散歩から戻ってきたら、しぶちょおが到着していた。
既にひとっ風呂浴びており、ご満悦状態のしぶちょおとご対面。
しぶちょおがフロントにかけあってくれていて、二人の食事は同じ部屋でとれるようになっていた。二人別々の部屋だから、二人とも別の部屋で寂しく食事・・・となっていたらそれは相当面白いシチュエーションだが、不毛だからやめとけ。
夕食のお膳。
お膳いっぱいにお皿が並んでいる。われわれがいる部屋は二階なわけだが、これを運ぶの大変だっただろうなあと思う。料理を運ぶためのエレベーターが備わっている宿ではないので、階段をえっちらおっちらと運び上げないといけない。多分これらを一度に運ぶのは無理なので、分割して運んだんだと思う。だとしても大変だ。宿の人には頭が下がる思いだ。
料理の数々。茶わん蒸しがあったり岩魚の塩焼きがあったり、天ぷらがあったり、定番どころをきっちり押さえている感じ。これで鯉の洗いがついていればいかにも長野っぽい旅館飯の完成なわけだが、鯉はなく替わりに海のもののお刺身だった。
でも面白いのが蕎麦がついていたこと。箸休めとして蕎麦はありがたい存在。
ほんじゃま、お疲れさまでしたということでビールをいただく。まだ17時50分を回ったところで外は明るいけど、まあいいじゃないか。
のんびり過ごした一日だったけど、車を運転していたので昼酒は飲んでいない。今日は朝から温泉に浸かっていたのでビール日和だ、楽しもうじゃないか。
せっかく缶ビールの値段を調べていたというのに、ついつい瓶ビールを頼んでしまった。宿の方に「お飲み物は?」と聞かれて、「ビールを」と答えてしまったからだ。面白いもので、瓶ビールの方が非常に値段が高い、というのが宿の常識。ちなみにこの宿の場合、大瓶のビールで740円。どう考えても自販機で500ml450円のビールを買った方が安い。
「瓶の方がビールが旨い」なんてよく言うし、実際その通りだとは思うが、これだけ値段に差があれば缶ビールの方がいいや。とはいえ、瓶ビールを頼んじゃったからにはぐいぐい飲まなくちゃ。それ、ぐいぐい。
うお、茶色い佃煮があるから何かと思ったら、イナゴだったぞ。
飽食の時代になった現代においても、長野県ではイナゴが愛され続けているのだった。
長野県の宿には何回も泊まった事があるが、イナゴという刺激的な食材が食卓に上ったのは初めて見た。
味は甘辛い。ずばり醤油と砂糖の味。イナゴらしさといえば、食感がシャクシャクしている程度。敢えてイナゴという食材を使う必然性ってあるんか、と思えるが、郷土食として古くから食べられているんだから納得するしかない。
食後、再び風呂に入りに行く。
写真では二人とも何か苦しそうな耐える表情を浮かべているが、これは湯の温度が高いから。
「写真撮るよ-、10秒前!」と急にやり始めたもんだから、二人とも慌ててお風呂に飛び込んだはいいが、熱くて歯を食いしばっている、という構図。
露天風呂ではしゃぐ二人。
幸いなことに、今日は宿泊客が少ないのか、われわれの他に風呂に入っている人はいなかった。
しぶちょおに温泉をかけて遊ぶおかでん。しぶちょおは顔を背けている。水がかかることを恐れて顔を背けているのだろうが、見方によってはおかでんの股間が真正面に見えてしまうので、それから目を背けているともとれる。
「うわ」
しぶちょおが驚きの声を上げる。洗面所でのでき事だ。
蛇口をひねったら、なにやら黒いゴミが大量に出てきたのだった。しばらく水を出し続けてもまだ出続けるありさまで、さすがにこれには二人とも引いた。
「最近この別館には人が泊まっていなかったのかな?いくらなんでもこれは酷い」
蛇口をひねれば清純な水が出てきて当たり前、という生活を送ってきたわれわれ二人にとってはこの事件はとても衝撃であり、「トラウマになっちまった」とぼやくありさま。
なお、翌日になって、もう大丈夫だろうとおかでんが歯を磨こうとして蛇口をひねったら、また黒いゴミが出てきてびっくり。この洗面所は使えない、ということで別の洗面所で歯を磨いたくらいだ。
2009年06月28日(日) 3日目
三日目の朝(しぶちょおにとっては二日目の朝)。
朝食の前にひとっ風呂浴びるおかでん。ああ、朝から風呂に入るとしゃっきりするからいいね。温泉旅館サイコー。
朝ご飯は大広間にて。
こういう山奥の宿でも大広間があって、舞台がわざわざしつらえてあるんだから面白い。一昔前は団体旅行客が賑わっていた証拠だろう。今じゃわれわれのような小人数の旅行客主体なご時世なので、舞台なんて使う機会がないだろうけど。
朝食のメインディッシュはハムだった。
「ハムだねえ」
感慨深くしみじみと二人ともハムを眺める。旅館の朝ご飯でハムというのは思い入れがあるからだ。
それにしても、メインディッシュにハムというのは、一般家庭でも普通にある光景なのだろうか?宿メシ限定のような気がするけど、気のせいだろうか。一般家庭だったらこれに目玉焼きをつけてハムエッグにしたりしそうな気がする。でも、宿メシでハムエッグだったら一気に俗っぽくなってしまって駄目か。宿メシには宿メシなりの文法というか、掟がある。
宿メシの不思議といえば、多くの旅館において自分の宿の名前を箸袋ないしは海苔袋に記載しているが、あれは一体どういう意味があるのだろう?追加コストがかかりそうなものだが、やはり宿としては名前を入れたいという欲求に駆られるんだろうか。不思議、不思議。
ご飯を食べますー。
宿のご飯って何でこうもおいしいんだろうな。ご飯を炊いている量が多いから、ふっくらと炊けるんだろうか。ついつい食べ過ぎてしまう。
でも、われわれはいい歳をした大人。今回はお互いがけん制しあったおかげ?で「まんが日本むかしばなし盛り」にはならなかった。それはそれでてちょっと寂しかったりもする。
この日の行程は、
・横手山にある「日本一標高が高いところにあるパン屋さん」に行く。
・温泉の色が独特で魅力的な「熊ノ湯」でひとっ風呂
・長野県の秘境、秋山郷の最果てにある「切明温泉」で一泊。
という予定になっている。宿をチェックアウトしたわれわれはまずは志賀高原に向かうため、山道を登っていった。車二台を連ねての快適なドライブ。
まず最初に行き当たったのが、山田牧場。
特に何か目的があるわけではなかったが、なんとなしに立ち寄ってみた。ここは冬はスキー場になる。
驚いた!この牧場、柵も何もなく本当にスキーゲレンデそのまんまに牛を放牧してる!
そのせいで、牛を直接撫でたりすることもできてしまうのだった。ただ、おかでんの場合、びびって腰が引けてしまったが。
「ふれあい牧場」なんてのが日本各地にあって、そこではウサギやら羊とふれあう事ができるが、ここはリアルふれあい牧場。牛がすぐ側に居る!
楽しい空間ではあるが、芝生に寝っ転がってごろごろすることはできない場所だ。なぜなら、牛糞があちこちに落ちているから。その点ご注意。
それにしても、牛が遠出しちゃって牧場から外に出てしまう、なんてことはないのだろうか?一体どういう飼育がされているのか、興味深い。
スキーゲレンデ兼牧場の片隅に「見晴茶屋」というお店があったので立ち寄ってみる。
お品書きが店の外に出ていて、なるほどこういうお店ではこんな商品を扱っているのか、と感心することしきり。曰く、
ホットココア、ホットコーヒー、もつ煮、おでん、あべかわ、おしるこ、お雑煮、牛丼、玉子丼、カレーライス、ざるそば、ラーメンライス、ちからラーメン、ラーメン、山菜うどん、天ぷらうどん。
「ラーメンライス」というのがあるのが渋い。ラーメン+ご飯のコンビではなく、もともと最初からラーメンライスという組み合わせ。
メニューの「アイスクリーム 300円」のところにわざわざ「特製」と書いてあった。この牧場で採れた牛乳を使って作ったアイスクリームだろうか?
赤字で特製、と書かれた日にゃ食べない訳にはいくまい。アイスクリームを頼んでみることにした。
出てきたアイスクリームは、アイスの上に生クリームとブルーベリーがトッピングされたものだった。うん、うまし。
山田牧場のへりの道をぐいぐいと標高を上げていくと、志賀高原の横手山に到着。
信州のサンセットポイント100選、だって。いやー、長野県たった一つで100も日没がきれいな場所を見つけるって、それはそれで大変なことだと思うけどなー。
このあたりは「のぞき」という地名らしい。
「スカイ喫茶のぞき」という建物があるし、そのものズバリ「のぞき」というバス停もある。この名前に興奮するアワレみ隊一同。のぞきは男のロマンだ。興奮しない方がおかしい。
とはいえ、何をのぞけばいいのか、まずその標的がはっきりしない。
仕方が無いので、しぶちょおはとりあえずローアングルから何かをのぞくポーズで写真に収まっていた。腕立て伏せをしているような格好になってしまったが。
さて、われわれがこれから行こうとしているのは、横手山山頂にあるというパン屋だ。日本一高いパン屋、を標榜しているらしい。標高2,305m。
ただ、そこへや車では行けず、先ほどのスカイ喫茶のぞきの側からでている「スカイレーター」に乗る事5分、そこから「スカイペアリフト」5分で到着なんだそうな。
おもしれぇ、行ってやろうじゃないか。「日本一高いパン屋」が、実際に日本一高い標高なのか、それともお値段が日本一高いのか、見定めてやる。
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