伊豆大島討伐

空港滑走路脇で過ごす

広々として気持ちがよいスペース。

空港の滑走路があり、その先には昨日訪れた乳ヶ崎。

何だか「青春の1ページ」みたいな写真を撮ってしまった。馬鹿言え、お前ごとき人間に青春なんてあるかー。しかも、今何歳だと思ってるんだ。

牧場

ぷらっとハウスの前には牧場が広がっている。ここら辺は「愛らんどファーム」という複合施設?らしく、農産物直営所「ぷらっとハウス」はその中の1施設、ということになるらしい。

ツバキ園やら牛舎やら放牧場などが敷地内にはある。「町営牧場」と記述されているのが面白い。ということは、「大島牛乳」の収益は大島町の会計に組み込まれるというわけか。あと、牛の世話をしている人は公務員ということになる。待てよ、まさか牛さんも公務員・・・いや、それは考えすぎたすまん。げふんげふん。

牧場では牛たちが放牧されていた。昨日、彼女(?)たちのお乳を飲ませてもらったので、なんだか親近感が湧く。やあどうも、昨日はごちそうさまでした。

後注:牧場は町営だが、大島牛乳を生産しているのは「株式会社 大島牛乳」という組織であることが判明。従業員5名の小規模経営。

草を差し出す
牛が食べる

座り込んでぼけーっとしている牛、地面の草をはんでいる牛、とめいめいきままに過ごしている。今ぐらいの季節が一番過ごしやすいだろう。

草むしりに夢中になっている牛だが、中にはわざわざ柵の隙間に首をねじ込み、柵を挟んだ向こう側の草を食べているのも何頭かいた。

「足元に草があるのに、何で食べにくいこっち側の草を食べようとしているんだろう?」

不思議だが、多分「草にうるさい」牛から言わせると全然違うものなんだろう。素人から見ると一緒のようだが、牧場敷地内の草は新芽が食べ尽くされていておいしくないんだわ、とか。

柵に遮られながら草を一生懸命食べている牛を哀れんだしぶちょおが、自分の足元に生えていた草をむしって牛の目の前に差し出してみた。すると、牛さんはしぶちょおの手にある草をそのまま食べるではないか。何だか分かり合えた瞬間。これはちょっと感動モノですぜ旦那。

迫り来る牛

さっそくおかでんもマネをしてみる。すると・・・うわ!なにをする!長い舌でべろーんと手を丸ごと舐められた。そうか、人間と違うから、前歯で草を挟んで、引っこ抜くとか引きちぎるっていう事はできない生き物だったんだな。

さあ盛り上がってまいりました。次は口に草を食わせて、牛さんとポッキーゲーム・・・いや、それはちょっと勘弁。

飛行機着陸

しばらく牛と戯れていたところで、「ぶーん」という音が上空から聞こえてきた。

おっと、飛行機が着陸態勢に入っているぞ。非常に小さい機体なので、調布飛行場から飛んできたのだろう。

見ていると大変に危なっかしい。機体が小さい上に上空は強風。墜落するんじゃあるまいか、というくらい機体が揺れている。しかも、もう既に滑走路上空に到達しているのに、まだ高度が結構ある。おい大丈夫かよ。

乳ヶ崎、風早崎という丘陵が滑走路の手前にあり着陸の邪魔をしているので、ある程度の高度を維持しつつ着陸態勢に入らないといけないのだろう。あと、機体が小さい(乗客定員19名)なので、着陸してもオーバーランで滑走路通り過ぎちゃいました、ということはあまりないらしい。小型機ならではの急降下、そしてきゅーっと減速してそのまま何事もなく着陸しちゃった。

しぶちょおは、「何かあったらスクープ」とばかりにハイビジョン動画でこの様子を撮影していたが、結局何事も起きずに済んだ。昨日は「波にさらわれそうになっている人と車」、今日は「風に煽られてよもや墜落?の飛行機」。なんてデンジェラスな島なんだ、伊豆大島は。

野菜が並ぶ
野菜とおかでん

実際に飛行機が着陸した光景は空港ターミナルビルの陰に隠れてしまい確認できなかったのだが、騒音が静かになったので問題なかったようだ。それにしてもプロペラ機の音、久々に聞いたぞ。

飛行機の安全を確認した後、われわれは「ぷらっとハウス」に入ってみる。中には、農産物直在所の名にふさわしく、野菜がずらりと並んでいる。そして、農家のお名前入り値札が貼り付けてある。さすがに島での耕作ということで、あらゆる種類の野菜が並んでいるというわけではない。その点農家とは違う。ブロッコリーが隠れた名産、らしい。いくつもの農家がブロッコリーを出荷していた。そうか、ブロッコリーってこの時期に採れる食べ物なんだ。

あと、もちろん明日葉ちゃんが目立つところに置いてある。明日葉ってそもそも畑で栽培するものなのだろうか?適当にそこら辺に生えているのを摘んでくるじゃねーか?と思っていたが、さすがにそれは違うようだ。束ねられている明日葉は大きさも色もそろっていて、適当にそこらへんで見繕ってきました、という感じではない。さすが特産品。

われわれ観光客は、大根売られてます、とかブロッコリーあります、と言われてもいまいち盛り上がらない。やっぱり明日葉見ると燃える。ついつい、おかでんは明日葉を手に記念撮影。多分地元の人からみたら、明日葉で写真撮影って馬鹿じゃあるまいかと思ったに違いない。いやでも、本州の人にとっては明日葉って珍しくてかなわんのですよ。んで、食べたら美味いし。

じゃあ買って帰れよ、と思うが、さすがに野菜をお土産に買って帰るのはちょっと憚られる。多分、カバンに詰めて持って帰ったら、家で中を見ると青い汁が衣服についちゃった、とか、葉っぱがしおれて見るも無惨、というのがオチだ。

にせブロッコリー
本物ブロッコリー

「あれれっ?」

別に買う気はなかったのだが、子細に農産物を眺めていたら、変な事に気がついた。見るからにブロッコリーではない野菜に、「ブロッコリー 110円」の値札がついていたからだ。ええと、おかでんの不見識故にブロッコリーとはなんぞや?というのを知らないだけかもしれない。これは新種のブロッコリーだろうか。ただ、それにしてはブロッコリー特有の丸々とした球状のものがない。

ここでロマンを膨らませ、「島で育てるとひょろ長いブロッコリーになるに違いない、うんうん」と勝手に妄想の世界で完結するのがおかでん。一方のしぶちょおは「そんな馬鹿な」と疑ってかかり、検証をする性格。

「待て、隣にもブロッコリーがある。こっちは普通のブロッコリーだ」

見ると、100円の値札がついているお隣の野菜は、確かに見慣れたブロッコリーだ。

「これ、値札間違えただろ。どうも菜の花に見えるんだが」

そういう事っすか。でも、値段はこっちの「ニセ?ブロッコリー」の方が10円高い。きっと、値札プリンタの野菜名を変更するのが面倒だったので、ええいもうこれもブロッコリーでいいや、とやったに違いない。いい加減すぎてナイス。

大島牛乳工場
工場内部

ぷらっとハウスの隣は、大島牛乳の工場になっていた。行ってみることにする。

「愛らんどファーム」の総合案内看板によると、この工場についてこう書かれている。

牛乳製造工場をガラス越しに見学でき、おいしい大島牛乳を飲むことができます。

むー、これは見学したらお土産というか、試飲という形で大島牛乳が無償提供されますよ、という事だろうか。だとしたらぜひご相伴にあずかりたいところだ。

ただ、そんなに気前の良い話があるだろうか?「この工場で作られた大島牛乳は、(ぷらっとハウスで)(有料で)飲むことができますよ」という事かもしれん。

とりあえず、建物を覗きこんでみる。変質者っぽいが、純粋に社会科見学だ。

へんじがない ただのしかばねのようだ

あちゃあ、日曜日なので工場の生産ライン、ストップしてますがな。まあ、そりゃそうか。大量生産して全国に出荷してます!儲かってしょうがないので、24時間フル稼働です!という趣旨の工場じゃないもんな。規模が小さいので、ラインをストップすることくらい造作ない。そのかわり、期間従業員がたくさんいて、景気が悪くなったので派遣切りです、ということもない。

建物の外から眺めても、単にいろいろなパイプが並んでいるだけだ。何のこっちゃわからん。下水処理施設です、と言われても気付かないくらいだ。もっと、ボトリングマシンが高速回転してます、とかベルトコンベアがウネウネと配置されてます、というものをイメージしていたんだが、大島牛乳の流通規模を考えたらそんなもん必要ないよな。

牛乳に人一倍愛着があるしぶちょおは、それでも何とかガラス越しに工場内の写真を撮っていた。たまたまなんらかの作業のために職員さんが一人いたのだが、

「あの人にお願いして中に入れてもらえんだろうか?」

と言っていたくらいだ。さすがにそこまではしなかったが、もしお願いしたとしても多分入れて貰えなかったと思う。

タンク
牛乳がタンクいっぱい

工場の屋上に上がる階段があったので、登ってみた。

大島灯台や空港がよく見えて、なかなかにいい景色だ。

ふと眼下を見やると、下水処理と思われるタンクが稼働していた。

それはいい。しかし、フタがない状態のタンクをよく見ると・・・

「あれっ、あの中に入っているの、白いぞ」
「まさか?」
「まさか!?」

牛乳だろうか。あんなにたぷんたぷんに牛乳があるなんて。

「まさかなあ」

まだ信じられない。

いやだって、食品ですぜ。ああやって野ざらしタンクで攪拌されている時点で、どう考えても一般流通させるものではあるまい。

「でも味噌や醤油は、蔵に住んでいる菌を付着させて発酵させるわけであり・・・」

とこの眼前の光景を正当化しようとするが、いや待て、牛乳でそれをやったら単に「腐敗」だ。どんなに頑張ってもバターにもチーズにもならんぞ。大体昨晩雨が降っているわけであり、その時はどうすんのよ。

タンクを確認

おかでんが慌てて階段を下り、処理施設の近くへ行って確認してみる。

「どうだぁ?」

建物の屋上からしぶちょおが声をかける。

「ああー、いけません。これはいけません。どう見ても牛乳ですありがとうございました」

近づいたら、あきらかに乳の臭いがするのだった。うは、これ牛乳じゃん。ただ、水で薄まっているようではある。

屋上から降りてきたしぶちょおと一緒に、この奇妙な光景について議論をする。

「今日は工場が止まっている日だから、パイプを洗浄したんじゃないか。それで出た廃液かも」
「それにしては濃度が濃いな?」
「工場が休みでも牛さんは乳を毎日出すわけで、その分やり場がないからこうやって捨てるしかないのかねえ」
「だったら俺にくれ!もったいない!」

大島牛乳
牛乳と牛

さすがに廃液と化している牛乳を飲む気力はない。二人で肩車して、タンクから直に飲むか?いやいや、それをやったらいくら廃液でも窃盗だ。

結局、ぷらっとハウスに戻り、市販されている大島牛乳をお買い上げ。大島牛乳使用のソフトクリームもあるのだが、まだ機械の準備ができていないということで食べる事はできなかった。

大島牛乳は、昨日飲んだ200mlの他に、500ml、1リットルの紙パックがある。500mlパックがちょうどサイズ的には良かったのだが、在庫切れ。まあどうせ二人で飲むし、ということで1リットルのパックを一本買った。どうもこの牛乳は流通量が相当少ないらしい。蛇口をひねれば出てくる水のように、「三連休で観光客がたくさんくるので増産」というわけにもいかないので、仕方がないのだが。

「せっかくだから、牛乳を提供してくれた牛さんの側で飲もうぜ」

と言って、牧場の脇で牛乳を飲むことにした。しぶちょおが飲み始めると、目の前の牛が前足をついて、乳房を高々と突き上げるポーズをしたのだが、それがなかなかシュールな光景であったよ。

実際に乳を提供してくれた牛を目の前に見ながら牛乳を飲む。食べ物を大事にしよう、と語るのは簡単だが、それを実感するのはやっぱり地産地消だねぇ、と思った。いやだから牛さん、こっちをうるんだ目で見るのはやめてくれぇ。

この大島牛乳だが、大手乳牛メーカーによる攻勢のせいでいったんは絶滅しかかったのだという。しかし、やはり慣れ親しんだ大島の牛による牛乳が良い、という有志により、復活したのが2008年4月。まだ2年経っていないのだった。・・・というのを、この文章を書いている際に知った。飲んでいる時は全く知らない話だった。

島で牛乳を最大消費するのはなんといっても学校給食だ。学校が春休みの3月、しかも連休中ともなれば生産量を抑制するのは当然っちゃあ当然の話。

車にくっついた草をむしる

二人で牛乳を飲み干し、車に戻る。次の観光スポットへ向かおう。

車を見やると、長い草が車の隙間に挟まっていた。大島灯台からの帰りで連れてきてしまったものらしい。
引っ張ってみるがなかなか抜けない。全力で引っ張って、ようやく抜けた。

本来なら、スタンプラリーの対象ポイントである「ふるさと体験館」や「リス園」を優先させるべきだ。実際、前日にしぶちょおからは「まずはスタンプ集めを優先させて、余った時間でその他の観光ポイントを巡るというのはどうか?」という提案があった。

しかし、しかしですよ。さっき目の前でナイスランディングを見せつけてくれた飛行機。あれを見ちゃうと、やっぱり大島空港にごあいさつをしておかないと罰が当たるってもんだ。末代まで後悔しそうだ。

空港は別に観光地でも何でもないが、見ておかないと損。そんなわけで、大島空港に立ち寄ることにした。

大島空港

空港手前には大きなロータリーがあり、広い無料駐車場も完備。あまりに広いので、思わず駐車場内でぐるぐるとドーナツターンもどきをやったくらいだ。軽自動車だけど。

さすが、地方空港とはいえ、「空港」と名がつくだけはある。腐っても空港、もの凄く立派でやんの。これが「空港特会」の威力ってやつなんですかぁぁぁ。すげえ。飛行機よりもはるかに便数が多く、路線が多く、乗客定員も多い船のターミナルと比較にならん。

ちなみに大島空港は第三種空港になるので、管轄は東京都。都の離島振興費もつぎ込んで、立派なのを作ったのだろう。

あのー、僕も気分が盛り上がると「空を飛べる」ような気がするんです。僕んちも特別会計で立派な建物に作り替えてくれませんかね?

ただ、空港ターミナルのように「ガラス張り」な家は勘弁な。さすがに露出趣味はない。

空港ターミナル内

ターミナルに入ってみる。ターミナル前にはタクシーが所在なげに2台ほど停まって客待ちをしていたが、ありゃ一体誰を待っているんだろう。さっき到着した飛行機のお客さんはもう居なくなっているけど。

さすがに小さい空港なので、「○○航空の人はこっちのゲートからターミナルに入るといいよ」「△△航空はこっち」みたいに入口がいくつも別れていることはない。大きなスーパー並の小さな入口(表現が変だが、ニュアンスは分かってもらえると思う)みたいなところから中に入ると、正面は到着ゲート。

椿まつりののぼりがお客さんをお出迎えしてくれる。

がらんとしたカウンター

到着ゲートのすぐ脇が、チェックインカウンター。非常にシンプルだ。当然といえば当然だが。羽田空港のようにずらーっとカウンターが並ぶ様は壮絶だしカッチョイイとも思う。しかし、保安検査場から搭乗口まで10分以上歩かせるのは何の罰ゲームですか、みたいな弊害もある。その点この空港は楽勝。出発時刻5分前にチェックインしても余裕じゃあるまいか、くらいの広さしかない。

新中央航空
カウンター

意外だったのが、この空港には3つの航空会社が就航しているのだった。案外やるじゃん、大島空港。この日本国内には、国内線の就航がほとんど無くて青色吐息の空港だってザラにあるのに。開港寸前になってスカイマークが神戸便の就航を発表するまでは、国内線ゼロ空港として開港する恥をさらす寸前だった茨城空港とか。

大島行きの船便が東海汽船の独占市場なのに対し、航空会社は3社というのはちょっとイメージと違っていて面白い。航空会社って、JAL、ANA、SKY、SFJ、ADO、FDA・・・くらいしかないと思っていたんだが、案外いろいろあるんだな。

観光案内所の出張所です、みたいな狭いカウンターに「新中央航空」は構えていた。これがさっきフラフラしながら着陸したプロペラ機の会社。ボードを見ると、調布飛行場からの便が一日3便、大島に飛んでくるらしい。

調布飛行場とは、その名の通り東京都調布市にある空港なのだが、そのあまりにJR・私鉄の駅からみてテキサスヒットな場所なため、東京人でも知らない人が結構いるくらいだ。味の素スタジアムの裏手、といえば若干分かりやすいかもしれない。・・・それでも分かりにくい?いやまあ、そういう場所なんで。

この調布飛行場は、事実上新中央航空の専用空港となっていて、大島便、新島便、神津島便が飛んでいる。小さな空港だし路線距離が短いため、プロペラ機による就航。

住宅地の中にある空港なので、これ以上増便はできないらしい。ただ、そもそも増便ニーズがあるのかどうかもよくわからないが。あまりにアクセスが不便な空港故に、飛行機に乗るための苦労が半端じゃないのだった。メガロポリス東京でも、こういう交通インフラは、ある。

以前おかでんの知人がこの近所に住んでいたので、調布飛行場のあまりなナイスっぷりはよく見てきた。飛行機が出発するよー、という時ののどかなプロペラ音もなんだか味わい深い。セスナ機のような音を立てる。

なおこの新中央航空のカウンターだが、手荷物を預かるような仕組みにはなっていない。ああそうか、荷物は全部自分で機内に運びやがれこの野郎、ということか。そもそもデカい荷物なんて持ってくるんじゃねーぞ、ということだな。そりゃそうだ、19人乗りの飛行機だもの。こういうカウンター構造一つとっても、普段B-767か777、小型機材でもA320しか運航していない路線にしか縁がないおかでんにとっては珍しくてしゃーない。断言しよう、これは立派な観光資源だ。

・・・でも、それを言ったら、これ以上の離島路線空港なんてまだまだ日本にはたくさんあるわけであり、これくらいで興奮してんじゃねーよ、となるわけだが。

アワレみ隊では「五島列島(長崎県)遠征」も画策中なのだが、ああいうところの空港はこれまた味がありそうだ。いずれ行くかもしれない五島列島が楽しみ。

運航案内の黒板には、備考欄に何も記載がない。今日は強風が吹き抜けているが、まだ「天候調査中」とか「欠航」扱いにはなっていないらしい。調布飛行場まで距離が近いので、少々の不都合があってもノリと勢いで一気に飛んじゃうのだろうか?「調布飛行場上空が天候不順のため、羽田空港にダイバートします」って言われたら、乗客はむしろ喜びそうだな。

ただ、小型飛行機ということもあって、有視界飛行しかできない機材。ガスったら一発で欠航な路線なので要注意。

お隣は東邦航空のカウンター。ANAのカウンターを間借りする形になっているため、スターアライアンスのロゴがついているが、決してスターアライアンスなわけではない。

こちらは、「東京愛らんどシャトル」というヘリコミューターを運航している会社。伊豆諸島をヘリコプターで結んでいる。以前八丈島遠征した際、青ヶ島に行くヘリコプターを空港で見送ったが、あれがまさに「東京愛らんどシャトル」。青ヶ島-八丈島路線が一番最果て、ということになる。

09:20に八丈島を出発したヘリは、青ヶ島にいったん南下し、そこから八丈島に戻り、御蔵島→三宅島→大島→利島と島をホップしていく。で、利島からまた折り返しになり、利島→大島→三宅島→御蔵島→八丈島16:00着で終わり。気をつけないといけないのは、伊豆七島全部を巡るわけではなく、新島と神津島はスルーされるということ。

ヘリコプターだけに「でも、お高いんでしょう?」という質問に対しては「Yes!」と答えざるをえない。しかし、絶海の孤島の伊豆諸島においては、船便よりも就航率が高いんだから貴重な交通だ。特に青ヶ島なんて、どう考えてもこんなところに港を作るのはむちゃだ、という絶壁にコンクリートで岸壁を作って「港」と称しており、ちょっとでも海が波立つとすぐに欠航になるらしい。地元の人は「また船会社の奴ら仕事さぼった」と冗談で愚痴るそうだが、その結果値段が高くてもヘリを利用する人が多い結果になっている。多分、東京都にある自治体の中で、「ヘリに乗ったことがある人比率」の統計をとったら青ヶ島村が一番トップで、そのあとも伊豆諸島の各自治体が続くはずだ。

さて今日の運航状況だが、利島行きの便は既に欠航決定。まだ出発まで2時間あるのだが、八丈島からヘリが飛んでこないことにはどうにもならないので早々にギブアップしてしまったらしい。

一方、三宅島に行く便は「天候調査中」扱い。予備の機材でなんとか運航できんものかと思案中らしい。頑張れ。でもこれだけ風が強いとなぁ・・・相当厳しいと思う。

ANAのカウンター

メジャーキャリアであるANAのカウンター。羽田便が就航している。

ここには職員さんが2名ほどいた。しかし、ディスプレイを見ると、一日一便しかない便は「欠航」の表示。本日お仕事終了お疲れさまです。もっとも、運航しようが欠航しようが、羽田行きの便は10:20に出てしまう。朝、羽田から飛行機が飛んできて、すぐに羽田に戻っていくわけで、ここの地上職員さんは一体何の仕事をしているのか、謎だ。時給契約のパートタイマーだろうか?と勘ぐってしまうくらいだ。まさか、この空港勤務で満額給料を出すほどANAは太っ腹ではあるまい。

伊豆大島よりはるかに陸の孤島であり、島民が少ない八丈島でさえ一日4便ある。大島の方が便数が少ないのは意外だが、その他の交通手段(調布便や東海汽船の船)が複数あるので、これくらいがちょうど良いのだろう。

欠航が決まった時点で、「じゃ、お疲れっしたー」とそのまま帰宅したいところだろうが、空港のカウンターはチケット売り場という側面もあるため、チケット予約にやってきた人の対応などのために一応人を配置しておかないといけないのだろう。路線を開設するってことは、いろいろお金がかかるものだな。

ちなみに、運航されている機種はDHC-8。プロペラ機だ。羽田空港を離発着する飛行機で、唯一のプロペラ路線じゃあるまいか?

手書きで欠航理由が書かれていたが、やはり「当空港上空強風につき」だそうだ。調布からは飛んできたぞ?ANAはガッツが足りん、と言いたいところだが、ANAの機材の方が大きいし重いので、風に煽られたらなにかと塩梅が悪いのだろう。これが三連休最終日だったら、「島に閉じこめられた!」と阿鼻叫喚になっていたかもしれない。船便に振り替えようにも、全席指定で立ち席なんてない高速船は定員が決まっている。そうなると、フェリーに乗って帰るしかない。予定外の5時間の船旅、頑張ってください。

[後注] 大島空港のANAカウンターは、東海汽船の関連会社がANAから受託して運営しているそうです。

派出所

ターミナルの出入り口脇に、交番があった。

「警視庁大島警察署 大島空港警備連絡所」

という名前らしい。派出所でも駐在所でもなく、「連絡所」。

連絡といっても誰もブースにはいなかった。何かあったら大島警察署に電話で「連絡」しろ、ということなのかもしれない。今日はあいにくの荒天で欠航が相次いでいるので、ここにお巡りさんを配備するだけ無駄、と思ったんだろう。へっへっへ、だったら今ここは無法地帯だぜ。やりたい放題だぜ。

やめとけ。悪さしたら、大島警察署から、ものの10分もしないうちに大量のお巡りさんが駆けつけるぞ。

警察ブースの前は、ANAのポスターやリーフレットに占領されていた。何のこっちゃ。

そうだ、今気がついたのだが、もし島民が自動車免許証の更新をする際、ゴールドカードでない人はわざわざ本土まで行ってこないといけないんだな。こりゃ大変だ・・・。免許更新するためだけに、万単位のお金がかかってしまう。免停講習だったりした日にゃ、泊も考えないといけない。島に住むって大変なことなんだな。

[後注] さすがに東京の鮫州免許センターに来い、というのは酷だということで、大島警察署で免許更新手続きはやってくれるとのこと。もちろん免停講習は別だと思うが。大島警察署のwebサイトで確認したところ、更新手続き(視力検査や写真撮影等)のために一回、そして講習のためにもう一回の都合2回、警察署を訪れないといけないらしい。即日発行できる環境はさすがに無理、というわけだ。なお、講習は毎週木曜日午後、となっており、「毎日大絶賛開催中!」というわけにはいかない。

保安検査場
誰もいない

二階に上がるためのエスカレーターが虚しくカラカラと動いている。

二階に何があるのだろう。1階の探検はあらかた済んだので、2階に上がってみた。

2階は、ガラス張りの待合室があった。おっと、保安検査場もここか。このガラス張りの向こうには、当然行けない。保安検査場は当然誰もおらず、扉が閉められていた。

保安検査をする人も大変だなあ。一日に処理する荷物の数なんて知れてるぞ。いいじゃんX線検査省略しちゃおうぜ、どうせ羽田まで1時間弱のフライトじゃん、と思うが、そういうわけにもいかん。法律があるから。

そもそも、こういう小型飛行機の場合、客室乗務員の数が少ないしハイジャックはむしろ容易。刃物なんかは厳しくチェックしないといけないのだろう。ただ、「このまま北朝鮮に向かえ」とパイロットに要求したとしても、「無理っす。燃料切れで海に墜落します」「えっ」となるのがオチだが。

手荷物になってみる1
手荷物になってみる2

機内持ち込みの荷物サイズを確認する場所があった。

先日から機内に持ち込める荷物のサイズが小さくなり、厳格化されるようになった。その影響もあり、サイズチェックは事前にしておいてねー、というためのものだろう。

試しに、おかでん自らが手荷物になりうるかどうか、確認してみた。

ううむ、どうやっても無理だ。

足が長いから、とか腹が出ているから、とかそういう次元を超越して、無理だ。

うまくいけば、「一人分料金を浮かせるんじゃあるまいか」という事も期待していたが、妄想であることを実証。

ならば次はチェックインカウンターに預ける荷物として・・・あれっ、重量超過でアウトっすか。それはもうどうにもならん。

カーテンが閉まっている売店

カーテンがびっちり閉まっている一角が、保安検査場手前にあった。

恐らくANA系の売店であるANA FESTAだと思うんだが(実際は違った。観光協会が運営する店だったらしい)、防犯のためにこうもびっちりとカーテンが閉まっていたら中は全くわからない。欠航の時は営業するだけ無駄、ということで三連休中日のかき入れ時だけど休業中。いや、そうでなくても、ANA便は一日1便、午前にしかないわけで、どっちにせよ商売にならん。

ここのお店、儲かっているんだろうか?他人事ながら心配になる。

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