それでは、香港の街に繰り出しましょうかね。「地球の歩き方」を手に、いざ出発。
まず、われわれが向かったのはホテルからほど近いところにあるJCBプラザ。ここで、レストランの予約を取るためだ。
海外主要都市にあるJCBプラザは、各種予約や旅の相談に乗ってくれるので非常に重宝する場所だ。もちろんJCBカードの会員限定だが、ホテルのコンシェルジュみたいな立場で接してくれる。
せっかく夕食を食べに行ったのに、満員で入店できなかった・・・なんて事になったら非常に悲しい。だから、念には念を入れて予約を入れることにしたのだった。
結局、夕食のレストラン2軒とマッサージ屋1軒の予約を入れて貰った。どーもありがとうございます。
マッサージ屋に関しては、その場でカード決済が行われてクーポンが発行された。
レストランに関しては、予約確認票が発行されるにとどまり、支払いは現地という扱いになった。写真は、レストランの予約確認票。
店に着いたら、このカードを渡すだけで話が通じるという仕組みだ。広東語、英語がしゃべれなくてもこれだと安心。
さて、こちらの希望通りの予約を入れる事ができたので、ご満悦になって街を闊歩だ。
こちらは、ネイザン・ロード。左側がわれわれが泊まっているハイアット・リージェンシー香港で、右側のビルが先ほど部屋の中から「おんぼろ」と形容した安ホテル雑居ビル。このギャップがたまらない。
香港の信号は、全て視覚障害者用と思われる音が鳴っていた。日本の場合、歩行者信号が青の時に「通りゃんせ」が流れたりするものだが、こちらの場合は「チチチチチチチチ」という何やらイライラするような、秒針を刻む音のような音が鳴る。しかも、信号が赤になっても音は鳴り続け、そのときは「チッチッチッチッ」とテンポが落ちる。即ち、四六時中信号機からは音が出ているわけだ。おまけに、主要交差点だけじゃなくて、香港中全ての交差点がこの仕様になっているので、結構やかましい。
先ほどのおんぼろビルの隣に、同じく古めかしい雑居ビルがあった。「重慶大厦(チョンキン・マンション)」だ。ここは、安宿集合体の大御所みたいなビルで、一泊3,000円弱からの値段で宿泊できるらしい。
犯罪の噂だとか火事の危険性がよく語られる場所でもある。
このマンションの存在は事前学習で知っていたのだが、てっきり「安宿」というからには街の外れにでもあるものとばかり思っていた。そうしたら、尖沙咀のど真ん中にあるんだから驚きだ。
試しに、中に侵入してみる。
G/F部分は、いろいろな店がひしめいていた。築地場外市場なみの狭さと店の密度・・・いや、違うな、秋葉原の電子部品を売っているゾーンくらすの狭さだ。そこで、日用雑貨が売られていたり、食べ物が売られていたりとありとあらゆる生活関連品が売られていた。
食べ物は、中華料理ではなく、当然日本料理でもない「見慣れないもの」ばかりだ。相当香辛料臭い。カレーの臭いもする。インド方面の料理だろうか。そういえば、周りを見渡すと、外の喧噪における人種と明らかに構成が違っていた。東南アジア系、インド系、黒人。まあ、早い話発展途上国の方々だ。さりげなく、人種(というか国籍)によって棲み分けができているということか。思わず感心してしまった。
ザ・ペニンシュラ。
香港を代表する高級ホテルだ。一泊・・・ええと、いくらだったかな。「こんな高いところ、泊まるわけにはいかない」と思ったので調べもしていない。
地下にはブランドショップを集めたショッピングモールがある。お上りさん感覚でざっと見て回った。
こちら、ペニンシュラのGF。心地よい音楽が流れているが、妙に生々しいと思ったら、生演奏だった。GFに突き出たバルコニーに室内楽団がひしめいて、指揮者の指示にしたがって音楽を奏でていた。こりゃ優雅だ。(写真奥)
しかし、バルコニーが重さに耐えかねて、落ちてしまうんじゃないかとやや心配。
喫茶フロアでは、お客さんがいっぱい。日本人らしきお客も多いが、白人も多い。お客の多くは「アフタヌーンティ」を楽しんでいた。
アフタヌーンティとは、香港独特?の文化で、お茶を飲みながらテーブルの中央に積み上げられたスコーンやケーキ、サンドイッチを食らう。食べ物はお代わり自由だが、昼下がりの時間にそんなにたくさん食べられるんかいな。糖尿病一直線だぞ。
アフタヌーンティのテーブルを凝視してみたが、「ううぷ、もう食べられない」と目の前のサンドイッチにウンザリしているような人は居なかった。そうか、お代わり自由だからといって、もりもり食べなくてもいいのか。そりゃそうだよな。あくまでも優雅に。
でも、それだと、2,000円以上もするお値段はちょっと高いような。
・・・って考えている時点で、優雅じゃないな。反省。
この日の夕食は、香港島サイドの銅鑼湾(トンローワン/英語名コーズウェイ・ベイ)にあるお店に行く予定になっている。「天星小輪(スターフェリー)」という名前のフェリーに乗って、対岸に渡ることにする。
そのまま1階の乗り場に向かったが、自動券売機など存在しなかった。改札のおっちゃんに「二階に上がれ」と言われて追い返された。「?」と首をひねりながら二階にあがると、そこにも同じような改札があった。やはり券売機はない。改札のおっちゃんに「二人だ」と告げてお金を払うと、おつりを渡してくれてそのまま通してくれた。何だったんだ、さっきのは。
後で調べたら、一階は二等席、二階は一等席だったらしい。ちなみに二等席の改札はおつりがでないらしく、ちょうどのお金を持っていなかったわれわれは追い返されたということらしい。多分。
ちなみに一等席は2.2HKD、二等席で1.7HKD。7円ちょっとしか値段に差がない。
いや、それ以前に、フェリーに30円前後で乗れるというのが驚異的だ。香港は、日本並みの高い物価の時があるかとおもったら、妙に安い時がある。その二面性が魅力だ。
フェリー乗り場から眺めた、香港島の中環(ヅォンワン/英語名セントラル)。何やら高いビルが建っているが、ありゃ一体何階建てだい。バベルの塔みたいに、天高くそびえているぞ。
海沿いの、地盤が比較的軟らかい場所のはずなのにどうしてあんなデカいのが作れるんだか。万が一地震で倒れたらどうすんだい。
スターフェリー一等席の内部。
木のベンチが並んでいる。背もたれは稼働式になっていて、進行方向にあわせて向きを変えることができるリバーシブルタイプだ。
尖沙咀方面を振り返ったところ。
香港島サイドのやけくそ気味な超高層ビル群とは趣が違う。
この光景を見て、「ああ落ち着くなあ」という気になってしまうのだから不思議だ。こっちだって、十分繁華街なのだが。
しかしだ、セントラルに近づけば近づくほど、その建物には呆れてしまう。感心、ではないぞ、呆れる、だ。なんだい、このビルは。
真ん中にある四角いビルが中国銀行なのだが、これが315m、70階建てだ。隣接してデカいビルがあるので、これが70階建てにはとても見えない。
右側に、香港上海銀行(HSBC)ビルがあるのだが、これが小さく見えてしまうから強烈だ。これでも、48階建て、179mの高さがあるというのに。
香港は風水の影響を色濃く受けたビル建築をする。建物の向きであるとか形状にはそれぞれ意味があるわけで、いかに背後にあるビクトリア・ピークから流れてくるパワーをビルに取り込めるか、というのが重要な要素となっている。
しかし・・・
「おい、あのビルも風水の影響か?」
牛乳パックを逆さにしたようなビルが、セントラルのベイサイドにそびえていた。
「あれ、確実に無駄だよな、何であんなところできゅっと絞ってるんよ。あそこだけテナント入れられなくて、無駄じゃん」
「いや、それ以前にありゃぽきっと折れるぞ。なんであんな無駄かつ危険な構造にしたんだ?」
近づいて、ビル名を確認してみたら「中国人民解放軍駐香港大厦」だそうで。一番保守的と思われる軍隊のビルが、これだもんなあ。
あと、後ろの金ぴかビルも、さりげなく・・・というか派手に気になる。
もう、目に入るもの一つ一つに寸評を加えていくと、きりがないんである。
セントラル上陸。トラムに乗ってコーズウェイ・ベイに向かうので、トラム乗り場まで歩く。
目の前に、HSBCビルがそびえる。遠くで見ると小さい印象だったが、腐っても48階建て。近くで見るとデカいわ、やっぱ。
だいたい、日本で48階クラスのビルなんてそうざらには存在しない。それが、こっちじゃ「低いビル」に見えてしまうんだから、ある意味カルチャーショックだ。
地震が滅多に起きない土地柄なのだろう。そういえば、建坪率という概念がこの地にはないらしく、ビル同士がぶつかりそうになりながら建っているのも特徴だ。これも地震の心配がないという証拠だろうか。
で、このHSBCなのだが、鉄骨むき出しのような作りなので現地では「蟹ビル」と呼ばれているらしい。高さが結構あるので、奥行きもさぞやあるのだろう・・・と思って、側面に回ってみた。すると、写真のとおりで、案外薄っぺらい。巨大ビルの割には、以外と床面積は広くないのかもしれない。
これも風水の影響なのだろうか・・・?
どうやってこんな建物をデザインしたのか、非常に興味がある。図面を書いているうちに、つじつまが合わなくなってしまわなかったんだろうか。
なにやら高度なパズルを提案しているかのようだ。「あそこを右に1/4回転させて、こっちを左に半回転ずらして・・・」ってやると、すっきりと凸凹が無くなるんじゃないか、と。
試しにじっくりと眺めてみたのだが、ぐるりと一周しない限り凹凸の全てを確認することができない事に今更のように気づき、断念。
やっぱ、パズルというのは手元でこねくり回せるくらいのサイズでないと無理だってば。
トラム。二階建ての路面電車だ。ひっきりなしにやってくるので、待ち時間はほとんど無い。一人2HKDだから、約30円だ。馬鹿みたいに安い。この電車にお客さんてんこ盛りにしても大した稼ぎにならんだろうに、と思うのだが、まあ旅行客が心配することじゃないか。
停留所は、日本の路面電車のように何か印があったり駅名があったりするような事はない。「どうやらここが停留所らしい」というところが、停留所だ。駅名すら存在しないみたいなので、いい加減だ。でも、確かに駅名なんて、なくても全然困らなかったが。
トラムの中。後ろ乗り前出の構造になっている。二階に上がろうとすると、急な階段を登らないといけない。お年寄りには絶対にお勧めできない。
トラムが細長く見えるのは二階建てのせいだと思っていたが、実際にトラム自身の幅が狭かった。座っている分には問題ないのだが、立っていると狭い上に急加速急減速なので非常に居心地が悪い。
コメント