長崎の過去と今-37

朽ちていく建物、護られる建物(その37)

池島中央会館3階

17:00
池島中央会館3階。宿泊部屋が並ぶフロアになっている。

扉はショック吸収の仕組みがついていないので、開け閉めするとき気をつけないと「バターン!」と大きな音を立てる。

一人部屋

ばばろあが一人で泊まる302号室。一人部屋。

すでに布団が敷いてあった。

二人部屋

そして蛋白質と僕が寝泊まりする301号室。二人部屋。

質素な部屋だけど、掃除はちゃんとされていて何ら不自由なく過ごすことができた。しかし、夜になると蚊の襲来を受け、やたらと痒かった。

「そういえばGW期間中、八丈島に行ったときも蚊にさされまくってびっくりしたことがあるな」

島流し御赦免ツアー
 八丈島観光名所完全制覇 日 時:2005年(平成18年) 04月30日~5月04日 場 所:八丈島 参 加:おかでん、しぶちょお...

ひょっとして、離島では早い時期から蚊が跋扈するのだろうか?「島とうがらし」というのがあるように、「島蚊」というのがいて春先が活動のピークなんじゃあるまいか?

ばばろあが

「そんなことあるか。単に茂みに近いところにおる、というだけじゃ」

と僕の考えを一蹴した。なるほど、そういうことか。

窓からの景色1

17:02
部屋の窓から外を眺める。

我々がやってきた港とは逆、島の奥に通じる道を見やると・・・おや、大きな建物が見える。建物の作りからして、学校っぽい。ドーム屋根の体育館らしき建物も見える。

かなり巨大であることがわかる。それだけ昔は子供の数が多かった、ということだ。あとで地図を確認すると、「池島小・中学校」だという。そういえば、タワーマンションが林立する東京湾岸エリアで、小学校不足が深刻・・・なんてニュースを見たことがあるな。昔は炭鉱、今はタワマンか。時代は変わったものだ。

この学校は2017年時点ではまだ現役で、3名だったか4名だったか、通っている児童がいるそうだ。しかしその子どもたちが卒業してしまえば、廃校ということになる。一度廃校になってしまえば、再開というのは難しいだろう。島の生活がこれでまた一つ消えていく。

窓からの景色2

って、うわあ!

びっくりした。目線を学校から逸し、窓の正面を見たら、そこに廃墟のアパートがあったからだ。木々が周囲を覆い、森に還りかかっている。

廃墟・・・だよな?さすがにあれは。

軍艦島で見たアパートと同じ、黒ずんだコンクリート外壁。港周辺のアパートとは全く生活感が違う。

よく見ると、窓が木枠だった。サッシではないのか。それだけ時代が古い、ということだ。いや、待て、後ろに見えるアパートはサッシが入っている。大きな窓なのに風雨で割れた形跡がないし、比較的新しいものだろうか?ということは、まだあの建物には人が住んでいるのだろうか?

一体この島にはどこにどのように人が住んでいるのか、さっぱりわからない。そもそも、この島にどんな産業があるのかが不明だ。

もともとここは三井松島産業が所有する鉱山だけど、2001年の閉山後は炭鉱技術の伝承研修を扱う「三井松島リソーシス」と、金属くずや廃プラスチックなどのスクラップをリサイクルする「池島アーバンマイン」の2社が残った。三井松島リソーシスは明日の炭鉱ツアーの主催社でもあり、現存する。しかし、「池島アーバンマイン」は2016年9月、破産してしまった。さすがに、離島に材料を運び込んで、加工して、また本土に送り返すという手間とコストを考えると割に合わなかったか。

この破産によってさらに島民の数が減ったはずだ。先程見せてもらった地図にはまだ鉱山エリアの一角に「池島アーバンマイン」と記されているが、今はもう何もやっていない。

となると、この島は「三井松島リソーシス社員」と、ほんの僅かな店舗の店員さんと、学校の先生と、簡易郵便局の局員さんと、その他島の維持に必要な人少々、ということになる。漁船らしきものが池島港に停泊していたので、ひょっとしたら漁業で生計を立てている人もいるのかもしれないが。

住むなら断然港に近いほうが便利だけど、こうやって島の真ん中エリアに施設があったり、さらにこの奥には飲食店である「かあちゃんの店」が現存して営業している。ポロッとさりげなく、人が住んでいるのだろうきっと。敢えて人を避けて住んでいるわけではなく、昔からずっと住んでいるうちにご近所さんがどんどんいなくなった、ということなのだろう。

合理化のために引っ越しして住まいを集中させる、という計画はあったのだろうか?

風呂場

池島中央会館の3階には、浴室もある。

男女別には別れていないので、女性が入るときには「女性入浴中」と書かれた札をぶら下げておく必要がある。あと、使用するためにはボイラーのスイッチを入れないといけないので、予め会館の職員さんに伝えておく必要がある。

浴槽

湯船は2つ。

右は源泉かけ流しで、左は加温した温泉・・・というわけではなさそうだ。ここは温泉は出ない。

おそらく、宿泊客が多いときは湯船2つともを利用して、客が少ないときは一つだけを使う、というコンセプトなのだろう。たとえば宿泊客一人のときに、これだけの大きな湯船に豪勢にお湯を貼られたらもったいない。

カラン

浴室にはカラン、ボディソープにシャンプー・リンスも完備。自分でもってこなくてもOKなところが便利。

ただし、ここから徒歩5分のところに往時を偲ぶことができる公衆浴場があるという。我々はそちらのお世話になるつもりなので、このお風呂を使うことはなかった。

洗面所

洗面所。

使っていいのかどうかは聞いていないのでわからないけど、洗濯機も置いてあった。

ドライヤーもあるので、女性も安心。そういえば、カップルも宿泊していたな。

「工場の夜景が好きな女子、なんてのがいるけど、廃墟女子っていうのもいるのかねえ?」
「多分男の趣味だろ。それにしてもすげえな、こんなところに彼女を連れてくるなんて」

こういう何もない宿泊施設の利用にオッケーを出したり、廃墟や炭鉱を見ることに興味を持つような女性は、男性からするととてもありがたい存在だ。いい彼女をゲットしたじゃないか青年よ。

洗面所

トイレ。さすがにこちらは男女別だった。

(つづく)

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