デジャブな旅【岡山/広島旅行】

川舟乗り場

5分前集合で川舟乗り場に行く。「SOLD OUT」の札が下がっていて、今日は満員御礼だったことが伺える。みなさん時間厳守で、乗り遅れる人などは一切なかった。

かさをかぶる

乗船の際にすげ笠を渡される。日差しよけか、それとも雨よけか。今日の天気は曇りなのでどっちの意味であっても不要なのだが、すげ 笠を被るというところに風情を見いださなくちゃね。

倉敷川1
倉敷川3

むむむ。「川沿いから眺めている風景とほとんど一緒だろ、川舟なんて。わざわざそんなものにお金を払って乗っている人お疲れ-」と思っていたのだが、予想以上にアングルが変わるぞ、この舟の上だと。

これはちょっと楽しいかもしれない。

考えが少し改まった。

柳の葉が茂る夏になると、さらに違った印象になるだろう。それはそれでまた一興。

Fishが「ぜひ乗りたい」と言わなかったら、一生乗る機会は無かったと思う。地元民だからこその盲点!地元民、案外観光客向け施設やアトラクションには疎いものだ。まさにおかでんがそれ。

ただし、楽しいけどちょっと恥ずかしかったりもする。川の両岸からカメラの集中砲火を浴びることになるからだ。川舟流し、乗っている方が観光なら、見る方も観光なのだった。照れ隠しに岸に向かって手を振ったりしてみる。

橋接近中
橋をくぐる

中橋の下をくぐるところはちょっとしたイベント。乗船しているみんな、背中を縮めて橋の下をくぐり抜けていく。

俺的パンチラスポット発見、と思ったが、橋の上に気を取られていたら、橋に猛烈なウエスタンラリアットをくらってしまい命に関わる。橋の近くでは正面進行方向に意識を集中させよう。

20分弱の川舟流しはおしまい。うん、これで300円なら安い。倉敷に行く機会があるなら、乗ってみることをおすすめしたい。

Fishは「良かったけど、思っていたのとちょっと違ったね」

と言っていた。何をどのように思っていたのか、聞いてみたら、

「(船頭さんが)ガイドのようにいろいろ解説してくれるのかと思ったけど、そうじゃなかった。聞いたら答えてくれたけど」

ということだった。なるほど。ガイド風にしゃべってくれるのもいいサービスだと思うが、今回のわれわれが乗った舟のように、必要最低限のことだけしゃべるというのも良いと思う。これは人それぞれだ。

ソフトアイスののぼり

船着き場からアイビースクエア方面に向かう。もう17時近いけど、まだまだ倉敷をFishに見せつけてやるぜ。黙ってついてこい。

そんな鼻息が荒いおかでんだが、Fishは「アイスクリームを売ってるよ!」とのぼりに目を付けた。そののぼりには「ひるぜんジャージー100%ソフトアイス」と書かれていた。そうか、鯛ちくわ食べて、コロッケ食べた後はデザートか。なるほどそりゃ納得だ。

それにしても、このFishの食欲を考えるに、いかに昼メシ(祭ずし)で痛い目にあってほとんど口にできなかったか、ということが分かる。なんだか申し訳無い。コーディネート失敗だな。でも、寿司(生魚)を食べる事に抵抗感がないFishが、まさか祭ずしを食べられないとは思っても見なかったことなんだよー。

ひるぜん(蒜山)といえば、乳製品が有名。中国地方では一つのブランドになっている。最近は「ひるぜん焼きそば」がB-1グランプリで優勝して知名度を上げたが、もともとは酪農家が多い地域だ。乳製品の中でも特にジャージー乳が名産で、こののぼりのように「ジャージー100%」のソフトクリームなんぞがあちこちで売られている。

ソフトアイスを食べる。うん、うまい。やっぱりジャージー牛乳は美味いわ。

倉敷アイビースクエア

ソフトクリームを食べたあと、すぐそばにある倉敷アイビースクエアを見学する。

もともと倉敷代官所だったところに作られた、倉敷紡績(クラボウ)の工場跡。群馬県の富岡製糸場がそうであるように、ここも明治時代の産業革命の遺構となっている。レンガ造りの建物にはツタが茂っており、それが「アイビースクエア」の名前の由来。

蔵屋敷が並ぶ倉敷美観地区だが、明治時代の建築であるここも美観地区の一部となっている。「美観地区=江戸時代っぽい」というのは、このことからも若干違う。

名前のとおりツタがからまっている

今はさすがに紡績は行っておらず、ホテルになっている。ホテルのほかに、オルゴールの展示販売を行っている店、キャンドルを売っている店などいくつかの観光客向けの施設もある。

なお、煉瓦を覆っているツタだが、建物内部の温度調整のために張り巡らしたものだそうだ。最近、節電のためにベランダにゴーヤを植えたりする家庭が散見されるが、その親分みたいなものだ。

広場に面した廊下

アイビースクエアの館内レストランの名前が面白い。二つのお店が並んでいるのだが、洋食料理の店は「アイビー」、和食料理の店は「蔦(つた)」となっている。どちらも意味は同じだ。

建物の内外をざっと見て回る。宿泊棟にはさすがに立ち入ったことがないし、今回も立ち入りは遠慮した。でも、各部屋がどのようになっているのか興味がある。廊下など風情がありそうだ。こんな洋風建築だけど、和室部屋もあるという噂。

阿智神社に向かう

アイビースクエアをざっと見学したのち、今度は阿智神社に行くことにした。阿智神社とは、美観地区のすぐ脇にある小さな山、「鶴形山」にある神社。なんでここに行くのかというと、美観地区を眼下に見下ろすことができて眺めが良いからだ。

今日一日、相当歩き回ってきたが、その総仕上げで軽い山登りだ。倉敷の夜は非常に早い。現在の時刻は17時50分。もうお土産物屋がばたばたと閉店しはじめる。もうこの時間から美観地区を散策するのは遅いので、じゃあ違った観点で倉敷を楽しもう、というわけだ。川舟で水面すれすれからの倉敷を満喫したので、今度は高いところから倉敷を満喫しよう。

米寿坂

山の上にある鶴形山だが、それほど標高が高いわけではない。その点はご心配なく。

まず最初に「米寿坂」が現れ、その名の通り88段の階段を上る。

米寿坂から美観地区

米寿坂をのぼりったところで振り返ると、倉敷の美観地区が一望できる。

美観地区には景観条例が適用されているので、高い建物は一切ない。しかし、鶴形山中腹から眺めると、結構美観地区周辺のホテルなどの高い建物が目につく。あまり上から見下ろすことは想定していないようだ。

ちなみに2キロ程度?遠方には、ドイツのお城みたいな建物がそびえている。何の建物なのかというと、これが倉敷市役所なのだった。白壁の蔵屋敷の町が売りの倉敷市なのに、なぜお城なのか、理由がさっぱりわからない。やるなら巨大な蔵を作ればよかったのに。

還暦坂
厄除坂

ここから「還暦坂(61段)」、「厄除坂(33段)」を登って阿智神社に至る。

米寿坂でもう神社に到着できるものだと思っていたFishは、「まだ登るの~。だまされた~」と悲鳴を上げていた。

阿智神社

阿智神社。おかでん家の氏神様であり、毎年初詣はここと決まっている。

せっかく立ち寄ったのだから、お祈りをしておく。

阿智神社から美観地区

阿智神社から美観地区を眺める。

阿智の藤

阿智神社まで足を延ばす観光客はそこそこいるかもしれない。でも、さすがにここまで来る人はいないだろう、ということで阿智神社裏側にある「阿智の藤」を見に行った。樹齢が300年から500年くらいで、この種の藤としては日本一の巨木。

ひょっとしたら花が咲いているかもしれない、と期待していたが、この時期花なんて咲くわけないだろバーカと言わんばかりに何にもない木だった。作戦失敗。

美観地区の家

阿智の藤から、往路とは別ルートで下山する。

鶴形山トンネルの脇におりて、ホテルに向かう。さすがに午後まるまる歩きまわったおかげで、美観地区とその周辺で見るべきものは見た・・・と思う。もちろん、「日本郷土玩具館」や「桃太郎のからくり博物館」など、まだ見ていないものはあるにはある。でも、数時間の滞在としては上できな観光だったはずだ。あくまでも地元民目線で、の話だけど。観光客目線のFishが倉敷滞在の主導権を持っていたら、全然違った展開になっていたかもしれない。倉敷川河畔でのんびりと小一時間過ごす、とか。

写真はFishが撮影した民家。美観地区周辺の蔵屋敷はほとんどお土産物屋かカフェか何かになっている印象だが、人が普通に住んでいる家もある。ま、当然といえば当然か。

18時過ぎの倉敷川

18時過ぎの倉敷川。ほとんど人が歩いていない。お昼時はあれだけにぎわったのに、この変わり身の早さよ!

一体どこへ消えてしまったんだろう、と首をひねるくらいのありさまだ。「倉敷は夜が早い」というのは真実だが、それはお土産物屋さんなどが商売っ気無く早々にお店を閉めてしまうからではなく、単に日暮れとともに観光客が消えてしまうからだった。

みんな日帰りで倉敷を訪れているのだろうか?それとも、もう近隣の旅館やホテルに入ってしまったのだろうか。

倉敷川の白鳥

倉敷川のマスコットとして不動の地位を占めている白鳥。本当はつがいで住みついているのだが、今日はもう一羽を見ることはなかった。どこへ行ったのだろう?

ちなみに昨年はこのつがいに子供ができ、まだ小さくて灰色のおチビさん数匹が親に連れられて川を泳いでいる光景が大変ほほえましかった。しかし、チビたちは大きくなって、各地に引き取られた模様。確かに、この短くて狭い倉敷川に白鳥が五羽も六羽もいたら、窮屈だ。

八間蔵

ホテルに戻り、一息つく。今日はよく歩いたと思ったら、歩数計を見たら既に2万数千歩になっていてびっくり。旅行中は美食に明け暮れて太る、というパターンはよくあるが、これだとやせ細ってしまいそうだ。どんな強行軍なんだよ、今回の旅行。

さて、一日の観光を終わらせ、次に気にしなければならんのは夕食の場所だ。どこにしよう?今のところまだノーアイディア。

せっかくだから倉敷や岡山の美味なるものが食べられる店がよい。しかし、今日のお昼に「ままかり」と「祭ずし」で失敗をしてしまったので、あまり郷土色を出したお店はやめた方がよさそうだ。

美観地区周辺に、夜も営業している飲食店はあることはある。ただ、ちょっとお値段高めの観光地物価なのは否めない。それに、少なくともおかでんにおいては、とてもおいしいという噂は聞いたことがない。そんなわけで、どのお店にすれば良いか非常に悩ましい。人は食べ物については強く記憶に残るので、できるだけ良いお店を選んでおきたい。

どうしてもおかでんだと「酒が飲める店」を選びがちだけど、Fishはお酒を飲まないので、お店選びが大変だ。いいか、酒飲み目線じゃダメだぞ、食事目線を守れよ。

結局、悩んだ末に、美観地区にほど近い「ホテル日航倉敷」内の、「八間蔵(はちけんぐら)」というお店を選ぶことにした。

八間蔵店内

八間蔵は、築250年の米蔵を改装してレストランにしたお店。Fishは「古民家の中で食事やお茶ができると良い」ということを言っていたので、まさにうってつけだ。なんだ、それだったら悩んでいないで最初からここを選べよ、と言われそうだが、選びづらい理由としては、「お値段が張る」、これに尽きる。フレンチレストランなので当然といえば当然だが、コース料理は5,000円~。一万円越えのコースもある。さすがにFishに対して、「おいしい店があるよ。でも一人5,000円から、だけどね。」と言ったら、絶対に断られるだろう。Fishは「今回の旅行予算は25,000円以内」、と最初におかでんに伝えてあるので、廉価であることは美徳だ。かといって、値段重視で別の店を選んだら、作戦大失敗しそうな予感。八間蔵だったら自信をもっておすすめできるので、ここを選ぶしかあるまい。

観光地で失敗のない上質な食事をする、というのは案外悩ましいことだ。

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