おかでん「11時6分になろうとしているところです。長野県庁を通り過ぎて、国道18号にぶつかる若宮交差点の手前に到着しました。ここで右に曲がってしまうと、エンドレスサーキット、ということで大パカ・・・」
噛んだ。「大馬鹿」というところを、「大パカ」と言ってしまった。
ひび「えっ?」
しぶちょお「大パカ野郎」
おかでん「大パカ野郎。××カス野郎です。まぁ、左に曲がることができれば・・・おお、いいぞ!実はまだ北の目だって諦めちゃいないぞ!って感じですね。また今回もひびさんが振ります。さて、偶数が右折・南下、奇数が左折・北上だからね。わかってるよな、頼むよ!」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・
それっ
おかでん「4!偶数!」
しぶちょお「・・・パカ」
おかでん「ああ・・・?あ、偶数?」
ひび「え?え?え?え?」
おかでん「偶数って右だぁ。大パカ、でした」
ひび「大パカでしたか・・・だって、だって」
おかでん「大パカもの!ああー、サーキット。・・・サーキット・・・。」
ひび「大パカです」
長野市街サーキットが続く。昨日、長野市をするすると抜け出してダイナミックな行程を辿ってきたのとは大違いだ。
こういうシチュエーションは、急激にわれわれにダメージを与えてくる。
おかでん「30対29の判定でサイコロの勝ち、って感じ」
でも、ここまでサーキットが続くと、抜け出せないような気もしてくる。まさか、今晩は長野市で一泊・・・
まだ午前中にもかかわらず、そういった恐怖の想像が働き出す。サイコロの旅は、そういう「やっている当人を極限まで精神的に参らせる」何かを持っているのかもしれない。
おかでん「さあ、車中がどんよりしていますが。そろそろ分岐ですね。現在国道18号を南下中ですが、国道117号との分岐が近づいてきました。ここを右に曲がって117号に入ってしまうと・・・分かってるね?長野県庁逆戻りだから」
しぶちょお「一体何周目になるんだ?」
おかでん「すでにわからなくなってきた。長野県庁だけは出したくない!ので、偶数・右折長野県庁、奇数・直進で、とにかく直進を狙います。奇数出さないと!気合いを入れると、サイコロの目が裏目に出ることは分かっていても、それでも気合いを入れて投げないと!次は、おかでんがサイコロを振ります。では!」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・
ほい。
おかでん「1!奇数!」
ひび「わぁー」
おかでん「オッケ!奇数!奇数!奇数!奇数!奇数!」
車中に駆け込む。
おかでん「よし!サーキット離脱だ!真っ直ぐ進むぞ!」
意気揚々とドライバーズシートに座るしぶちょおに報告する。
しぶちょお「いや待て、すぐこの先に19号分岐がある。ここを越えられない事にはサーキット離脱にならんぞ」
おかでん「ぐは。まだダメか・・・。じゃ、次も奇数出して直進か」
しぶちょお「でもねぇ、18号進むと上田方面に行くんよ。・・・昨日と同じ展開になりゃせんか?松本方面に向かうんだったら、19号右折って事になるんだが・・・」
おかでん「あれ、18号って上田行きか。そうか、なるほど。ええと、でも、19号に行きましょう、ってやったら、まだ長野市街に引きずり戻されるルートが残っているんだよな。どっちがいいのかねえ」
19号バイパスとの分岐がやってきた。18号を直進すると、上田・千曲方面。19号に右折すると、松本・信州新町方面。長野サーキット離脱を確実にするためには直進した方がいいが、松本方面に抜けて、ゴールを目指そうというのであれば右折だ。どっちもどっち。
おかでん「まあ、どっちもどっち、という方が気楽でいいです。それ」
♪何がでるかな、何がでるかな、それはサイコロ任せよ・・・そりゃっ
おかでん「6!偶数!」
ひび「松本だぁ」
おかでん「ま、そういうことだ。これであともう一回の辛抱で、サーキット離脱だけど・・・どうかな?」
そろそろ、長野サーキットにお別れできるかどうかの分岐に差し掛かってきた。
地図を見ると、ここで松本方面の目を出すと、延々と国道分岐がない道を走ることになる。松本の北、明科町まで40km以上の、ロングドライブだ。これは、ぜひ獲得しておきたい。
サイコロを振る場所、どこにしようかねぇ、分岐直前ってトンネルがあるから、手前で振らなければいけないよねぇ、という話を車中でしていたところ、アワレみカーは歩道を自転車で走る女性の横を通り過ぎた。
おかでん「おい!ここから数百メートル先で、サイコロ振るぞ!もうちょっと先で停めてくれ!」
ひび「え?ここで振るんすか?」
しぶちょおは、状況を理解していたらしく、「わかった」とニヤリ。
おかでん「今歩道で自転車漕いでいた女性、見たか?えらくミニスカートだったんだよ」
ひび「それでですかい」
彼女が到達するまでしばらく時間がかかりそうなところまで車で先回りし、ご丁寧に3人そろって歩道に出てサイコロを振ることにした。
おかでん「えー、ミニスカートのギャルに動揺しているわれわれですが。ちょっと早めですが、サイコロを振りたいと思います。小松原トンネル西分岐、長野市街に戻るか、大町街道を進むかの選択肢ですね。偶数で、長野県庁方面に戻りましょう・・・という非常に楽しいプラン。奇数で、松本方面。それでは、早速行ってみましょう」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・・それっ!!!やや動きが緩慢なのは、はるか向こうからやってくる女性とタイミングを計っているためだ。
おかでん「5!奇数!」
しぶちょお「うわ、やった!」
ひび「真っ直ぐ?」
おかでん「真っ直ぐ!ついに長野サーキット離脱!来たぞぉ、ついに来たぞぉ、新しい展開がここから開けるぞぉ。サイコロ3、いよいよ佳境に突入・・・と言って過言ではあるまい」
しぶちょお「そして目の前の自転車の女性に対しても、佳境に突入」
おかでん「いらんことを言うな。ええと、さて、サイコロの写真を撮るぞぉ」
なぜか三人ともしゃがみ込んで、サイコロを覗き込んでいる。お前ら、アングル低すぎ。
・・・目の前を、自転車の女性が通り過ぎていった。何も見えなかった。ちょうど、サドルを漕いでいる足の位置が、おかでんのポジションからすると悪かった。
車に戻ってからの会話。
しぶちょお「いやあ・・・水玉、でしたな」
おかでん「えっ、何?見たの?」
しぶちょお「見た、んじゃないの。見えた、の。あの娘、足を広げて漕いでるんだもんなあ。眩しかったよ」
ひび「ええもん見させてもらいましたわ」
おかでん「あっ、ひびさんまで!何でボクだけ・・・」
その後、「お前らはずるい、卑怯だ。昨日の風呂といい、今日の件といい」と、延々と車中で無意味な愚痴をこぼしまくるおかでんであった。
まったりと、延々とアワレみカーは南下をする。ようやく、「頻繁にサイコロを振る」という煩わしさから解放されて、車中はのんびりとドライブを楽しむ雰囲気になってきた。
・・・なにしろ、1時間もの間、サイコロを振らなくていいのだ!こんな快適な事が、許されるなんて!もう長野市街はこりごりだ!
これから向かおうとしている松本市街は、サーキットになるようなルートは特にない。ただ単に「どっちに向かうか」という選択があるだけだ。だから、これから先不毛なぐるぐる一カ所滞在は無い、はず、だ。
・・・松本に向かうことができれば、の話だが。
松本の手前で、分岐がやってきた。403号線との分岐だ。間違って、403号線に入ってしまうとこれがずーっと北上再開となってしまう。途中、長野自動車道の麻績インター分岐があるものの、基本的には聖高原を越えて更埴まで逆戻りだ。そこでさらにマズい目を出すと、長野サーキットに逆戻り。
要するに、楽して稼いだ距離は、逆もまたしかり、という事だ。あっという間に元の場所に引きずり戻される可能性もある、ということだ。これはまずい。なんとしてでも、松本方面に向かわないと。
おかでん「12時15分、久方ぶりの分岐です。まぁ、奇数を出して真っ直ぐ行きたいと」
しぶちょお「違う違う、偶数偶数」
しぶちょおがあわてて訂正する。
おかでん「あ、そうか。直進は右側なので、偶数だ。ええと、偶数を出して、19号を直進して松本に向かいたい、と思っとります。まあ、偶数しかないでしょ。偶数。」
車外にでる。久しぶりの屋外だ。そして、久しぶりのサイコロだ。気合い入れていこう。久々に、一投にかける気合いが入る。投げるのは、おかでん。おかでん「じゃ、行きますよ!それ!」♪何がでるかな、何が出るかな、偶数じゃなくて奇数だよっ!ひび「え!え?え?え?」
しぶちょお「違うって!偶数だ、偶数!」
おかでん「ああ、しまった、間違えた。奇数じゃなくて、偶数だよっ!そりゃっ!!!」
おかでん「奇数!」
しぶちょおががっくりする。
しぶちょお「おーい、403だぞぉ、奇数って・・・峠越える山道だぞ・・・」
ひび「投げるときの間違いで不吉な予感はしたんだけど・・・」
一同、その場でうなだれてしまった。せっかく、松本方面!南下!というイケイケムードだったのに、また北上だ。ひょっとして、長野市街に引きずり戻されてしまうんじゃないか、わしら。
おかでん「大丈夫!次、長野自動車道麻績インターがある!そこでなんとか救済してもらおう!今回は高速道路のメリットを最大限に生かさないと!」
403号線に入る。先ほどまでの19号と違って、途端に道が狭くなる。
しぶちょお「さすが400番台の国道だけあるな!」
ステアリングをぎゅいんぎゅいんさせながら、峠道を越えていく。この峠越えは、松本とのお別れを意味していた。さらば、松本。
・・・そして、「こんにちは、長野市街」への布石になるのか?
本城町役場付近で、国道が微妙に分岐していることに気がついた。おかでん所有の地図には記載されていなかったのだが、カーナビだと町中に突っ込んでいく旧道と、回り込む新道の両方が国道として表記されていた。
しぶちょお「と、いうことはここもサーキットだねぇ」
おかでん「サーキット、なのか!?ということは、逆戻りさせられるということもあるのか。どっちが得だ?」
しぶちょお「ぐるぐる回らされるのはとりあえずもう嫌だ。北行ってもしゃーないけど、サーキットはパスしたい」
おかでん「そうだな、サーキットはもう勘弁願いたいところだ。いくら小さなサーキットだとしても。精神的ダメージは一緒」
そういう話をしているうちに、問題の分岐点にやってきた。
しぶちょお「あれか?」
車を路肩に停めて、降りてみる。確かに、シェル石油の右側に道が延びているのだが、コレは果たして国道と呼べるのだろうか。
おかでん「どこにも国道の表記ってなかったよな?」
しぶちょお「無かった。青看板もなかった」
おかでん「国道か、あれ?」
しぶちょお「さあ・・・?国道から格下げになってるっぽいけどな、矢印で左に行け、ってなってるし」
おかでん「でも、証拠はどこにもない」
しぶちょお「無いねえ。やっぱりここはとりあえず振っておくしかないだろ」
結局、国道ではない気がしつつも、判別不能だったのでサイコロを振ることにした。
おかでんが先ほど致命的なミスサイコロをしてしまったため、サイコラー(そんな英語あるもんか)の座はひびに移っている。
おかでん「まあ、適当にやってくれや。ここはどっちに行ってもいいから。次でサーキットにならなければ問題ないから。気楽に」
ひび「へい。えっと、もう投げていいですか?」
おかでん「どうぞ」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・ほいっ
おかでん「5。奇数。ということで、左ですな」
至って冷静に、出た目を告げる。今回はどっちでも良かったので、声に気合いが足りない。でも、たまにはこういう息抜きがあったっていい。
われわれは、「間違いなくこれは国道」であるほうのルートを進んだ。12時34分。
数分後、本城町の集落を通り過ぎたところで、先ほど分けた道がまた合流してくる交差点に行き着いた。ここで、再度サイコロを振ることになる。
ひび「でも、青看板には右って国道の表示がないですよ?」
おかでん「うーん、やっぱり国道じゃないような気がするけど・・・今更引くに引けないなあ。とりあえず、サイコロ振っておこう」
国道かどうかもわからないような道でサーキットするのは非常にバカバカしいので、なんとしても先に進まないといけない。
ひび「松本方面に戻る、っていう選択肢はないんですね?」
おかでん「うーん、ここでUターンして松本っていうのも悪くはないんだけどねぇ。これ以上北に向かったって、僕らどうすりゃいいのかよくわからんし。まあ、どっちでもいいや、それはサイコロ任せよ」
ひび「えっ?もうサイコロ投げるんですか?」
おかでん「あ、いや、今のは引用しただけ。よし、じゃ、サイコロ振ってください」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・
それっ
おかでん「3!奇数!真っ直ぐ北上。」
うーん、と全員が唸る。
しぶちょお「やっぱり北に行け、という事なのね、サイコロによると」
ひび「長野市街・・・?」
おかでん「どうも、まだ長野からは脱出させてくれなさそうだなあ。どうしたいんだ、サイコロ。どうなるんだ、サイコロ。そろそろお昼ゴハン食べないといけない時間なんだけどなあ」
しぶちょお「さっきまでは、安曇野翁か、浅田かって感じだったのにな。今じゃ・・・」
おかでん「想像つかないねぇ」
おかでん「えー、12時46分。長野自動車道麻績インターとの分岐がやってきました。久しぶりですな、高速チャレンジは。昨日はコレで豊田飯山から上田菅平までワープさせられたんだっけ。今回はどうかな。偶数がでたら、真っ直ぐ更埴市街まで。奇数が出たら長野自動車道へ」
ひび「どっちにします?」
おかでん「うーん、高速乗っとくか。奇数出してください」
田舎道をひびが走る。
♪何がでるかな、何がでるかな・・・・
ひび「それぇぇぇぇっ」
ひび「5出た!」
おかでん「奇数!オッケ!よし!インター入ります!」
うれしそうにひびが車に駆け戻ってくる。
おかでん「ひびさん、まだ役目は終わってないからな。インター入ったところで、もう一度サイコロがあるから。そこでもガンバってもらわなくちゃな」
ひび「あ、そうか」
おかでん「いやでも!イヤな流れがここでスパーンと断ち切れたな!良くやった!更埴なんか絶対に行くもんか。ワープするぞ、ワープ!」
しぶちょお「北方面にワープしちゃ元も子もないけどな」
おかでん「っとと、そうだった。北に向かっちゃ、また昨日と同じだ。ここは何とか南を出したい!次は重要だぞ、今回のサイコロ3の命運がかかっているといっても過言ではあるまい!」
麻績インターの料金所を通過する。一体この高速道は僕たちをどこに連れて行ってくれるのだろう。ワクワク感を強く感じる。
閉塞した状況を打破する飛び道具。まさに、ワープだ。
おかでん「さ、麻績インターで長野/松本分岐にやってきました。非常に重要な分岐ですね。北に行ってしまったら、非常に悲しい。でも・・・まあ、いいか。長野を素通りして、一気に日本海まで突き抜ける可能性だってあるわけだし。えー、ひびさん。今度は偶数を出して、松本方面を目指してください。さっきからひびさん、奇数を連発してるけど、今度は偶数だぜ?」
ひび「はい」
おかでん「中央道を南下しましょう!」
ひび「はーい」
♪何がでるかな、何が出るかな・・・それっ
おかでん「4!」
ひび「きゃはっ♪」
おかでん「偶数!松本!」
ひび「あははははは」
おかでん「やった!オッケー!オッケ!」
ひび「何か・・・(ゴールが)見えてきましたよ?」
おかでん「あははははは、松本!ついに来た!南だけど来た!(だじゃれ)」
二人とも、軽やかな足取りで車に戻る。
しぶちょお「偶数出たん?」
おかでん「4だ!この小娘、やるときゃやるぞ!松本、行くぞ!」
ひび「どうも、小娘です。やるときゃやります」
しぶちょお「ついに新展開、だな」
われわれは長野道南下を開始した。これで、完璧に長野市街とはお別れだ。まだまだ長野県からの脱出は難しい位置にいるが、前途洋々だ。さあ、二日目午後。まだまだ行ける、われわれは諦めちゃいない。
12時52分。麻績インターから南下を開始してすぐのところにある筑北パーキングエリアで休憩を入れる。
どうもアワレみカーの右前輪から異音が聞こえてくるので、調査をするしぶちょお。アホな行程で走り回るアワレみカーが、呆れて悲鳴をあげ始めたか。
これから高速移動の開始だ。どこまで行けるかわからないが、車はベストコンディションでないといけない。
12時57分、結局原因は不明のまま見切り発車した。
豊科インターは国道との接続がないため、スルーとなった。まだ南下を続ける。梓川SAを過ぎた辺りで、そろそろ次の分岐に向けて車内はスタンバイとなった。
次は、松本インターだ。ここは、国道158号とクロスする。国道158号を東に向かってしまうと、松本市街に放り込まれてグチャグチャと面倒な事になるのだが、もし西に迎えたとしたら・・・ええと。地図をめくる。おお、上高地を越えて、岐阜県の平湯温泉まで進むことができるぞ。
おかでん「岐阜県か!昨日は群馬県入りして、もう東京ゴール目指してイケイケ状態だったのに。岐阜県に入ったら、がぜん名古屋ゴールが見えてくるなあ」
しぶちょお「全然想像できなかったな、岐阜県という目は」
おかでん「どっちがいい?僕ねぇ、高速道路突っ走るのは快適でいいんだけど、やっぱりちょっとだけ罪悪感は感じてるんだよ。カネだして楽してる、って感じで」
しぶちょお「あ、その気持ち分かる。僕もそうだ」
おかでん「だからね、とりあえずここら辺で降ろしてもらって、下道で平湯温泉目指すってのでもいいかなって。でも、あっちって・・・お昼ゴハンを食べるのに最適なお店、あんまりなかったような気がするなあ」
しぶちょお「平湯でほう葉味噌食べるか?」
おかでん「うーん、いまいち。そろそろお昼ゴハン食べないといけないんだよな。ゴハンがおいしいところに行く、というのは重要」
しぶちょお「それだったら、松本市街に入れば確実だな」
おかでん「あ、そうか。でも松本はイヤだ。絶対、国道19号とかで北に引き戻されるに決まってる。北に向かってると南に引っ張られるし、南に向かうと北に引っ張られるんだよなあ・・・。やっぱりサイコロの旅って、スイングバイ航法だよ」
・・・
おかでん「えーと、13時11分。これから松本インターを降りるか・降りないかという選択肢を決めたいと思います。どちらかといえば、僕は松本インターで降りて岐阜県に向かいたいところなんですけど、松本市街でグチャグチャするのは憂鬱なので、ここをスルーしてもらってもいいかもしれない。高速でどこまで先に進めるか、っていうのに興味もあるし。サイコロを振るひびさんのお任せです。ただし、下に降りるんであれば、確実に岐阜方面に向かってくれなくちゃイヤンです。じゃ、お願いします!」
ひび「えっと、どっちの目がどっちです?」
おかでん「偶数で、高速道路直進。奇数で、松本インターを降りる、ってことで」
ひび「はい」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・・ほいっ
ひび「2でした!」
おかでん「2!偶数!真っ直ぐ!真っ直ぐ高速直進ですねえ・・・。真っ直ぐということは・・・次の選択肢は・・・あ、塩尻になりますねえ」
しぶちょお「塩尻か!どんどん南下するなあはははははは」
おかでん「はははは。ホント、翻弄されるなあ僕ら。でも岐阜県行きたかったなあ・・・」
塩尻北インターが近づいてきた。ここで降りたら、国道19号と合流する。こんなところで降ろされても、正直困る。できればスルーしたいところだ。もっと有利なところで国道復帰したい。
おかでん「塩尻北インター分岐です。偶数が・・・あ、もう時間がない?じゃ、ひびさん早く振ってください!」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・・
それっ
助手席で、サイコロを投げる場所がないひびは自分の太股のつけねに僅かにできた、座席の部分にサイコロを落とした。
ひび「4ですぅ」
しぶちょお「真っ直ぐ、ね?」
おかでん「塩尻北インター、スルー決定」
そのまま塩尻北インターを見送る。
松本インターに続いて、二つめのインター見送り。なんだ、なんだ?いつものアワレみ隊だと、ここらあたりでヘナチョコな目を出してしまい、下道に引き込まれそうなものだ。一体どうしちまったんだろう。
次は塩尻インターだ。塩尻北と同じく、19号との合流になる。塩尻北をスルーした以上は、ここでも同じくスルーしないことには意味がない。
おかでん「ということで!ひびさん!ここは真っ直ぐ行っておきたいところなのだよキミイ」
ひび「偶数ですね?」
おかでん「そ、偶数で」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・ほいっ狭い車内、サイコロが隙間に挟まってしまい目の判読ができなかった。もう一度。ほいっ
ひび「1です!」
おかでん「1?奇数、降りる、か」
しぶちょお「はははは、降りちゃうのか」
ひび「降りちゃいます」
おかでん「そうかぁ。どこまでロングゲインできるかと思ったんだけど、インター2つスルーしただけで記録はストップだな」
しぶちょお「大記録だよ、それでも」
おかでん「まあ、ね。まっ、いいや。下道に戻ろう」
塩尻インターで、高速道路から離脱した。
出口表示が、「塩尻 木曽福島」と書かれている。いよいよ、昨日から続いてきた長野市街地戦とは確実に縁を切り、南侵開始ののろしが上げられた事になる。木曽福島か・・・。ひょっとしたら、不可能と思われたゴールも可能なんじゃないか?
と、すぐにまた甘い考えを抱く。そんなにうまく行く訳ないじゃん。
おかでん「13時23分。塩尻インターを下に降りました。さあ、これで岡谷方面に向かうか、塩尻方面に向かうかの分岐ということになります。どっち行っても、国道19号線ですね」
しぶちょお「いや違う、国道20号線だ」
おかでん「国道20号?えっ、ということはこの先って、甲州街道か。新宿の前を走ってる、あの国道?」
しぶちょお「そういうことになるねえ」
おかでん「おおおー、なんか、はるか先とはいえ、東京が見えてくる地点に来たんだなあ・・・。感無量です。でも、現時点ではまだ東京か名古屋か、ってゴールを考えると名古屋の方が有利なのかな。ま、どっちでもいいや。塩尻市街の高出交差点が、運命の分岐点といって間違いないでしょう。とりあえずここはひびさんにお任せ。偶数で塩尻市街。奇数で岡谷方面。どぞー」
ひび「はい」
♪何がでるかな、何が出るかな・・・それっ
おかでん「3!奇数!・・・岡谷!」
ひび「にゃはは」
おかでん「岡谷かぁ・・・微妙だなあ。てっきり、塩尻市街決戦になると思っていたのに・・・高速道路と併走して、岡谷か。あんまり下道に降りた意味が無かったような気がする」
塩尻峠を越える。眼下には、諏訪湖が見えてきた。
おかでん「まさか諏訪湖を拝む事になろうとは思わなかったな。野尻湖ならあり得ると思っていたのに」
どんどん状況が変わっていくので、お昼ゴハンをどこで食べようかという考えがまとまらない。結局、もう昼下がりと呼べる時間になっているのに、いまだにご飯休憩をとれていない。
おかでん「諏訪湖だったら、ワカサギかなあ・・・」
適当な事を言う。でも、きっと食べられないんだ、これが。なぜなら、すぐにこちらの思惑に反して、とんでもない方向に車が向かってしまうから。
塩尻峠を下りきったところに、岡谷インターの入り口があった。結局、われわれは塩尻インターで下道に降りたものの、その下道で一つ先のインターに進んだだけだった、というわけだ。
おかでん「もう選択肢か!・・・うわぁ、どうしたもんかなあ。この辺りだと、名古屋でも東京でもどっちにもゴールを狙える地点だからな、イマイチ目標が絞りきれないんだよなあ。高速乗ってもしゃーないし、かといって下道走ってもどこに連れて行かれるかわからんし。うーん、うーん」
しぶちょお「今晩の宿って事も考えないといかん」
おかでん「そうか。もうそんな時間だもんな。でもなあ、これから先、圧倒的インパクトを誇る温泉地なんて無いぞ。・・・伊豆?」
しぶちょお「伊豆かい!」
おかでん「伊豆は無理としても、箱根?」
しぶちょお「いずれにせよ、東の方なのね・・・」
おかでん「まあ、いいや。ひびさん、お任せ。適当に振っちゃってください。高速に乗ってものらなくてもいいや」
ひび「いいんですね?はーい」
♪何がでるかな、何がでるかな・・・・よいしょお!
おかでん「5!奇数!インターだ!」
ひび「きゃー」
おかでん「インター、ですねぇ」
ひび「乗っちゃったー」
おかでん「乗っちゃったねぇ」
結局、われわれは長野自動車道を1区間だけ下道で走った、ということになる。塩尻峠を満喫して、さあ高速道路に復帰するぞ、というわけだ。うわ、しょーもねー。
でも、何か今回は高速道路に魅入られたような気がする。一体どこまでわれわれを連れて行けば気が済むのか?
岡谷インターから、また長野自動車道に入る。
やっかいなのは、インターに入った直後に「北に向かう?それとも南?」という選択肢があるということだ。ここで南の目を出せば、遂に「中央自動車道を名古屋方面に向かうか、東京方面に向かうか」という、今回の企画における分水嶺に到達する。しかし、逆に北を出してしまうと・・・また、塩尻北、松本、麻績・・・と先ほど通った道を逆戻りだ。これは相当情けない。振り出しに戻る、という表現がぴったりだ。
おかでん「13時37分。東京名古屋方面にいくか、長野松本方面にいくか、というところです」
ひび「ゴールが見えている方がいいなあ」
おかでん「そうだねぇ、看板にビシっとゴールの名前が書いてあるもんなあ。やっぱりこっちの方がいいでしょう」
ひび「ですねえ」
おかでん「じゃ、偶数で長野松本方面、奇数で東京名古屋方面ということで行こう」
♪何がでるかな、何が出るかな・・・・
ほいっ
おかでん「1!奇数!東京・名古屋!」
ひび「わー、そうきたか」
おかでん「まあ、とりあえずオッケー、でしょう。これでますますアワレみ隊は南下を続けることが確定したわけで」
ひび「どうなるんだろう、これから?」
おかでん「それは誰に対する問いかけだ?誰もその答えは知らないぞ、現時点においては」
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