2001年03月04日(日) 2日目
[行程]
09時出発→10時薬師の湯→11時酒の博物館→13時蕎麦屋「安曇野翁」→14時蕎麦屋「浅田」→19時八王子(解散)
二段ベッドで迎える朝。
おかでん「起きろ~起きろ~朝だぞ~」
二段ベッドの上から、ベルトの先に使用済みのくっさいソックスをくくりつけて、下段で安らかに眠るヲガタの鼻先をくすぐる。
ヲガタ「うわっ、何か不愉快だと思ったら!靴下が目の前に!何だ、どうなってるんだコレは!」
おかでん「落ち着け、単なる朝だ」
ヲガタ「ああ、おかでんキサマかっ。何が『単なる朝』だ、目の前に靴下がぶら下がっているなんて朝があるかっ!」
外は一面の雪景色。
おかでん「・・・っていうか、シャレになってない気がするんですけど」
ミズカミ「ああっ、俺の車が雪に埋もれてる!」
ヲガタ「ああ、そこにあったんか。僕ぁてっきり雪だるまかと思った」
おかでん「大丈夫かな?バッテリーあがらないで頓挫、僕ら一生この『ポッポのお宿』滞在なんて濃い事になるのはご免だぜ」
ヲガタ「それはやばい。それは濃すぎるから却下」
ミズカミ「まさか雪かきをせにゃならんようになるとは思わなかった・・・」
おかでん「昨日晴れてて良かったよな、こんな大雪でおでんなんてやってる場合じゃないもんな」
ヲガタ「おでん以前にスキーできんだろ、これじゃ」
おかでん「あ、そか。おでんを心配する以前にスキーを心配せにゃならんかったか。順序逆だったな」
ヲガタ「スキーなくしておでんなし、だったんだからなこの企画。そこを間違ってはいかん」
雪かきが終わったところで、宿の前にて記念撮影。宿の主人・ポッポさんが左端。
昨晩は酔っぱらっていてこのご主人相当いい味を出していたが、朝になってアルコールの魔の手から脱出してしまうと普通のオッチャンに戻っていた。
ヲガタ「さすがに朝から昨晩のテンションじゃ、ちょっと濃すぎるもんな」
全くだ、と肯くミズカミとおかでん。
宿を出発。
おかでん「おい、キミはいつの間にそんなに老けてしまったんだ?たった数分の間にすっかり白髪になってしまったじゃないか」
ミズカミ「えっ?・・・ああ、本当だ、あの宿の毒気にあてられたか。でもそういうお前も白髪だらけだぞ」
おかでん「おや」
雪はますます強くなる。車に乗る際に雪を祓い落とすのだが、サテ乗り込むぞというたった数秒の間に、もう次の雪が降り積もっている状態。
この日、広島からうっちゃんが合流することになっていた。合流場所の信濃大町駅にて待機。
おかでん「すーごーい雪だな~。駅、雪で埋もれてしまうんじゃないのか」
ミズカミ「この程度の雪で埋もれてたら、きりないぜ?」
おかでん「いや、埋もれては掘り起こし、また埋もれては掘り起こしを繰り返しているのかもしれん。嗚呼人間という生き物はかくも大自然と闘わないといきていけないというのか!」
ヲガタ「何か一人で盛り上がってるね」
おかでん「しかし!しかしだ諸君。かくも厳しい大自然を生き抜く知恵というのを人間は編み出しているのである!」
二人「・・・?」
おかでん「見よ、目の前ののぼりを」
ミズカミ「黒部おやき?」
ヲガタ「あっ、おかでんセンセイやっぱり買おうって思った?やっぱり?」
おかでん「馬鹿者、そんな安易なキモチではない。寒さ厳しい雪国で荒むココロ。それを癒してくれる暖かいおやき。これぞ、生活の知恵、これぞ、旅情」
ミズカミ「いいから買うならさっさと買ってきなよ」
おかでん「じゃーん。買ってきました」
ヲガタ「あ、本当に買ってきやがった」
おかでん「といっても、おなかは全然減っていないのだ朝飯食べて間もないし」
ミズカミ「じゃあなんで買ったのよ?」
おかでん「・・・欲しかったから」
ヲガタ「コドモじゃないんだから。何だよ、その理由は」
うっちゃんと合流後、大町温泉郷にある日帰り湯「薬師の湯」に行ってみることにした。
おかでん「記念撮影とりまーす」
ミズカミ「早くしてくれ、寒い!」
おかでん「ちょ、ちょっと待ってくれ、雪があんまりにも多いから、ピントが雪にあってしまうんよ!」
※ちなみに、うまくいかなかったので風呂上がりにもう一回撮影したのがこの写真。またもや手間取ってしまい、結局風呂で暖まったのを元の木阿弥にしてしまった。
薬師の湯は設備が整ったとても快適なお風呂だ。広々とした露天風呂があって、ぬるめの温度なのでしんしんと降り注ぐ雪を愛でながらいつまでも温泉を楽しむことができた。ただし、ちょっと塩素臭さが気になったが。
おかでんは他の連中より早く風呂からあがり、休憩室に移動。見つからないようにそそくさと生ビールを購入。
おかでん「ダメだ、缶ビールだったら誘惑には負けない自信があったんだけど『生ビール』だもんなあ。ダマされちゃいけない、飲んじゃもったいないと分かっていてもついつい」
ぐいっ。
おかでん「でもそんな事を言ってても、風呂上がりのビールってあんまり好きではなかったりする。嗚呼、烏龍茶か水の方がいいや・・・」
なら何で買った?
いや、なんとなく。
風呂から上がってきた残りのメンバーと合流。
ヲガタ「ああーっ、おかでん居ないと思ったらこんなところで何飲んでるんですかァ!」
おかでん「いや、何飲んでるって見ての通り健康麦芽飲料を」
うっちゃん「おかでん朝から飛ばすねえ、ならワシも負けてられんで」
かくいううっちゃん、しばらくして戻ってきたら手に「わさびアイス」が握りしめられていた。
うっちゃん「やっぱり信州じゃけえね、わさびいっとかんとダメじゃろ」
そうです。旅情とはかくあるべきです。王道と言われようが、ベタと言われようが広告宣伝にまんまとハメられてると言われようが、地元特産品を使った料理を食べるというのはあまりに正当でございます。
ビール飲んでちゃ、ダメだよなあ・・・少なくとも、旅情ではない。
おかでん「残りのビールは、キミに授けよう」
ヲガタ「ふえっ?もうええの?」
半分くらい残っていたビールを、ヲガタに強制送還。
別に酔っぱらったわけじゃないが、広い畳に座っているとどうもうずうずしてしまうようで・・・。
あっちでは「これが『弓矢固め』だ!」とプロレス技解説を始める輩がでてきたり、別のところでは「お客さ~ん、結構凝ってますねえ」「そりゃあもうマニア歴20年だからねえ」とワケのワカラン会話をしながらマッサージが始まってみたり。
ちなみに右側の写真で顔がぶれているのは、心霊写真ではないのであらかじめご了承願います。(フラッシュを焚いては周囲に迷惑なので、シャッタースピードを遅くして撮影したら顔がぶれた。しかし、マッサージしている手がぶれないで、顔がぶれるマッサージ師って一体何物だ)
薬師の湯で一暴れした後(趣旨がそもそも間違っている)、すぐ近くにある「酒の博物館」に行ってみる事にした。
おかでん「おおお、風情があるではないか」
うっちゃん「ほら、パンフレットも大福帳の形になっとるで!?」
ミズカミ「しかし、ここら辺って酒どころだったっけ?」
全員「・・・・・・」
ミズカミ「立地条件としてはやや無理があるような」
全員「・・・・・・」
入口に展示されていた醸造用のかめ。
おかでん「ああ、これだけのお酒が自分のモノにできたらどれだけの間酒を買わんで済むかいな?欲しい!欲しい!」
ヲガタ「死ぬまで持つじゃろ。こんなのが家にあったら、肝臓壊して早死に。ちーん」
うっちゃん「それ以前に飲みきる前に酒が酢になるで」
おかでん「・・・却下だな。このかめいっぱいのビールだったら、欲しい」
ヲガタ「何ですかコレは」
ミズカミ「オバステ正宗、だって。なんつーネーミングじゃ」
おかでん「オバステ正宗は、母を泣く泣く置いてけぼりにした時感じたほろ苦い味がした、ってか?」
うっちゃん「うまいんか?これ」
おかでん「さあ?やけ酒用じゃないのか?」
こんなネーミングのお酒でやけ酒しても、悪酔いしそうです。
うっちゃん「うそー、ホンマか、これ?」
昔の人は酒が強かった(江戸時代の競飲会の記録)
昔の大酒飲みは、今の人が桁と違うなどとよくいわれます。酒の質が今の酒と少し違っていたとはいえ、記録でみるとその飲みっぷりはだいぶ異なります。
「兎園小説」によると、江戸時代文化14年(1817)3月23日、両国柳橋万屋八郎兵衛方で大酒大食の会がおこなわれました。その時の記録は次のごとくです。
一、3升入盃で3杯 小田原 境屋忠蔵 (68歳)
一、3升入盃で6杯半 芝口 鯉屋利兵衛 (30歳)
その場で倒れ、長い間休息して目をさまし、茶碗で水17杯飲んだ。一、5升入丼鉢で1杯半 小石川春日町 天堀屋七右衛門 (73歳)
この人はすぐ帰ったが、湯島聖堂で倒れ、明7時まで寝ていた。一、5合入盃に11杯 本所石原町 美濃屋儀兵衛 (51歳)
この人はあとで五大力を謡い、茶を14杯飲んだ。一、3合入で27杯 金杉 伊勢屋伝兵衛 (47歳)
あとで飯3杯、茶9杯を飲み、甚句の歌で踊ったという。一、1升入で4盃 山の手 藩中の人 (63歳)
あとで東西の謡をうたい、一礼して帰った。
この他、江戸時代の豪傑たちの記録がずらずらと・・・
一体どういう体をしていたというのか?昔のお酒は純度が低く低アルコールだったと推測されるが、それにしてももの凄い。
ヲガタ「わ、この部屋は一体なんだ?」
うっちゃん「日本全国のお酒が陳列されとるらしいで」
おかでん「よくもまあ集めたもんだなあ」
ミズカミ「でも気を付けろ、地震が起きたらこの部屋におったらアブナイで」
おかでん「上から横から、割れ物が降ってくるもんな、この部屋だと」
みんなで、自分の知っているお酒を探しては「あったあった!」と大はしゃぎ。ウォーリーを探せみたいな状態だった。
昔の酒造り道具があれやこれや陳列してあるコーナー。
おかでん「・・・なんとなく、古道具屋って感じがする。雑然と並べられてるし」
うっちゃん「じゃ、この樽1万円でどうですお客さん?お安くしておきましたぁ」
おかでん「いりません。そんなもの家に持って帰っても邪魔なだけっす」
道具の隙間を縫うようにして、右へ左へと順路は続く。
ヲガタ「うひゃ。これですよこれッ!」
順路のゴール地点には、利き酒コーナーが待っていた。一人いっぱい限り、とかケチくさいことは無しで、飲みたいだけ飲むことができる。
ミズカミ「ここにつまみとか持ち込んで酒飲みゃ安く済むな」
おかでん「本当の酒の美味さを知る上では、つまみとの相性が重要なんですよなんて言いながら?嫌がられるよなあ、それ」
ヲガタ「うむ。なかなか」
おかでん「水筒持ってくれば良かったかな?お気に入りのお酒をこっそり詰めて持って帰っちゃう」
うっちゃん「捕まるで、バレると」
おかでん「おうちでも引き続き利き酒を、なんて。ダメか?」
利き酒コーナーの横にこんな看板が。利き酒をしながらここまで挑戦できるかコノヤロー!という挑発だろうか?
血中濃度 (%) 酒量 主な症状
爽快期 0.02-0.04 ~1合 ”ほろ酔い気分で、緊張や不安が少なくなり、陽気になる。”
ほろ酔い前期 0.05-0.07 1合~1合半 ”ほろ酔い気分で、軽くはしゃぐ。判断力がやや鈍る。”
ほろ酔い後期 0.08-0.10 2合 ”判断力がとれる。手が少し震える。心拍数が増える。”
酩酊前期 0.11-0.15 2合~3合 ”気が大きくなる。大げさに話したり、怒りっぽくなる。立てばふらつく。”
酩酊後期 0.16-0.30 4合~5合 ”千鳥足。酒をこぼす。何度も同じ事を話す。言葉が不明瞭になる。”
泥酔期 0.31-0.40 7合~8合 ”まともに立てない。怒り、叫び、狂態を演じる。独り言が多くなる。”
昏睡期 0.41-0.50 1升以上 ”感覚が麻痺し、意識不明で昏睡状態になる。呼吸麻痺が起こると死に至ることもある。”
自分の過去を振り返り、胸に手を当てて深く反省。
さあ、せっかくだからもう少し勉強していきますか。
酒の種類
原酒 加水調整しないので、濃醇な風味がある。アルコール度数は普通酒より高く、18-21度ある。
生酒 いっさい火入れ(加熱殺菌処理)をしない。さわやかな香りで、口当たりの良いお酒。(日本酒は貯蔵する前に一度、瓶詰めする前に再度火入れをする)
生貯蔵酒 しぼったまま貯蔵し、瓶詰めする時に一度だけ火入れをする。貯蔵時に一度火入れし、そのまま出荷するのを「生詰酒」という。
にごり酒 もろみの中の蒸米やこうじを細かく砕き、粗濾しした酒。とろりとした舌ざわり。樽酒 木製の樽で貯蔵し、木香のついた酒。瓶に詰め替えられて出荷されることがある。酒の味と共に杉の香りを楽しめる。
貴醸酒 仕込水の一部を清酒におきかえて醸造したもの。濃醇な甘口。
熟成酒 一年以上貯蔵したものを「古酒」といい、五年以上のものを「秘蔵酒」という。まろやかで、コクのある味わい。
生一本 単一の製造場で醸造された純米酒。
酒の博物館を見学した後は、おかでん熱烈推奨の蕎麦屋巡りをすることになった。
まずは、そば食い人種おかでんの熱烈推奨歴代第三位のお店・「安曇野翁」に突撃。
ヲガタ「ホントにこんな山の上に蕎麦屋があるんか?」
おかでん「あるから不思議なんだよな、敢えて立地条件を悪くしているような気がする」
ミズカミ「それはいいんだけど、そろそろこの車ヤバいんですけど」
ぎゅりりりりっ。
おかでん「・・・何です?今の」
ミズカミ「タイヤが空転した。これ以上ヤバくなったら、戻れなくなるんで勘弁な」
おかでん「あともうちょい、あともうちょういだ。頑張れ。」
そんなやりとりの中、雑木林の先に「安曇野翁」発見。
そば食い人種の面目躍如ということで、全員大満足で蕎麦を食べてくれた。
おかでん「良かった。ここまで苦労して到着して蕎麦がまずいなんて事になったら、僕ぁここで車から放り出されてしまうところだった」
うっちゃん「いや、これは美味いわぁ」
おかでん「酒良し、蕎麦良し、そして景色良しだ。ほら外を見たまえ、北アルプスが目の前に」
この店の詳細は、こちらに詳しい。
車中。
ヲガタ「いやあ、うまかったなあの蕎麦は」
おかでん「でしょ?今まで食ってきた蕎麦って何だったの、って感じでしょ」
ミズカミ「個人的には昨日の蕎麦屋の方が好きかも知れないけど、さっきのも良かった」
おかでん「でも、それよりさらに美味い蕎麦屋があるんだけど、どうする?試してみる?」
うっちゃん「せっかくじゃけえ、行ってみようや。そんなに美味い蕎麦なんて広島じゃ滅多食えんけえね」
ということで、今度は松本に転戦。到着したのは、「浅田」。おかでん熱烈推奨蕎麦屋歴代第二位。
中にはいると、結構繁盛していた。
おばちゃん「すいませんねえ、今から蕎麦打ちますんで、20分くらいお時間かかるんですけど、よろしいですか?」
全員「うんうんうん」
全く問題ないんである。待たせてもらいます。それだけの価値は、ある。
後ろを振り向くと、ご主人が必死になって蕎麦を打っていた。そば打ち職人が、「そば打ちマシーン」になってしまっている。 大丈夫だろうか。繁盛すればするほど、そば打ち職人は疲弊してしまう。繁盛店の主人が腰を痛めてしまい営業時間縮小やら一時休業というのはよく聞く話だ。この店の主人には、ぜひそういう事が無いようご自愛願いたいものだ。
蕎麦味噌をつまみながら、お酒を飲んで蕎麦を待つ。おかでんは、前回来たときにこのお店の実力を見せつけられているので、「もりそば」と「きのこそば」二つを注文。(この店には、プラスで10割そば(数量限定)の3品しか存在しない)
・・・さっき、「ご自愛願いたい」とか言っておきながら、いざ自分が食うとなると2品も注文しやがって。
ヲガタ「おかでん二つも食うんか」
おかでん「へっへっへ、それだけ食べても後悔はせんということよ。まあ見てろ」
まもなく、待望の蕎麦登場。みんな、もりそばだ。
ヲガタ「あ、これは美味い・・・」
ミズカミ「いいねえ」
うっちゃん「こりゃ広島では食えんで。おいしいなあ」
みんな、大絶賛なんである。そりゃそうだ、この店がまずいという奴手を挙げてみろゴルァ、って自信をもって言えるくらい、ここは美味いんである。
そんな絶賛を後目に、おかでんの手元には温かい「きのこそば」が到着。これがまた、うまい。一同の羨望の眼差しを一点に受けながら、ずるずるとそばを食べる。
うっちゃん「あの、すいません・・・お代わり注文してもいいですか?」
おばちゃん「すいませんねえ、そばまた切らしちゃって。また20分ほど待ってもらうようになりますけど」
うっちゃん「うへ」
そんな会話をやっているうちに、また数名でお客さんが入店してきた。さすがの主人もちょっと参っていた。
お弟子さんを雇った方がいいんではないですか?せっかくのこの美味さなんだし。
食後、サテどこに行こうかという議論をしながら地図を眺めていたら、「美ヶ原」という文字が目に付いた。
おかでん「そうだ、美ヶ原から霧ヶ峰まで高原ドライブをシャレこもうではないか」
しかし、今になって考えてみれば、昼頃まであれだけの吹雪だった信州地方。山に向かうと言うことが自滅行為だった。
浅間温泉から、美ヶ原の王ヶ頭に向かう美ヶ原林道ルートをとる。最初は除雪もしっかりされていたのだが、あっという間に雪まみれの道に化けてしまった。こうなると、いくらスタッドレスタイヤを履いていても2輪駆動ではアウト。タイヤが空回りして、止まってしまった。
ミズカミ「あー、焦げ臭いにおいがする・・・タイヤ、チビちまった」
ヲガタ「おかでーん、やっぱ無理じゃないか」
おかでん「うう、行けると思ったんですけど・・・浅はかでした」
うっちゃん「とりあえず、押してみるか」
おかでん「そりゃ、押せ、押せ」
さっきまでのグルメ満喫ツアー的雰囲気が一転、一気に肉体派になってしまった。
ミズカミ「だーめーだー。どうやっても進まない。しゃーないからバックだ」
おかでん「バックたって、100mくらい下がらないとUターンできんなあ」
うっちゃん「しょうがないじゃろ、下がるのみよ」
結局、われわれは撤退を余儀なくされてしまった。
しかし、雪の上で滑るからバックするのも一苦労。
うっちゃん「はいそこ、まっすぐまっすぐ・・・」
ヲガタ「おっけ、そこでちょっとだけ右。コラおかでん、写真とっとらんと手伝え馬鹿者」
おかでん「従軍記者として僕は責務を全うします」
ヲガタ「アンタのせいでこうなったんだからな!」
車中に広がる「おかでんにハメられた」という雰囲気。やばい。これはまずい。
起死回生策として、地図に記載されていた塩尻の東側、「アルプス展望台」に行ってみる事にした。美ヶ原からの展望がダメなら、こっちで展望してやる。
ミズカミ「全然展望台なんて無いんですけど」
うっちゃん「でも地図ではこの辺・・・」
おかでん「どう見てもこの辺だよな、でも展望台らしき高台も無いし・・・」
結局、みんなで近くを歩き回り、展望台らしきものを捜索したが、見つからず。
おかでん「・・・しょうがない。ならば、今日、今、ここで、たった今から、この場を『アルプス展望台』とする」
ヲガタ「えー。展望『台』じゃないよ、ここは。単なる山の斜面」
おかでん「いや、今日からそうなったんだからしょうがないじゃない、ほら文句言わないで絶景を見た、見た」
ミズカミ「でも、この風景はなかなかいいぞ」
うっちゃん「平野もよく見えるし、山も見える。いいじゃん、ここ」
おかでん「うーん、確かにこれはこれでアルプス展望台として成立しているワケね」
ヲガタ「結局、ここら辺一体を『アルプス展望台』って言ってるんじゃないの?」
おかでん「そういう事にしとこうや、深い詮索はしない方が吉だ」
いきなり、スタンハンセンの入場曲(サンライズ)を歌い出すおかでん。その曲を合図に、4人とも一斉に雪合戦を始めたのであった。
おかでん「わははっ、アルプスを横目に雪合戦!何か天下取った気になるじゃないか、ええ?」
ヲガタ「これでもくらえ」
ばすっ。
ヲガタ「三日天下だな」
おかでん「なにをーっ」
日が傾いてきた。そろそろ東京に戻らないと。
塩尻インターに向かう。
ヲガタ「それにしても濃い2日間だった」
ミズカミ「なんか、今日1日で2日分って感じだもんな」
おかでん「で、結局今回は何しに来たんだっけ?」
ヲガタ「スキー滑ったって印象がほとんど残ってないなあ」
おかでん「そば屋3軒も行ったのに、それももはやずいぶん前のような」
うっちゃん「結局何もやらなかった、のでは?」
おかでん「うぐ。ひょっとしたらそうなのかもしれん」
コメント