長崎の過去と今-40

朽ちていく建物、護られる建物(その40)

ジュース自販機

18:16
東浴場の入り口に設置されている自販機。

取り扱い飲料の数が少ない。その数、7種類。これだけボタンがあるのに。

あれこれ種類を用意しても売れないし、頻繁に補充できないので同じ飲み物をたくさん在庫しておこう、という考えがあるのだろう。これならそうかんたんには売り切れないぞ、というわけだ。

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それにしても、一番の売れ筋は缶コーヒーなんだな。ジョージア「至福の微糖」が上一段すべてを占拠している。

侮れないのはリアルゴールドだ。こういう厳選された品揃えにおいてもちゃっかり居場所を作っている。ということはこいつ、売れているというわけだ。やるなぁ。

団地

18:17
宿に帰る前に、もう少しこのあたりを探検してみる。

こちらのアパートも、先ほどの13号棟と作りは一緒だ。しかし早い段階で住人がいなくなったようで、荒れ方が進んでいる。ベランダの柵も、新しくなっているところはない。

団地

18:19
アパートの一部屋に、何やら後づけのホースが伸びているのが見えた。コンクリートの灰色に対して、青と、ピンクと、灰色の3本のホースは目立つ。なんだろう、これは。

団地

その建物の1階部分。木の扉。

おっと、その左側に湯沸かし機が設置されていた。明らかにもともとあったものではない。そしてそこから、3本のカラフルなホースが伸びていた。

なるほど、3階の住人がお湯を使うために引っ張ったホース、というわけだ。

おそらく発電所が止まるまでは、各住戸にお湯が供給されていたのだろう。しかしお湯の供給が止まってしまったので、自己解決したというわけか。

団地の間を通る道

広がる団地、伸びるパイプ、覆う草木。

人の気配が全くない。もちろんこのどこかに人は住んでいるのだろうが、建物に対して人口密度が低すぎる。とても不思議な光景だ。

団地

ばばろあが

「もう帰ろうで、人が住んどるんじゃけえ、あんまりよそもんがうろついちゃいかんと思うで」

と主張する。僕は隅から隅まで観察したいのだけど、ばばろあがそう言うので諦めて帰ることにした。この先もう少しいけば、三井松島産業のクラブハウスだった建物があったのだけど。

この建物は今後どうなっていくのだろう?いくら風化するとはいえ、5年10年で倒壊はしないだろう。お金をかけて三井松島産業がこの建物を取り壊すとは思えないので、このまま時間をかけて、ゆっくりと、ひたすらゆっくりと壊れていくのだろう。

数年に一度、定点観察すると興味深いと思う。しかし、くちていく建物を自分の老いと重ね合わせて見てしまい、とてもさびしい気持ちになりそうだ。

そもそも、10年後、20年後の池島は有人島なのだろうか?日帰り炭鉱ツアーは相変わらず行われると思うが、無人島になっているかもしれない。

団地

部屋によってサッシが違う。4階左端の部屋は、窓枠が小さく区切られていてちょっとおしゃれ。しかし、ベランダの柵はなくなっている。

団地

静かな団地。見渡す限り我々しかいないし、音もしない。

団地

アンテナが立つこの建物は、住宅ではなさそうだ。窓の形が違う。

電話局だろうか?それとも役場の派出所かなにかがあったのだろうか?

池島は、軍艦島と違って研究が進んでいないようだ。ネットで調べても、建物ごとの詳細な記録というのは出てこない。せっかくまだ現役の島なのに、と思うが、逆に現役の島だからこそ研究対象になりづらいのかもしれない。

(つづく)

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