長崎の過去と今-28

朽ちていく建物、護られる建物(その28)

稲佐山展望台

10:55
遠藤周作文学館に向かう前に、稲佐山に行ってみることにした。

稲佐山に通じる道はぐいぐいと標高を上げていく。道中ホテルがあちこちにあり、よくもまあこんな急斜面にホテルを作るものだ・・・と呆れるが、展望がとても良いので旅館業としてはやりやすいのだろう。

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途中、駐車場の分岐があった。

「稲佐山公園」の駐車場は無料、「稲佐山展望台」の駐車場は有料と書いてある。

もちろん無料の方がいいけど、僕らが行きたいのは展望台だ。「公園」から「展望台」までは結構歩くのだろうか?

えーい、と有料のほうを選んでみたら、30分100円だった。あ、安い。こっちを選んで正解だった。ただし、展望台の駐車場は40台しか駐車できない。数に限りがあるので、ピーク時は利用できないと思う。

展望台には、円筒形の茶筒のような建物が建っていた。

景色を眺める

11:12
展望台の上から長崎を360度眺める。いやあ、いい景色だ。

ばばろあが、

「あの山の上に高射砲があって、それからこっちと、そっちにもあって」

と一つ一つ解説する。

「全部行ったんか?」

と聞いたら、行ったという。(「全部」だったか、「だいたい」だったかは覚えていないけど)

今は行かないの?と聞くと、「もうこの時期はダメじゃ。藪が茂っとる。勝負は草が生えるまでの秋から冬にかけて」と言う。

砲台跡というのは山の上にあるものだ。そしてまだ「その当時の痕跡が残っている砲台跡」というのは、宅地造成などで破壊されていない場所だ。となると当然、そこまで辿り着こうとすると藪漕ぎが必須となる。地図とコンパス、そして取り寄せた航空写真などをもとに道なき道をよじ登るのだからスゲーワイルドだ。百名山登山が趣味です、なんて言ってる僕なんかよりよっぽど強靱だし、タフなヤツだ。整備された登山道しか歩かない僕はヒヨッコに過ぎない。

長崎市街

「しかし、長崎を取り囲むように砲台があったのに、結局原爆投下は防げなかったんだね」

と水を向けたら、絶好調のばばろあは、さらに熱く語り続ける。

「高射砲なんて役に立たなかった、全然B29には当たらなかったと証言する当時の人がいるけれど、それは違う」

なんて話だけで数分。そこから当時の米軍の爆弾の話が数分、と続いていく。いやー、本当によく研究している。ライフワークじゃないか。

「そこまで調べているなら、本でも出してその知見を後世に遺したほうがいいんじゃないか?」

と聞いたら、

「砲台好き、というジャンルの趣味の人がどれだけおると思っとるんや?おらんで、そんなヤツ」

と言われた。なるほど確かにそうだ。あと、ばばろあが言うには、上にには上がいて、アメリカの公文書図書館にまで行って戦時中の資料を探すような人がいるそうだ。そういう人にはかなわん、と。

いずれ、「マツコの知らない世界」みたいにマニアが紹介される番組にお呼びがかかるんじゃないか?と思うが、戦争がらみでデリケートな内容にテレビ局が慎重になるだろうから、実現は難しいか。

ここでも100円投入

11:04
「おっ、ここにも双眼鏡があるぞ!」

またもや喜びいさんだ蛋白質、財布から100円玉を取り出して早速投入していた。

ただ今、なんとかして大浦天主堂を発見しようとして苦戦中。

裸眼の我々はすぐに発見できるけど、超望遠の双眼鏡越しの蛋白質はみつけるのが大変。「ほら、アレが見えるだろ、あの右」「アレってなんだよ」という押し問答が繰り返される

ジャイアントカンチレバークレーン

ジャイアント・カンチレバークレーンを見下ろす。

海

「あれっ、豪華客船がいなくなってるぞ」

三菱重工長崎造船所・香焼工場に昨日はいたはずの豪華客船が姿を消していた。今朝、無事にスペインに向けて出港したらしい。我々が見ることができたのは本当に運が良かった。

「まさか、沈んでないよな?」

やめろ縁起が悪い。あれが沈んだら、損害が一体何千億円になるというんだ。

遙か先に軍艦島

遙か沖合いを見ると、橋の向こう側に高島が見える。

高島の左側に小さな島が二つ並んで見えるけど、その手前が中之島、奥が軍艦島(端島)。かろうじて軍艦島も見ることができた。

さすがにここからだと軍艦っぽくはみえない。しかし、「言われてみればなんとなくカクカクしたシルエットかもしれない・・・?」くらいには見える。

まだ鉱山として営業していたころ、高島にしろ軍艦島にしろ、夜な夜な煌々と明かりが灯っていたのだろう。そのときの光景を見てみたかったな。

謎の巨大マンション

展望台から海沿いをぐるっと見渡していると、「なんだこりゃ?」という光景に出くわした。

別に変な建物ではない。マンションだ。ただし、やたらとデカイ上に数が多い。折りたたまれた屏風のように、並んでいる。

長崎市街からちょっと離れた場所で、通勤通学が決して便利な場所ではなさそうだ。それなのに急にあれだけのマンション群がそびえるというのはびっくりだ。

双眼鏡を熱心に眺めていた蛋白質に、あのマンションはなにものなのかを見てもらったが、「単なるマンションにしか見えん」ということだった。謎だ。

ただし、改めて地図で確認してみると、バスに乗っていけば長崎市街まで遠いというわけではなさそうだ。あと、三菱の造船所に勤務している人にとっては、職場の裏手にあたる場所がこのマンションだ。ちょうど通勤に都合がよいのかもしれない。

(つづく)

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