せっかくここまで林道に突っ込んできたのに、なんてこったい・・・。と途方に暮れていると、すぐその近くに看板を発見した。
なになに?「アワレ湿原」・・・じゃなかった、「アワラ湿原・三カ月池入口」だって。へー、こんなところに観光地のようなものがあったぞ。徒歩5分で三カ月池、12分でアワラ湿原ならば軽装でも歩いていけるじゃあないですか。
せっかくだから行ってみる事にする。宿のチェックイン時間が若干遅くなるが、まあいいや。しぶちょおも所用のせいで到着が遅れるらしい、と先ほど連絡があったし。
三カ月池湿原。池なのか湿原なのかどっちだかにして欲しい。見た目は完全に池でも湿原でもなかった。草がおおい茂っているため、湖面(地面?)を見る事すらできない。
こんな人気のないところのひっそりした湿原だけど、山ノ内町の天然記念物に指定されているんだって。へー。
アワラ湿原を歩く。ここも湿原といても植物に覆われてしまって、なんだか木が生えていない広場、程度にしか見えない。多分植物に詳しい人だと、一目瞭然で「これは湿地帯の植物だ!」と看破するんだろうけど。
アワラ湿原の地図を見ると、このあたり一帯にはミズバショウがあるらしいが、花が咲くシーズンとは若干ずれていたらしく、それと判るものはなかった。
なんだかよくわからんけど、気持ちが良い場所だ。カッコウの鳴き声があたりに響き、のんびりとした気持ちにさせてくれる。木々がうっそうと茂っていない開放的な空間だからこその極楽。
何か白いものを身にまとっている木があったので近づいてみた。
あー、これは多分綿の木だな、多分だけど。
七味温泉に向かう途中、「雷滝」という看板があったのでここにも立ち寄ってみることにした。
行ってみたらなかなかな絶景。規模はそれほど大きくないものの、見事に崖の上から水が流れ落ちている。
雷鳴のように轟音を立てて水が落下するので「雷滝」なわけだが、そこまで「雷」チックな音とは思わなかった。「ドドド」という音に聞こえ、「ゴロゴロ、ピシャーン」な雷とはちょっと違う。でも、この滝を「雷滝」と名付けたのはなんとも風流じゃございませんか。「轟音の滝」なんて名付けていたら目も当てられないほどストレートすぎる。
この雷滝、望瀑台に行く途中がちょうど滝の裏側を通っていくことになる。水のカーテンのすぐ横を歩くので、結構これが楽しい。別名「裏見の滝」というらしい。
その気になれば、この滝の裏からシュワッチと飛び出して滝と一緒になってダイブ、なんて事ができるかもしれない。でも、できたとしても、多分出っ張った岩に激突してミンチになってしまうのがオチだとは思うので、マネしないように。
さて、雷滝に立ち寄った後、ようやく七味温泉に到着。
このあたり一帯は高山温泉郷と呼ばれ、川沿いに山田温泉、松川渓谷温泉、五色温泉、七味温泉、奥山田温泉といった温泉がずらりと並ぶ。七味温泉の手前に五色温泉があるわけだが、五色と七味だったらなんだか七味の方が得した気分になる。
それにしても変わった名前だ、七味温泉だなんて。七種類の源泉をブレンドして供給しているから、というのがその名の由来だが(現在はいくつかの源泉が潰れて、種類は減っている)、「七味」といえばどうしても八幡屋礒五郎の七味唐辛子を思い出してしまう。長野県なだけに。
七味温泉は4軒の建物があるが、そのうち宿泊できる宿は3軒。そのうち、今回の宿として選んだのは一番上流側にある「山王荘」という旅館だった。楽天トラベルに載っていたから、というそれだけの理由だ。
この宿のすぐ近くに「日本秘湯を守る会」の加盟宿があるが、そこだと宿泊料金が倍近くしてしまう。ここの宿は2食付きで1万円以下、しかも一人泊OKと設定されており大変ありがたい。
建物に入ってみる。誰もいない。土曜日だというのに、どうしたことだろう。
七味温泉は秋に訪れると、紅葉を愛でつつ風呂に入れるということで有名らしい。6月末じゃ、まだシーズンオフなのかもしれない。
また、頑張って早く到着したので、時刻は15時20分。普通だったらお客さんは16時、17時くらいに到着するのかな?だからまだ人気がないのかもしれない。
それにしても無駄にスペースを使っているロビーだこと。なぜかエアロバイクが片隅に置いてあるのがご愛敬。ここで夜になるとカラオケ大会でも開かれるんじゃないか、というくらいのソファと机だ。
フロントに顔を出してみると、電話機が置いてあった。
その横には「フロントに御用の方 この電話で22番にかけてください」という紙が。
・・・その横には、さらに「フロントに御用の方、この電話51番にかけてください」という紙があった。22番なんだか51番なんだかどっちだ?
ええい、困った時は電話機に近い方を採用、ということで22番に電話したらちゃんと繋がった。じゃあ51番は何だったんだろう。
毎度恒例、宿の自販機チェックタイム!
ここは500ml缶が450円。ちょっと安かった。素晴らしい。
350mlはいくらかって?知らん。350mlに興味ないんよ、僕。いつも飲むのは500mlって決まっているから。がはは。
入口入ったところが1号館で、この宿には2号館、3号館、別館と建物が連なっている。
1号館が一番あたらしく、2号館以降は結構古いつくりになっている。
もともと3号館のところにフロントがあったらしく、今でもその名残を残している。今となってはただの通路になってしまっているが。
大広間もあって、朝食はここで食べるのだという。夕食は部屋食。この夕食と朝食の場所が違うというのは一体どういう意味があるのだろう?部屋食の方が格が高く、上等なおもてなしを当旅館はしていますよ、ということだろうか?でも、朝食は慌ただしいので大広間で食べてね、朝まで部屋食はちょっとご勘弁を・・・、と?うむむ、わからん。
おかでんにとっては部屋食でも広間食でもどっちでも無問題なんだがな。
おかでんが通された部屋は別館2階の角部屋。
洗面所とトイレは共同。トイレは男女別なし。
部屋に入ると非常用ハシゴが置いてあった。何かあったらこれを使って逃げろ、ということか。各部屋に設置されているわけではないようなので、おかでん様限定のサービスらしい。よーし、チェックアウトの時間になったら、これを使って脱走するぞー。無銭飲食泊だぞー。
部屋は六畳一間。1名ないし2名様が泊まるにちょうど良い広さがあった。うむ、快適快適。これ以上何を求めることがあろうか。
カメムシが大量発生して困るんですよ、とかそういうのはちょっと困るが、そういう気配もなし。
窓の外を見ると、角部屋とはいえ眺めが良いわけではなかった。
でも、白樺の木が生えているのはうれしい。ああ、標高が高いんだな、とつくづく感じさせる。
ちなみに白樺は標高1,000m~1,500mくらいのところに生息する植物。
山王荘の内風呂。
お湯は含硫黄-カルシウム・ナトリウム・硫酸塩・塩化物泉(低張性中性高温泉)。やたらと長い泉名は、まるで早口言葉のようだ。思わず「いいくに作ろう鎌倉幕府」という言葉が口をついて出る。あ、これは早口言葉じゃなかったか。
お湯は青みがかった白で、湯の花が湯の中でたくさん舞っている。効能十分、という雰囲気。硫黄の臭いが充満しているのも、ああ温泉宿に泊まっているな、という気持ちにさせてくれる。これは万座温泉でもそうだったのだが、あちらは湯の花が舞っていなかったっけ。
温泉の濃度が高いと湯の花ってできるのかな?だとしたら、ここは万座温泉よりも濃厚ってことになるが・・・。
露天風呂もあるので行ってみる。内風呂から階段を下りたところにある。結構広め。木の枝
が覆い被さるように生えているので、秋の紅葉シーズンになればさぞやきれいなことだろう。もっとも、枯れ葉がお湯に落ちてくるので、うっとおしいといえばうっとおしいのだが。
結構な濁り度で、これなら混浴でも安心、といった感じ。ほら、写真のように大股広げて写真に写っても、股間は全然見えない。待て待て、露出狂じゃないぞ、念のため。
露天風呂からの景色はあまりよくない。
川が見えるリバービューといえば聞こえはよいが、それほど美しくはない。
風呂から上がったら、宿の周囲を散策してみることにする。
おかでんが泊まっている山王荘は七味温泉の中で一番奥に位置している。その手前が写真上の渓山荘、そしてさらに手前が写真下の紅葉館。渓山荘は「日本秘湯を守る会」の会員宿で、結構いいお値段がする宿。温泉はどこも一緒なので、1泊1万円以下である山王荘をチョイスした自分は当たりくじを引いた感じ。
バス停があったので時刻を確認してみる。
一日3便しか走っていないことが判明。
おっと、それ以前に「※月曜日・木曜日のみ運行です」と書いてあるぞ。
週末ここを訪れようと思ったら、マイカー(またはレンタカー)でないと無理だということだ。こういう場所が日本中にいっぱいあるから、高い維持費払ってでも車って所持していたくなるんだよなぁ。レンタカー借りると結構手間がかかるし、タクシーに乗ってこんなところまで訪れようとすると一体いくらかかることやら。
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