ますゐ詣で2019迎春-フォーエバー・サービストンカツ-

烏龍茶

お座敷に入ってみたら、既に僕ら3人以外の全員が揃っていた。みんな早いな。お座敷の予約を伝えていなかったのに。

驚いたのが、初対面となるひでくご夫妻も既にいらっしゃっていたこと。おいちょっと待て、僕がいなくてもみんな集まることができるんか。自分の存在が「お飾り」であるということに人生45年、ようやく気がつく。

それは冗談だけど、新年早々1月4日から、ますゐを食べるぞ!という熱い意欲でこうも人々は集えるものなのか、と感心させられる。

無事一年、年を重ねられたんだからあとはもうどうなってもイイ!ということなのだろう。

よーしお前らいい根性だ。今晩はしこたまますゐを満喫するがいい!

この日集まったのは、なんと9名。弱小サイトのアワレみ隊OnTheWeb、オフ会募集をしても人が集まらないのが日常だ。しかし、地元広島だと、そして「ますゐ」というキラーコンテンツだと、人が集まる。これはもう、僕の人徳なんて全くないに等しく、いかに「ますゐ」が偉大なのか、ということの証明だ。

そんな話をしだすと、いつまで経っても注文ができない。

毎度毎度、そうだ。みんながお座敷に集まって、ファーストオーダーが通るまで、10分から15分かかってしまう。雑談をしてしまったり、料理の話だったり。誰かが「もうええ加減にせえ」とたしなめないと、話がまとまらない。

ひとまず、店員さんに「すいません、紙とペンください。注文はまとめてこっちで書くので」というオーダーを通すところからはじめる。

昔っからそうだ。こういう、変なオーダーをするということで、僕はなんとなく「ますゐの常連」っぽい気分になる。実際は数年に一度しか「ますゐ」には来ていないのだけど。

あと、変なオーダーといえば、これも毎度の定番。「烏龍茶をペットボトルでください」。

メニューにはないものだけど、頼めば出してくれる。値段はいくらなのか、昔も今も知らない。実はスゲー高いかもしれないけど、さすがにそれはないだろう。きっと割安、だと思う。

恩師

飲み物のオーダーをするだけで一悶着していたところで、お座敷の一番奥にいた白髪のジジイ・・・じゃなかった、ええと、おっちゃんが

「おい、わしにちょっと喋らせえや」

と言いだし、中腰になって語り始めた。

この人は、実は僕の恩師だ。中学・高校時代、大変にお世話になった。担任だったことは一度もないのだけど、僕が所属していたブラスバンド部の顧問として、ずいぶん可愛がってもらったものだ。当時、僕の変人性をもっとも評価してくれた人だ。

その恩師からは、以前から「わし、ますゐが好きなんじゃ。ますゐに集まる時があるんなら、わしも呼べえや」と仰ってた。冗談なのかと思ったら、先日同級生の結婚式で久し振りにお会いした際にも同じ事を言われた。ああ、これはガチなのか、と今頃納得し、今回お声がけした次第だ。

まあ、「高校の同窓会」でもない、僕が運営するサイトのオフ会だ。まさか参加しないだろう、と思っていたら、本当にいらっしゃった。この人、1945年生まれだぞ。僕らの親世代だ。なんというアクティブさよ。

「ご存じない方も参加されますけど、いいんですか?」

と念のため聞いてみたら、

「むしろ面白いじゃろ」

と平然としている。さすが教職についていた人は、度胸がある。で、今日これですよ。

しゃべり出した恩師(パオさん、と呼ばれている)は、

「昔は横川(広島市西区にある地名)にもますゐがあって、そのすぐ側に住んどったことがあったんですよ」

まじか!横川にお店があったのは知っていたけど、パオさんがそのご近所さんだったとは知らなかった。

そこから、自分なりのますゐ愛を語る語る。ああ、この人僕らと世代が違うけど、その分みっちりと詰まったますゐ愛好家だ。

「広島の外からやってきた人にお薦めできるお店は、『源蔵』か『ますゐ』よ」

と自信たっぷりに断言し、このあとしばらくは広島ローカルの居酒屋「源蔵」の話にもなった(広島市の人なら、源三を知っている人は多いだろう)。

幅広い人脈をお持ちの方なので、「(サックスプレーヤーの)坂田明が広島に来たときには、どこそこのお店に連れて行った」みたいな話もポンポン出てきて、さすがだった。ジジイの戯れ言にはならず、端的に盛り上がりのある話をきっちり語れるのは、教壇に立っていた人ならではのセンスだろう。

そんなパオさんの話を聞いているのは、ばばろあと、ちぇるのぶ。

蛋白質としうめえ

そして、しうめえと蛋白質。

実は、この席にはアワレみ隊が5名もいる、という久々の珍しい状況だった。

アワレみ隊のうち、ひびさんを除く全員が高校時代の同級生だ。なので、この場にいる面々は全員パオさんのお世話になった「教え子」になる。

一平ちゃん

そんな内輪的な席になってしまったので、初参加となるひでくご夫妻と一平ちゃんにはちょっと申し訳なかったのだけど、こういう空気感でも楽しんでもらえたようだ。ひとまず良かった。

パオさんやら僕が、なんとか汎用的な、学校とは無縁な話題を振るんだけど、すぐにちぇるのぶが割り込んで話を内輪に持っていき、それに蛋白質が大げさな突っ込みを入れる。そういう展開がずっと続いて、なんだかこれはこれで、内輪を超越した変な世界観で面白いかも、とは思った。

一平ちゃんはアウェイとはいえ、古くから「ますゐ全メニュー制覇プロジェクト」に参加していた男だ。もう、身内の一部だ。というか、この場にいる奴ら、ひでくご夫妻も含めてみんな仲間だー。わー。

一平ちゃんは酔狂で作った「ますゐTシャツ」を着るやら、わざわざ家から「ますゐマグカップ」を持参するやら、ますゐ愛とその歴史の長さを存分に発揮していた。

ますゐマグカップは何故か3つも購入しているという、それくらい一平ちゃんは「これだと思ったら、カネを惜しまない男」だ。ちなみに僕は一個も持っていない。自分用に、と思っていたのが1個あったのだけど、ますゐ社長(当時。今はお亡くなりになった)から羨ましがられ、譲ったからだ。そんな貴重なもの。(蛋白質の前に置かれている箱がそれ)

Tシャツを作ったのは、2006年のことだ。今から13年前。

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よくぞまあ、今でも大事に保管していたものだ。なにせ、アイロンがけされて折り目ぴっちりのやつだもの。

ますゐ詣では、こうやって世代も時代も飛び越して、いろいろ重なり合い、見つめ合う、そんなスクランブル交差点なのです。

ますゐ料理

料理の注文については、案の定紛糾。

9名いることだし、卓上にはガスコンロが2つあるし、寿き焼きを頼んじゃおうぜ、という話にはなった。しかし、「両方とも普通のすき焼きでええんじゃないか」説と、「片方をかき入りすき焼きにしようぜ」説が交錯。

「いや、片方だけかき入りにしても、一人1個も牡蠣は食えないんじゃないのか?それだと意味がないんじゃないか?」

みたいな話を、延々と。

で、そっちの議論が白熱している間に、他のメニュー選定がおそろかになってしまうという。

何しろ、上は74歳の御大がいて、一番下の一平ちゃんでも・・・ええと、何歳だったっけ。40前後?というわけで、みなさんそれなりのナイスミドル(おかでん含む)だ。

パオさんに至っては、年齢的にみて「サービストンカツだけで、わしはええわ」とか言いかねない。昔みたいに、「目に付いたものを全部頼んでやれ」というのは、たぶんできない。

できるだけ、「食べたことがないメニュー」を頼みたい。とはいえ、もはや何を食べたことがあって、何を食べたことがないのか、全く覚えていない。「これって初めてだよな!?」と言いながら頼んだメニューが、実は食べたことがあった、というのは過去に何度もある。

これは「白肉の天ぷら」980円。

白肉、というのは広島以外の人にはあまり馴染みのない言葉かもしれない。牛肉の胃袋、「ミノ」のことだ。「ああ、ミノならよく食べるよ、焼肉店で」という方は多いと思うが、じゃあそのミノを天ぷらで食べたことはありますか?というと、殆どの方は「いや、天ぷらは知らないよ」と答えるだろう。

広島界隈独特の、B級グルメだ。

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ホルモンを天ぷらにして食べる、という独特の食文化は、一度改めてオフ会形式で食べ歩きをしてみたいと思っている。改めて、「いろいろなパターンのお好み焼きを食べ歩く」「ホルモン天ぷらを食べ歩く」「ますゐ詣で」「源蔵で宴会」を組み合わせた、「広島グルメ食べ歩きオフ」をやりたいものだ。

白肉の天ぷらは、ひょっとして食べたことがなかったかも?と思って頼んでみたけど、ああ、これは食べたことがあるやつやー。まあ、なかなか広島以外では食べられない料理なので、頼んでよかったけど。ただし、わざわざますゐで食べるべきかどうかというのは別の話。

ますゐ料理

寿き焼きは、結局鍋二つとも、「ロース寿き焼き」1,980円になった。

ちぇるのぶが鍋に手を出そうとして、仲居さんにとめられた。料理ができるまでは、我々はアホな顔をしてひたすら仲居さんの調理を見守ることになる。これぞプロの技よ。

ますゐ料理

肉を炒めてから、野菜を入れ、そして割下を注ぐ。じゅううう、と音がして、一同「うひょう」とテンションが上がる。

ますゐ料理

すき焼きって、「時間の藝術」でもあるよな。時間と共に、肉と野菜が煮えていく。その様をじっと見つめる大人達。

ますゐ料理

じっと見過ぎて、ちょっと肉に火が通り過ぎたかもしれない。早く食べないと。

あれ?サービストンカツはって?大丈夫、それはそれで頼んである。サービストンカツはライス付きなのがうれしい。で、すき焼きでご飯が食べたくなったら、サービストンカツを頼め、というのが我々のジャスティスだ。

ご飯のおまけにトンカツが付いている・・・それくらいの、価格破壊なのがサービストンカツだ。なにせ350円なのだから。そりゃあ、値上げするぜ。当たり前だよ。

(つづく)

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