まずは豚テキの仕込みから。豚テキという名前だが、「豚ステーキ」の略なんだろう。「ビーフステーキ」が略されて「ビフテキ」になっているのと一緒。ということは、タレに漬け込んでから焼くのはひょっとしたら「豚テキ」ではないのかもしれないが、そんなのは気にしない。調味料入れをあさって、出てきた調味料をいろいろ混ぜてみる。一味唐辛子、青森産にんにく、焼肉のたれ、黒こしょう、ハバネロペッパー、しょうが。あんまり生姜を入れると、単なる「豚肉の生姜焼き」になってしまうので、量には注意だな。
チリコンカンの食材勢そろい。
玉ねぎ、にんにく、サルサソース、トマトソース、コンソメの素、大豆水煮、ベーコン、ピリ辛チョリソー。
玉ねぎどうやって切ろう?などとしぶちょおに聞かれるが、おかでんも正直自信がない。
「イイ感じに」
とか適当に答える。ああ、手元にレシピ本があればどんなに楽なことか。スマートフォン経由でクックパッドを見てもよいのだが、クックパッドは1つの料理でもレシピがたくさんありすぎて困る。ええい、記憶が頼りだ、そのまま突き進め。
ダッチオーブンをプレヒートしておいて、そこに油をたらし、にんにくを炒める。
にんにくの香りを引き出したところで、玉ねぎ投入。うわ、2個でも結構な量があるな。そしてそのあとベーコンとチョリソーを入れる。この入れる順番は適当。カレーじゃないんだし、玉ねぎが飴色になるまで炒め続ける必要はあるまい。・・・多分。
本当ならば、ひき肉を入れるべき料理なんだけど、アウトドア、しかも2泊3日の旅行において傷みが早いひき肉はちょっとリスキー。だから、代わりにチョリソーを入れている。
おっと、忘れていた、チリパウダーの存在を。これを入れるとぐんと一気にTEX-MEX料理っぽくなる。これがないとただの「肉と豆のトマトソース煮」になってしまう。危ないところだったぜ。
西の空における雲行きが相当怪しい。結構雲の流れが速く、大量に雲が伊那谷に流れ込んでくる。こっちにその雲がやってくるのは時間の問題だ。大丈夫か、ここでキャンプやってて。・・・まあ、面倒くせぇので少々の雨風程度じゃ緊急撤収する気はないけどな。
豚テキを焼く。せっかくなので、ダッチオーブンのふたを裏返しにしたもので焼いてみた。
しかし、肉厚の豚テキ、なかなか中まで火が通らない。結局、予定変更して網焼きにして食べることにした。昨日のバックリブ調理と似た展開だが、今回は炭火焼に拘った。ガスストーブを使うのは負けだ!じっと耐えて炭火だけで調理せよ!
時折風が強く吹き込む。常に風が吹きっぱなしというわけではなく、ふっと気が緩んだ瞬間にどうっと吹くのでやっかいだ。
ダッチオーブンという「重し」がなくなったテントは、何度となく浮き上がり、タープに倒れ込んできた。これはもうこのままでは限界だ。水を入れたペットボトル程度では支えがきかない。
そこで、しぶちょおが取り出したのはペグ。
「このテントでペグを打つのは初めてなんだよな」
といいつつ、次々とペグを打っていった。
でき上がり。いつもはペグが打たれていないので若干脱力気味のフォルムであるテントだが、今回ペグを打ってみるととても精悍な顔つきになった。そうか、お前はこういう姿だったのか。
ペグのおかげで、この後テントが唸りを上げてふっとぶという事はなくなった。早くやっとけばよかったな、これだと。
チリコンカンと豚テキ完成。うまっそう!
豚テキはまだ完全に中まで火が通っていないので、いったん切ってからたれを再度絡ませ、焼き直しを行った。なかなか分厚い肉に火を通すのが難しい。
チリコンカンとパエリア。
結局お昼のパエリアは持て余してしまっていたので、夕食に再度登場と相成ったわけで。
チリコンカンの味だったら、絶対白米の方が合うんだけど、こればっかりは仕方がない。
でも、チリコンカンって多分本場だったら「主食」なんだろうな。豆が入っているから。主食の豆料理に、さらに主食であるコメがあるというのは本場の人から言わせれば「邪道」なんだと思う。
とはいえ、日本人は以前から「主食に主食を合わせる」ことはよくやってきた。ラーメンライスとか、餃子ライスとか。チリコンカンパエリアもその延長と思えば、何らおかしくない。悪食とは言わせないぞ。
18時30分過ぎ、太陽は既に沈んでいるのだが、どうも雲行きが怪しい。さっきから西の空がぐいぐいと様相を変えていっている。どう考えても「明日はすきっと快晴でございます」という雰囲気ではない。大丈夫だろうか?
昼からずっと続いていた、「急に吹く強風」は相変わらず続行中。ただ幸いだったのは、無風状態が比較的長いということ。これだったらたき火ができそうだ。
U字溝に木を並べ、たき火をする。
狭いU字溝だからしょぼいたき火になるかと思ったが、十分に楽しめるたき火になった。
雲の切れ目から月が出てきた。おぼろ月。雲が薄いということは、雨の心配は少なくて済むかもしれない。
23時頃就寝。
2012年05月06日(日) 3日目
深夜3時過ぎ、ゴロゴロという雷鳴で目が覚めた。しぶちょおもほぼ時を同じくして目が覚めたらしい。ゴロゴロ言っているだけならまだしも、時折空が光っている。こりゃあやばいぞ。
何しろ、われわれがいるのは稜線の上。周りに木があったり展望台があったりするので、雷が直撃はしない・・・と思うのだが、あまり自信がない。
どうしたもんかなあ、と考えているうちに、雷はどんどん派手になってきた。「空を見上げると、稲光が。」というのではなく、「目線は水平に保ったままでも、目の前に稲光だ。」というありさま。さすが標高1,200m。展望ばっちりということはすなわち空で起きているでき事が丸見えというわけだ。これは結構な恐怖。
荒天の中登山をしていた人が、稜線上で雷の直撃をくらって死亡・・・という事故が過去どれだけあったことか。枚挙にいとまがない。稜線で雷に遭遇したら、素直に逃げるのが吉だ。
「体中の毛が逆立ったらやばいんだったっけ、それともそうなっていたらもう手遅れなんだったっけ」
なんて考えるが、どっちだったか覚えていない。「やばくなったら逃げよう」という話を二人でするが、どういうシチュエーションになれば良いのか、判断がつかない。
しぶちょおとおかでんでテントの中で身構えていたが、しばらくするとゴロゴロという音は東の方へ進んでいった。良かった、われわれのテントに神罰が下ることはなかった。
「びっくりしたなあ」
と安どし、再度就寝。
翌朝7時起床。外に出てみると、強風のせいですっかり桜の花が散っていた。昨日までは満開で見頃だったのだが一晩明けたら葉桜に。そして、散った花びらはわれわれのタープにびっしりと張り付いていたのだった。ちょうどわれわれのキャンプにあわせて咲いてくれたような桜だ。
【注意】雷がゴロゴロ鳴り出したら安全なところに避難するべきです。稜線沿いのキャンプならなおさらのことです。われわれはプロのチキンレーサーなので、こういう芸当ができます。よい子のみんなは絶対にマネをしないように!
今日の天気は曇り。予報だと今日の午後から降り出すという話なので、昼までには撤収準備を完了させておく必要がある。でも大丈夫、十分に間に合うと思う。今朝がた、雷という試練を潜り抜けたわれわれだ、少々の雨くらいじゃへこたれないぞ。
今日の朝ごはん。アジの干物を炭火であぶって、ご飯、お味噌汁という一汁一菜スタイル。お味噌汁は「カニ汁」というものだ。食材は全てこれで使い切る(米や調味料を除く)。残り物が出たら、それを持ち帰るのが非常にうっとおしい。だから余り物は出さないことが重要。
昨晩、チリコンカン作成に使ったダッチオーブンを洗って、甲羅干しにする。
底面にサビがでているが、食品が触れる部分ではないからまあいいか、と思うのだがそれで良いのだろうか。多分ダメなんだと思うが、許せ。アワレみ隊のキャンプは一事が万事こんな感じ。
しぶちょおが缶を踏み潰してコンパクトにまとめていた。このキャンプ場はごみ捨て場がないので、ごみは全て持ち帰りということになる。無印良品のキャンプ場はごみ捨て場が完備されていて、その点素晴らしいのだが、お値段も利便性に比例して高くなる。その点ここ、萱野高原キャンプ場はごみ捨て場がない代わりにお値段も安い。どっちが良いかは人それぞれだ。
お味噌汁を作っている雪平鍋はもうあふれる寸前。さすがに残っていた食材を全部入れたらいっぱいいっぱいだった。でも、火が通ればかさは減るはずなので、ここはじっと我慢。
一方、アジはいい感じで焼けております。
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