号・406号(菅平方面)分岐 →406号(長野市街方面)へ
<ここから記事が復活>
おかでん「何やってるんだ!貴重な一投だぞ!動け!動け!」
けしかける。ようやく、微妙にぎこちない動きで右往左往していたひびが(どうやら踊りのつもりらしい)、サイコロを投げた。
しばらく、沈黙が流れる。しぶちょおが、沈黙を破った。
しぶちょお「何これ?・・・・なに、これ?」
おかでん「ふーーーーーーーーっ」
しぶちょお「え?これは、何ですか?」
おかでん「ねえ、ひびさん、僕目が霞んでよく見えないんだけど、これは何?」
ひび「1ですぅ」
おかでん「これは何を意味してるの?何が、僕たちをどうしようとしているの?」
ひび「いや、風がですね、吹いちゃって。最初、6が出そうだったんですよ。でも、風で転がって、1に」
ひび、懸命の言い訳が始まる。言い訳をしないと、二人にどつかれそうな気配だったからだ。
しぶちょお「馬鹿言え。サイコロってのは1の目の反対側が6なんだぞ。風で横に一つ倒れたら、6が1になるなんて事あるか」
おかでん「ダメだぁ。あーあ。もうダメだぁ」
しぶちょお「白馬の目が消えた・・・」
なにやら空気が重たくなってきた。
渋温泉に宿泊していたときは、「まさか出発地点から20キロ程度しか離れていない場所で一晩を過ごすことになるとはなあ」という会話をしていたのだが、今となっては馬鹿馬鹿しい。20キロどころか。まさに今、出発地点まであと数キロのところまで迫ってきているのだ。
こんな不毛な事があっていいのか?
いや、われわれが長野駅でレンタカーを借りて、長野県内を旅行してまーす・・・って言うなら行って返ってくるのは全然問題がない。しかし、実際はそんなワケではないし、目的地は名古屋もしくは東京だ。何をやっとるのだ、われわれは。
おかでん「さあ、10時1分。先ほどのサイコロの衝撃が冷めやらぬ中、もう次の交差点・・・若宮交差点が近づいてきました。あー、青看板が見えてきましたね」
しぶちょお「右折、長野県庁!」
ひび「ははははは」
おかでん「おかしいなあ、長野県庁って何だ?」
しぶちょお「確か、スタート地点って長野県庁って名前じゃなかったか?」
おかでん「僕もそんな記憶があるんだが・・・。はぁ・・・。ええと、右折で19号、長野県庁方面。真っ直ぐ、18号で上田松本方面ですね。どっちもどっちだなあ、今となっては」
ひび「えー?長野県庁戻るのは、ちょっと」
おかでん「どっちも変わらんよ、今となっては。その先、どうなるかもう全く読めなくなってきた。さあ、やる気がない状態でサイコロをふるぞぉ。偶数で右折、奇数で真っ直ぐね。偶数出しちゃうと田中県知事コンニチハ状態」
♪なーにーがーでーるかーなー、なにがーでるーかなーほい
おかでん「6!偶数!長野県庁!」
しぶちょお「あははははは・・・」
ひび、がっくりきてその場でしゃがみ込む。
おかでん「はい、ということでスタート地点に戻る、ということで」
長野県庁が正面に見えてきた。
おかでん「要するに、だ。僕らはこの24時間、全くもって意味のない時間を過ごした、というわけだな」
しぶちょお「意味無かったねぇ。元に戻ってしまった」
おかでん「まっ、でもあちこち移動できてるから、サイコロ2のような悲壮感はあまり漂ってないと思うんだが」
しぶちょお「それは、言えてる。結果的にサーキットやピストンをやってるんだけど、眺めがいいところを走ってるので結構楽しい」
おかでん「と、褒めてはみても、やっぱり結論としては『サイコロ2と同じ運命になっとる!』という事に他ならないわけで」
ひび「あうー」
おかでん「まっ、せいぜい長野市内でぐるぐると国道サーキットをしないよう気をつけないとな。この辺りは、巻き込まれると抜けられなくなるからな」
しぶちょお「全て長野県知事の康夫ちゃんが悪い」
おかでん「うん、そうだな、そういうことにしておこうこの場は」
ついに、田中県知事までもが悪者にされてしまった。
おかでん「さあ、10時13分。長野県庁前から次の一投を決めたいと思います。思えば25時間ほど前、この地から今回の旅が始まったと思うと・・・感慨深いものが・・・あるか馬鹿!」
地面をドシンと踏みつける。
おかでん「次の中御所交差点で、右折して19号を西に行くか・直進して117号を直進するかという事になります。・・・まあ、どっちでもいいやって感じですかね」
ひび「いいんじゃないですか?」
おかでん「じゃ、もう真っ直ぐ、奇数にしよう。偶数で右折、奇数で直進ですよーそれ」
♪なにがーでるーかなーなにーがーでーるかな・・・やる気がなく、間延びした声で歌を歌う。それっ
おかでん「2!偶数!・・・右!」
しぶちょお「あら?」
おかでん「いやー、昨日のルートを着実にトレースしているような」
ひび「いや、違いますよ、昨日はここを直進」
おかでん「あれ?右?右折?あっ、新ルートだ!ひっさびさの新ルートだ!今日の行程のうち、ほとんどは既に通ったことがあるルートだったけど、今度こそ新ルートじゃないか!すげえ!」
急に興奮してしまった。しかし、たかが「今まで通ったことがないルート」を通れるくらいで、そんなに喜ばなくってもよかろうに。
しぶちょお「遂に出たよ新ルートがぁ」
ひび「ようやく。ようやくっすねぇ」
全員、何らかの形でエキサイティングしていた。
おかでん「よし、もういいや。あらためて日本海を目指すのは諦めた!もう、大人しく大町街道を通って、松本に向かおう!そろそろゴールを考えたっていいじゃないか」
ひび「ゴールねぇ・・・」
おかでん「おい、そんな『むちゃっすよ』みたいな声を出してはイカン」
車は、「松本」と指された青看板に従って移動を開始した。
おかでん「もう、大町街道に入ったらずずずーいと松本方面まで進めるのかとおもったら、そうじゃなかったんですねぇ。次の分岐がありました。えー、右折で19号、松本方面。左折で19号バイパス、上田方面。どっちかなあ・・・でも、上田方面って言うけど、要は一遍長野市街に戻りやガレってワケでしょ?それは避けたい。もういいだろ、いい加減。ということで、偶数出して右折に期待。では、行きます!」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・・それっ
おかでん「5!奇数!」
ひび「ははははははは」
おかでん「あーっ、やってしまった!戻ろう!長野へ!僕らの故郷へ!」
しぶちょお「これでまた、振り出しに戻る、かな・・・?」
おかでん「10時34分。そろそろ、国道18号とぶつかる分岐にやってきます。南に向かうか、北に向かうか。車中では、やっぱり南だろう、という話でまとまりつつあります。北はもう諦めました」
ひび「ははは」
おかでん「南に行けば、長野自動車道の更埴インターがあります。そこで、高速に乗ってぐいーっと遠くに行っちゃいましょう、この際。で、北に向かってしまうと、これがまた長野市街なんだなー。あり地獄にはまるのはもう勘弁なので、やっぱり南で。さあ、そろそろ交差点が近づいてきました。また後ほど」
分岐手前で、車を降りる。また、サイコロはひびの手に託された。今日は二人そろって絶不調だ。どっちが振っても、大して変わらない。
おかでん「さあ、また赤サイコロに戻しました。どっちもどっちなんですけどねえ、ま、白サイコロはしばらくお休み頂きます。偶数で、国道18号南下、奇数で国道18号北上、またもや長野市街!って事で行きます。もちろん、偶数でよろしく。それ、元気よく行きましょう!」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・おぅぅい。
足下に転がったひびが、「きゃははははは」と甲高い笑い声をあげる。
しぶちょおとおかでんは、もう結果を見に行く気力もうせてしまった。
しぶちょお「またか」
おかでん「はあーっ。5、かぁ・・・。奇数、って事で北かぁ。北、向かいます」
おかでん「見ろよ青看板。左折したって、『長野市街』に向かうんじゃないんだよな。上越、豊野方面だって」
しぶちょお「まだここ、長野市だから」
おかでん「うわぁ。まだそんな状態なのか・・・。ついに、はまったな?」
しぶちょお「はまったねぇ。サイコロ2の再来が来たっぽい」
おかでん「ということは、これからしばらくは長野市街をぐるぐると?」
しぶちょお「このサイコロならやりかねん。そうなる可能性、大かも」
なんだか長丁場になりそうだったので、一度給油を行う。
これで、なんとか悪い流れを断ち切らないと。
おかでん「えー、今給油を済ませまして、次は西尾張部の交差点ということになります。北上しても、左折しても、どっちも既に通った事がある道。どうしたもんかいな。左折すると、また長野県庁に近づいてしまってうんざりなので、それはやめたい。偶数出して、真っ直ぐ北に向かいたいと思いま・・・北、かぁ・・・。北も、もういいや」
ひび「うふふふ」
おかでん「とにかく、長野から早く脱出させてくれるルート希望。では次は僕がサイコロを振ります。いざ!」
♪何が出るかな、何がでるかな・・・ほいっ
おかでん「奇数!奇数が出た、ということで左折。うーん、良かったのか、良くなかったのかよく分からないところだけど、サイコロの神様がそう行け、と仰るなら従いますよ、ええ」
しぶちょお「長野県庁が近づいてくるぞー」
おかでん「そうは行くか。その手前の分岐で、タッチの差で避けてやる」
おかでん「さあ・・・また車は北上しているわけなんですが、大町街道との分岐地点にやってきました。真っ直ぐいけば、県庁にぶつかって、左折すれば松本方面。先ほどは、県庁からこの交差点を大町街道に入ったんでしたっけね」
しぶちょお「あれから1時間ちょっとか。不毛な時間がまた」
おかでん「サーキットしちゃったねえ。今回は、あちこちで細かいサーキットしまくってるね。まるで知恵の輪みたいな。でも、今回は敢えてサーキットコースを選ぶよ?もう一度、大町街道に入って、今度こそ松本方面へぐぐぐーっと。また、長野県庁を拝むのはもうこりごりだ」
サイコロは、またひびの手に渡った。
おかでん「おかでんは先ほどサイコロ失敗したので、またひびさんにサイコロを託します。頼む。ひびさん、田中康夫好きか?」
ひび「へ?いや、それほど好きというわけでも」
おかでん「ならば、わかってるだろうな、間違っても偶数を出して真っ直ぐ、はイカンということを」
ひび「どうかなー」
おかでん「こら、自信を持て!」
♪何が出るかな、何がでるかな・・・それっ
ひび「2ですぅ」
おかでん「ぐはああっ、偶数か!直進!ということは、長野県庁って事かぁぁぁ」
今回3度目の長野県庁。
なぜ、こんなに頻繁に、ここを訪れないといけないのか。全然しなやかではない。全然脱ダムではない(関係ない)。
やけくそになって、ちょうど目の前を走っていた市議会議員選挙だか県会議員選挙だかの立候補者の宣伝カーの後ろにくっついて、一緒になって町の皆様に手を振ってやった。
おかでん「皆様あってのアワレみ隊でございます!精いっぱい頑張りますので、よろしくお願いいたします!ご声援ありがとうございます!」
あー、すっきりした。
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