地獄と山のマリアージュ【阿蘇山・九重連山】

かなり勢いよくわき出る冷泉

早速入ることにする。

といっても、周辺の撮影で既に数分が経過している。

本来なら、「ひとまず入浴して汗を流してから、じっくり撮影しよう」となるはずだ。なにせ、こちとら山登ってきた直後だ。体はべたついているし、頭はばさばさだ。

しかしねぇ・・・ちょっとだけ入るの、躊躇するんスわ。

光線の加減だと思うが、青みがかかった色をした水がなみなみと張られている。それが、静かにたたずんでいるならまだしも、さざ波がけっこう荒く立っているのだった。そりゃそうだ、飲泉所であれだけ豪快に放水していたんだから、湧き出ている場所まさにその真上となると毎分2,160リットルをモロに体感することになる。流水プールのようなものだ。

想像してほしい。スーパー銭湯で、水風呂に入るじゃあないですか。あのとき、「うう、寒い」と思いながらも我慢はできる。しかし、隣に別の人がざばーと入ってくると、その波動で体温が急激に奪われ、寒い!ギブ!となる。誰もが経験あるだろう。まさにそれが四六時中、天然に発生していることになるわけだ。水温14度ということだが、体感温度はそれ以下と想像される。

そもそも、スーパー銭湯の水風呂って大抵19度前後ある。小学校の時、体育の授業でプールができるのは水温25度以上の時に限っていた。そんなことを考えると、14度の水に浸かるってなかなか無い経験であり、即ち地獄なんである。

まあ、それが楽しみでこの宿にやってきたわけだけど。ひととおり撮影が済んだことだし、意を決して入ってみますかね。

ぎゃー

ぎゃー

思わず声を出してしまった。

この写真は、デジカメのセルフタイマーをセットし、すぐに湯船に飛び込んだ一発目の写真だ。想像していた以上に冷たくて悲鳴を上げている。これ、やらせじゃないからね。本当の寒さだ。

当然、セルフタイマー10秒でセットされているので、湯船にはこの撮影の5秒前には入水している。その時点で絶叫は開始されているわけで、要するに5秒近く口が限界まで開かれた状態で「うわああああ」と叫んでしまっていた、ということだ。

放射能が体内を突き抜けた感じ、と言うとヘンだが、寒さが全身を貫き通すのですよ。体表面の体温をまず奪って、段階的に体内の温度を奪う、なんて悠長な世界ではない。いきなり体の芯まで突き刺さる寒さ。これは高血圧の方には無理。一気に血圧があがって卒倒する。

ゴウゴウと水が流れる

フィットネスクラブやスーパー銭湯で水風呂に入ることはよくあるが、せいぜい5分といったところだ。今回目標にしている「15分間」というのは相当ハードルが高い。しかも水温が低い。さらに、常に水が流動している。

湯船のへりに溢れた水が流れ込む穴が空いていたが、そこに勢いよく水が吸い込まれていく。洪水だ、これは。

覚悟を決めて、ひたすら耐える。

耐える。

眺めるのは、時計だけ。何か曲でも歌って誤魔化そうと思っても、陽気な曲なんて思いつかない。ただひたすら時計の秒針が動くのをじっと眺め、「あと○分」とカウントダウンするしかない。

入水して数分したら少し体が慣れてきたが、「いやー冷たいねえはっはっは」と体をこすったりさすったりできる状況ではない。まるで催眠術にかけられたかのように、かちんこちんに体を固めて身動きせずじっと堪え忍ぶ。目線だけ、時計。

中途半端に入るのが一番損した気分になるので、肩までがっしりと浸かってやった。ありがたやありがたや。うー寒い。

マットレス

15分経過後、ほうほうの体で脱出。ほんと、「脱出」という表現がぴったりだ。しかし、体がこわばってしまいぎくしゃくした動きになってしまう。筋肉が完全に萎縮してしまっているではないか。夏だぞ、まだ。

暖房室に逃げる際、先ほどの飲泉所の横を通ったのだが、そこにはよくあるお風呂マットがおいてあった。壁には

このマットは頭をうたせるのに、ご利用ください。

という張り紙が貼ってあった。絶対やらない。頼まれてもやらない。今、頭は汗と砂ぼこりでばさばさだけど、この寒い中頭だけが唯一冷やされていない「温存地帯」なのよ。これ以上領土侵犯は許さぬ。

見なかったことにして、暖房室へ急げ。

暖房室

暖房室は浴室のすぐ隣に別棟として作られていた。コンクリートブロック製の簡素な作りだ。入り口は二つあって、どうやら二部屋ある様子。しかし、右側の扉に「本日の暖房室はこちらです」という紙が貼ってあった。恐らく、平日は片側だけの運用とし、土日は両方開放するのだろう。

暖房室の中
猛烈な火力の暖房

暖房室内部の様子。8畳程度の広さで、真ん中に鋭い音を立てて火を噴くストーブが据え付けられている。その周辺を取り囲むように長椅子が配置されている。

ストーブは、「これくらい派手に燃やさないとお前らの体はあたたまらないだろう?」と言わんばかりに、もの凄い炎が出ていた。ストーブ、というよりバーナーだ。燃料供給口から直接火が出ているのだが、その勢いたるやまさに地獄の業火。

ああ、あったまる。

・・・今、月並みな表現しました。はい先生、おかでん君が今うそをつきました。

すいません。

そう簡単には暖まらない。体が芯まで冷えているので、強烈な熱気をもってしてもまだまだ物足りない感じ。15分の水浴みに対して30分の採暖、というサイクルをとる理由がよくわかる。本当に2倍の時間をかけて暖まらないとダメかもしれない。

現に、今だって体の表面はちりちりと熱い。しかし心までは温まってくれないんだよ!

いや、ココロが暖まるのは別問題だ。温泉では解決せんぞ。それは日常生活の中でナントカしなさい。

冗談はともかく、自分でもびっくりするくらい体が温まらなかった。

暖房室の中は落書きだらけ

暖房室の内壁は落書きで埋め尽くされていた。スペースが無くなってしまい、落書きの上にさらに落書きが書かれているありさま。モラルもへったくそもない。

「○○大学○○部○○」なんて所属が明らかになる上に本名まで書いてしまっているのが多い。そんなに自分が社会的にみっともないことをやってることをPRしたいのか。

まさか宿として落書きを公認しているわけではあるまい。恐らく、採暖時間が長くかかるので、その間の暇つぶしで誰かが落書きしたことから始まった文化(?)なのだろう。

感心するのは、浴室にマジックをみんな持ち込んでいるのね、ということだ。落書きするだけのために持ち込んでいるんだから呆れる。

落書きの一例

中には、「来年の今ごろは総理大臣」というしょーもないことを書いているヤツもいた。総理大臣になる前に、国会議員になれ。お前日本の政治制度そのものを知らないだろ。大統領制じゃないんだから、国会議員以外は総理大臣になれないの。

まあ、そんな知能だからこそ落書きをするんだろうが。

あっ、もしこれを書いたのが現職国会議員だったらどうしよう。そのときは「軽率な発言でした」と謝罪してやる。しかし、そっちも「落書きしてスイマセンでした」と謝れ。

バケツは必需品

さっきから、この暖房室の主みたいなおじいさんがうろうろしている。水浴びしようとせず、ずっとこの部屋で暖まっている。夏なのに何をやっているんだろう。14度の冷水で心底冷えてこそ、この暖房はあったかい。しかし、まだ季節は9月の上旬、水に浸からないでここにじっとしていたら暑いばっかりだ。

そのおじいさん、時々外に出てはバケツに水を汲んでくる。そして、コンクリートの床に水をまくのであった。何をやっているんだろう。カッパが頭のお皿の水を失ってしまうと生きていけないのと同じで、この床を濡らしていないとおじいさん死んじゃうのかもしれない。

しばらくおじいさん不在の時間帯があったので、様子をじっと眺めてみた。すると、あらら、みるみる床が乾いていく。自分の体感温度以上にこのストーブは強烈なようだ。さっきまでびしょ濡れだった床がすーっと潮が引くごとく乾いていく。

そして、乾いた床は当然「あちちちち!」なわけだ。焼けた石と化す。なるほど、おじいさんが頻繁に水をぶちまけていたのはそういう理由だったのか。

それを理解してからは自分が率先して水を汲みに行くことにした。お年寄りを下働きさせて、自分はぬくぬくと暖まっているような構図はいやだ。

冷泉を飲む

本当は30分間いる予定だったが、貧乏性の自分としては我慢ができなかった。体が温まったと思ったら、すぐまた水風呂に突撃。

うわああああ。・・・でも慣れた。

前回は想像の範囲外だったが、今回はもう想像が付く寒さだ。これくらい大丈夫、大丈夫。

・・・と思ったら、10分後に膝がガクガクしてきた。体を強制的に動かして、筋肉から熱を放出させようと必死だ。生存したい、という人体の神秘の発露。防御本能が出たということだな。まさに「本能」の世界。

15分でまた暖房室に逃げ帰る。

それからは、暖まっては水風呂、の繰り返し。第三回地獄攻略では、5分後に膝が笑った。それじゃみっともないだろ、とぐっと下半身に力を入れたら、今度はあごが言うことを聞かなくなり、歯がガタガタと音を立てて震えた。第四回地獄攻略ではもう水に入った直後から歯が鳴るありさま。時間を追うにつれ、まだ死にたくないよぅ、という体の悲鳴が大きくなっていくのが手に取るように分かった。

十分に採暖すれば良いのだが、あまりに時間がなかった。18時まで、とされている入浴時間はあまりに短かった。この風呂に到着したのが16時前だったが、2時間ちょっとなんてあっという間だ。採暖で時間がかかるので、45分で1回転とすると、2回転+おまけ、くらいしかできないペース配分だ。それを無理矢理4回入浴したのだから、そりゃあ採暖時間を削るしか方法がない。結果、ますます募る季節外れの寒さに顔面蒼白になりつつタイムオーバー。

最後は、時間の都合上暖房室に入る余裕が無かったので浴室からそのまま部屋に戻った。9月上旬なのに、「寒い、寒い」と手をこすりながら。

夕食は18時~20時、ということなので、夕食開始を少し遅らせて一度暖かいお風呂に入ろう。こりゃたまらん。真の地獄とは、「暖まる時間が十分に与えられない入浴時間制限」なのかもしれない。

いろり

18時、部屋に戻って水着から浴衣に着替え、加温してある湯船の方に向かう。いったんフロントから下駄を履いて外に出る事になる。

そこには囲炉裏があり、囲炉裏脇には生ビールのジョッキが置いてある。誰かがここでいっぱいひっかけたらしい。

そして、目の前のテーブルには「ご宿泊のお客様へ どうぞおひとつお召し上がりください」と書かれてあり、小皿が用意されていた。

ゆで卵

なにをおひとつ召し上がるのかと思ったら、囲炉裏にかけられている鍋の中にゆで卵が。温泉玉子・・・じゃないな、先ほどの霊泉を使っているとは思うので温泉玉子といえば温泉玉子なのだが、狭義の温泉玉子とは違う。

玉子を一つ頂いた

夕食間近ということもあり、今すぐ食べる予定はないがとりあえずおひとつ召し上がる予定で頂戴しておいた。

それにしても心憎いサービスだ。

ほくほく喜んでいたら、お食事処に居たと思われる女将さんがおかでんの存在に気付き、窓から「お食事の時間ですが?」と聞いてきた。

こっちは体ががたがたしちゃってる状態なので、まずはお湯で暖まりたい。

「冷泉で体が冷えちゃって。暖まってから行きます。20時までに食べ終われば良いんでしたよね?」

と逆に聞き返した。すると女将さん、ちょっと不満そうな声で

「まあそうなんですけどね。せっかくのお食事が冷めておいしくなくなっちゃいますよ」

と返してきた。あれれ、どうやら分が悪いのは僕の方らしい。18時きっちりに食事処にいかねばならんかったのかしらん。食事時間が「18時~20時」となっていたら、20時までに食べ終われば良いんだなと勝手に解釈していた。

それにしてもちょっと言い方がきついなあ、と思ったが、この日の夜と翌日の朝、様子を観察していて実態がわかった。どうもこの宿はご主人夫婦と息子夫婦の4名で切り盛りをしているらしい。ひょっとすればお手伝いさんがいるのかもしれないが、その姿を滞在中目にすることは無かった。というわけで、個人経営にほぼ近い宿なわけであり、食事時間が一人だけ後ろにずれると厨房としては困ってしまう、ということなのだろう。それは気付きませんでした。配慮不足だった。

状況を分かった上で先ほどの女将さんの言葉を解釈すれば、「少人数のスタッフでもベストな料理を、ベストなタイミングで出したい」という熱意の表れだ。冷めた料理をお膳いっぱいに並べてさあどうぞ、というわけではないんだぞ、という事でもある。

ともあれ、この時点では状況が把握できていないので、「わっ、わっ、とにかく急がないといかん事だけは分かった!」と、慌ててお風呂に入りに行った。・・・お風呂に入る、というところだけはどうしても譲れなかった。女将さんごめんよう。

利用許可済票

加温の温泉である互久楽湯に入る。

脱衣所には、大分県が発行する「利用許可済票」なるものが掲示されていた。

面白いことに、そっくりなものが二つ並んでいる。よく見ると、下段の方は「温泉公共浴用」の「浴」の字が消され、「飲」と訂正されていることだった。「温泉公共飲用利用許可済証」というわけだ。上段の許可証は訂正がないので、「浴用」の利用許可。大分県は、温泉として利用するのにも飲用にするのにも許認可制をとっているのだな。

ちなみに飲用の方が昭和48年取得なのに対し、浴用は昭和51年ということだ。飲む方が先に許可されたということだ。

じゃあこの宿は当初飲むだけしか認められず、入浴はできなかったのか?というとそういうわけでもなさそう。「浴用」の許可票番号が第8号と非常に若い番号だからだ。別府や湯布院を抱える温泉大国大分で8番目というのは相当早い段階で認可されたということだ。ということは、この許可済票なるものは後付けで与えられた称号らしい。

・・・ということを考えながら、浴衣をほどく。ほれ、ゆっくりしている時間はないぞ。

換気の為、開けておいてください

浴室入り口の扉に手をかけようとして、既に扉が少し開いていることに気がついた。

わざわざ木を噛ませてあり、隙間があくようになっている。扉には「換気の為、開けておいてください」と注意書きがある。開けておいてくださいといっても、これでは閉めようがない作りだ。

恐らく、あの地獄の冷泉を加熱すると気化ガスが相当でるのだろう。それが室内に籠もると人体によろしくない影響がでるので、意図的に開けたというわけか。今日お昼に見た阿蘇山の注意書きと一緒だな。ぜん息の人は近づいちゃダメ、ってやつだ。

寒の地獄め、冷たいだけじゃなくて暖かくても牙を剥くか。

カラン

ここにはカランがある。チェックインから2時間半後、ようやく阿蘇山でかいた汗を流すことができる。ああ生き返る。というか温水シャワー気持ち良い。

加温湯の湯船

湯船。

左側の大きな湯船が加温してあるもの。右側の小さな方は源泉そのままの冷泉だ。

冷泉はもう十分堪能したので、そっちは手を浸ける気にもならん。体を洗ったら、まっすぐ加温湯へ移動。

ちなみに、脱衣所の張り紙によると「3~5分おきに冷・温の交互浴をすると吉」ということだった。暖房室の代わりにお湯をどうぞ、というわけだ。うん、こっちの方が暖まりやすいので、ハイペースで冷泉に浸かることができそうだ。

いや、ハイペースで、なんて考えている時点で根が卑しいというか、病気を根治するという発想からはるかに離れているわけですけれども。

身体を温めるだけ

ただ、夕食が手ぐすね引いて待ちかまえている現状を考えると、加温湯のみハイペースで浸かって、さっと出なければならない。女将さんに迷惑かけちゃう。

そんなわけで、体から寒気が引いたな、程度のところでさっさとお湯から出た。急がなくちゃ。さっきの女将さんの雰囲気だと、夕食遅刻は相当いかんことをしてしまったっぽい。

そうかー、考えてみれば、夕食開始時間が自由に選べる宿って、大抵チェックイン時に「御夕食は何時からにしますか?」って聞くもんな。聞かれない、ということは指定された時間に食事処に来なさい、そういう事です、というわけだな。

うかつだった。

お食事処

早足でお食事処に向かう。

お食事処は、掘りごたつ型式のやや民芸調な作り。明るすぎず、暗すぎずちょうどいい調光だ。

お客は自分を入れて全部で4組だったと思う。平日ということもあって、空いている。

障子の衝立

今晩の語り相手:障子の衝立。

一人客はおかでん一人だったが、周りの客から好奇の目で見られるのを防ぐ目的があるのだろう、席の正面にででんと障子が対峙したのであった。

この心配りはにくいところだ。

おかでんは他人の目については平気なのだが、一人泊愛好家の中では「部屋食が良い。食事処での食事は他人の目が気になって嫌」という人が案外多いものだ。その点、この障子は人の目をある程度ブロックしてくれる事になる。

ただ、なんとも奇妙な光景ではある。

「よぅ、はじめまして」

と右手をヨッ、と挙げてあいさつしてみたが、障子は何も語らなかった。私は何も見ていませんし聞いていません、というスタンスのようだ。

飲物のメニュー

テーブルには飲物のメニューがおいてあった。

生ビール(中) 630円
生ビール(小) 420円
ビール(中瓶) 735円

当然のようにビールがメニューにあるのだが、少し悩む。

生ビールの中と、中瓶ビールとを比べると、中瓶の方が値段が高い。どっちが量、多いんだ?

関心があるのは、まさにそういうビンボ臭いところ。中瓶といえば500mlで固定だ。しかし、生ビールのジョッキほどいい加減なものはない。中ジョッキ、といって小ジョッキが出てくることなんてざらだ。じゃあ小ってなんなの、と思ったらタンブラーで出てきたりする。

このサイトで何度も「ジョッキのサイズを法律化して欲しい」と冗談で書いてきたが、ホント今回はそう思った。普通、瓶ビールよりも生ビールの方が同量だと値段が高い。ということは、今回は「中生」は500ml以下、ということか?いや、でもそれにしては値段が高い。これは、中生が例外的に中瓶よりも1mlあたりで比べると安い、と考えた方が正解じゃないのか?

あれこれ考えた末、生ビール中を注文。出てきたジョッキは標準的な中ジョッキだったので一応正解だったと言えよう。ただ、中ジョッキの容量は500mlとおいうことになっているが、泡の分を差し引くと実質400ml程度かな・・・って、いい加減ケチくさい損得勘定はやめろ。

この宿、九州という場所柄清酒よりも焼酎のラインナップが多かった。その中に入手困難で有名な「百年の孤独」もあったのには驚いた。安定的な入手ルートがあるのだろうか。ちなみに安い焼酎だとグラスで420円だが、百年の孤独だと945円。倍以上の値段になる。とはいっても、そのプレミアム性と温泉宿という閉鎖空間であることを考えたら、安い部類に入るだろう。何せ、ビールの中瓶が735円ですぜ。

箸袋表
箸袋裏

箸袋。表には「寒の地獄」という落款がプリントされている。シンプルイズベストですな。

と思って油断して裏返してみると、出たー、「冷泉行進曲」がびっしりと印刷されている。

これを見て、また寒気が戻ってきた気がする。

ビール、飲んでみました。おいしゅうございます。そりゃそうだ、今日昼間は登山してたんだから。そして寒いけど絶品の霊泉を堪能。風情のある宿。そして夕食に向けて高まる期待。全てがビールの肴になる。

だけど・・・寒いんだなあ。まだ夏なんだけど、寒いんだよ。冷えるんだよ。

体の表面だけは先ほどのお湯で暖まったものの、芯はまだ冷えたまま。ビールをぐいっと飲むと、その「芯の寒さ」とビールの冷たさが融合してしまう感じで、体の中で寒さが拡大するんだよ。ああ、暖かいけど寒い。寒いけど暖かい。なんだこの中途半端っぷりは。

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