長崎の過去と今-50

朽ちていく建物、護られる建物(その50)

集落

10:02
郷地区と呼ばれる界隈の探索は続く。

「探索」といっても、道は海に向かっていく一本しかないので、そこを下っていくだけだ。さすがに建物と建物の隙間に入り込むような真似はしない。誰も住んでいないとはいえ、不法侵入だから。

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池島最後のスナックだった「マキ」の入口脇には、急な階段が取り付けられていた。二階には、スナックの店員さんが住んでいたのだろうか?

階段を登ってそのまま扉がある。踊り場のような場所はないので、結構怖い。出入りするとき、うっかり転がり落ちてしまいそうだ。

そんな場所を確保するのさえ惜しいくらい、狭い土地なのがこの谷。

集落

マキの裏手には、完全にツタに覆われてしまった建物。ここも二階につながる外階段がある。

階段をこれ以上急にすることはできなかったらしく、1階入口に向かう道を塞ぐ形で階段が横切っている。狭い狭い。

この建物はなんだったんだろう?普通のドアブザーが入口についているので、商売をしている家ではなく民家だったのだろうか?

集落

ここは入口が倒壊してしまい、中が丸見えになっている。ベニヤ板やブルーシートで覆わないのは、この島で悪さをするヤンキーとかいないからだろう。廃墟で一番懸念されるのが、その建物で悪さをする人が出没することだが、この島ならその懸念がない。

ここもパチンコ屋だろうか?

集落

「防犯システム設置」のステッカーが貼ってある建物。冗談みたいだ。

もちろん、今やこれも廃墟。

サッシの引き戸で、スナックっぽい雰囲気ではない。縄のれんと赤ちょうちんでもぶら下がっていたのかもしれない。

昔のこの界隈の様子を写した写真というのを見てみたかった。

集落

これはスナックっぽい建物。

ああいう飲み屋というのは、外から中が見えてはいけないという不文律があるのだろうか?洞窟のような、暗くて狭い空間でないと駄目、みたいな。

この建物はわざわざ建物表面にパネルのようなものを貼りつけ、のっぺりとした外壁にしている。そのほうがカッコイイのだろうか。

集落

こちらもスナック系のお店跡と思われる。

やっぱりパネルを貼ってのっぺりさせている。しかし、上を見ると瓦屋根。このギャップが面白い。もともとは和風建築だったんだけど、

「せっかくスナックをやるならちょっと洋風な建物にしないとカッコつかないよね」

とかなんとかで、パネルを貼って、ランプみたいな照明を入口につけて頑張ってみたのかもしれない。

集落

おっと、これはもう完全に個人宅だな。お店ではない。

結構立派な瓦屋根で重厚。

しかし・・・人は住んでいなさそうだ。雨戸がぴったり閉じている。しかし、ガス給湯器だけは比較的新しい。

ガス給湯器の前に、コンクリートで作った風呂桶のようなものが置いてある。これは多分防火用水か防火用砂が入っていたものだろう。以前、僕の実家の前にも置いてあったのでわかる。火事になったら、ここに入っている水か砂をかけて消火する。

建物が密集しているエリアだし、狭い店内で火気を扱ったりするとなると結構危険だ。火事への備えはちゃんとしていたのだろう。

集落

10:05
ここまでくればもうネオン街ではなくなってきたようだ。振り返ってみると、建物密集地は一区切りついたっぽい。

でも、石垣があるところを見ると、空き家になってさら地にした場所というのもあるようだ。

視線の先に、第一立坑のやぐらが見える。

ポスト

おっと!

真っ赤なポスト。

どきっとする。色あせたものばかりを見てきた中で、現役のものが急に現れたからだ。

このポスト周辺に住んでいる人なんて、果たして何人いることやら。ほとんどいないはずだけど、昔の名残で現存するポスト。毎日ゆうびんやさんが回収に来ているのだろうか?

民家

斜面が緩やかになってくると、現役の民家が見られるようになってきた。

道路幅も広くなってきた。家の作りも、土地が確保できるからかゆったりしている。

改めて、「なぜあんな急斜面の、狭いところに飲み屋街が密集したのか」というのが不思議。

鉱山の敷地にできるだけ接近して歓楽街を作ろうとして、ギリギリがあの場所だったのだろう。急斜面で狭くたって、団地に近いほうが客としてはありがたいわけだし。

あと、さすがに今いるこのあたりは江戸時代から続く集落地帯だ。ここに歓楽街を作るというわけにはいかなかったのだろう。

(つづく)

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