日帰りで行くアメリカ旅行6【ヨコスカフレンドシップデー2018】

今年も、8月第一週の土曜日は横須賀がお祭りの日だ。

夜になると、海では打ち上げ花火があがり、海上自衛隊の基地では基地開きがある。そして、忘れてはいけない、米海軍横須賀基地のフレンドシップデーも開催される。

過去5年、途切れることなくこの「ヨコスカフレンドシップデー」に参加してきたおかでんとその一味。今年も当然、横須賀入りすることは規定路線だった。

しかし、年々厳しさを増す夏の暑さを前に、「本当に今年もやるのか?」と疑問に感じはじめているのも事実だた。「やるのか?」というのは、「僕たちが横須賀に行くのか?」という意味であると同時に、「主催者側がギブアップしないのか?」という意味でもある。こんな暑い時期にイベントをやると、いずれ死者が出るのではないか?という不安の声は、きっと内外から起きている筈だ。

甲子園球児じゃあるまいし、炎天下で基地内をウロウロしたって感動をありがとう!とは言われない。「ステーキ食って喉詰まらせて死ね、豚野郎」と罵倒されるのがオチだ。

僕は比較的マゾ気質というか、つらい思いをしたほうが良い思い出になると思っている。なので酷暑イベントでも比較的平気だ。しかし、この考えに賛同し、参加してくれる仲間が誰もいなくなってしまっては情けない。おっさん一人で、汗をダラダラかいて基地を巡り、でかいピザをぶら下げているのは美しくない光景だ。

そんなに自虐的にならなくても良いのだけど、そもそも横須賀基地自体がコンテンツとして魅力を失ってきつつあるのが、すごく気になるところだ。昔は周囲一帯香ばしい煙で包まれるほど、あちこちで肉が焼かれていた。「さすがアメリカ!」と来場者を驚かせ、目を楽しませ、そして胃袋も楽しませてくれた。

しかしここ最近、あまりの暑さで肉を焼く人がしんどくなってきたのだろう。肉屋台が顕著に減ってきた。もちろん、来場者だって暑さでゲッソリしており、肉の塊を提示されても買おうという気にならない。そんなわけで、今やすっかりエナジードリンク屋台だらけになってしまった。正直、つまらない。

もう横須賀からは引き際なのかもしれないね、ということはこのオフ会の前から話をしていた。たぶん他の米軍基地だってフレンドシップデーは開催されているだろうから、今後はそういう基地を毎年場所を変えながら巡っていく「USAツアー」にしてはどうか、と考えている。たとえば、来年は横田、再来年は座間、その次は厚木とか。いつ基地公開をやっているのかは全く知らないのだけど。

というわけで、今年で多分横須賀は一区切り。思い残すことがないように、今回のオフ会は楽しみたい。

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参加者を募ったところ、よこさん、おーまさんが賛同してくれた。二人とも、昨年に引き続きの参加なので横須賀は勝手知ったる人たちだ。なので、初参加の人向けの配慮などせず、やりたいことをやって有終の美を飾りたい。

2018年08月04日(土)

磯丸水産

09:29
6回目の「日帰りで行くアメリカ旅行」となった。

天気によっては参加辞退もあり得る、ということを事前通告していたよこさんへの配慮もあって、「当日、横須賀35度以上の天気予報ならば開催中止」というルールにしてあった。

で、実際の天気予報は「33度」。「ほら!思ったよりも気温が低いから大丈夫!」ということで開催決定。

よこさんはぽつりと

「なんか、感覚が麻痺してきている気がする」

とつぶやいた。

確かに。33度で「気温が低い!」と言っているなんて、随分脳みそが茹で上がっていると思う。しかしこの2018年は特に暑さが厳しく、40度越え!というニュースもちらほら報じられていた。そんな中での、「最高気温は33度」と言われたら、なんとクールに感じることよ。スゲー勘違いなんだけど。

「今年で横須賀は締めくくりになるので、思い残しがないように」

集まった仲間に、「訓告」を垂れるおかでん。

「思い残しといえば、駅前の『磯丸水産』でハマグリを焼くことかなあ」

と言う。

今年に限らず、毎年朝からとても暑いので、「基地にいかないで、横須賀中央駅前の磯丸水産(24時間営業)で妥協する?」というのが定番の冗談だった。

そんな磯丸水産は今年も健在。しかし、さすがに横須賀まで行っておきながら本当にハマグリやらイカやらを焼いて食べて帰りました、というのはあんまりだ。今年もやっぱり、冗談の域を超えないままこの話はスルーされた。

ただ、基地帰りに立ち寄ろう、というお店が今年はあった。よこさんからの情報提供なのだが、「相模屋」という焼き鳥屋がなにやら味わい深いのだそうだ。調べてみると駅から近いし、昼から営業をやっているので好都合だった。基地帰りに、焼き鳥を食べるというのは確定事項となった。

ただ、狭い焼き鳥屋で焼き鳥を食べるとなると、毎年定番の「でかいピザをお土産に持ち帰る」ということは難しい。今年はピザは諦めるつもりだ。

「えー、真っ二つに折って持ち帰ればいいじゃないですかー」

よこさんが無茶なことを言う。カルツォーネみたいになるぞ。やめなさい。

横須賀中央の町並み

09:32
既に今日のお昼の暑さは確定済み、という雰囲気の天気のもと、基地に通じる道を歩く。
これまでは9時に横須賀中央駅に集合していたけれど、今年は9時半ということで時間を30分後ろにずらした。三笠公園で入場待ちの行列に並んでいる間にへばってしまわないようにするためだ。

僕が初めてこの基地開きのことを知った時は、「ゲートを通過するまで2時間待ち」と言われたものだ。すごい行列を覚悟しなければならなかった。しかし年々気温が上がり、熱中症リスクが懸念される時代となり、来場者数は減ってきているようだ。少なくともここ数年は、入場ゲートで大行列を作っているのは見たことがない。

ならば、ということで今年は時間を遅らせたわけだ。その分退却時間が後ろにずれるということは考えておらず、今日は多分「10時に基地に入って、12時過ぎには基地を出るんだろうなあ」という予感がある。年々、どんどん滞在時間が減っている。

三笠公園

09:43
今年も基地への入退場は、三笠公園から行う。

三笠公園には入場待ちの来場者を誘導するカラーコーンがたくさん並べられており、みんなそこにおとなしく並んでいる。

三笠公園ゲートに続く行列

09:45
昨年までは隊列がつづら折れになっていて、前にずるずると進んでいくスタイルだった。今年からは縦に6列だったか7列くらい、並ぶようになっていた。誘導員の指示に従い、1列ずつが前に進み、残りの列はそのまま待機、という運用形態だ。

つづら折れだったら、ダラダラと歩き続けないといけないけれど、これだと自分たちの列の番になるまで動かなくて済むので楽だ。

毎年、手荷物検査場周辺をガードしている警備員の存在が不思議だった。迷彩服を着ているけれど、自衛隊の迷彩柄ではない。でも日本人だ。そして、やたらと若くてマッチョだ。普通の警備会社に、「イベントがあるんで、警備員を派遣して下さい」と仕事を依頼したって、こういう人は集まらない。

しかし今年、彼らが着ている迷彩服がリニューアルされているのに気がついた。バッジがつけられていて、そこには「US NAVY SECURITIES」と記されていた。あ、やはり軍属だったのか。日頃、業務の一環としてカラダを鍛えているに違いない。みな一様に分厚い胸板で、この人たちと殴り合いになって絶対に勝てる気がしない。

三笠公園ゲート

10:06
ゲート通過に所要時間約20分。今年も快適に中に入ることができた。

ゲート周辺は写真撮影禁止なので、写真はもちろん一枚もない。

この基地に入る際には、写真付きの身分証明、しかも自動車運転免許証程度ではダメという厳しい制約がある。しかし、この6年間一度たりとも、「身分証明書を見せろ!このスパイ野郎!」と捕まえられている人をみたことがない。よっぽどのことがないと、そういう自体にはならないのだろう。

ただし、ノーチェックで入場できるのは日本国籍を持つ人だけだ。日本国籍以外の人が基地の中に入ろうとすると、別の窓口で手続きを行わないといけない。面倒だから日本人のふりをしてそのまま手荷物検査場を通過、ということをやってもバレないとは思うが、バレた時が面倒なことになる。「国籍を隠してまでして、基地内に入ろうとした太ぇ野郎」ということで、こってりと取り調べを受けることになるだろう。

軍用犬が乗るワンボックスカー

10:07
基地内に入ってすぐのところに、軍用犬のシェパードが待機しているのが恒例だ。

今年はその姿が見当たらないからどうしたのかと思ったら、ワンボックスカーの中で涼んでいるらしい。「危険 軍用犬」という警告が車窓に書いてある。

危険、と言われても、車内の冷房で涼んでいる犬がいきなり臨戦態勢になれるのかどうか、ちょっと疑問だ。いきなり炎天下に出てきたら、犬だって思わずクラッとしてしまうだろう。

テントを張る人が早速いる

10:07
基地に入ってすぐのところに、早速テントを設営済みの人がいた。いや、人の姿は見えないけれど。

芝生だし、ベンチがあるし、海沿いだ。悪くはない場所なのかもしれないけれど、ここから夜の花火はよく見えるのだろうか?大勢の人が夜に向けて陣取る場所とは、随分離れている。

しかし、朝10時にして既にテント設営完了、テントのヌシは既にどこかに繰り出している最中、ということは、ここをキャンプ地とすることに何の躊躇もなかったのだろう。過去何度もこの地を訪れたことがある人が、「今年はここを陣取る!」と最初から決めていたっぽい。

それにしてもこれから暑い時間帯をずっと乗り切らないといけない。本当に長丁場で大変だ。

(つづく)

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