名古屋おいしいとこどり

ゲーム開始。

ゲーム開始。

もっさりしたボールを、これまたもっさりした木のクラブで叩くので、ちょっと最初は戸惑う。というか、最後まで違和感が付きまとった。なんだか、高尚なゲームをしているというより、「鈍器で殴る」というイメージだからだ。かっ飛ばした時に、そのアタック感がダイレクトに手元にくるので、なんだかいけない事をした気持ちになる。しかしそこで躊躇すると球が全然前に転がらないので、完全に割り切らないとゲームにならない。最初は一同、慣れるまで苦労していた。

あと、パターゴルフのように「ここまでがこのホール」という仕切りが全くない。ここを越えたら隣のホールだからOB扱いですよー、というのを示す、ラフや茂みがない。だから、思いっきり打ってしまうと相当遠くまで行ってしまうのではないか?という恐怖感もあった。ただ実際のところ、球はデカくて重いのでそうやすやすとは変なところに転がらない。意図しない限りは、とんでもない方向に向かってしまう事はなかった。

戸惑いながらゲームを続けていたら、その様子を見た常連プレーヤーと思しきおっちゃんから「しつけ」が入った。この後も随時しつけ、というかご指導を賜ったのだが、打順が違う、という。

ゴルフの場合、一番遠いところに球がある人から順に打っていくルールだ。だから、場合によっては同じ人が二打連続することもある。しかし、グラウンド・ゴルフの場合は順番通り、名簿順に打つんだそうで。何で微妙にゴルフとルールを変えたのか意図不明だが、きっとこれにも奥深いメリットがあるのだろう。

同様に、次のホールに進んだときの第一打の順番も、名簿通り。ゴルフだと、前のホールで打数が少なかった人から順にスタートとなるが、きっちり律儀に名簿通りとなる。ただしローテーションとなっており、Aさん→Bさん→Cさん→Dさん、の順で前ホールを回ったら、次はBさん→Cさん→Dさん→Aさん、という順になる。

はっきりいってそんなの知ったこちゃねぇ、俺たちは俺たちのルールでやろうぜ、とも思ったが、何だか謎の世界なので敢えてそっちのルールに乗っかってみることにした。

グラウンド・ゴルフ中

パターゴルフのようにトリッキーな動きができないところが、高齢者向けスポーツとして開発されたグラウンド・ゴルフのグラウンド・ゴルフたる所以なのだろう。全てにおいてもっさり感が漂っており、好き嫌いが分かれるところだ。ただ、パターゴルフにしろグラウンド・ゴルフにしろ毎日やるものではないので、これはこれで楽しい競技だと思う。

穴に球を落とせばホールアウト、という通常のゴルフと違い、グラウンド・ゴルフは直径36センチの「ホール・ポスト」内に球をストップさせればOK。それは楽な話だ、と当初は思ったが、球がホールポストを素通りしてしまったり、ホールポストの枠に球が弾かれたりするのでこれはこれで少々難しかった。われわれのしつけ役曰く、「枠に一回球をあてて、跳ね返らせて枠内に停めるのが良い」のだそうだ。

重くてデカい球なので、ホールポスト直前でチキンなクラブ振りをやると全く球が前に進まない事もある。これには相当がっかりさせられる。

壁際の玉

アワレみオープンにはOBというルールは存在しない。他のプレイヤーの邪魔にならない限りは、隣のホールに球が転がろうが、崖下に落ちようが、プレイが続行という決まりになっている。実際、崖下に落ちた球を復活させるために、1ホールで50打を叩いた人もいる。最終ホールまで油断できないのが、アワレみオープンだ。

しかし、さすがに写真のようなシチュエーションだとどうにもならなかった。これはOB認定せざるを得ない。無理してかっ飛ばしても良いのだが、クラブの形状がこういうのに対応できないのと、木製のクラブを傷つけたらまずかろうという事から断念。

なお、OBの場合は1打追加カウントして、なおかつクラブ一本分、球を動かしてからゲーム再開なんだそうで。

障害物全くなし

コースは基本的に障害物全くなしで、とにかく前へ進め勧めという構成になっている。プレイヤーを阻害するのは、「かっ飛ばし過ぎたら隣のホールにすぐ入るので、迷惑かけちゃいかんな」などという紳士的自制心だ。

しかし、それだけじゃさすがにつまらん、ということで時折木なんかも生えていて、これが微妙に邪魔をする。あと、なだらかな起伏がこの敷地全体に作られており、その角度もある程度考慮しておかないといけない。

芝目?いや、そんなものは全く見る必要ないです。芝目ごときでへこたれる球ではない。

ホールインワン

50m直線のホールで、おかでんが球をかぱーんとかっ飛ばしたらホールインワンになって一同びっくり。

カーンとフルスイング

「そうか、ブッ叩いてもいいのか」とだんだん各自悟り始め、カーンとフルスイングで打ち始める。最初は違和感と罪悪感があるんだが、だんだん慣れてきた。とはいっても、最後まで手に伝わるアタック時の振動は嫌だったが。

アワレみオープンの特徴は、ラウンド後半になると「英語禁止ホール」が登場することだ。これは必ず出てくる。TVで芸能人がゴルフやっている番組でよく出てくる定番。英語を口走ったら、1打加算。

「英語禁止でやろうぜ」と積極的に言い出すのは決まっておかでん自身なのだが、一番そこでドツボにはまるのもおかでん。営業という職業柄もあってか、相手のショットに対してついつい合いの手を入れてしまうのだった。

「OKOK!いいんじゃないの!」「あ、今言った、しかも二回も」

「ナイス!これはいいショットだ」「また言った!」

お調子者のおかでんが自ら率先して英語の海へと溺れていき、おしゃべりのばばろあがそれに追随する。で、こういうルールがあるものには滅法強いしぶちょおは、なかなか口走らない。

「お前卑怯で。もっとしゃべれや。さっきと比べて口数減っとるじゃろ」
「減っとらんわ。ただ僕は君たちどんどん深みにはまっていくねえ、と見ているだけで」

自爆し続けるおかでんとばばろあは、「しぶちょおは汚い」ととんでもない言いがかりを付け続けた。

そこで、「だったら次のホールからは日本語禁止にしよう」とまったくルールを入れ替えてみた。英語禁止ホールでさんざんな目にあった仕返しだ。

ただ、やっぱりしゃべりまくるのはばばろあでありおかでんであり、結局いつもの面子にどんどんペナルティが追加されていく。

普段英語を使っていない人たちばかりなので、しゃべれ、と言われても頭が全く対応できていない。なので最初は全員黙ってしまった。

おかでんはこの1カ月前に台湾で英語でコミュニケーションを取っていたので、比較的まだ順応性があった。が、それが故に英語で途中までしゃべったところで言葉が詰まり、「・・・あれ?」などと日本語を口走ってしまう失態を何度か。

ばばろあは、戦争映画の印象が強かったのだろう、「ムーブ!ムーブ!ムーブ!」とか「ファック!」とか「ブルシット!」などもっぱら汚い言葉を連発。他のメンバーもそれに倣う。何だこの集団は。

さすがに見かねたおかでんが、「ゴルフは紳士のスポーツだ。分かるよな?汚い言葉を使ってはいかん」(←実際は中一レベルの英語でしゃべっている)と諭すことに。

英語限定ホールが終わった時点で、自分含めてあんまりな英語力に呆れてしまい、

「何なんだこの語学力の低さは。おれら、大学進学時の偏差値いくらだった?人並み以上はあったはずだぞ」

と嘆いてしまった。

1位:しぶちょお

アワレみオープン2009at関ヶ原の結果。

1位:しぶちょお 84打 (うち、ペナルティ1)
2位:ばばろあ 93打 (うち、ペナルティ9)
3位:ちぇるのぶ 99打 (うち、ペナルティ2)
4位:おかでん 107打 (うち、ペナルティ14)

なんだこの結果は・・・。おかでん自滅。ばばろあも同。しぶちょおとちぇるのぶは手堅く、ペナルティをほぼ回避。

「優勝賞品は、よもぎちゃんのところで買ったよもぎ餅でーす」

と購入したしぶちょおから賞品の提供があったのだが、自分でその賞品をゲットする事となった。

ウィニングイートするしぶちょお。

あんかけスパ 時次郎

関ヶ原から引き返し、名古屋に戻る。ハードディスクを買いたい、というメンバーがいたので、レンタカーを返却する前に大須に立ち寄った。

雑居ビルの中を素通りする時に見かけたお店。「あんかけスパ 時次郎」。

「ああ、そうか、あんかけスパゲティも名古屋名物だったねえ」

ホント、呆れるくらい「名古屋名物のB級グルメ」というものが出るわ出るわ。ちょっと数えただけでもすぐに二桁行ってしまうくらい、名古屋(愛知?)の食文化は独特だ。

あんかけスパゲティもその一つ。極太のスパゲティに、とろみのついたソースがかかった代物。とはいえ、東京では滅多にお目にかからないので、食べたことはない。

名古屋B級グルメって、「地元の名産品をふんだんに使い・・・」というものではなく、「他の地域でも普通に食べられているものを、普通じゃない食べ方で食べる」というものが多い気がする。「天むす」なんて、その典型例だ。だから、一生これらのB級グルメを食べなくても後悔することはないが、食べたら食べたで結構楽しい、そんなグルメ。

さてこの「時次郎」、張り紙によると「学生の方大盛りサービス」「レディースサービス 食後にデザートが付きます!」なんだそうで。サービス精神旺盛なところも名古屋流、か。

「おい、僕らオッサンには何のサービスもないのか」

ちょっと悔しい。

本日のおすすめ

「時次郎」の店頭にあった「本日のおすすめ」黒板。

3種類の名前を見ても、これが「スパゲティ料理」であることが全く想像つかぬ。そもそも「ミラネーゼ」って何だ。どうやらイタリアのミラノっぽいけど、どう考えてもアンタ名古屋だろ。

そもそも、「あんかけスパゲティ」というのが「料理名」だと思っていたので、たくさんのレパードリーが存在することに驚いた。そうか、「カレーライス」は一つでも、「カツカレー」「コロッケカレー」などいろいろあるようなものだろうか。違うんだろうか。わからん。

隣ではしぶちょおが

「今晩お目当てのお店がダメだったら、あんかけスパでもいいなあ」

とつぶやいている。

お昼、焼肉を食べたので、胃袋に重たそうなあんかけスパは避けたいところだが・・・

ルーマニア料理のお店

その「お目当ての夕食」だが、通りすがりに発見したルーマニア料理のお店だった。ルーマニア料理って何だ。そもそも、東欧諸国の地図上での位置関係って記憶が曖昧なのよね。ええと、どこだっけ。ブルガリアの隣だったよな、確か。

そんな遠い国のお店が名古屋にあるのには驚きだ。名古屋、懐が深いなぁ。何でも受け入れちゃうことができる。大都市だから、とも言えるが、仮に広島だったら多分受け入れられずに撤退することになると思う。地方に行けば行くほど、食に対しては保守的になるから。・・・と思ったら、広島にもルーマニア料理店があった!すまん広島。アンタなかなかイケてるぜ。

とはいえ、この手のお店が大変に珍しい事には変わりが無く、ぜひこの際謎のルーマニア料理を食べてみよう、ということになったのだった。

ひびさんは・・・18時前にいったんしぶちょお宅に戻ってみたら、花粉症を誤魔化すためか既に缶ビールを飲んでらっしゃった。やっぱり外には出られん、と目をうるうるさせていた。ああ、こりゃあダメだ。

いざ、ルーマニア料理店に繰り出してみたが、店頭のメニューを見て一同唸る。

「うーむ、正直若干、高いな」

これは外国料理店の宿命であり、町中の中華料理店を除けばタイ料理だろうがモロッコ料理だろうが、高くつく。食材調達の関係などあるのだろう。

「しかもこれ、名古屋名物ではないからな?やめとくか」

あれだけ「ルーマニア!ルーマニア!」と事前に盛り上がっておきながら、あっけなく放棄。ご免よぅ。今度東京で食べにいくから許して。

パスタデココ

「そういえばこの近くには『世界のやまちゃん』があるな。そこ行って手羽先食べるか」

しぶちょおから次の提案。手羽先。正確に言うと、手羽先唐揚げもまた、名古屋の名物だ。おお、手羽先でビール飲むのもいいなあ。その案、乗った。

やまちゃん自体には行ったことがあるのだが、東京のお店だ。本場名古屋で手羽先は食べたことがない。チェーン店なので味は同じだろうが、やっぱり本場で名物を食べておきたいところだ。

「やまちゃんはこのあたりに何軒かあるんで、一軒がダメでも別のところにすればいい」

としぶちょおは計算高い。

「そんなに混んでるの?」
「混んでるよー、だいたいどこも満席」

今時そこまで繁盛する居酒屋というのは凄いことだ。東京のお店も非常に混んでおり、予約をするか、早い時間に行かないと行列するハメになる。てっきりそれは「東京に名古屋の味が!」ということで人気を呼んでいるのだと思ったが、発祥の地名古屋でも、まだまだ人気店だとは恐れ入った。確かに、あの手羽先は安くて旨いもんな。納得ではある。

最近、「餃子の王将」が全店舗黒字経営だとかなんとかで脚光を浴びているが、「世界のやまちゃん」も全店舗黒字なんじゃないか?テレビ東京系の経済番組か、テレビ朝日の「シルシルミシル」あたりで取り上げて欲しいところだ。TBSの「がっちりマンデー」でもいいけど。

・・・と、世界のやまちゃんに向かって歩いている途中でしぶちょおが

「お、これこれ」

とうれしそうに指を指すお店がある。店名は「PASTA DE CoCo」。ん?何?

「あんかけスパゲティのチェーン店」
「ええ!」

確かに、飲食店チェーンにありがちな旗や看板、店の作りだ。驚いた、名古屋にあんかけスパゲティ専門店のチェーンが存在したのか・・・。

「世界のやまちゃんがいっぱいだったらここにするからね」

としぶちょおは何でかますますうれしそうに言う。明らかに、胃袋のキャパと比べてオーバースペックな食を期待しているようだ。気をつけろ、身内に不穏な動きをする奴がいるぞ。

世界のやまちゃん

「あいにく満席です」
「うは」

世界の山ちゃん、2連敗。繁盛しているなあ。

駅前のお店ならともかく、ここってちょっと駅から歩くぞ?繁華街ってわけでもないぞ?しかも、今日は休みの日だぞ?それでも混んじゃいますか。そうですか。

次の策に動くしぶちょお。

「ならば風来坊に行こう」
「風来坊?」
「手羽先元祖の店だ」

「な、なんだってー。それ、やまちゃんに行くよりも何だかグレードが高いじゃないか。ぜひそこに行きたい」

手羽先唐揚げなんて、もやもやーっと発生して、気がついたら名物になっていたんだと思っていた。しかしちゃんと元祖があったのか。それはぜひ元祖に敬意を表して、ごあいさつしておきたいところだ。

風来坊

千種駅近くまでてくてく歩き、風来坊到着。

確かに「元祖手羽先唐揚」という文字が見えて、わくわくさせられる。

世界の山ちゃんが、あの独特な店構えで圧倒的インパクトを提供しているのに対し、こちらは至って地味。赤ちょうちんがぶら下がっていたり、看板には「清酒 大関」なんてロゴも入っているし、昔ながらの居酒屋風だ。

てっきりこのお店がオンリーワンの風来坊なのかと思ったが、なんとこの店、80店舗以上を有する巨大チェーン店だった。しまいにはアメリカにまで出店しとる。山ちゃんよりもよっぽど店舗数が多かった。恐れ入った。でも、その割には東京方面では知名度が低いのはなぜ。・・・この外観を見れば、納得だが。

大ジョッキ

店内は混雑していたが、ぎりぎりわれわれ4名が入るだけの空きがあったので入店。

店内を見渡すと、外観同様、何だか古き居酒屋風。お品書きもしかり。世界の山ちゃんとは非常に対照的だ。

とりあえずあれこれ頼みつつ、ビールも。おお、久々に大ジョッキだ。

元祖手羽先唐揚

大皿で届けれた、元祖手羽先唐揚。食べたことがない人は、この量をみるとびっくりして「こんなに食べられるの?」と言う。しかし手羽先って案外するすると食べられるものだ。そして、骨付きなので、身をはがすと案外食べるところは少ない。見た目以上にたくさん食べられる料理だ。

おかでんは世界の山ちゃんでしかこの料理を見たことが無かったのだが、色が明らかに違う。あっちの方が黒っぽい。元祖は味つけが違うらしい。

早速食べてみる。うん、おいし。ビールのつまみとしては満点にちかい点数をつけてあげたい。これと枝豆があれば後は何も無くてもいいや、という味。世界の山ちゃんは胡椒がきいていて相当スパイシーだが、こっちはあっさりしている。好き嫌い分かれるところだが、おかでんは風来坊の方が好きだ。先日、世界の山ちゃん(新宿のお店)で手羽先を頼みすぎて、スパイシー食い地獄になっていい加減うんざりしたので、特にそう感じる。

料理6
料理1
料理2
料理3
料理4
料理5

その他、頼んだもの。いちいち説明するの、面倒なので許して。写真だけ掲載しとく。

煮込みみたいなものは「どて焼き」。あっ、これも名古屋名物だった。ほんといろんなところで「名古屋名物」が登場するなあ。ところでこれ、何で名古屋名物なんだ?大阪にもこういう奴、あるだろ。

「そりゃもう、八丁味噌、使ってるから。」

ああそうですか。なるほど。赤味噌使った料理なら何でも名古屋名物になってしまうのだった。味噌は日本人にとって基本となる調味料なので、応用の幅は大変に広い。

黒っぽい紐みたいなものはどじょう唐揚げ。食べたことがないのでおかでんが注文してみたのだが、出てきたものを見て驚いた。どじょう、揚げちゃうとこんなに細くなるのか!

「駒形どぜう」などでどぜう鍋を食べると、鍋いっぱいにどぜうさんがコンニチハしている。あの姿を知っているだけに、ここまで細くなった姿に大層おいたわしゅうございます、と声をかけざるをえない。成仏して貰うために、おいしく食べよう。

ただ、細いが故に、味云々よりも食感を楽しむ料理。値段相応とは言えない食べ物だった。

サラダもあった。誰だ、こんなの頼んだのは。学生時代、飲み会だーとなって団体で居酒屋に押しかけるのは日常茶飯事。そんなとき、必ずお店側はコース料理の設定をお願いしてくる。こちらとしても飲み放題にできるのでwin-winの関係(←死語)だ。

ただこのコース料理ってぇのがくせ者だ。最近の居酒屋事情は知らないが、おかでんが学生時代の頃に3,500円くらいで飲み放題付きのコースを頼むと、大抵「揚げ物盛りあわせ」「鍋(中には食べるところがないような蟹脚と、白菜ばっかり)」、そして「すり鉢にいっぱい入ったサラダ」が出てきたもんだ。どう考えてもやっすい料理ばかりだが、値段が値段なので文句はない。

ただ、サラダに関しては「こんなの誰が食うんだよ。サラダで酒飲めるかよケッ」と、毎度毎度非難の目を向けていたのだった。ただ、同席している女性陣が「えー、サラダいいよぉ?逆に私なんて揚げ物いらない」と言うので、「お前は甘いサワーでも飲んでろ」と心の中で叫んだもんだ。

で、だ。そんな想い出があるサラダを、今このメンバーの誰ぞが頼んどる。なんと軟弱な。「手羽先食べた後さっぱりしたものが食べたいから」なんて理由は通じないぞ、このサラダ、マヨネーズがたっぷりかかっているからな。こっちもこってりしてるぞ。

こんなところでアワレみ隊も歳とったねえ、と思うのだった。

実際は単に注文した人がサラダ好きだっただけかもしれんが。

PASTA DE CoCo看板

写真ではたくさん料理を食べたように見えるが、実際にはそれほど飲み食いしたわけではない。4人でシェアすると、案外大した量にはなっていない。どじょうなんて、100匹食べてもおなかいっぱいにはならないと思う。

そんなわけで、さっき「PASTA DE CoCo」の横を通り過ぎて以来、がぜんやる気になっているしぶちょおが「パスタ・デ・ココへ行くぞ」と言い出した。「この後っすか」「そうだ、これからだ」

まさか、ハシゴであんかけスパゲティの店に行くことになるとは思わなかった。いくら名古屋の人がディープだからといって、酒飲んだ締めであんかけスパゲティ食べるって事はないだろ。いや、わからんけど。

とはいえ、何せ実物を見たことがないのでなんとも言えぬ。量がデフォルトで多そうなイメージがあるが、それが本当なのかもわからん。ならば実物を見ておかないと。

春の限定パスタ

パスタデココに入る。あんかけスパゲティという、知ってはいるが未知のお店に入るというのは、経験者がいると非常に心強い。

あんかけスパという存在を知ったのはかれこれ10年以上前で、日本経済新聞日曜版に連載されていた「偏食アカデミー」というコーナーがきっかけだ。この記事(及び書籍)はいまでもおかでんのバイブルとして君臨しているのだが、日本の食を生産者だとか流通だとか、そういう肩の力を入れずにあれこれ紹介しているのが楽しい。もちろん、グルメぶった論評もしていない。

新聞記者が書いた記事なので、記載されている内容はある程度信憑性があり、昨今のブログなどで得る「又聞き情報」より安心して読めるのも、ありがたい。

この「偏食アカデミー」によると、あんかけスパゲティが誕生したのは1960年、今から半世紀近くも昔で、当時新栄で「そーれ」というレストランのシェフだった横井博氏が考案したと記されている。味噌文化盛んな名古屋において、洋風料理のスパゲティを普及させるのにどうしようかと考えた結果、ナポリ地方の家庭料理「牛煮込みスパゲティ」をヒントとしたそうだ。

元祖の横井流は、玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモと牛肉の合い挽き肉を寸胴で煮込み、それにトマト類、胡椒、にんにくを入れて9時間煮詰めて完成。注文を受けたら片栗粉でとろみを付ける。麺は圧巻の2.2mm。これはおかでん推測だが、日本の麺であるうどんを意識したのかもしれない。

そんな、ヨコイ氏一人が始めた異端児スパゲティだったが、その人気にあやかって模倣店が増え、今では名古屋の顔の一つとなっている。異端のまま、全国に広がっていかなかったので「希少種の生き残り」として知名度が上がったともいえるが。

10年前の記事である偏食アカデミーでは「偉大なる郷土食」と形容している。なお、名古屋の事は「大いなる田舎」としているが、ある意味納得だ。

ちなみに、このあんかけスパが紹介された翌週の記事は、池袋大勝軒のつけめんが取り上げられている。当時はすっげえ珍しい食べ物だったということだ。それが今じゃ、ラーメン屋でつけ麺なんて当たり前過ぎる光景になってしまった。たった10年で時代は変わる。では、あんかけスパは・・・?相変わらず、「偉大なる郷土食」のまま頑張っている。凄いな、名古屋。

さてそのあんかけスパなのだが、お品書きを見てびっくりだ。いろいろな種類があるもんだなと。「あんかけスパ」なる料理が一種類、あってせいぜい揚げ物や玉子などのトッピングがある程度だと思っていたので、たくさんの料理が掲載されているメニューにたじろいでしまった。

そもそも「春の限定パスタ」というのがある事自体、驚いた。飲食店だから季節感、限定メニューというのは必要なんだろうが、そもそもあんかけスパ自体が「限定」チックなんですが。

せっかくなので、おかでんは春の限定パスタから、シャキシャキ菜の花と旬の筍というあんかけスパゲティを選択してみた。

その際、店員さんから「鉄板にしますか?」と予想外の質問をされ、動揺。なんだそれは。お好み焼き屋で、「(お好み焼きを)鉄板で食べますか、それともお皿で食べますか」という質問をされたことがあるが、スパゲティ屋だぞ。鉄板って何だよ。

しぶちょおが助け船をだしてくれる。

「あんかけスパって、鉄板皿の上に盛りつけて食べる事が良くある」

はあ、そうなんですか。ファミレスのハンバーグのようにじゅうじゅういってる鉄板の上にスパゲティ、っすか。焦げ付きそうだけど大丈夫かな。でも、そういう食べ方も定番ならば試してみよう。ええと、鉄板つきでお願いします。

メニューを見ると、「午後3時以降は鉄板にできます」とちゃんと書いてあった。知らない人が見ても、全く意味不明な文章だ。しかも、(+100円)だって!うわ、手間賃として100円プラスだったんか。

メニュー1
メニュー2
メニュー3

いくらメニューが多いとはいえ、しょせん「あんかけスパゲティ」という枠組み内だ。ラーメン屋で醤油味、味噌味、塩味がそろっているような幅広さはない。

メニューは大別すると「ベジタブル&ミートメニュー」と、「エッグメニュー」、「ホワイトソースメニュー」になっている。玉子だけで一ジャンルを形成している。玉子強いな。玉子が料理に入れば人間ってとりあえず幸せな気持ちになるからな。玉子にいいように足元見透かされている気がして不愉快なんだが、美味いし幸せだから悔しい。

たくさんあるメニューのうち、「ミラカン」というメニューのところにだけ「お奨めメニュー」という印がついていた。ミラカンって何だ。効いたことが無いし、想像もつかない名前だ。

しぶちょおに聞くと、これが名古屋あんかけスパゲティの王道、というか定番のメニューになるのだという。ということはこれ、名古屋弁か?

さらに聞くと、「ミラネーゼ」と「カントリー」の二つを足して、「ミラカン」なんだと。いやいやいや、それを聞いてもさっぱりわからん。どうやら、「ミラネーゼ」はウィンナーやベーコンといった肉類トッピングのあんかけスパで、「カントリー」は玉ねぎ、ピーマンなどの野菜類トッピングのものを指すらしい。んで、その両方のおいしいとこどりをしたのが「ミラカン」だと。ははははぁ。それはご飯と味噌汁を混ぜて「猫まんま」にしました、みたいなものか?喩えが悪いか?

「定番なら」

ということでばばろあが名乗りを上げる。

とび辛スパイス

それにしても気になるのが、メニューのあちこちに「ソースをカレーに変更できる」とPRしてあることだ。そんなにカレー食わせたいんか、この店。

そのことを指摘したら、しぶちょおが

「だってこの店、CoCo壱番屋が経営している店だもの」

という。え?なんでCoCo壱番屋が?・・・ああ!そうか!最近でこそ関東でも当たり前のようにあるお店だが、発祥の地は愛知県一宮市だったな。そうか、だから名古屋にも独自店舗があってもおかしくはない。

そしてうっかりしていたが、この店の名前、「PASTA DE CoCo」。ちゃんと「CoCo」の名前が入っとる。気がつかなかった。

あと重要なヒントはもう一つ。卓上の調味料置きのところに、CoCo壱番屋ではおなじみの「とび辛スパイス」発見。ああ、こんなところに!

ほへー、と感心することしきりでございました。

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