
09:11
船は定刻に出港した。さようなら、本土。
船に乗ると、「さあ、もう後戻りはできないぞ」感が強まるので、旅情がいっそうかきたてられて、良い。「ちょっと刺激的な旅行がしたい」という方、ぜひ島の旅をご検討ください。「島の旅」ったって、飛行機でびゅーんと行く沖縄とかそういうのじゃないぞ。船にのって島に揚陸する、そんな旅がいいぞ。



09:13
船は、沖に停泊するコスタ・ヴィクトリアの横を通過していく。
そのあまりの巨大さに、乗客はあっけにとられている。
「あんな船にぶつかったら、こっちの船はひとたまりもないな」
うかつに近づかない方が吉だ。
やっぱりあの中には、プールがあったり、カジノがあったり、映画館があったりするのだろうか?夜な夜な、ドレスを着た人たちが社交ダンスなんぞを踊ったりしているのだろうか?
「アワレみ隊じゃ、絶対にあり得ない世界があそこにあるな」
アワレみ隊の船旅の限界は、小笠原旅行の際に乗った「おがさわら丸」。2等客室だったこともあり、タコ部屋で相当イイカンジに漬け込まれてしまったっけなあ。豪華な船旅とは縁遠かった。

09:14
「おい、なんかあのはしけから赤い煙が出てるぞ」
さっきからずっと、だらだらと煙がでている。勢いがなく、緊迫感がまるでない。
「なんだろう?」
「多分、避難訓練とかなんかやってるんじゃないか?」
その割には、はしけから人が海に飛び込んだりする気配もなく、ただただ、ひたすらだらだらだ。
「おーい、もっと緊迫感持ってやれー」
船の上からヤジを飛ばしておく。

09:20
船は快適に進んでいく。あの巨大な豪華客船も、はるか後方だ。さあ、われわれは鳥羽の島々をこれから満喫するぞ。何をどうすれば「満喫」したことになるのかはよくわからないけど、まあ、とりあえず、満喫だ。つべこべ言うな。
潮風がとても気持ちよい。この季節、行楽日和だなあ・・・。
ゴールデンウィークって、天気が崩れやすい季節だ。アワレみ隊でお遍路を巡った際は、ほとんど毎日雨が降り、おかげで一日中体はずぶ濡れ、足は全員臭くなるとさんざんな目にあったな。

09:22
はるか遠くに、神島が見えてきた。
今日昼頃には、あの地にたどり着いているはずだ。まずはわれわれは答志島に立ち寄るので、神島はしばらくお預け。まっとれ、島一周歩いてやるけん。
09:21
船はまず、最初の島・「菅島」に到着した。菅島漁港に向けて速度を落としていく船。



どれくらいの島民が住んでいるのだろうか?島の主要産業はやっぱり漁業なんだろうか?学校は、病院は、そしてよろず屋は?いろいろ、気になる。島って、陸続きじゃない分、独立した存在。だから、どういう暮らしぶりをしているのかはとても気になる。
やっぱ、こういうところでもamazonでポチれば、翌日には届くのかね?それとも、やっぱり1日くらいは余計にかかっちゃうのだろうか?いずれにせよ、便利なご時世になったものだ。

09:27
港のすぐそばには、記念撮影用のボードがあった。海女さんの顔がくりぬいてあり、そこに顔を突っ込んで写真撮影をどうぞ、というわけだ。
「いいなあ」「いいなあ」
アワレみ隊一同、その光景を羨ましく見つめる。正直、船を飛び降りて、あそこで写真を撮りたい!子供と言われようが、撮りたいものは撮りたい。少年の心よフォーエバー。アワレみ隊です。
われわれは周遊券を持っているので、途中下船は可能だ。だから、あそこで写真を撮って、すぐに船に戻って来ることは可能っちゃあ可能。しかし、撮影している間に船が出航しちゃあ、えらいこっちゃ。次の船まで一体どれだけ待つ羽目になることやら。神島への乗り継ぎ便との接続は絶望的に悪いはずだ。それを考えたら、リスクは負えんよ。
しかし、船は予想以上にゆっくりと停泊していた。なぜかと思ったら、船にいろいろ段ボールやら何やらが詰め込まれており、それの積み下ろしに時間がかかっていたからだ。そうか、この船は生活物資を運ぶライフラインでもあるのだな。あれやこれやを運ぶとなると、そりゃ時間がかかるわけだ。

09:30
しぶちょおが、かばんの中からアワレみ隊ブルゾンを取りだした。新品同様の品だ。彼は「アワレみ隊お遍路チャレンジ2001」の時には、ブルゾンを着用しなかった。だから、いまだに真っ白だ。一方のおかでんのブルゾンはというと、漂白したもののさすがに経年劣化で黄ばみがところどころにある。
彼は、そんなブルゾンを、この20周年という節目にぶつけてきた。その意気や、よし。

09:30
アワレみ隊ブルゾンをおそろいで着るおかでんとしぶちょお。とても映える。作った本人が言うのもなんだが、結構格好いいと思っている。
このブルゾンは、限定5着で作られたものだ。そして、実際に人の手に渡ったのは4着。とても希少価値がある。何しろ、「アワレみ隊」のロゴの原本は、現存していない。PCのクラッシュを経て、データが消滅してしまった。つまり、今後はアワレみグッズを作ることができないということだ。
先日、自宅のクローゼットを整理していたら、残り1着の未開封ブルゾンが発掘された。おお、こんなところにあったのか。ということで、もう12年もの年代物だけど、まだ1着未開封品があります。欲しい人はご連絡を・・・と言いたい事だけど、とても貴重なものなので、アワレみ隊隊員か、それに準じる人にしかゆずる気はない。そんなわけで、結局この「未開封品」は一生誰の手にも渡らぬままなのだと思う。アワレみ隊は新規隊員を常に募集しているので、新規隊員が現れた暁には支給しても良いのだけどね。
09:41
再び出航した船は、今度は菅島の対岸にある答志島に向かっていった。答志島にはいくつか漁港があるのだが、最初に到着したのは「答志漁港」。


09:42
答志漁港には、大漁旗を意気揚々と掲げた漁船が停泊していてわれわれをお出迎え。何が獲れたんだろう?やっぱり、伊勢湾だから、伊勢海老?いや、伊勢海老は漁船で獲りにはいかないか。やっぱり、鯛とかなのかな。

われわれは今晩神島の宿で、別注文で刺身盛りを頼んである。だから、本日の釣果はとても気になるところ。和具漁港で大漁なら、神島でも大漁かもしれない。今晩おいしいお魚が食べられますように。ナムナム。

09:43
答志漁港到着。ここでも、地元の方々を中心に、人、モノが行き交う。
桟橋にたくさん人がいるので、この人達全員が船に乗り込むのか?と思ったが、実際は結構な人が「荷物の受け取り」だった。そうだよな、自分で手配した荷物は、ここまで自分で取りに来ないと。結構大変だな。島内にはさすがにクロネコヤマトのトラックは行き来しないだろうし。

09:45
答志漁港の防波堤には、「港内スローだ!!」という注意書きが大きく書いてあった。
なるほど、ごもっともだ。事故防止のために、港内スローだ!!
「港内スローだ!」
「港内スローだ!」
アワレみ隊一同、リフレインのようにみんな繰り返しこの言葉を口にしていた。何だか、きになっちゃったんだね、きっと。
10:07
答志漁港を出港した船は、和具漁港へとやってきた。この二つの漁港は、岬を挟んでいるだけであり、陸地の直線距離はとても短い。陸路だと、徒歩での移動すら余裕なくらいだ。何でこんな距離感の漁港なのに、連絡船がわざわざやってくるのかは分からない。二つの港とも、古い歴史があるのかもしれない。


さて、われわれはこの「和具」で下船することになる。佐田浜発神島行きの船が、この後1時間後くらいに和具に立ち寄る。それまでの間、和具周辺をあてもなく散策してみようと思う。

10:12
アワレみ隊、答志島に初上陸。やあ答志島の皆さんどうもどうも。アワレみ隊でござますよ。ほら、背中のロゴをご覧なさい、見ての通りのアワレみ隊です。
われわれは、待合室でいったん一息ついたのだが、その間に下船した人たちはすーっとどこかへと消えていった。がらんとして静まりかえる、船着き場。誰一人として、いない。そりゃそうだ、用が済んだらここに居る必然性なんてなにもない。「いつも誰かがいる」、都会の駅なんかとは大違いだ。
待合室には、地元の子供たちが書いた川柳がたくさん張り出されていたのだが、結構シュールなものだったので面白かった。メモっておけばよかった。
外に出てみると、建物に「わかめとさわらの町 和具浦」と書かれてあった。そうか!鰆がこのあたりじゃ名物なのか。知らなかった。ということは、今晩あたり食卓に上がるようなことは、あるのかな?

10:23
一息ついたし、次の船の時間も確認がとれたので、われわれは島の探検に出かけることにした。
和具定期船待合所で、一枚写真を。アワレみ隊が、答志島に上陸したという証のために。
おかでんは旅行中写真をたくさん撮るが、こういう「いわゆる記念写真」はあまり撮らない。でも、あんまりにも撮らないと、本当に自分がその地を訪れたのか、わからなくなってしまう。だから、最近は「犬のマーキング」のように、一応旅先で記念写真を撮るようにしている。

10:24
待合所近く。
長屋風にガレージが連なる。漁業関係者の作業場及び倉庫にでもなっているのだろう。今日はゴールデンウィークまっただ中だけど、作業に勤しんでいる人が結構いた。お疲れさまです。
そんな中を、われわれはぽっくりぽっくりと歩く。
待合所の近くにあった周辺地図を見てみたら、この先の岬に「九鬼嘉隆首塚」「九鬼嘉隆胴塚」があるらしい。特に今、何か見たいものがわるけでもなし、だったらこの首塚と胴塚に行ってみる事にする。

10:29
首塚・胴塚に向けて歩いている途中、お土産物屋を見つけた。なんだか唐突なところにあるな、と思ったが、海側には「ようこそ 九鬼水軍ゆかりの地へ 歓迎 またのおこしを」というアーチがあった。どうやら、以前はここが船着き場になっていたらしい。何かの事情があり、今はここから数分先の場所に船着き場が移ってしまった模様。お土産物屋さんからしたら、たまったもんじゃない。死活問題だ。

10:30
せっかくだから、覗いてみることにする。胴塚・首塚の情報が欲しかったし。
お店のおばちゃんに聞いてみたら、胴塚・首塚を見て回るには、なんやかやで30分くらいはかかってしまうらしい。それはちょっと神島行きの便に乗るのに支障がでそうだ。しばらく思案した末、これ以上先に進むのはやめにした。
そのかわり、しばらくこのお店の商品を見て回ることにする。

10:33
お土産物屋、といっても、キーホルダーとかペナントとかが売られているわけではなく、海産物中心の取り扱いだ。やはり、土地柄海苔商品が多い。
店頭に、100円で貝殻詰め合わせが売られていたが、一体誰が買うのだろう?少なくとも僕は、これはゴミにしかみえなかった・・・というのは内緒だ。

目を惹いたのは、瓶詰めの海苔。しいたけのり、しそのり、明太のり・・・といろいろ売られている。で、その値段がすばらしかった。1個250円、5個まとめ買いで1,050円だった。やたら安くないか?これ。
「地元産だから安いのかなあ?」
と、瓶に記載されている製造元を見てみたが、答志島で作られているというわけではないようだ。どこかで安く入手するルートを持っているらしい。この安さには、非常に惹かれたが、でも瓶詰めって重いからなあ・・・おかでんは躊躇した結果、1瓶だけ「青のり」を購入した。250円なりー。
後で、鳥羽とかの売店で同様の商品をみかけたが、ここよりも安いお店はどこもなかった。なんと、答志島が最安値だったという。すごいね。海苔を安く買いたかったら、答志島へお越しやす。
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