おかでん結婚式前後のできごと【倉敷・吉備路】

不肖おかでん、いしというパートナーと出会い結婚に至ったのが2019年12月。

お互いの歳の差12歳。バツイチとかならともかく、お互い初婚同士でこの歳の差は結婚市場全体で見ると0.1%程度の希少品種だ。しかも僕の場合、45歳での結婚。お見合いやマッチングアプリで知り会ったわけでもない。こういう宝くじに当たるような珍しい展開を自分が引き当てるとは思っていなかった。

僕のようなレアケースを「誰でもありえる人生の選択肢」と思わないほうがいい。

情報社会の今、ネットを探せばレアケースのできごとはいろいろ見つかる。特に恋愛・結婚関係はそうだ。「猛烈にアタックしたら無理めな相手がOKしてくれた」みたいな体験談を信じて、自分も同じようにやってみたらストーカー扱いされた、なんて事例はあちこちで起きているだろう。

それと同じように、「そうか、40歳を過ぎたおっさんでも、干支が一回り違う若い女性と結婚できるんだな」と自分のこれからの人生に期待を持たないほうがいい。結婚したいんなら、ちゃんとそれなりの王道のやり方や時期というものがあるんだから、まずはそこから外れないことだ。

あと、ワンチャンありえるかも、と出会い系などでおっさんが若い子ばかりを狙うのも時間の無駄だと思う。僕が今回若い女性と結婚したのは、リアルの出会いだったからだ。出会い系サイトは年齢や年収、外見などのスペックでシビアに判断され足切りされる場だ。年齢的に結婚適齢期と言い難い人は、「ワンチャン」なんて考えるだけ無駄だ。

偉そうに語っているように見えるかもしれないが、僕は僕自身の境遇が心底レアケースだと思っているからこそ、こう言っている。参考にならないし、参考にしちゃダメな事例だ。


僕がなぜ結婚することになったのかというと、そもそも結婚とか恋愛に対して無欲になっていたからだ。

独り身の気軽さを利用してあちこち動き回っていて、知り合いが増え、交流も増え、その中で出会ったのが結婚相手となったいしだった。無欲の勝利。

つくづく感心するのが、人間40歳を過ぎれば女性と喋ることに対する遠慮が減ったということだ。

僕は男子校という出自のせいで女性と喋ることが得意ではない。でも、40歳をすぎると女性とでも気軽に話ができるようになった。たぶん、恋愛に対するギラッとした欲望が失せ、肩の力が抜けたからだろう。

女性が歳とともにおばちゃん化し、遠慮なく「やーねーもう」などとガハハと笑いながら喋るようになるのに近いのかもしれない。

たとえば未婚の女性に対して、「で、付き合っている人っているの?」なんて聞くのは全然平気になった。

昔だったら、そんな質問をすると「貴女に気がある」と思われたらどうしよう・・・と、メタ視点であれこれ考えてしまい、到底聞けない質問だったのに。今は、「貴女に気がない」からこそ、ざっくばらんにあれこれ聞くことができるようになった。

女性の友達が増え、サシでご飯を食べに行くような相手が何人もでき、とても楽しい日々だった。その楽しさのベースにあるのは、相手を恋愛対象として見ていなかったからだ。

もちろん僕がメシを一緒に食べたいと思う方なので全員素敵な方なのだけど、僕が「この関係は友情」と思っていたからこそ、すごーく気軽にメシに誘えたし、そういう関係性が大変に誇らしかった。

男子校出身者だからこそ、なんだと思う。「男女の恋愛」よりも「男女の友情」のほうが尊く感じられる。

「恋愛抜きで女性とメシを食べている」という自分自身に酔っていたのかもしれない。むしろそこに恋愛という感情を入れるのは邪魔だった。

・・・これくらいの無欲さ、そしてなによりも活動量があってはじめて結婚相手というのは現れる。僕の場合はそうだった。

いしとは、「サシでメシを食える女友達が一人増えた」程度で関係性がスタートしたけど、気がついたら深い仲になった、というパターンだった。

歳の差が12歳ということも、僕を完全に油断させた。「この年齢差だったら絶対にないわー。相手(いし)も、僕が言い寄ってくるのでは?と身構えることはないだろう」という安心感から、本当に気軽に「メシ食べにいこうぜ」と誘っていた。この無思慮っぷりが、結果的に良かったと思う。

実際、19時から二子玉川で別の女性とメシを食べて、22時からいしと西日暮里のバーで会う、なんて日もあった。モテていた?違う違う、それくらい僕は気軽だったし身軽だった、ということだ。


僕は1年半前、自分の今後の人生を考えて都内の交通の便の良いところにマンションを買ったばかりだった。その後わずか半年でいしと知り合い、1年後に同棲の場となり、1年半後に結婚して正式に一緒になるというのはかなり数奇だ。

また、後日談としてさらに1年半後には子どもができ、そのタイミングでマンションを売却して別の場所に転居した。

これだけ見ると、マンションを買ったのは時期尚早で失敗だったのでは?と思えるかもしれないが、全てこちらの思惑通りにことが進んでいる。それはどういうことか?

人生40歳をすぎると、「家を買うならそろそろタイムリミットだな」と考えるようになる。特に定年がある会社に勤めるしがないサラリーマンならなおさらだ。その際、僕は

(1)狭いけど都心に近い場所
(2)広いけど郊外

のどちらにするか、じっくり考えた。家を買ったことで、「もう僕は今後一人で生きて行くんだ、それしかないんだ」と決めるのはイヤだったからだ。家を買ってもまだ人生の選択肢は残しておきたかった。

家族が増えるかもしれない、ということを考えれば、(2)の「広いけど郊外」がいい。3LDKのマンションとか、自分の予算でも十分狙える。しかし、もし今後誰とも結婚しなかったとき、今後何十年もガランとした部屋を眺めつつ、「あー、空振りだったなあ」と思い続けるのは虚しい。なので、僕は(1)の「狭いけど都心に近い場所」でマンションを買った。

このマンションは、40㎡・1LDKという間取りだった。事実上一人暮らし用の家だが、DINKSが住めないことはない広さだ。今後「万が一相手が現れる」ことがあったとしても、一緒に住める最低限の広さは確保した。

そして、山手線の駅から徒歩で数分という立地なので、高値で転売が容易であろうという見込みもあった。結婚して家族が増えたという理由であっても、世捨て人として一人で田舎に移住するにしても、売却ができるというのは大事な要素だ。

また、僕がフットワーク軽くあちこちに顔を出し、知見を増やしていけたのは住んでいる場所の交通の便が良かったからだ。もし郊外に住んでいたら無理だった。

いしが我が家に足繁く遊びにくるようになり、あっという間に同棲するようになったのは、地の利が良かったからだ。彼女は同棲してからも何事もなかったかのように、日々職場に通勤していた。

まとめると、「便利の良いところに住んでいれば、自然と自分自身の行動が活発になり、出会いも増える」ということだ。ここで言う「便利の良さ」というのは、東京に関して言うと「主要鉄道路線が最寄りで、駅から家までの距離が近いこと」だ。

誰か女性と出会いたいからこのマンションを買ったわけではないが、そういう拡張性は予め織り込んだうえでの行動だ。だから偶然・まぐれで生涯のパートナーと知り合ったわけではなく、ちゃんと想定範囲内の中だったということだ。

いしは言う。

「もしおかでんさんがちょっと不便な場所に住んでいたら、一回二回はご飯を一緒に食べに行ったかもしれないけれどそれ以上はなかったかもしれない」

と。お互い遠くに住んでいたら、「わざわざ会う理由」のハードルが上がる。しかし、僕も、そしていしも「駅チカ」に住んでいて「じゃあ今晩サクッと」と急遽集まることができた。東京の中心・山手線沿線の駅チカに居を構えたのは、僕の人生で最大の正しい選択だったと思う。

なお、余談だが、このマンションは入居から3年で売却したわけだが、わずか3年で数百万円の売却益が出た。つまり、買ったときよりも中古で売ったほうが高くなったということだ。儲かって良かったのだが、短期の不動産売買となったために譲渡益に40%強もの税金がかかって支払いがしんどかった。

さらには、譲渡益を確定申告したら、その年の子ども手当が減額されるやら、弊息子の保育園料がバク上がりするやら、相当我が家の家計にダメージを受けた。税金をしこたま払ったのに、行政からの各種助成金が減額されるという往復ビンタ状態。


で、結婚式に話を戻す。

当初いしは、「結婚するなら10月が良いのではないか」ということも口にしていた。とんでもない無茶っぷりだ。だって、プロポーズをしたのが7月、両家の親に挨拶を終えたのが8月。10月だなんて無理だ。

こういう、一見無茶なことを平気でぽろっと言うのがいしの性格だ。あまりに堂々と言うので、「ひょっとすると『無理』と決めつけるのは僕の考えが硬直しているからではないか」と思うこともある。でも後になって、「やっぱり無茶だった」ということがわかることはザラだ。まあ、これが歳の差の経験の差だ。

なんで結婚式を10月に、という話が出たのか。待ち遠しい、早く結婚したい、という無邪気な発想なのだろうか。

違う。

彼女は言う。

「一年のうちにあれこれ記念日があるのって、覚えるのが面倒じゃないですか。記念日を忘れてた、というのはいざこざの原因になりますし。10月は私の誕生日があるので、その日とあわせれば覚える記念日が一つ減らせて楽ですよね」

なんだその理論。この発想は僕には全くなかったので、唖然としてしまった。

結局、さすがに10月にあれこれ結婚の段取りを間に合わせることができず、式および入籍日は12月ということになった。

(つづく)

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