長崎の過去と今-58

朽ちていく建物、護られる建物(その58)

トロッコは坑道へ

我々を乗せたトロッコは、ゆっくりだけど力強くグイグイ進む。いよいよ前方に坑道が見えてきた。あれっ、こんなところにも行動があるんだ?

てっきり、山に入っていく坑道というのは、やぐらがある第一立坑と第二立坑、あと地図に記載があった斜坑の3カ所だと思っていた。なのでこのトロッコは一体どこへいくの?ジブローダーの近くまで連れて行ってくれるの?とおもっていたら、選炭所がある山のどてっ腹にそのまま突撃でございます。

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いやまだ心の準備ってものがですね。

そんなのどうでもいいから入るぞー。坑道に入るぞー。

あー!ジブローダー!トリンマー!さようなら!

くちたパイプ

これまで、足尾銅山やら石見銀山、佐渡金山、土肥金山・・・といろいろな鉱山を見てきたが、それらとはまったく違う大迫力が目の前に広がっている。しかも行動に入る手前から。

なにしろ、腐食してへし折れてしまったパイプが軌道のすぐ脇に転がっている。こういうのは、普通の施設ではお目にかからないものだ。

そもそも、多くの観光坑道はチョンマゲ時代の鉱山だ。歴史の教科書を三次元で見ている感じで、あんまり実感を伴わない。でもこの池島炭鉱を見よ!すでに過去の遺物になってはいるけど、まだ「自分たちと地続きの近現代のできごと」感がプンプンするではないか!匂い立つではないか!

興奮してしまう。

坑道内部

そしてトロッコは坑道奥へ。真っ暗な中に、ところどころ光が灯る。ヘッドライトが必要なほど暗くはないけど、雰囲気作りとしてこの装備は大事。テンションが嫌が上でも上がる。

トロッコを降りる

トロッコは坑道の途中で停車し、そこで全員が降りる。ここから先は徒歩だ。

とはいえ、それなりにトロッコは坑道内を疾走してくれたので、乗ったァ!という満足感は高かった。

逆に、「あれっ、もう終わり?」と仰天させられたのが足尾銅山で、坑道に入ったと思ったらもう終点だった。単に「トロッコ乗車体験」という位置づけなのだろう。その点池島炭鉱のトロッコは、がっつり移動のために使っている。

解説

坑道のあちこちに展示物があり、それをガイドさんが説明してくれる。実際にこの山に長年潜り続けてきたホンモノの炭鉱マンなので、話している内容に説得力があっておもしろい。

そして、展示物が「チョンマゲ時代の、人海戦術作戦」ではなくれっきとした科学技術にもとづいたものなので、ますます面白い。「安全衛生」という概念がちゃんとある世界の話だ。

ガイドさんが手にしているドリルを僕も持たせてもらったが、まさに鉄の塊といった重さで「うおっ」とうめいてしまった。マネキンが坑道内で動いて当時の様子を伝える炭鉱とはぜんぜんちがう。実体験できる。

鉱山の中のいろいろなもの

あれこれ並べられた展示物。

いろいろ説明があったけど、覚えきれなかった。

解説

解説

パネルを前に説明を受けるツアー一同。

ばばろあ

神妙な顔つきのばばろあ。

彼は仕事柄工事現場に行くこともある。そんな彼は、

「安全確認ってほんま大事で。しょーもないと思っても、ちゃんと声を出して、指差し確認せんと絶対気が緩むけぇ。最近のやつらはその辺がいい加減じゃけえ、いつか怪我するで、ってハラハラさせられるわ」

と言っていた。だからこそ、池島の挨拶言葉「ご安全に」というのは身をもって大切だとわかるのだろう。

坑道

幻想的な坑道。

このあたりはコンクリートで周囲をガッチリ固めて、ひろびろしている。これだったら人が通るどころか機械の運搬だって余裕だろう。

しかし、こんな広いのはごく一部で、奥の方に行けば狭くてたまらん坑道がゴロゴロしているのだろう。もっとも、近代鉱山なので、「人一人通るのがやっと」という坑道はないけども。

(つづく)

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