長崎の過去と今-39

朽ちていく建物、護られる建物(その39)

団地の中を歩く

17:29
「東浴場」を目指して歩いて行く。

このあたりはアパートの密集エリアだ。炭鉱マンとその家族が生活を営んでいたわけだが、今や廃墟だ。あ、いや、まだ人が住んでいるかもしれないから、「廃墟」と言い切ってしまってはまずい。

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かあちゃんの店があるくらいだから、この近くにも人は住んでいるはずだ。いくらなんでも、誰も住んでいないところにお店は出さないだろう。

森に帰りつつある団地

この島のアパートの多くは4階建てだった。5階以上になると、階段での昇り降りがしんどくなるからだろう。もちろん昔の建物なので、エレベーターなんてものは備わっていない。

それを思えば、軍艦島は容赦なくアパートが高層化していたのですごい。土地がないんだからしょうがないじゃない、というわけだ。池島はまだ土地に若干の余裕があったので、こうして4階建てのアパートで住んでいるし、整然とした区画整理で団地が形成されている。

傷んだ建物ではあるが、部屋によってベランダのサッシが新しかったり古かったり、様々だ。人がモザイク状に抜けていったからだろう。一斉に建物の住人全員が抜けたわけでなく、長い月日をかけて徐々に人がいなくなっていったことが伺える。新しいサッシの家だって、今はもう誰も住んでいない。

こういう建物の場合、どのフロアに住むのが一番贅沢なんだろう?最上階の4階は見晴らしがいいけど階段の昇り降りがしんどい。かといって1階だと草木が迫ってくる。防犯という点ではこの島なら問題ないだろうけど。結局2階に住む、というのが一番よさそうだ。

団地

13号棟。

アパートを一つ一つ見ていけば、建造年月によって個性があるのだろう。しかし、ざっと通り過ぎた程度ではさほど「おや?」と思えるほどの特徴は気づかなかった。どの建物も、必要最低限のシンプルな作りになっている。

単身者用のアパートもきっとこの島にはあるのだろうけど、気づかなかった。

この建物はベランダに対して窓が2つ。2DKだろうか、3DKだろうか?ちょっと変わっているのが、ベランダで隣の家との境に、収納スペースがあるということだ。木の扉が付いている。あと、窓はサッシになっているものの、木の雨戸が備わっている。サッシにしたのは後世のことで、最初のうちは木枠の窓だったのかもしれない。

公園らしい

東浴場は公園を右に曲がったところ、と地図には描かれてあった。

先ほど道を間違いかかったこともあるし、気をつけないといけない。しかし、我々が歩いている道には、公園らしきものが見えてこない。しまった、また道を間違えたか?と一瞬身構える。

なにしろ、参考にしているのが手書きの地図だ。縮尺とか方角がデフォルメされて描かれているだろうから、気をつけないといけない。

と思っていたら、おや?何か公園っぽい入り口がある。

しかし、その入口の先は、単なる茂みだった。これは公園だろうか?

パイプが張り巡らされた道路

17:30
結論から言うと、この茂みが公園で正解だった。建物でさえ植物に覆われるこの土地なんだから、公園なんてあっという間に植物ワールドになってしまう。

このあたりは電線だけでなく、パイプも空中を伝っている。

「発電所でできた温水をこっちまで運んでるんよ」

ばばろあが教えてくれる。

港から中央会館に向かう途中に発電所があるのだが(車でビューンと通り過ぎたので全く見ていない)、そこでは石炭を使って海水を沸かし、蒸気でタービンを回して電気を作っていた。その際に淡水も作るし、温水もできる。淡水は飲料用として、温水は風呂などに使われたという。なんて便利なんだ。

その温水パイプがこうやって島内を巡っている。なぜ地中化していないのか不思議だが、地下にパイプを掘るよりも設置やメンテナンスが楽だったのだろう。

もちろん今は発電所は稼働していないので、このパイプも中身はカラのはずだ。

銭湯

17:31
東浴場到着。

銭湯というより、公民館といった風情の建物。

建物の入り口に、親子連れがいた。この人達は中央会館の宿泊客ではなかったので、島民かもしれない。ということは、子どもたちは数少ない小学校の児童、ということになる。このあたりに住んでいるのだろうか?

入浴料金

入浴料金は格安で、1回100円。

運営母体はどこだろう?昔は炭鉱施設の一部だったのだろうが、今となっては過去の話。営利目的でやっている金額ではないので、長崎市が引き継いだのだろうか?

銭湯入り口

銭湯の中に入る。

男性と女性に入り口が分かれており、その真中に番台がある。しかしこの番台からは更衣室は見えない作りになっている。昔ながらの銭湯とは若干違ったスタイル。

小銭がなかったので千円札を出したら、番台のおばさんは困った顔をした。100円玉はないか?という。持ち合わせがなかったので、蛋白質から100円を借りた。

入浴料100円というこの浴場において、1000円札だなんて高額紙幣。お釣りをいくら用意しても足りないので、小銭持参は必須マナーだ。

脱衣場

広い更衣室。

なんでこんなに広いのだろう。昔は真ん中にソファとか置いてあったのだろうか?それとも、鉱夫たちの装備品などを置けるように、棚を大きく・広く設置していたのかもしれない。

浴室

東浴場の浴室。

広い浴槽が真ん中にある。しかし、奥の方半分は浴槽が潰されている。おそらく、入浴する人が減ったので、浴槽サイズを半減させたのだろう。

あと、壁際に小さく細長い浴槽のようなものがある。ザブンと浸かるには小さすぎるので、ここはかけ湯をするための湯だめだと思われる。炭鉱で真っ黒になった鉱夫たちが、まずここでざっくりと体の汚れを洗い流したのではなかろうか。あくまでも推測だけど。

シャンプーとボディーソープは備え付けられていないものの、番台で貸してくれる。なのでタオルさえ持参していればOKだ。

池島公衆浴場でアワレみ隊

「なんかこのお湯、のぼせやすい気がするんよね。気のせいだとは思うんじゃけど」
「ばばろあ!それはわかったから、湯船に入れ。今から記念撮影するんだから」
「ええじゃん、ここにおっても」
「お前の股間が丸出しなんだ。それをあとでモザイクをかけにゃならんこっちの立場にもなれ」
「かまわん、かまわん」
「なんで友達のチ●コ写真を拡大しながら、修正をしなくちゃならんのか・・・」

そんなわけで撮影された写真がこれ。さすがに修正済みだ。

昔っからばばろあは風呂での写真撮影時に股間を出すことがある。アワレみ隊旅行の定番ともいえる。昔なら、そういう写真を見ながら全員で爆笑して、「もー、ばばろあったら!見えちゃってるぞ!」と手を叩いていたものだ。しかしさすがにそんな写真を保存するわけにもいかず、修正する手間が面倒ということもあって、今では「股間丸出し写真」のたぐいはほとんど撮影していない。

最近は自分のPCの写真フォルダの内容が、自動的にGoogleフォトにアップロードされる仕組みにしてある。他人と写真共有する上でとても便利なのだが、股間のキノコが写っている写真をGoogleのサーバにあげてしまうと、Googleから「ポルノ」とみなされてアカウント剥奪という処分を受ける可能性がある。なので写真の修正は大事だ。

脱衣場でくつろぐ

18:15
のぼせて脱衣所で放心状態のアワレみ隊御一行様。

(つづく)

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