業務:雪だるま制作班見習い【SOボランティア記録】

2005年02月27日(日) 4日目

チキンラーメン号がやってくるらしい

2月27日(日)、4日目。この日からヘルプデスク班の勤務時間は朝7時から8時に遅くなった。比較的ゆったりとした出勤となった。とはいっても、あいかわらず朝が早いのだが。その代わり、15時には仕事が終わるので、あまり負担感はない。

この日は、入り口脇に見慣れないポスターが貼ってあった。「チキンラーメン号がやってくる!」とかかれている。無料試食会実施?そりゃすごい。

チキンラーメン号

なるほど、確かに見慣れないワゴン車が停まっている。最近よくオフィス街のお昼時に見かける移動屋台用車だ。チキンラーメンのヒヨコロゴが描かれている。スタッフの方に「無料試食できるんですか?」と聞いたら、自信たっぷりに「ええ、できますよ。ぜひ食べていってください」というありがたいお言葉が。喜んで、試食させてもらうことにした。

小さなカップにチキンラーメンを。

スチロールカップに小さなチキンラーメンを入れ、お湯を注いではいできあがり。おお、さすがチキンラーメンだ。めっぽう早い。こういうところは他のラーメンではまねできない。麺の中にスープ成分が仕込んであるチキンラーメンならではだ。

チキンラーメンを試食

要員控室に戻って、チキンラーメンを試食。うん、おいしい。というか、今更試食しなくても十分この味がうまいってのは判っているんだけどね。チキンラーメンを世に広めよう、というよりも日清の企業イメージ向上を狙っての施策だろうか。

スタッフの方にどこから来たんですか?と聞いてみたら、「大阪を起点にして全国行脚をしている」という。まさに旅ガラス状態で、ご苦労様ですとしか言いようがない。でも、この無料試食は非常にうれしかったので、今後もあっちこっちで試食会を続けていってほしい。

来場者が多数到着

昨日、晴れて開会式があったということもあって、今日から会場も本格始動だ。昨日も予選を行っていたのだが、昨日と今日では人の入りが全然違う。今日は、観光バスで乗り付けて見学に来る人が結構いた。

逆に言えば、「イベント好きな一般人」「スノーシュー大好き一般人」といった、「ちょっと試合観戦に来ましたよ」という人はあまりいなかったようだ。これは、全日通じてそういう傾向だった。やはり、知的発達障がい者の活動に関心がある人でないと、見に来るような事はないのだろう。まあ、確かに自分自身どうだと言われたら、遠路はるばる見に行く気にはなかなかならないのが正直なところだ。

昨日まで暇そうにしていたインフォメーションコーナーのスタッフが大忙しだった。

物販コーナーも充実

チキンラーメン屋台が出ているというのが今日の大きなトピックスだったが、観客ゾーンまでの地下道にも変化があった。長机を並べて、物販コーナーができていたのだった。

ピンバッジや人形、ストラップなどのSOオフィシャルグッズを売る店、Tシャツやフリースを売るミズノ、記念切手を売る郵便局。そして、軽食や飲み物を売るお店も出ていた。

秀逸だったのは、北信の地図が描かれているところに、SOの競技会場各地にちなんだ記念切手が貼られているという記念切手台帳だった。各競技会場の郵便局のスタンプが、それぞれ今日の日付で押されている。気が利いているので、ついつい買ってしまった。

そういえば、この競技会場内にはジュースの自動販売機すら存在しない。飲食物を取り扱う出店がない限り、来場者は持ち込みする以外は飲み食いができない事になる。そういう点では、飲食物出店はライフラインとも言えるお店だ。しかし、笑えるのが、SOの公式スポンサーとしてコカコーラが鎮座しているので、売れる飲み物はコカコーラ製品のみに限定されていたということだった。なるほど。

面白かったので、店員さんとあれこれしゃべってみた。

「どうです、売れてますか?」
「いやー、駄目ですねえ」
「ですよねー、今日、チキンラーメンの屋台が出てますし。お客さんの数より多いボランティアたちはお弁当と飲み物が出ますからね」
「そうなんですよねー。」
「チキンラーメン屋台がやってきたのでびっくり、おいこら仕事の妨害をしちゃいかん、みたいな感じですか?」
「いや、屋台が出るってのは聞いていたんですけどね」
「じゃ、なんでわざわざ今日出店したんですか?相当苦戦しますよね、何しろあちらさんは無料試食ときたもんだ」
「いやー、まあ、今回、野沢温泉会場じゃなくって、別の会場なんですけどね、スタッフ用のお弁当の提供をさせてもらったりしてまして、そういうお付き合いもあってこちらに出店したんですけど」
「あー、そういうつきあいの世界ってやつですかあ。なるほど、いろいろありますね。で、こちらのお店としてはチキンラーメンに対抗してどんな売り物が?」
「そうですねー、峠の釜飯なんてありますよ」
「お!峠の釜飯!いいじゃないですか、遠方から来た人は、買うんじゃないですか?キラーコンテンツじゃないですか。もっとPRしないと!」
「いや、でも今日はもう売り切れちゃいまして。横川から朝運んでくるので、数があまり確保できないんですよ・・・」
「あらら。ちなみに普段はどちらでお仕事されてるんですか?野沢温泉なんですか?」
「あ、いえ、普段は長野IC出てすぐのところで働いて居るんですよ。で、イベントがあるとこうやって出店を出すんですけど。おぎのやって知ってます?」
「え?おぎのやさんですか!?なんだ、峠の釜飯の会社じゃないですか。あー、長野IC出たところに大きなドライブインあるなあ。昔朝ご飯食べたことがある」

おぎのやがこういう出店をやっているというのは意外だった。最後、「チキンラーメンに負けないで頑張ってくださいねー」と激励して、店員さんと別れた。

競技会場では試合が続く

競技会場では、競技が続けられていた。自分の業務に没頭していたら、競技を見ることができるボランティアというのはほぼ皆無だ。なぜならば、みんな各自の持ち場があって、そのほとんどが競技会場以外の場所だからだ。

知り合いになった人が業務班に所属していたが、彼は朝、2トントラックに乗り込み選手宿舎を巡ることから仕事が始まる。選手宿舎で出た食事のゴミを集め、会場に戻ってから仕分けをするという作業をずっとやっていた。宿舎は何軒もあるし、人数も多いことから何往復かすることになるらしい。

面白いのは、選手団の食事というのはどの宿に泊まろうが、どの会場に滞在しようが一緒ということだ。宿のご飯を食べればいいじゃん、と思うのだが、理由は不明だが全員同じものを食べることになる。宿の食事に格差があったら不公平だ、とかそういう理由があるのだろうか?統一レシピが選手団宿舎に配られているようで、調理は宿が行うけど食材と料理は全員一緒となる。その料理を盛りつけるトレイも、専用のものが用意されていてこれも全選手一緒だとか。不思議な文化だ。

選手団宿舎に足を踏み入れることが無かったので、実物を見たことはないのだが相当しんどい食べ物だったと聞く。一例を挙げると、「ラザニアがあって、スパゲティがあって、フライドポテトがあって、バターライスがあって、パンが2個」とかそんな内容らしい。兎に角、徹底して白米は出ないという。確かに、東アジア圏の人しか白米は食べないだろうから、万国受けする料理を選ぶとなるとこんな結果になるのだろう。

「一食だけならいいけど、開催期間中毎日だからね」と、あるDALは溜息混じりに語っていた。DALは選手団と寝起きを共にするので、食事もバターライスなやつを食べないといけないからたまらない。

ボリュームは結構あるらしい。全部食べなさい、というよりも、人によって宗教的な禁忌や好き嫌いがあるだろうから、えり好みして食べてね、という趣旨と思われる。しかし、それをさっ引いても結構な残飯が出たという話を聞いた。日本選手団もギブアップしたと聞いた。日本選手団だったら宿のご飯を食べた方がはるかにおいしいだろうに、世界大会ともなると大変だ。聞くところによると、その「給食」をキャンセルして、村内のラーメン屋に食べにでかけた選手団もあったらしい。ま、そりゃそうだわな。

800m競走の予選

この日は800m競走の予選が行われていた。ヨーイドンで全員我先に全力疾走するのはいいが、400mトラックを一周した時点でけっこうペースダウン、800mを走り終わる頃にはへろへろになっている状態。普通に走るよりも相当負荷がかかるスノーシューなので、中長距離になると相当しんどいらしい。

予選段階なのでレベル差は相当激しく、トップでゴールインしたアスリートに周回遅れにされそうな最下位アスリートがいたりする。観客、ボランティア、競技運営スタッフ全員が「がんばれー」と絶叫して、最下位アスリートを後押し。

圧倒的だったのが、北欧から参加しているアスリートたちだった。もう、なんともはやダントツ。どのディビジョンにおいても、北欧アスリートが圧勝していた。手足が長くて、その体の特徴を最大限生かしてぐいぐいと前に進む。さすがは北極圏の国。スノーシューを完全に体の一部にしとる。

プレハブ小屋

ゴールラインの脇に用意されているプレハブ小屋二軒。手前がアナウンス室で、奥がタイミング室になる。

アナウンサーもボランティア。どこかの局アナとかそういう事はなく、普通の人だった(と、思う。もしプロの方だったらすまん)。日本語アナと英語アナの二人がスタンバイ。

奥のタイミング室には、非常に気むずかしい顔をしたGMSオペレーター達がひしめいている。競技記録をシステム投入する立場にあるので、非常にぴりぴりしている。

途中、GMSに繋がらないといった障害が発生したときは相当雰囲気が悪かったらしい。班長が一人でその件は対応していたが、「カトウ(長野市内の大会本部にいる情報通信部のえらいひと)を呼べ!今すぐ呼べ!」とむちゃなオーダーまで出てきたらしい。

メタフレームを使っているので、PC画面にはまさにGMSのシステムが動いているわけだが、実際のGMSアプリケーションそのものは長野市のデータセンタにあるサーバ内にある。だから、GMSがトラブったら全会場麻痺状態に陥るのだった。末端会場の野沢ではどうにもならない。まさに会場端末はシンクライアントだ。深刻な通信障害を想定して、バックアップサーバがタイミング室内にはあるので、万が一の時はそちらに切り替えれば一時しのぎはできる。しかも、最後の手段として「手動測定、手書き記録」という方法も残してあるので、システムトラブルにより競技中断ということはないわけだが。

ご覧の通り、プレハブ小屋は雪に半分埋まっている。こんなところにPCやプリンタが置いてあるから凄い。ヘルプデスク班の中に、ゼロックス勤務の方がいらっしゃったのだが、彼曰く「こんな環境にプリンタを持ち込もうとしたこと自体凄い。普通あり得ない」ということだった。そりゃ、電気毛布かけないと結露するわ、こりゃ。多分室内の暖房を切ったら、昼間でも即氷点下だ。

タイミングシステム

タイミング室の屋根に据え付けられていたタイミングシステム。

SEIKO製。こういう競技会場ではSEIKOが大活躍だ。

八連タイム表示

こちらもSEIKO製の八連タイム表示と、一連タイム表示器。この会場にはこの手の設備が常設されていないので、今回臨時設置されていた。

これまたSOならではの発想なのだろうが、八連表示器に表示されるタイムは、上から「ゼッケンナンバー順」だった。早いモノ順、ではないというわけだ。勝ち負けが重視されるわけではないんだよ、ということだろう。それにしても、非常に見にくい。

聖火

おや。聖火がいつのまにか。気づかなかった。

ヘルプデスク班班長からおかでんご指名で呼び出しを受けたので、オフィスに顔を出すと「スノーシュー会場の聖火写真を撮影して本部に電送したい。しかしキャノンのデジカメは使い方がいまいちよくわからんので、おかでん君使えるかね」というものだった。

んなわけで、借り物のカメラを手に会場内をうろうろ。これも仕事のうち、ということで。

ヘルプデスクはこんな仕事もやるのですな。

アスリートが手を振っている

会場では折しも100m予選が繰り広げられていた。

先頭でゴールインしたアスリートから遅れること・・・数分かな、全く走らないで歩きながら周りに手を振っているアスリートをバックに、聖火を一枚。なかなかいい感じだ。

警察消防が常にスタンバイしている

会場には、パトカー2台と救急車がスタンバイしていた。警察官&救急隊員用の控え室が入り口脇に用意されていて、大会期間中はずっとそこでお巡りさんたちが待機していた。幸い出動することは無かったようだが、それにしても非常に大がかりな体制だ。

奥には、NHKの中継車が見える。こういうイベントに興味を示すのはNHKと地元新聞(信濃毎日新聞)くらいなのか。

ちなみにNHK中継車とパトカーの間に挟まれて駐車しているのは、大会運営スタッフが借りているレンタカー。全てトヨタレンタカーで統一されていた。こういうところにも、スポンサーの影響がでる。レンタカーには全て赤い大会ロゴシールが貼られていて、遠目でも識別ができるようになっていた。この会場は公道のどん詰まりにあり、なおかつ駐車場が広くない。だから、この会場の手前1kmくらいのところで交通規制が敷かれ、関係車両以外は立ち入りができないようになっていた。

そういう、大規模な「しくみ」がこの大会だけのために作られているという事実。ものすごくわくわくさせられる。

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