16:13
食事時間まで暇なので、小屋の前にあるベンチに座ってのんびりとした時間を過ごす。
太陽が傾いていくのが手に取るようにわかる。
目の前には遥か彼方まで続く湿原。
ビールは1本でやめた。この光景だけで十分に酔っぱらえるからだ。ぜいたくなひととき。
当初は、夕食までの時間を活用して、ここからしばらく行ったところにある「三条の滝」まで行って来ようと考えていた。しかし、時間がどうしてもせわしなくなることから断念。今考えれば断念してよかった。往復で2時間以上かかるからだ。
尾瀬ヶ原を眺めていたら、ぽつりぽつりとこちらに向けて歩いてくる人が見える。この状態がずっと続き、17時を過ぎてからようやく小屋に到着する人も結構いた。仮にも標高1,400mある尾瀬の小屋。遅くとも16時には到着していたいところだ。でも、そういう「山の常識」を知らない人が結構尾瀬にはやってくるのだろう。
夜になっても予約客が到着しなかった場合、捜索隊が編成されることがあるらしい。すわ遭難か、となるからだ。だから、無断でキャンセルしたり、日没後の小屋到着はやっちゃダメ。
16:56
写真上:明日登ろうとしている至仏山。結局この日は終日山頂付近には雲がかかっており、山の全貌を見ることはできなかった。
写真下:今日登った燧ケ岳。弥四郎小屋が山の門番のように位置している。弥四郎小屋、立地条件は最高だ。
17:35
小屋の中に戻る。そろそろ夕食の時間。
食堂入口からずっと行列ができている。行列に並んで、中に入るタイミングを待つ。
館内放送は無いので、自分が指定された時間になったら食堂に行くべし。
おっと、ビールを買っておかないと。自販機で500mlのビールを1本購入。相変わらずすごく冷えていて、おかでん以外のビール購入者も「よく冷えてンなぁ」と感嘆していた。こういうサービス(?)はとてもうれしい。
食事開始から35分後には総入れ替えで第二陣の食事が開始となる。ということで、食事は実質20分程度で済ましてしまわないといけない。ビールをたくさん卓上に並べ、おかずを肴にビールをぐいぐい飲むというのは迷惑になるので控えておかないと。というわけで、夕食はビール1本勝負。もちろん500ml。
お茶を注ぐことと、ご飯をお茶碗によそうのはセルフサービス。お味噌汁もセルフかと思ったら、これは事前に各自の席のところにセットされていた。席はもちろん相席。知らない人と肩がぶつかりそうになりながら「同じ釜の飯」を食べることになる。こういうところはやはり山小屋ならではだ。
17:35
弥四郎小屋の夕食。メインディッシュはハンバーグだった。量はそれほど多くないが、これくらいで十分っちゃあ十分だ。これを見ると、一般的な旅館の宿メシがいかに品数が多くて無駄に華美かというのが分かる。
それ、とっととビール飲むぞー。
17:36
隣の席になったご夫婦と話をする。宮之浦岳(屋久島の最高峰)登頂と屋久杉見物を1日ぽっきりでできる裏ワザを聞かせてもらったり、登山に関する情報交換をしたり。相席ならではの交流があった。
ちなみに、そのご夫婦は350mlのビールを飲んでいた。「500mlの方が良かったんだがなあ」と言うので、なんで500にしなかったんですか?と聞いたら、既に売り切れていたから、だそうだ。おっと、自販機だから数に限りがあったか。教訓。自販機のビールは売り切れることがあるので、購入するならお早目に。
なお、この食堂では隣の喫茶スペースから生ビールを取り寄せることができる。生ビールを飲んでいる人もちらほら見かけられた。缶よりも生!という人はぜひこちらをどうぞ。生は700円だったかな?
食後は、一つのテーブル内で食器をまとめておくことが求められた。お茶碗ならお茶碗同士を重ね、平皿は平皿で積み上げて、と。短時間で次の第二陣にバトンパスをするために、効率化を図っているらしい。
18:30
19時までお風呂に入ることができるので、温泉宿よろしく食後にひとっ風呂浴びに行ってきた。やー、幸せだのー。今日は曇りだったせいで、大して日に焼けていない。おかげでお風呂に入って体ヒリヒリ、なんてことがなかったのは幸いだった。
19時前に寝床に戻る。不在にしていた間に布団の枚数が増えてる!人がいっぱい!という事があったらどうしよう、と思ったが、特にそういうことはなし。隣の布団と適度な距離があり、快適な睡眠が取れそうだ。
この宿には談話室に相当する場所が館内にないので、日が暮れてしまうと居場所は布団の中しかない。早く寝てしまうと、後々夜中に目が冴えて困ってしまいそうだ。21時の消灯時間までは布団に寝転がって明日の行程のおさらいをしておこう。
21時ちょっと前に就寝。
「消灯」ということだが、実際は廊下に明かりが灯っていたし、トイレの電気もちゃんとついた。発電機そのものを停めてしまうわけではなさそうだ。
2012年09月23日(日) 2日目
05:21
起きてカーテンをまくってみたら、外はまだ夜明け前で薄暗い。でも、結構雨が降っていることはよくわかった。
雨の状態次第だが、あまりに本降りだとしたら至仏山登山を諦めるつもりだ。至仏山は滑りやすい「蛇紋岩」という岩で構成されている。晴れていても滑るくらいだから、雨が降ったらつるんつるんに滑るのは間違いあるまい。思いっきりずっこけて怪我するのは避けたい。
もし至仏山を諦めたら、三条の滝に行って来ようと思っている。さて、どうなることか。
05:31
5時半から朝ごはん。食堂に向かうと、「夕食の時と同じ場所に座ってください」と言われる。着席時に余計な手間と時間をかけないための対応だろう。賢い方法だと思う。
昨晩、屋久島の話などしたお隣さんがやってきたので、「雨、降っちゃいましたねえハハハ」とお互い苦笑い。多分、この食堂にいる全員が「今日どうしようかな?」と考え込んじゃっているはずだ。
05:32
本日の朝ごはん。鮭と玉子焼きがメイン。小鉢で胡麻豆腐が添えられているのが憎い。
山の中であることを考えれば、これでも大ご馳走だ。
あまり手間をかけていないでき合いの料理だが、それでも朝ごはんの支度は朝4時くらいから着手しているはずだ。一体山小屋の人たちはいつ寝ているんだろう?
05:51
小屋入口にはテレビが設置されており、NHKのデータ放送で桧枝岐地区のピンポイント天気予報が表示されていた。そうか、地デジ化するとこういうメリットがあるのだな。ご丁寧に3時間メッシュの天気予報なので、大変に参考になる。とはいえ、桧枝岐と尾瀬は場所がちょっと離れているので、どこまでこの予報が当たるかはわからない。
05:53
宿の受付で本日お昼のお弁当を受け取る。700円。
どうやらおにぎりが2個入っているらしい。触るとまだ熱々だ。でき立てなのがうれしい。せっかくだからここで食べてしまいたくなってしまったくらいだ。
包装紙を開けて中身を見てみたかったが、これはお昼のお楽しみ。至仏山の山頂でまた会おう!それまでしばらくの間、さらばだ!
06:28
荷造りをして、弥四郎小屋を出発。大雨ではなく、しとしとと雨が降っている状態。んー、三条の滝に行くのはやめにして、とりあえず当初予定通り至仏山に登ってみよう。
06:30
たとえ雨でも至仏山に登ろうと思ったのは、ちょうど正面に至仏山が見えるからだ。昨日は見られなかった山頂が、今日はしっかり見える。うん、これなら多分大丈夫。登ってみよう。
06:34
尾瀬ヶ原は広大な湿原。見渡す限りが湿原なので、別世界にいるようだ。でも、それは裏を返すと「歩いているうちに飽きてくる」危険性をはらんでいる。ひたすら平らな場所だからだ。だから、うつむいて黙々と歩いていたら何の為にこの徒歩をしているのか、わからなくなってくる。なるほど、だからシーズンオフの尾瀬は人が少ないんだな。見どころが無いから。
でも、この季節でもところどころ花が咲いているので、それを見つけて愛でるということができる。
06:54
橋にこんな表示があった。
「沼尻川 この先群馬(関東地方)」
「沼尻川 この先福島(東北地方)」
そうか、この小さな川が県境になっているだけでなく、東北地方と関東地方を分けているのだな。
ちなみに話は逸れるが、福島県内にある尾瀬の山小屋(今回泊まった弥四郎小屋も含む)は、3.11東日本大震災の復興ということで、平日泊に限るが1泊につき2,000円の助成金が出る。いつまでこの制度が適用されているのかは不明だが、平日に泊まれば非常にお安く済むので覚えておくと良いだろう。
おかでんの場合は「金曜日夜運行」の「尾瀬夜行23:55」に乗ったため、この制度の恩恵は受けていない。
07:00
尾瀬ヶ原のど真ん中にある山小屋、「竜宮小屋」に到着。
特に中を見物することなく、素通り。
浦島太郎がカメの背中に乗って連れて行かれたのはここだったのか!でも、その割には「竜宮『城』」っぽくはないな。鯛や平目の舞い踊り、というのは鯛や平目の活き造りのことなのか!?こんな山奥でどうやって活き作りを作るんだろう?
雨は相変わらずそこそこ降っている。山に取りつくまでに止んでくれれば良いのだが・・・。
07:16
尾瀬ヶ原の木道。右側通行で歩きましょう。
下を見ると結構木道は高い位置にあることが分かる。周りが草なので、あまり高い印象はないのだが。
最近高所恐怖症気味のおかでん、この光景を見ただけでブルってしまった。チンさむロードとはまさにこのことだ。足を踏み外したら大変だ、と思うと、股間がきゅっとなる。
07:18
まだ紅葉のシーズンは若干早いようだが、沼全体が赤っぽく色づいている。
この辺りは湿原のあちこちに池溏(ちとう)があり、特に風光明媚だ。
07:20
木道は至仏山に向けてずーっと伸びている。なるほど、立派な山容だし、立地条件も良い山だ。燧ケ岳と共に百名山に認定されているのは納得がいく。
それにしても、今この平野部にいて、これからあの山のてっぺんまで登っていくのか。こりゃ相当難儀だぞ。登山地図を見ても、ほぼまっすぐに登って行く登山道らしいし。
07:52
池溏のあれこれをお楽しみください。
07:34に東電小屋方面に向かう道との分岐(牛首)を通過。ほぼ予定通りのコースタイムだ。
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