遠くから会場方面を見やると、騎馬止め破りのネットがそびえていた。その手前がかなりの傾斜になっていて、雪の中よじ登っていかないといけない模様。これは結構面倒そうだ。というか、既にもうあそこまで辿り着いている人がいる!
いや、その前に人だかりができていると思ったら、騎馬止め破りの手前に「馬落とし」という障害が待ち構えていた。ここで引っかかり、さらに騎馬止め破り直前の急斜面で四苦八苦している人が多く、前が詰まっている状況。
「馬落とし」とは、のこぎりの歯みたいに凸凹が走路に作られている場所のことだった。いくつもの凸凹を乗り越えていかないといけないのだが、これがかなり高い。岩場ならともかく、ツルツルの氷の塊になってしまっている出っ張りなので、足をひっかけることが難しい。そのため、一人で到底登ることはできず、既に上にいる人の手助けと下からお尻を押してもらうという協力プレイが必要になる。
「できるだけみんなで協力しあってくださーい」とスタッフが声をかけている。
さあそこで自衛隊迷彩服を着たおかでんですよ。自分を引っ張り上げてもらったお礼に、後続の人が登るのをお手伝いしてあげたのだが、一人引っ張り上げたところでさあ俺の義務は終わり、とはいかなかった。そのまた後ろからやってきていた人からも、「私も引っ張って欲しいな・・・」という顔をされる。中には、「自衛隊さん!助けて!」と名指しで助けを求めてくる人もいる。こうなると、こっちだって引くに引けない。
「任せなさい!国民の平和と安全を守るために存在するのが自衛隊ですから!さあお嬢さん私に掴まれ!」
なんて言って、必要以上ににこやかに人を次々と助け上げていった。こうなると自分が前に進むのなんて到底できなくなってしまい、ズルズルとその場にとどまり、大会スタッフかのように他の戦士たちのお手伝いをしてしまった。人が良すぎる。レース中だぞ。タイムトライアルだぞ、おい!
随分と順位を落とし、集団のほとんど最後の方になったところで「もういいや」と我に返ってあらためて城へと進撃再開。馬落としから先は、大会会場との結構な標高差が待っている。雪の急斜面をよじ登っていかないといけない。雪が結構降り積もっているため、これが結構大変だった。
既にわだちができているところは行列になっているので、わだちがない道無き道から登ろうとするが、雪が深くて足がもつれるので、諦めた。
斜面を登った先に待っているのが、騎馬止め破り。
雪と格闘しながらの急斜面登はんの直後、ネットを4メートルほどよじ登る。これは地味に疲れた。そもそも、際ほどの「人道支援」で体力をかなり使ってしまったし。騎馬止め破りのてっぺんから背後を振り返ると、後続にはあまり人が残されていないことを知った。やべー、後ろになりすぎだ。
Comments