7月5、6日に那須岳(茶臼岳)と三斗小屋温泉に行ってきた。

そして今度は、その勢いを駆って長野県の八ヶ岳連峰にある「赤岳」に向かう。
2013年登山シーズンの幕開けのをてきぱきとこしらえる。決して「かったりー。行きたくねー」というほどネガティブなわけではない。
調子に乗って、登山計画書をメールで茅野警察署に提出しておいた。計画書って、登山口に設置されているポストに投函するのが普通だが、長野県警の場合はメールでも受け付けている。ご時世だな。
そのあと、往復の特急列車のチケット確保のため、自宅最寄駅に出かけた。入手したいのは、朝7時ちょうどに新宿駅を発車するJR中央線特急「スーパーあずさ1号」松本行き。この列車は山梨・長野方面の山に登る人にとってはド定番な列車であり、週末になるとザックを背負った登山客で大変混雑する。当然、そんな人気列車なので、旅行前日の手配は無理に決まってる。まあ、ダメもとで手配してみて、もしダメなら自由席にしよう。

・・・と思って操作してみたら、あれれ、指定席に空きがあったぞ。これはびっくりだ。キャンセルが出たのだろうか。ラッキーとしかいいようがないので、悩むことなくすかさず確保。
帰りの便も、返す刀で手配しておいた。帰りの便って、その日の行程によって前後することがあり得るので、現時点で手配するのはちょっと不安ではある。「せっかくなので、下山後にどっか温泉にでも行こう」なんて思いついたら、大幅に電車に乗る時間は遅れるわけだし。でも、当日乗車直前に指定席を押さえようとしても無理ってことは、昨年の鳳凰三山登山の際に知った。だから、「えーい、この時間の電車に乗るよー」と言いながら、午後2時過ぎの特急あずさ新宿行の指定席券を確保。
これにて、前日の準備は完了。明日は朝が早いので、気を付けないと。地図などをチェックしたのち、早めに就寝。
2013年07月14日(日) 1日目


06:58
朝、電車を一本乗り損なってしまいひやりとしたが、時間に余裕をもって計画していたので「スーパーあずさ」には乗り遅れることはなかった。ただ、「駅弁屋を物色して、何か良さげなものがあったら買ってもいいかも」という目論見はこれで潰えた。あずさの写真を撮影したら、もう発車ベルの音がホームに響き始めた。あわてて乗車する。列車の写真が、列車連結部分のものなのは、先頭車両の写真を撮る暇がなかったからだ、実は。

07:10
朝の中央線をスーパーあずさが走る。疾走する、と形容したいところだが、電車が前に詰まっているらしく加減速を繰り返し、決して爽快感はない。
座席にあった、車内販売の広告を眺める。わざわざこんなものを作ってるんだな。えーと、ビールは270円か。車内販売の割には、比較的良心的な値段かもしれない。あ、でも僕には縁がないんだったな、ビールは。ついつい昔の癖で、ビールという文字列を発見するとすぐにそれをガン見してしまう。
「桔梗信玄餅アイス」ってのがあるのが面白い。桔梗信玄餅というのは山梨を代表する甘味なのだが、それがアイスになっているとは知らなかった。旅情を味わいたい人は、ぜひ?
さんざん読んだが、何も買う気にはならなかったので、そのまま元の場所に戻した。

08:10
今回新たに実戦配備したのが、靴下。
登山用の服装にはまったく無頓着で、上下共にユニクロの普段着を着ているおかでんだが、さすがに靴下だけはそこら辺の普通のものを履くわけにはいかない。ちゃんとしたものを履かないと、あっという間に靴ずれを起こす。山に行く時は山用の靴下、これは鉄則。
で、今回新たに買ったのは、足の裏のアーチをサポートし、疲れにくくする効果があるのだという。だから、靴下は「右足用」「左足用」とちゃんと分かれている。アーチのサポートなんて半信半疑だったが、普通の登山用靴下と比べて値段に大差はなかったので、買ってみた次第。
実際今回使ってみて、とても気に入った。相当強く足を締め付けるのだが、それも違和感は最初だけ。慣れれば快適な山歩きができた。確かに、歩き通していると段々扁平足になってきて足の裏が痛くなってくるものだが、これを履いていたらそれが緩和された気がする。
ちなみに値段は一足で2,100円だったか、2,200円だったか。山用靴下はかくも高いんである。

09:00
八ヶ岳が見えてきた。
今回目指す「赤岳」は、八ヶ岳連峰のなかで最高峰、標高2,899メートルだ。
八ヶ岳は場所によって様々な様相を見せ、四季を通じて楽しめる山だ。本当は赤岳一座だけを登頂するのではなく、縦走した方が楽しめるはずだ。でも今回は「おためし」ということで赤岳、そしてお隣の阿弥陀岳の登頂を考えている。


09:12
茅野駅到着。
さすがに八ヶ岳の玄関口となる駅だけあり、ザックを背負った人の姿が目立つ。また、蓼科や美ヶ原といった高原を楽しむ人たちの玄関口でもあり、この場を要約すれば「さあ今週末は楽しむぞ」とうきうきした人たちで満ちあふれていた。今日は天気が良くてなによりだ。梅雨は今年は早く明け、海の日三連休は晴れの予報。
今日は海の日三連休の真ん中。つまり、日曜日、月曜日と山に入るつもりだ。一泊二日の山に入る場合、三連休の初日-二日目を使うより、二日目-三日目を使った方が混雑は少し緩和される傾向にある。

09:14
茅野駅には、改札を出たところにJR東日本のコンビニ「NEWDAYS」があった。
ここでおにぎりやパンといった食事、またはジュースやお菓子といったものも買う事ができる。当日朝、バタバタして食料調達が間に合わなかった場合もここで調達ができるので楽。朝一番のスーパーあずさに乗って茅野に来るからには、まさか売り切れて何もないなんてことはないだろう。ただし、遅めの時刻の電車でここにやってきた場合、食料品がまだ売れ残っているかどうかは分からないけど。


09:15
NEWDAYSの真向かいに、立ち食い蕎麦屋があった。「白樺」という名前のお店。
せっかくなので、山に突撃する前のカロリー摂取はここで行う事にした。食べたのは、「特上野沢菜わさび昆布そば」という長いネーミングの蕎麦。まあまあ美味かった。このときの様子は「蕎麦喰い人種行動観察」の記事に詳しい。

09:15
さすが茅野駅、立派なお土産物屋さんも完備されていた。
長野土産を買うときは、下山後にここで十分そうだ。覚えておこう。うっかり登山口とか山小屋とかで土産を買って、道中の荷物をいたずらに増やすことはない。


09:25
八ヶ岳登山の起点となる登山口の一つ、「美濃戸口」へは茅野からバスで約40分の場所にある。
美濃戸に向かうバス乗り場は、茅野駅の正面に対面する建物の一階、4番乗り場から出発する。既にこの時間にして長蛇の列ができている。もちろん、皆ザックを背負っている。
美濃戸行きのバスは季節や曜日によって運行頻度が大きく異なるので、事前チェックは必須。


09:28
長いバス待ちの行列にビビって列に並ぶだけじゃ能がない。ここはぜひ、美濃戸口までのバス乗車券を購入しておきたい。
バス乗り場のすぐ近くに、アルピコ交通の茅野駅前案内所がある。そこで乗車券を買うことができる。
茅野駅から美濃戸口まで片道900円。しかし、ここでは往復乗車券が発売されており、そのお値段は1,500円。片道切符を2枚買うより、300円もお得だ。これは知らないと大損するので、絶対に手に入れておきたいマストアイテムだ。


09:32
美濃戸口行きのバスがやってきた。1台だとどうやっても乗り切れないだろう、という行列だったが、さすがにバス会社もこれまで培った経験がある。ちゃんと2台目がやってきて一安心。全員が座ることができた。
なお、1台目のほうには「美濃戸口直行便」と行き先表示が記され、おかでんが乗車した2台目のほうには何も記されていなかった。しかし実際は2台目の方が直行し、1台目は各駅停車?だったようだ。2台目から遅れること相当で、美濃戸口に到着していた。2台目にぶち抜かれる1台目って、なんだか不思議だ。

10:05
ものの30分で、美濃戸口に到着。さすがにノンストップ便だと早い。
ここに下り立つのは、登山目的の人だけだ。しかも、そのほぼ全てが一泊以上を想定しての装備だ。「ちょっと森林浴に訪れました」といったライトな雰囲気の人は、皆無。もし日帰りを考えているなら、もっと早い時間にここに到着しているはずだ。この時間から日帰りは、事実上無理。
そもそも、今回おかでんは、今日のうちに稜線上にある「赤岳天望荘」(標高2,722m)まで上がろうと思っている。標準コースタイム通りに進むのだとすれば、この時間に美濃戸口に到着しておくのが必須条件だ。
夏の稜線歩きを舐めたらあかん、午後になると落雷がありえる。その他、道中不慮の遅延が発生する事もあるわけだし、計画段階では相当早い時間に山小屋に到着するようにしていないといけない。
今日の行程は以下のように考えている。
10:20 美濃戸口
(60分)
11:20 美濃戸山荘ゲート前
(120分)
13:20 行者小屋
※昼食休憩20分。13:40発
(75分)
14:45 地蔵仏
(15分)
15:00 赤岳展望荘(泊)
ちなみに美濃戸口の標高が約1,500m。というわけで今日は1,200mちょっとの標高差を稼ぐことになる。
15時山小屋着というのは、決して早い時間ではないが、まあ現実的な目標設定だろう。逆に言えば、赤岳天望荘に一泊する山行計画を立てるのであれば、東京を7時ちょうど発のスーパーあずさに乗らないと無理、ということになる。
もちろん、「俺は足が速い」という人や、山小屋着が17時着とか18時着になってもオウンリスク、という覚悟の人はこの限りではない。ただ、山小屋の立場としては、17時頃に宿に現れて、「さあ寝床も食事もよこせ」と開き直られたらスゲー迷惑な話だろう。やっぱり、山小屋には早く到着するに超したことはない。

10:05
美濃戸口は車でいっぱい。
さすがに三連休二日目ともなると、駐車する余地はあまりなさそうだ。
実はここからさらに奧まで、車で入ることはできる。
美濃戸口はあくまでもバスの終着点であり、登山道の入口ではない。ここからざっと1時間、つまらない林道歩きをした先に、ようやく登山道が待ち構えていると聞いている。つまり、車があれば1時間分の徒歩を省略できるということだ。
でも実際にここに車を駐めているということは、その奧の駐車場が既に埋まってるからなのだろう。
美濃戸口には駐車場150台。その奧1時間のところにある駐車場2カ所は合計130台のキャパだ。

10:05
美濃戸口にてどっしりと門番のように構えているのが、山小屋「八ヶ岳山荘」。
ここで前泊して、早朝から山に向かうという山歩きの仕方もあるのだろう。おかでんの場合、そういう事はしたことがないのでよくわからない世界だ。「宿に泊まる」というのはおかでんにとって最大級のワクワクなイベント。だから、「前泊」という形で早々にそれが実現してしまうのはすごくもったいない気がする。だから、前泊はしない・・・という性分だ。
と思ったら、遙か昔、瑞牆(みずがき)山に登った時に登山口で一泊したことがあったな。この「へべれけ紀行」にさえ収録されていないくらい昔の話だ。


10:05
赤岳天望荘と美濃戸山荘の営業状況に関する看板が出ていた。どうやら、八ヶ岳山荘とこれらの山小屋は同じ系列らしい。一匹狼とおもわれがちな山小屋だが、このように「系列店」がその山域に何軒もある場合が時々ある。
赤岳天望荘営業中、と書かれた黒板には、風呂に入るおっちゃんの姿が描かれていた。そう、この山小屋には風呂があるのだ。標高2,722mの稜線上にある山小屋だというのに、風呂があるという不思議。ちょっとこれは山の常識からいったら、おかしい。
よく考えればわかることだが、水というのは低いところに集まる。だから、山で水がある場所といえば、沢であり、谷だ。一番高いところである「稜線」には、水なんてまったくないのが普通だ。だから、稜線にある山小屋ってのはいつも水集めに苦労している。雨水を貯めてちびちび使っていたり、はるか下の谷までホースをつなぎ、そこから水をポンプアップしていたり。風呂のように潤沢に水を使う事なんて、普通ならできない。しかも、貴重な燃料を使って、湯を沸かさないといけないわけだから。燃料はヘリコプター輸送だ。
そんなわけで、この山小屋に行くのはとても楽しみにしている。一体どんな山小屋なんだろう、と。
あともう一つ、赤岳天望荘に惹かれるのは、「食事が朝夕ともにバイキング」だということ。一部の料理をバイキング形式としてセルフで取らせる例は他の山小屋でもあるが、全部の料理をバイキングっていうのは初体験だ。どんな料理が並び、どんな味なんだろう。これもまたとても楽しみだ。
結局おかでんにおける登山では、山の山頂を目指すことは口実にすぎない。それまでの電車やバスの旅であったり、山小屋での一泊が最大の楽しみだ。そういう点では、今回はとても良いターゲットとなっている。

10:06
八ヶ岳山荘ではお風呂に入ることができるようだ。500円と値段は良心的。
よし、下山したらここで一風呂浴びよう。
汗をかいたまま東京に戻るのはどうも気が引けていたので、どこかでお風呂に入れるだろうか・・・と思案していたところだった。まさか、登山口で入る事ができるとは思っていなかったので、渡りに船だった。ありがてぇありがてぇ。
それにしても「風呂上がりの生ビールが美味い!」だって。そりゃー美味いだろうな。で、バスの到着をのんびりと待つってか。達成感、解放感、疲労感、いろいろな気持ちが入り交じって、ビールはたまらんと思う。でも僕はもうビールを飲まないわけだけど。
今回、あらためてビール無しの山歩きとなる。前回の那須岳登山もそうだったのだが、あれはなんだか「徒歩時間が長かった温泉旅館旅」って感じで、山小屋泊の風情ではなかった。しかし今回はれっきとした山登り、そして山小屋泊だ。仮に15時に山小屋に到着できたとして、夕食までの時間どうやって過ごすんだ?おかでんが山登りを本格的に初めて、初のパターンとなるのでちょっと想像がつかない。多分居心地が相当悪いだろうな。

10:06
登山計画書を提出する場所があるので、まだ未提出の人はちゃんとここで出しておこう。

10:06
美濃戸口を起点とした、八ヶ岳中南部の山域図。
今日は、美濃戸口から美濃戸山荘、行者小屋、地蔵尾根を経由して赤岳山頂直下の赤岳天望荘を目指す。
明日は、赤岳登頂後、中岳、阿弥陀岳を縦走して行者小屋まで下山、そこからは赤岳鉱泉のルートをとり、美濃戸山荘、美濃戸口へと向かう。

10:12
といわけで、いざ出発。
早く山小屋に到着して、ひとっ風呂浴びたいぜ。
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