日本満喫お接待【群馬ぐるぐる観光】

つみあがるお膳

満喫してもらえたかどうかはよくわからないが、Jennyは皆残さず食べてくれた。

大皿料理が多い料理文化の国なので、「少々残しても構わない」という発想が多分あると思う。しかし日本では「残さず食べる」のが美徳。そのあたりの価値観の違いについて議論したかったが、Fishの通訳が大変だろうからやめておいた。くそー、中国語をしゃべることができりゃいいのだが。

Jennyがおかでんに話しかける際はかみ砕いた初級英語を使うのだが、それでも理解ができないと大変に惨めな気分になる。これしきの言葉すらリスニングできんとは、と。なお、台湾人2名の英語の発音を聞く限り、中国語の発音は英語に対して上位互換があるようだ。やたらとナイス発音をかましてくる。

食後、仲居さんがお膳に空き皿を載せ、お膳を三段重ねにしたものがこの写真。「どうもごちそうさまでした」で済んでしまう日本人とは違い、Jennyはこの光景も面白かったようだ。この写真はJennyが撮影したもの。日本人は多分これを撮影しようという発想は無いだろう。

よく考えると、台湾及び台湾料理って、そもそも「お膳」という概念がないんだな。畳の上で食すなんて事、しないから。確かに、珍しいだろう。

法師乃湯は女性専用

食事スタートが遅かった事もあり、なおかつ、この料理はどうだのこうだの、通訳をはさみながらわーわー盛り上がったために時刻は既に21時。

この期に及んでまたしても「浴衣姿のわたしたち」の撮影に余念がない二人に、「早く法師乃湯に行ってきてごらん。あれは特筆ものだぞ」と急かす。混浴ドンと来い、というなら急ぐ事はないのだが、さすがにそれは妙齢のお嬢さんにはしんどい。だったら、女性専用タイムである22時までに入っておかないと。

あの湯に入らないと、ここに来た意味は半減・・・いや、お湯以外の施設も素敵だから1/3減・・・くらいになってしまうので、さあ行け、今すぐ行け。

台湾は実は温泉があちこちにある。しかし、亜熱帯から熱帯にかけて存在する国なので、お風呂に入る拘りが日本人ほどない。シャワーで十分な人たちだ。というか、普通の家には湯船が存在しない。

「温泉は好き」と公言する来日数年のFishでさえ、普段はシャワーで済ませている。その癖、「肩が凝った」とか「疲れが溜まって」とか言うので、「会社から帰宅したら、手間でもお風呂に入って体を温めた方が良い」とアドバイスしてみたが、ほとんど聞き入れられなかった。日常習慣はそう簡単には変わらない、ということだ。

なお、そんなFishだが、別の日に「フットバス用のバケツが欲しい」と言っていたのには呆れた。いや、それ以前にまず風呂入ろうや。それくらい、「肩までお湯につかる」という文化がない人たちだ。

法師乃湯は、現在女性専用時間を示す看板が行く手を遮っていた。何せ、専用時間外は混浴のお風呂だ。脱衣場が男女それぞれにあるので、うっかり男性が紛れ込んでしまう恐れもある。「女性専用時間」という表記を目の前に見せつけておかんと。

玉城乃湯は男湯になった

さて一方、通常は女性専用である「玉城乃湯」へおかでんはGO。赤い暖簾をくぐるのは一瞬びびるが、傍らにはたくましい字で「男性」と書かれてあるので大丈夫。

カメラ撮影はご遠慮ください、という張り紙がわざわざしてあったので、ここでの写真撮影はやめておいた。最近は女性が女性を盗撮するなんてこともあるもんなー。

この玉城乃湯だが、カラン付きなので体も頭も洗えます、というのと、法師乃湯を小さくしました、という建物の造りで、窓の形は全く同じにしてある。ただ、建物の木材がまだ新しいため、渋さが全くない。むしろ、法師乃湯チックな窓はわざとらしささえ感じる。時間の経過とともに味が出てくるだろうから、それに期待したい。ただ、それに伴って法師乃湯が老朽化してしまうわけだが。

この玉城乃湯は岩風呂が外にあるので、露天風呂を楽しむことができる。ただ、時刻が時刻だけに外は真っ暗。朝風呂として入る分には快適な場所だと思う。

地・温泉宣言。

風呂から上がって、館内探検に出る。こういう探検は大好きだ。

写真を「パラパラ漫画でも作る気か?」というくらい撮りまくったが、一気に割愛。きりがない。それくらい、館内は変化があって面白い。部屋数そのものは大してないのだけどね。

壁には、「地・温泉宣言」というポスター。これ、JR東日本(びゅうプラザ)がやっている旅行企画。JR東日本管内の人なら、一度は見たことがあるかもしれない。「THE ONSEN」と掛け合わせてあるというわけだ。

要はJTBやKNTなど旅行代理店が出している「温泉宿でほっこり一泊」みたいなパンフレットと一緒。しかし、この「地・温泉」で感心するのは、選ばれている宿がどれも「名湯」の誉れ高いところばかりだということだ。大量の客を斡旋できるように、大箱の「ナントカ観光ホテル」みたいな宿が紹介されているとばかり思ったら大間違い。「関東・東北地方でいわゆる名湯って何がある?」と聞かれた際、このパンフを見ればほぼ間違いはない。時代は変わったなー、とこのパンフを見た際に思ったものだ。

昔は「コンパニオン料金とセットで!」とか、「豪華舟盛りが付きます!」「飲み放題プラン!」みたいなのばっかりだったが。

なお、Fishがこのパンフレットを見た際、「蔦温泉(青森県)に行きたい」と言っていた。渋すぎですぜ姐さん。

入ってこいよ

こっちのポスターは笑った。法師乃湯がロケ地になっているのだが、タイトルが「入ってこいよ」だって。そのあとには、松村和子の名曲「帰ってこいよ」をパロった歌詞が書かれている。「きっと入ってくるんだと~♪」と始まり、そのあと、草津、水上、那須塩原などの温泉郷の名前が織り込まれている。なるほど、そう来たか。

このポスターもJR東日本の製作。著作権料を支払ってまで替え歌をポスターにするなんてやる気ありすぎ。

虫だらけの窓

窓から外を眺めようとしたら、なにかがたくさんついている。
わっ、これ、虫じゃないか。

光に寄ってきた虫が、びっしりと窓に張り付いていたのだった。こりゃすごい。この宿、季節を問わず窓は簡単に開けられないな。冬は虫がいないけど、寒いし。

ふとんセッティングOK

法師乃湯から戻ってきた女性陣に、「どうだった?」と聞いたら「良かったー」という回答。何がどう良かったのかまではよく分からない。Fishの性格なのか、それとも語彙力の問題なのか。

Fishは以前、日本語の形容表現が非常に多岐にわたっている事を語っていた事がある。確かに、もともとある形容詞だけでなく、擬音語、擬態語など、日本語の形容はやりたい放題だ。漢字オンリーの国だと、こうはいかないのかもしれない。

女性陣は、また風呂に行くという。本日三度目。何が始まるんです?と聞いたら、お化粧を落とすためにカランがある湯に行く、と。なるほど、法師乃湯ではお化粧が落とせない。

Jennyは「一日に三回もお風呂に入るなんて!」と相当びっくりしたと思う。いやでも、温泉宿だとこれくらいは結構普通ですよ?これが日本。

部屋には既に布団が敷いてあり、Jennyは「宿の人が敷いてくれたの?」と驚いていた。

それにしても、布団をくっつけ過ぎではないか?もう一部屋、手前にあるんだからフル活用すればいいのに。やっぱりこの一部屋、もてあまし気味。ただし、写真撮影会をする上では大変便利。狭い部屋だと、広角レンズを使わないとうまく撮れないが、これだけ広いと標準でも全然問題なし。

2008年09月14日(日) 2日目

朝の障子

朝。

誰よりも早く起き出したのはJennyだった。やっぱりわくわくして、早く目が覚めてしまったようだ。早速、寝ぼけているおかでんやFishの顔を撮影している。こら何をするか。

障子に映る朝日が、とても心地よい。障子っていいよなあ、とつくづく思う。

法師温泉の朝

法師温泉の朝。

本館の対面にある法隆殿から、玄関を見下ろす。

煙突みたいなところがあり、煙が出ている。調理場か?と思ったが、さすがにそのようなことはなく、帳場脇にある囲炉裏の煙だった。こういうのも、いい味が出ている。

われわれの部屋

法隆殿と本館を繋ぐ渡り廊下から、われわれの部屋を見る。

あらためて、このベランダを見ると「よくぞここに泊まれたものだ」と己の強運に感謝するしかない。

朝食

朝風呂に入った後、朝食。これも部屋食。

朝から風呂に入るんか!馬鹿じゃないか日本人は、とJennyは驚いたかもしれない。でもこれが温泉旅館泊の醍醐味(だいごみ)なのですよ。

多分、朝風呂に無縁の人からしたら、「朝からお風呂に入ったら疲れるではないか?」と思うだろう。でも、Fish妹も、Jennyも日本の温泉地で朝風呂を楽しんでいたので、「これはこれで有り」と思ったはずだ。とはいえ、「珍しい日本の文化」を体験したという観点からであり、本当に満喫したかどうかは謎。

ちなみに、2009年にFish母が来日した際には、母君はさすがに朝風呂には入らなかったし、一日二回以上風呂には入ろうとしなかった。さすがに、歳を重ねると「何で複数回も風呂に入らないといかんのよ?」という気持ちが強くなるようだ。まずそれを説明するためには、「日本人は汚れを落とすためだけではなく、快楽を求めて風呂に入る」ということを説明しないといけないだろう。長野の地獄谷温泉にいる温泉ザルを喩えに出して、「ケダモノでも温泉は好きなのです」とか言わないと。ちなみに最近は動物園のカピバラも温泉に入るらしい。温泉大人気じゃないか。

さて朝ご飯だが、Jennyがわくわくしちゃって浮き足立っている。朝は机ではなく、畳の上にお膳で食べるスタイルで、特に「日本的」に思えたようだ。「膝よりも下に食器類が置かれている」スタイルの食事なんて、今までも、そしてこれからも台湾じゃ滅多にお目にかかれないだろう。

なお、現在法師温泉のwebサイトを見ると、食事はどのランクの部屋であっても等しく「大広間」で食べることになっているようだ。部屋食が供されたのはたまたまなのか、それともわれわれが宿泊した以降にルール改正があったのかは不明。

食事は、比較的質素。とはいえ、それは一般的宿メシとの対比であり、普通にご飯を頂くためのおかずとしてはこれでも多すぎるくらいだ。一体、どの時代から宿メシが豪華化していったのか、「宿メシ文化史」みたいな本があったらぜひ購読したいくらいだ。

いうまでもなく日本の朝食は、白米を食うために味つけが濃い。おかずが並ぶ夕食以上にその傾向は強く、焼鮭一枚でご飯お茶碗いっぱいくらいは余裕だ。海苔と納豆がついていたら、ペース配分が分からなくなるし、ましてや玉子なんて付いた日にゃ、一体この宿はご飯を何膳食べさせる気だ?俺、飼育されてるゥゥゥ、という気になる。

そんなわけで、台湾勢の食事シーンには大変に興味があったのだが、そつなく食べていた。でも、一番うれしそうに食べていたのは、デザートのミカンだった気がする。海苔は、食べきれなかったので袋に入ったままお持ち帰り。海苔袋って、確かに日本土産になるかもしれん。箸袋もまたしかり。

湯豆腐

ぜいたくの極みな朝食ではないのだが、朝から固形燃料でゆだっている鍋がある。開けてみると、湯豆腐が入っていた。これをポン酢でどうぞ、というわけだ。

「臭豆腐じゃないよ、これは湯豆腐だよ」

と親切に教えてあげたが、そんなものは臭いですぐに分かる。あと、いくら台湾人とはいえ、あの強烈な臭いの臭豆腐を朝から食べる人は滅多にいるまい。

この人たちの面白いのは、生玉子は食べられないくせに温泉玉子はOK、というより寧ろ好きということだ。生がダメなのはお国柄理解できるとして、だったら固ゆで玉子じゃないと食べられないのでは?と安直に思う。だが、彼女たちにいわせると「火が一応通っていればOK」らしい。サルモネラ菌が完全死滅する温度は70度弱とされており、温泉玉子は微妙なラインだ。だから、彼女たちは「食中毒が怖いので生は食べない」のではなく、「生は何だか気持ち悪い」という生理的嫌悪で食べないらしい。

除雪車

食後、Fishが「この温泉の裏手に滝があるらしい。滝に行こう!」と言いだし、3人でぽっくりぽっくり裏山に行ってみることにした。

この人、自然が大好きなのだが、初めて逢った頃「高尾山に行きたいので連れて行きやがれ」と言われ、連れていった事がある。なぜか外国人には高尾山が人気で、ミシュラングリーンガイドにも掲載されているとかなんとか。そんなにスゲーところかなあ、と首をひねるが、何だかエエトコらしい。

で、高尾山なのだが、てっきりケーブルカーに乗るかと思ったら「歩いていくよ」という。そこまではまだいい。で、山頂を目指すのかと思いこんでいたら、ルート途中にある滝を見て、「もう満足した。帰ろう」と言い出した。これには相当びっくりした。何しにきたのアンタ、と。

おかでんにとって山とは、山頂まで行くものだ。それを、山腹の滝で引き返すって到底信じられなかったのだった。こいつは馬鹿なのか、それとも天才なのかと真剣に考えてしまったくらいだ。で、それ以降のつきあいで今に至る、と。

Fishの、猫みたいな気分屋の性格は台湾の国民性なのか、それとも個人の特性なのか、それ以降観察を続けている。2度台湾に行った経験に基づくと、どうやら国民性として、かの国はそういう性格を内在しているようだ。

さて、その法師温泉の裏手にある滝。最初は朝食前に浴衣姿で出かけたのだが、予想以上に遠いので断念。少なくとも下駄で歩くようなところではなかった。チェックアウト前にあらためて向かうことにし、引き返した経緯がある。今度は再チャレンジ。

道中、法師温泉のロゴが入った除雪車?が出番を待っていた。法師温泉、わざわざ重機まで所持しているのか。山奥の宿なので、何かと大変だと思う。

里山の風情

谷沿いなのだが、険しい場所ではなくご覧の開放感。のどかな里山の風情がある。実際は里山なんかではなく、日本海側と太平洋側を分ける分水嶺であり山奥なのだが。

国道17号線、三国街道はこの谷から少し離れた谷の中腹を走っている。三国トンネルを越えれば、そこは苗場スキー場。関越自動車道には、谷川岳を貫通する日本一長いトンネルがあるのだが、そこは危険物搭載車両の通行が禁止されている。だから、大型車でもいったん月夜野インターを降り、三国街道を通ることになる。

そんな主要幹線道が近くにあるのに、全く気配を感じさせない場所。のどかで良い感じだ。昔はこの地が三国街道だったのだろうが、時代は流れて街道は別のところへと移っていった。

それにしても、なぜこんなところに湯が沸いた?と思うのどかさだ。

逢初の滝

15分近く歩いただろうか。ようやく「逢初の滝」という看板が見えてみた。「あいそめのたき」と読むらしい。え、どれどれ?・・・遠くに、小さな滝が見える。

むう。

まあ、Fishは喜んでいたので良しとしよう。ただ、Jennyが「これは何か日本でも有名な滝なのか?」と勘違いしたら困るが。

もみじ

Jennyが撮影した写真。

立ち止まっているJennyから遠ざかっていくFishとおかでんをコマ送りで撮影し、最後はなぜか地面に落ちていたもみじの葉っぱで締めくくっている。

そうか、紅葉というのもちょっと珍しいのかもしれない。

もちろん、台湾がいくら温かい国だとはいっても、四季の移ろいは少しはある。何せ、富士山よりも高い山があるくらいだ。冬になったら路面が凍結することもあるよ、とFishはうれしそうに教えてくれた。その時は、山のふもとでチェーンを貸してくれるので、それを装着して山に突撃するんだとか。多分、雪が積もるというところまではいかないだろうが、「凍ってる!」「寒い!」くらいでも台湾の人は興奮すべき体験なのだと思う。

法師温泉をあとにする

チェックアウト処理を済ませ、お土産物を見たり囲炉裏で写真を撮ったりしたのちに宿を後にする。

そこには、場違いな行列ができていて、一瞬たじろいでしまった。何だ、これは。流行りのラーメン店か、パチンコ店か。

何でも、日帰り入浴の開始を待つ人たちらしい。まだ10時にもなっていないのに、列を作ってまで待つとはこれいかに。てっきり、雑誌「自遊人」の温泉パスポートが今年も出たのかと思ったが、まだ出ていないようだ。つまり、普通にこの混雑というわけで。凄い人気だな。

多分、ここは山奥なので、1時間くらいお風呂入って、それから食事ができるところに移動したらちょうど昼時・・・という計算を彼らはしているのだろう。

ただ、この日帰り入浴に関しては、不満の声も聞いた。というのは、「法師乃湯」を期待してやってきたのに、混浴ということで女性が入れなかった、というものだ。知らんがなそんなの。法師乃湯に入りたければぜひご宿泊を。もっとも、混浴どんと来いというなら、日帰りでもぜひどうぞ。

「女性ももっと気軽に入れるようにすべきだ!」という意見に押されて、あの建物の真ん中に衝立を立てて男女を分けたりしないように、切に願う。

カーナビ
谷川岳を目指す

今日のざっくりとした予定は、軽井沢方面に行きたいねえ、というものだった。

草津が主目的地であるのだが、温泉ばっかりだと芸がない。そこで、草津白根山、北軽井沢あたりの景色も織り交ぜつつ、と芋づる式だ。

お昼をどうするの、という観点で考えたら、無難に「峠の釜飯」を食べるのがよろしかろう。探せばいろいろ名物はあるのだろうが、探しはじめるときりがない。

で、昼飯時に横川のおぎのやドライブインに到着していようと思うと・・・えーと、午前中はちょっと時間があるな、と。

そこで、一発目はJR上越線の土合駅に行くことにした。宿からみて、草津方面とは真逆の方向だが高速道路に乗るついでに立ち寄るということで。

谷川岳でにっちもさっちもいかなくなって、どん詰まりになる国道291号線。混むはずはないと思っていたのだが、予想外の渋滞でまいった。一体この先に何があるというのか。

その間、Jennyにはカーナビを使ってこれから行く場所のレクチャーをば。

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