長崎の過去と今-62

朽ちていく建物、護られる建物(その62)

トロッコを降り、最初集合した会議室で装備を返却して解散となった。引き続き島内散策をする人は居残り、夕方くらいまでさらにいろいろ見せてもらうようだ。いいなぁ。

一方の僕らは、案の定神浦行きの船には間に合わず、瀬戸行きの船に乗ることになった。瀬戸まで行って、そこからバスで神浦まで行くことになる。

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土地勘のない場所でのバス路線を調べるのは本当に難儀だ。バス路線というのは地元密着型なので、A地点からB地点までを最短距離では結んでおらず、とんでもない大回りをすることがある。しかもマニアックな地名の停留所名で、一見さんには理解が難しい。

我々も、各自がスマホで調べたのだけど、スマホの小さな画面で「瀬戸港界隈を走るバスが存在するかどうか」を調べるのには苦労した。ないはずがない、と調べたのだけど、少なくとも「瀬戸港」という都合のよい名前のバス停がないことは確かだった。

調べているうちに、どうやら瀬戸港の近くに「板の浦」というバスの始発地があり、そこから外海を南下するバスが出ているらしい。行き先は「桜の里ターミナル」。ああややこしい、どこだよそれ。この「桜の里」は、昨日お昼を食べた水産食堂のあたりらしい。ええと、ということはおそらく・・・神浦港を通るよな?まさか、内陸部を走って素通り、ってことはないよな?

ありえなくはない、というのがバス路線の怖いところだけど、大丈夫と思うしかない。

板の浦バス停はちょっと港から離れている。とはいえ、まさか港の近くにバス停がないとは思えない。何故だ、何故「瀬戸港」というバス停がない?桟橋のすぐ目の前を国道が走っているのだし、徒歩0分でバス停があってもいいはずだ。

そのかわり見つかったのは、「NTT大瀬戸」というバス停。NTTの局舎はどこだ?と思って探してみると、フェリーターミナルからちょっと離れたところに発見した。あ、海沿いの国道とは別の、旧道をバスが走っているのか。

こういうのもバスの怖いところだ。幹線道を走っているとは限らない。裏道だって、住民のニーズがあるなら平気で走る。

池島地図

瀬戸港行きフェリーの出発時間までまだ時間があるので、港ショッピングセンターに行ってみる。

角打ちで酒が飲めたというひろせ酒店は既に閉店しているけど、丸木ストアーはまだやっているはずだ。

・・・閉まっていた。あれれ。

後で知ったが、丸木ストアーも閉店してしまったのだそうだ。2016年の出来事だったというから、つい最近だ。ああ、これでまた池島の灯りがひとつ消えた。

このため、炭鉱弁当をツアー客に予約販売している「みなと亭」を除くと、普通にお買い物ができるお店は「かあちゃんの店」ただひとつ、というのが2017年における池島の現状。かあちゃんの店は昨日見たとおり、生活用品全般を取り揃えているわけではない。なので、もうこの島では生きていくのもかなりの修行になりつつある。

週に何度か、車の移動スーパーが本土からやってくるそうだ。さすがにそうだ、毎回毎回、お買い物のたびに本土まで船で渡るというのは大変すぎる。

港ショッピングセンターには、我々をガイドしてくれた池島炭鉱さるくの事務所があるだけだった。その事務所には、池島の地図が大きく張り出してあった。いつのものだろう?

チケットを買う

池島港に行く。

窓口で乗船券が売られているので、チケットを購入。ミシン目が付いた券になっている。

片方が乗船券、もう片方が上陸券という名前が付いている。

乗船券は船に乗るときにもぎられたけど、上陸券は下船時に回収されなかった。領収書的な位置づけになっている。

片道、440円。一応「2等」と書いてあるけど、1等客室はない。所詮片道30分の航路だ、豪華な席を作っても満喫する暇がない。

フェリーがやってきた

フェリーがやってきた。午前中見かけたときと同様、かなりユッサユッサと揺れながら。

かなり浮力がある船なのか、水面からずいぶん浮き上がって見える。そのせいで揺れているように見えるのかもしれない。

フェリーがやってきた方向を見ると、神浦からだった。神浦、池島、瀬戸の3港をこのフェリーは行ったり来たりしているらしい。一方、漁船のような小ささの「進栄丸」は神浦-池島限定で、僕らが一度も見かけなかった高速船は瀬戸-池島限定だ。

フェリーに乗る

フェリーに乗り込む。

結構池島に上陸してくる人が多くてびっくりだ。それもそのはず、午後の炭鉱ツアーはこの船の到着を待って開始となる。午後のツアーに申し込んだ人が来島したのだろう。

たとえ数十名規模のツアーであっても、なにしろ島民が200人もいない場所だ。とてつもなく賑わって見える。

フェリー客席

フェリーの客席。

カーペット敷きでゴロンとするような場所はなく、シート席のみ。

池島港を出発

「もったいない精神」旺盛な僕は、客席にいるのが惜しいので一人デッキへ。潮風を感じながら、出港を見守った。

池島炭鉱遠景

池島炭鉱を最後に見る。

いやあ、すごい島だった。

池島遠景

遠ざかる池島。

インパクトにおいては、軍艦島よりはるかに上だった。つくづくすごい場所だ。

軍艦島も池島も、どんどん老朽化していく施設。とはいえ、軍艦島は既に朽ち果てた島だ。どっちかひとつしか見られないなら、ぜひ池島を優先させたほうがいい。

(つづく)

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