高山を駆ける死神の群れ【大キレット越え】

登場人物(2名)
おかでん:いや、もう特に書くことはないです。
おかでん兄:上に同じく。定番のメンバーですね。

2002年08月31日(土) 1日目

新宿→上高地→ヒュッテ大槍

都庁地下のバス乗り場

今回は、日本の登山愛好家ならば一度は登りたい・攻めたいと願って止まない山・槍ヶ岳、穂高岳に行くのである。へべれけ紀行取材班としても、気合いを入れて行くぞ、と気合いが入っている(変な日本語)状態。

しかし、行けそうで行けないのがこの山。上高地からのアプローチが長いという地理的な理由もあるが、とにかく山小屋が混むという話をやたらと聞くからだ。

実は、昨年劔岳・立山に登った時だって、直前までは穂高岳に登る予定になっていた。しかし、紅葉シーズンだったということもあり、涸沢の山小屋は「1畳につき4名が押し込まれて寝る」という人道上問題があるのではないかと国連人権弁務官に直訴したくなるありさまだということで、断念したという経緯がある。

ではなぜ今回はそんな非道の山に向かうのかというと、ピークとなるタイミングを微妙にずらしたからに他ならない。まず、意外に感じるかもしれないが、8月下旬は登山シーズンとしては「一段落」している時期だ。これは、午後になると夕立・雷雨が襲ってくるため、午後の行動が大幅に制限されるという事と、台風シーズンに突入しているということに起因する。

何しろ3,000mクラスの山になると、あっけなく天気はかわる。沖縄あたりに台風があるだけで、本州の山の天気が影響を受けてしまうくらいだ。だから、天気図を見て、日本近海に台風が無い事を確認した上で山に入らないといけないわけだ。・・・8月から9月にかけて、そんな都合の良い日ってあんまり無い。

そんなこんなで、8月下旬というのは登山屋からするとイマイチな時期なんである。

さらに、今回は念を入れて、土曜日夜の出発とした。行程は2泊3日+行きのバス車中泊1泊なので、帰京できるのは火曜日夜。すなわち、月曜日・火曜日という2日間を有給休暇で確保している。こうすることで、週末ハイカー達の群れから少しでも離れようという魂胆なんである。

さわやか信州号の前で

さて、ご託はどうでもいい。話を旅に戻そう。

出発は、新宿の東京都庁地下駐車場からだった。「さわやか信州号」という、上高地直行夜行バスに乗る。

ちなみに、上高地は多数の観光客によるオーバーユースを防ぐため、一般車両の乗り入れは禁止されている。観光バスもしくは乗り合いバスで入るしか方法はない(歩く、というパターンもあるがこれは相当面倒)。普通だと、中央本線で松本まで行き、そこから松本電鉄で新島々まで向かい、さらにそこで上高地行きのバスに乗る、という面倒な乗り換えが発生する。しかし、この「さわやか信州号」だと目が覚めたらそこはもう上高地、というわけだ。おお、なんというさわやかさだ。

4列シート
肩幅よりも狭いシート

・・・おい、ちょっと待て。どこが「さわやか」なんだ、どこが。

まず、都庁地下駐車場は熱がこもっており、じとっと暑い。立っているだけで蒸し風呂にいるかのようにべったりと汗をかいてしまう。これはイカンと水分補給用の何かを購入しようとしたが、周囲にはコンビニが存在せず、途方に暮れる。

バスに乗車すればクーラーが効いているだろうと、ほうほうの体で乗り込んでみれば、ああ、クーラーが効いていない。そりゃそうだ、こんな穴蔵みたいな駐車場でバスがアイドリングしていたら、駐車場の人たちが一酸化炭素中毒で集団死亡してしまう。大体、アイドリングは東京都条例違反だ。さすがに都庁の真下で条例違反はできないだろう。

んなこたぁどうでもいい。おい、この椅子は何だ。一列4人掛けっすか。寝られないぞぉ、こんな状態では。隣と肩がぶつかること必至。男同士でそれはイヤだ。うなされそうな予感。山に登るために体力を温存しておきたいところだったのだが、これは恐らく上高地到着時点で相当激しいやつをお見舞いされてぐったりしている事になる。ぐは。

それに追い打ちをかけるのが、出発直後の運転手のあいさつ。

運転手 「このバスは、調布インターから中央高速に乗りまして、大月を過ぎた辺りで下道に下りて、一路上高地に向かいます」

兄 「おい、何だそりゃ。お金ケチらないでさっさと上高地行ってくれればいいのに」

おかでん 「普通、首都高速新宿ランプから入って、松本インターで下りるよな。下道を走るってことは、揺すられるぞぉこりゃあ」

兄 「大体、『一路』って何だよ。遠回りしてるじゃないか」

運転手 「途中、休憩として2回、だいたい2時間おき程度に停まってまいります」

おかでん 「うえええ、2時間かよ。このバス、俺たちを寝させないつもりだぞ!?」

兄 「うとうとしたと思ったら起こす。拷問だな」

運転手 「沢渡でバスの乗り換えがありますので、そこでお荷物を積み替えていただきます」

おかでん 「お、おい、沢渡でバス乗り換えだと。一路じゃないじゃん」

2002年09月01日(日) 2日目

沢渡でバス乗り換え

朝5時すぎ。沢渡到着。ここで低公害型バスに乗り換えとなった。

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