
スカイレーターがこちら。遠くから見るとなんのこっちゃよくわからない。乗り物・・・なのか、あれ?大きな雨樋のように見える。


往復900円。スカイレーターの乗り場すぐそばに小屋があって、そこで料金を払う。
料金所には「雲の上のパン屋さん営業中」の表示が出ていた。多分、パン屋目当ての人が結構いるのだろう。で、上まで登ったけど営業していませんでした、となったらクレームものだから、登る前の段階で営業しているかしていないかをお知らせしている模様。
そういえば僕らも、横手山山頂2,305mが目当てというよりは「日本一高いパン屋さん」が目当てなんだっけ。
よーしーよーし、営業しているなら言うこと無しだ、待ってろよパン屋。食い尽くしてやるけん。


スカイレーターは、いわゆる「動く歩道」の山登り版だった。ベルトの上に乗っていればそのままするすると上まで運んでくれる。大きなショッピングセンターなんかにあるよね、こういう斜面型のエスカレーター。
ただ、ショッピングセンターのものと異なっているのは、幅が狭いということ。直立不動になってようやく両足が乗る程度の幅しかない。あと、一機しかないので、上りとして動いている時は下りたい人はしばらく待たないといけない。で、今度は下り専用になるので、上りたい人は麓で待機。
1分間で37m動くということだから、比較的ゆっくり。で、長さが200mあるので、5分ちょっとのお楽しみ、ということになる。


スカイレーターを降りたら今度はパノラマリフトにお乗り換え。

三脚を伸ばして、セルフタイマーで撮影した写真がこちら。結構急勾配で、下手な高所恐怖症の人だったら恐怖で体がすくんでしまうであろう状況。上りよりも下りの方が怖いと思う。


リフトは横手山山頂へ。
山頂はあたり一体看板の位置が高い高い。冬になると雪に埋もれてしまうので、無雪期では異様に見える位高い位置に看板を掲げているのだろう。

そんな中、めっさフレンドリーな高さに看板が。でも書いてある内容はフレンドリーじゃないものだった。
ロンとブラック以外の犬は進入禁止!
「これは何だ、一休さんのトンチか何かか?」
「そもそもロンとブラックって誰だ」
どうやら、横手山山頂ヒュッテで飼われている犬の名前らしい。で、それ以外の犬は立ち入り禁止だと。随分特権階級の犬じゃないか、ロンとブラックは。
「犬同士のトラブルは責任を負いません」
と書いてあるところをみると、喧嘩っぱやいし喧嘩が強いらしい。

山頂ヒュッテ。
階段を登ったところに玄関があるあたり、冬になるとこのあたりは雪に沈む事を伺わせる。


入口には、これでもかというくらい注意書きが書いてある。
シベリアンハスキーがこのヒュッテのマスコットになっている、というのは「MAXマップル」という地図にも注釈で書いてあるくらい有名な話。
とはいえ、ここまで自己責任とか進入禁止と書かれると、さすがに引く。過去にトラブルがあったのだろうが、ここの犬は放し飼いにしているのだろうか?そうでもなければ、こんなトラブルは発生しないと思うんだが。

「おい、まさかこの犬が先ほどのどう猛な犬の事か?」
入口脇に居ぬが一匹寝ていた。どう見てもそんな迫力がなさそうだ。
「これがロンまたはブラックのどちらかなのか!」
その他の犬を震え上がらせる犬とはこのことだったとは。畏敬の念で見ていたら、たまたま犬の世話をしにきていたヒュッテの人が
「ロンとブラックはもういないんですよ。死んじゃったから。この犬たちは別の犬」
と教えてくれた。なんだ、そうなんだ。横手山山頂周辺を恐怖のどん底に突き落としたロンとブラックはもう他界していなかったのか。道理でこの犬、迫力が無いわけだ。
いや、実際はスゲーどう猛なのかもしれない。でも、鎖につながれているし、柵の中で飼われているし、二重に安全策が採られている。ではなぜ、あんな脅し文句があちこちに掲示されているのだろうか?山頂ヒュッテのご主人が、自分とこの犬以外は嫌いとか?

山頂ヒュッテの入口に飾ってある木製の看板。「手作りのパンをどうぞ」と、木訥そうなお二方の絵が描かれている。
「日本一高い所の手作りパン屋さん」という木札がぶら下がっている。
「よかった、日本一高い「所」のパン屋さんだったぞ」
「日本一値段が高い、というわけではなかったんだな」
まずは一安心だ。
でもちょっと待って欲しい。
実は、槍ヶ岳山荘(標高3,060m)でも最近じゃパンを焼いて提供していますぜ。日本一高いパン屋、というのはその点では間違い。「通年営業している、日本一高い所のパン屋」なら正解。

「持ち込みはお断りします」だって。
スキーゲレンデの中にあるヒュッテにしては厳しい事を言うもんだ。
それはともかく、ここのヒュッテはクレジットカードやiDが使えるというのがすごい。ではさっそくiDでも使ってみるか、と思ったが、パン類の購入は自動食券機による支払いだったので、使う機会はなかった。

山頂ヒュッテの内部。
おっと、フロントのところにシベリアンハスキーのぬいぐるみが置いてあるぞ。まさかこいつがどう猛なんじゃあるまいな。思わず身構える。・・・動かない。ただのぬいぐるみのようだ。当たり前だ。

どうやらこのヒュッテの名物は、「きのこ雲セット」と「ボルシチセット」らしい。
「きのこ雲セット」は1,600円もして結構なお値段だが、クリームスープとサラダ、パン、ロシアンティーがついての価格だからまあ納得な価格設定だ。この施設の立地条件というのもあるし。

ヒュッテの客席。
みんな窓際に座っている。
車で訪れている人がほとんどなので、ビールを飲んでいる人は見当たらなかった。

おかでんはボルシチセットをオーダー。野菜スープとパン、りんごジュースがついて1,400円。
小ぶりなパンが可愛い。

しぶちょおは「きのこ雲、というのは広島出身としては見逃せない(きのこ雲とは原爆が爆発した際に発生した雲のこと)」と言って、きのこ雲スープを注文していた。彼は「セット」にしないで、単品のパンや牛乳を組み合わせてオリジナルのセットをこしらえていた。こういうところが抜け目ない。
肝心のきのこ雲スープはオーダーが入ってからこしらえるので、しばしお預け。

お待たせしました、きのこ雲スープ。なんで「きのこ雲」って名前にしちゃったのか、謎。単に「きのこ」でいいじゃん、と思うが、そうするとスープの中にきのこが入っていると勘違いされてしまうから駄目だったんだろう。だったらスープの中にしめじでも入れチャイナYO、と思うが、それはそれで。
横手山山頂ヒュッテオリジナルのカップに入ってのご登場。

おかでんが「2001年宇宙の旅」のテーマ曲を口ずさんでいる間に、しぶちょおがきのこを崩しにかかる。ぷちっときのこの膨らみを破る瞬間の背徳感といったら!なんだか、純潔を汚したかのような気持ちになるのであった。見ているおかでんがそう思うのだから、実際に膨らみを破ったしぶちょおの心境たるや一体どんなものだったのだろうか。・・・ごく普通?あ、そうですか。変な考えをしていたのはおかでんだけですかそうですか。


食後、リフト乗り場の屋上に行ってみる。「横手山山頂」の看板が出ていた。わざわざカッコ書きで「雲の上の世界」と書いてあるあたりが下世話だ。実際のところは、雲ははるかに頭上にあった。看板に偽りあり、とはまさにこのことだ。
それはともかく、横手山山頂からの眺めは素晴らしかった。360度見渡すことができ、志賀高原の山々を一望することができ心が洗われる。何もパン屋目的でなくても、この景色だけを目当てにスカイレーター使って上ってきても良いくらいだ。
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