桃の木温泉

2006年07月02日(日) 2日目

朝食会場

朝食は大広間にて。

当然といえば当然だが、3名なのでこういう配置になる。

なんだか、2対1で一人の方が不利な気がするが、それは何の意味もない思いこみだ。敢えて「不利」な方に着席する。

うう、緊張する。

そういうことはない。

朝食

朝食。

昨晩が「お盆の上でお皿テトリス」が展開されていたのに対し、朝は一つの大きな仕切り付き箱形器に盛りつけられシンプル。

西湖蝙蝠(こうもり)穴案内

特にこの日、何をやることを決めていなかった。何しろ、宿泊前日夜中に宿泊場所を決めたくらいのいい加減さだ。「温泉旅館で湯に浸かってほっこり」というコンセプトくらいしかなかった。あっ、2日目の行程について何も考えてなかったねぇハハハ、というありさま。

地図を見ながら、「まあ、じゃあ適当に富士山麓の風穴や氷穴を見て回るか」という事を適当に決めた。ガイドブックがあるわけではないので、カーナビまかせでなんとなく発見された穴になんとなく入ろう、というコンセプトがなんとなく閣議決定。

そんないい加減な状態で最初に訪れたのが「西湖蝙蝠(こうもり)穴」というところだった。いきなり風穴でも氷穴でもないあたりがなんとなくっぽくて大変に模範的である。

「こうもり穴?こうもりがたくさん天井にぶら下がっているのをおそるおそる見るのか?」

「さあ?」

本当にそうだったら相当怖い。うかつに光を当てたり、騒いだらバタバタバターっとこうもりが洞窟中飛び回りそうで、いやだ。でも、まさかそんなことはあるまい。

洞窟のなり損ない

風穴にしろ氷穴にしろ、今回の蝙蝠穴にしろ、富士山の爆発で押し寄せた溶岩が冷えて固まって、隙間ができたという人工的・・・とはいわないな、ええと、まあ自然の神秘な洞窟だ。

ほら、こんなところにも洞窟のなり損ないがある。

中は湿度気温が通年一定しているので、こうもりが住むには最適なんだと先ほどの看板には書いてあった。そうですかなるほど。

入場料金300円
自動改札機

入場料金300円。洞窟に入るだけなのに高いぞ、と思うが環境整備のためのお金と思ってここはおとなしく払いましょう。自動券売機になっているところが今風だが、さらに感心したのは自動改札機になっていることだ。ローカル鉄道路線の駅もびっくりだ。こんなところで自動改札にお目にかかるとは。

BAT-CAVE

自動券売機で購入したチケットは、さすがに「裏が磁気になっている」なんて芸が細かいことはない。ただ、なにやら通番管理されているし、恐らくその番号を意味するのであろうバーコードもある。

このチケットを見ると、226265とナンバリングされている。どうやら今年になって22万6265人目の入場者、ということらしい。推測だけど。

それにしても「コウモリ穴」を英語で「BAT-CAVE」ですか。イラストといい英語名にするあたりといい、「コウモリ=グロテスク」というイメージをなんとか払拭しようという努力がにじみ出ていてそこはかとなく郷愁を誘う。実際のコウモリって相当怖い顔つきと体つきしてるもんな。

でも、せっかくデフォルメしたこのコウモリちゃんだが、もしこれが売店で人形として売られていても、誰も買わないと思う。やっぱりどんなに頑張っても可愛くはならんな、コウモリは。

そんなわけで、自動券売機脇にあった売店には「コウモリグッズ」は売られていなかった。正しい判断だと思う。

長靴が貸与される

入場する前に、靴を履き替えないといけない。

いや、履き替える義務はないのだが、推奨ということで長靴が貸与される。さらに、ヘルメットまで貸し出される。なるほど、これらのレンタル代も含めて300円か。それなら納得だ。

それにしても大げさになってきたぞ、長靴にヘルメット。一体どんなところに行くんだ?地底奥深く、水没した道や腹ばいになって進まないといけないような場所があったり・・・するわけないよな、観光地だもんな、ここは。

ようやく入口に到着

遊歩道を徒歩5分。もっと近くに入場ゲート作ればいいのに、と思うが、ようやく入口に到着。

入口は鉄柵で囲われていた。なんだコレは。「崩落寸前の防空壕跡。立ち入り禁止」となっている場所のようだ。

こうもりの通り道

この鉄柵について「?」と思う人が多いからだろう、解説看板がわざわざ用意されていた。

「人の立ち入りを制限でき、コウモリたちには優しいこの方式は、人と自然の共存を目指した、日本でも数少ない新しい試みの一つです。」

だ、そうで。なんだか新時代到来!手と手を取り合って未来を作っていこう!ビバ青春!って感じで自画自賛している。

詳しくは写真の文章を読んでくれ、なんだけどちょっと読みにくいので要約すると、

  • 人は中に入れたくない。でもコウモリの出入りは自由にさせてあげたい。
  • だから、鉄柵を作った。ただし、コウモリが気持ちよく出入りできるように、横の格子だけにして、縦格子はなくした鉄柵にした。
  • これで、コウモリは羽を広げたまま柵を自由に通過できる。
  • どうだすごいだろ

ということだ。なるほど大変よくわかりました。でもよくわからんのが人間をなぜ制限するのか、ということだ。恐らく、昔、夜に「肝試し」だとかいって洞窟内で悪さをする輩が居たのだろう。だから、営業時間外は柵を塞いでしまって、人間は中に入れないようにしてコウモリ様専用にしたと思われる。

確かにこういう洞窟で夜、真っ暗な中肝試しとか探検をやったら相当迫力あるな。戻ってこれなくなる恐れもあるけど。

洞窟探検1
洞窟探検2

洞窟探検を行う。明るすぎず、適度に暗さを保っているのは演出なのかどうかわからないが、ワクワク感が強くなって大変に結構。しかし、写真を撮ってもブレまくるのには参った。

炭坑の坑道見学とは訳が違う。相手は自然の産物だ。だから人間の都合なんて構ってくれず、やはり狭いところや低いところが随所にある。なるほどヘルメットがいるわけだ。身長が高い人は要注意。

手すりを使って急激に深いところにもぐっていく

ちょっと写真では判りにくいが、手すりを使って急激に深いところにもぐっていくところ。ひびさんが眼下に小さく見える。

突き当たりには木製の柵

鍾乳洞見学と違って、特に何かクライマックスがあるわけではない。突き当たりには木製の柵が作られていて、中に入れないようになっていた。

この奥にコウモリは潜んでいるらしく、ここから先は入っちゃダメよ、生活荒らしちゃダメよ、ということだった。「お静かにお願いします」なんて注意書きには書かれている。

要するに、われわれはコウモリさんのお宅の玄関までやってきて、直接お会いすることなく引き返したというわけですな。

コウモリ穴、というからコウモリとの直接対決も辞さない覚悟だったのだが、さすがにコウモリとて人がうろちょろしているところで無用な対決をする気力は無かったか。奥に引きこもってしまったのも致し方ない。

よーし、天照大神が天の岩戸に隠れて閉まったとき、八百万の神が集って歌ったり踊ったりして天照大神をおびき出したように、僕らもここで歌って踊って・・・あ、「お静かにお願いします」か。へーい、了解。

気温の差でめがねが曇る

穴から出ると、気温の差でめがねが曇る。カメラのレンズも曇る。

それにしてもしぶちょおのヘルメット姿はよく似合う。

次は、蝙蝠穴からほど近いところにある富岳風穴に行くことにした。この青木ヶ原樹海近辺にはいたるところにこういった風穴がある。もっとも、一般公開しているのはごく一部だが。

富岳風穴看板

独自で探検すれば、新しい風穴が見つかるかもしれない。ただし、それより先に道に迷うだろうし、怖いのは自殺した死体を発見してしまうことだ。青木ヶ原樹海といえば自殺の名所と言われているからなあ。

富岳風穴

この富岳風穴は天然記念物だという。

自動券売機

ここも自動券売機でチケットを購入する。小人100円、という価格設定はともかくとして、大人230円というのが謎だ。なぜこんな中途半端な値段になったのだろう。

多分、人件費高騰などのあおりで、200円からスタートして10円ずつ値上げしていった結果なんだと思う。一気に50円値上げしなかった分偉いと言えるが、自動券売機でおつり用の10円を用意するのは毎日大変だろうな、と思う。たいていの人は250円とか300円、500円を投入するだろうから、絶対に10円玉のおつりが大量に必要となる。

溶岩棚

入口に向かう途中、こんなものがあった。

「押し寄せるマグマがそのまま固まってできた溶岩棚」

マグマから逃げる

危なかった、あともう少し固まるのが遅かったら、われわれ3人とも溶岩に飲み込まれるところだった。間一髪だ。逃げまどうわれわれの必死の形相を見よ。

古い看板

天然記念物、というから素晴らしく手厚く資金援助されて保護されているのかと思ったら決してそういうわけではないようだ。看板を見る限り、相当年期が入っているっぽい。このフォントを見る限り20年は経過しているんじゃないか?

まあ、看板が壊れている訳ではないので作り直す必要はないんだけど。でもなんだかうすら侘びしい。

「ところで風穴、というからには突風が吹くのか?」

スカートがめくれないように気をつけないと。あ、僕ズボンだった。

風穴に入場

さあ風穴に入場だ。7月、しかも樹海の中ということで蒸し暑いのだが、階段を一歩一歩下がっていくにつれ、気温が下がっていく。誰しもが、思わず「ひょーう」という奇声を上げてしまうのであった。

逆もまたしかりで、下から登ってきた人も「ひょーう」と声を上げていた。

逆つらら

洞窟の中はひんやり涼しい。いや、涼しいのは今のうちで、恐らく長時間滞在していたら寒くなってくるだろう。なにしろ、水滴が凍って、それが「逆つらら」になっている氷柱なんぞがある場所だから。そういえば、入口のところに「ただいまの風穴内の温度:0度」って表示があったっけ。

繭玉の貯蔵

他にも、ここは昔おかいこさんの繭玉の冷暗保管所としても使われていたらしい。

地上に戻る

さすがにヘルメットや長靴がいらない分、しゃがんで歩くような場所はなし。ざっとひととおり見たらおしまい。

「あれ?突風は?微風すら吹かなかったんですけど」

と言いながら地上に向かうと「ひょーぅ」とまたもや声をあげてしまった。めがねが曇る!蒸し暑い!

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