2007年01月08日(月) 3日目

3日目、最終日の朝。
朝ご飯を食べに行く前に、もう一つある洞窟風呂である「忘帰洞」に行くことにする。
朝からお散歩。

忘帰洞、その名前の由来は昔のどこぞのお殿様が、あまりのすばらしさに帰るのを忘れてしまったからだという。
確かに、昨日入った玄武洞と比べて、開放感のある広い洞窟。もしこれが水着着用可能な混浴だったら、どんなに気持ちが良いことだろう・・・と思うのだが、難しいのだろうか。男女を仕切っているついたてが、どうしても邪魔だ。
海べりの湯船に浸かっていたのでは、逆に海に近すぎて海を見ることができない。一段下がった、ちょっと高いところに陣取るのが一番よさそうだ。
朝の海を眺めていたら、ちょうど正面にある岩礁に渡し船がやってきて、釣り客2名をおろして去っていった。
「おいおい、よりによって風呂の正面に陣取るこたぁないだろ」
「覗きか?覗きに違いないぞアレ」
釣り客側としては、どういう意図があってこんな場所を選んだのかはわからないが、彼らは彼らなりに「ラッキー、女体がみられる」という気持ち以上に「俺ら、絶対チカンと思われているよな。気マズぅ」っていう感覚の方が強いはずだ。ざまーみろ。

こういう看板を見るにつけ、古いホテルだなあという事を感じる。
「ご年輩の方は遠い歴史に思いをはせ、ヤングはひろ~い宇宙にまで夢はひろがることでしょう」
ヤング。うーん、死語だ。せいぜい、食べ物でヤングコーンというのがあるなあ、というくらいだな。そういえばおなかがすいた。早くご飯を食べに行こう。

朝食会場は昨日と同じ日昇館。
明るいと、窓の外の崖っぷちがよく見える。あ、なるほど、こういう立地条件だったのね、と感心する。この階上に泊まっている人は、さぞや気持ちの良い眺めだろう。・・・ただし、海側の部屋に限る。山側の部屋だと、単に崖しか見えぬ。

まあ、雰囲気は昨日と一緒ですわ。
写真撮るまでもないけど。


で、料理の数々。昨晩に引き続き、湯豆腐が今朝も登場しておりました。で、またこの湯豆腐がなかなかの人気商品でして。なるほど、確かに自分も、二食続けて湯豆腐は食べたぞ。案外隠れ人気メニューなのかもしれん。

おかでんの朝食一式。玄米ご飯を選んだので、ご飯の色が茶色い。
右上に見えるのは調味料だぞ、間違っても「ビール瓶?」と勘違いしてはいかん。
まあ、定番な朝食、と言えるんじゃないでしょうか。

しぶちょお、今日も自主的にもりもりとご飯をもりつけて、大量のおかずと格闘中・・・なのだが、どうも分が悪いようで。
「おかしい。昨晩はまだこれくらいだったらマシ、と思っていた料理だけど、今朝のおかずはどれもご飯のおかずにならん」
ソーセージを一口食べてご飯を頬張っては「うーん」とうなり、ひじきを食べては「ううん?」とクビをひねり、しぶちょおは大変に悶絶していた。
まあ、一言で言うと、味付けが濃すぎたり、薄すぎたり、どれも中途半端ということなんですね。さすがのしぶちょおも大量のご飯を持て余し気味だった。

部屋に戻って、室内の換気をしようとひびさんが窓を開けたら、ポッポどもがたくさん集まってきた。
「わっ、わっ!鳩が集まってくるんスけど!なんなんでスか、これは!」
どうやら、餌をくれてやるお客さんが多数いるらしく、「窓が開く=餌が貰える」という知恵を身につけてしまったらしい。
「絶対にやんねーぞ、お前らには。アッチ行け」
しばらく鳩とにらめっこして、鳩が諦めて去るまで様子を観察してやった。こういうのは、「あれ?窓が開いたからといって、餌が貰える訳じゃないんだ。なーんだ」と身をもって判らせないと。

さて、チェックイン同様大混雑のフロントでのチェックアウトを済ませ、帰りの船を待つ3人。
今更「歓迎」と書かれた看板の前で記念撮影するのは遅い気もするが、でっかい亀の石像が何だか面白かったので、その前で3人で記念撮影。

お迎えの船が来た。
おや、亀じゃないんだな。ピストン輸送中は、輸送力強化のために亀号1隻じゃ足りないらしい。急きょ増援部隊が来るということか。

われわれの船が離陸してしばらくすると、見慣れた亀号が宿に向かって戻ってきた。しかも、シャチの格好をした船も帯同してだ。シャチ?浦島太郎にシャチは居なかったぞ。せめて、鯛やヒラメの格好にして欲しかったところだが。

ありがとうホテル浦島。
温泉は最高でした。建物探検も大変に面白かった。食事は確かにイマイチ感が強かったけど、でもまああんなもんでしょう、十分許容範囲。老いた両親に親孝行、として連れて行くにはちょっと辛い宿ではあるけど、大満足な一泊であったよ。

さて、3日目もお昼前、ということになるとどうやって帰るんだということが気になってくる。ここは巨大な紀伊半島の先端近く、ワタクシは今晩中に東京に戻らないと、月曜日からのお仕事に支障が出るやんけ、というわけだ。
昨日、志摩から車でここまでやってくるのにそういえば5時間近くかかったっけなあ。それを考えると、どうもアワレみカーで名古屋まで輸送してもらうのは無理っぽい。それだったら、おとなしく勝浦からJRの特急で名古屋に出た方が良さそうだ。
お昼頃の特急に乗ることに決め、それまでの間は「え?何?おかでんまだ行った事無いの?じゃあ行かなくちゃダメだ」としぶちょおに言われた、那智の滝に行くことにした。
「那智の滝といえば日本三大名瀑の一つじゃあないか。ほら、これで『日本三大巡りの旅』の一つがクリアってことになる」
「あー!そういえばそういうのもあったなあ!称名の滝が霧で見えなかったことを考えたら、ここで那智の滝を見るということはとても重要」
「だろ?だから見なくちゃダメなのよ」
「なるほど」
そんなわけで、勝浦からは比較的近いところにある那智大滝にアワレみカーは進路を取った。

到着したのは、何だか鬱そうとした森。
「ええと?滝、というからには見上げるものだと思うんだけど、なんだかここは坂を下っていくようなんですが」

その坂を下っていくと・・・
ああ、正面に滝が見えてきた!

これですな、那智の滝。
高さが何メートルある、とかそういうのは面倒なので自分で調べてくれ。
とにかく、きれいにざーっと流れ落ちていて、周囲の風景と相まってとてもきれいな滝だ。美しい滝で、華厳の滝のような荒々さがない分神々しく見える。
うん、いい滝だ。
滝壺に向かって鳥居があって、なおかつお賽銭箱があるというのがなんだか面白い。そうか、ここは滝自体がご本尊なのか。

もっと近づこうと思ったら、「参入料」なるものが必要らしい。大人300円。
「ロードプライシングがこんなところにも採用されているのか」
たかが滝壺の近くに数十メートル近づくだけじゃん、金とんなよーと思うが、いやいや大切な自然遺産を維持するためにはお賽銭だけじゃやってられんのかもしれん。
ここは仏の気持ちで300円を納め、中に入ることにした。せっかくここまでやってきて、「えー?中に入らなかったの?中が一番眺めが良いのに!」なんて後で知り合いに馬鹿にされるのは最も悔しいことだ。

さすがに神社側も、「ただ中に入るだけで300円はやりすぎたかしらん」と思ったのかもしれない。
小さな、小指ほどの大きさのお守りをくれた。ありがたいことです。
ただ、小さすぎて、今現在このお守りがどこに行っちゃったか判らなくなってしまった。行方不明。ダメじゃん。

那智のありがたい水を頂くことができる場所もあった。100円だかを払えば、杯が貰えて、それで水を拝命するらしいのだが・・・杯はさすがにちょっといらんですな。われわれは「手酌」でお水を拝領した。
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