俺のゆで汁いりますか?【奥州三大名湯めぐり】

2003年04月28日(月) 2日目

川の音で目が覚める

2日目朝。

外が明るくなって目が覚める、というよりも川の音が気になって目が覚めた。

最初のうちは、ああ清らかでいいですなぁ、なんて呑気に川の音を聞いていたのだが、徐々にうっとおしくなってくる。がらりと障子を開けて外を見ると、なるほどうるさいわけだ、目の前に突堤があって、そこで水音が豪快に出ているのだった。

普段は川の音と無縁な生活を送っているので、こういう音に対してはそれほど耐性が無いようだ。後で兄貴も、「川の音がうるさくてしょうがなかった」とぼやいていた。

貸し切り露天風呂

旅館屋上にある貸し切り露天風呂。貸し切りできる風呂は2つあって、その両方ともが樽型の風呂になっている。いくら屋上といっても、周囲の建物から全く見えないわけでもない。だから、よしずを壁にたてかけて、視線に配慮している。

それでも、非常に開放的だ。これは、旅館の位置が鳴子温泉の外れに位置することも関係するだろう。

樽で茹で上がるおかでん

逆方向から写すと、こんな状態になる。

早朝、一人で入るのはとても気持ちがいい。

顔が非常に小さく見えるが、これは単に遠近法の関係と思われる。この樽が非常に大きいというわけではない。

でも、4人は十分はいる事ができるサイズの湯船であり、結構くつろげる。この手の樽湯って、大抵一人入ればいっぱいいっぱいになるものなのだが、ここのはゆったりとしている。

屋上露天風呂からの眺め

風呂からの眺め。さすがにここまでばっちり見ようと思ったら、立ち上がらないと駄目。真ん中に見える背の高い建物あたりが、温泉街の中心部にあたる。あの下に滝乃湯がある。

建物の中で、広いガラス張りの部分が見える。恐らく、あそこが展望風呂にでもなっているのだろう。いやん、丸見え。慌てて前を隠す。

・・・冗談です。1km近くあるので、何がどうなってるんだか、見えるわけがない。双眼鏡でも持ち出せば別だが。

でも、とりあえずあっちに向かって手を振ってみる。

意味がなかった。むなしい。

兄貴朝寝中

部屋に戻ると、兄貴がまだ寝ていた。

川の音が気になってしょうがないのか、掛け布団を頭まですっぽりかぶせている。

まだ時間は7時前。もう少し寝かせておこうか。

鳴子のおんせん朝市

まだ朝の7時。朝食は8時からなのに、なぜこんなに早起きをしているのかというと、一枚のビラが部屋に置いてあったからだ。

「鳴子のおんせん朝市」

朝市、と聞くとがぜん旅情が掻き立てられた。そりゃ、行っておかなくちゃもったいなかろう。午前10時までやってるんだから、慌てなくてもいいじゃん、と思うが、やっぱり朝早く行ってこその朝市。早起きというハードルを乗り越えてこそ、朝市を満喫できるってもんだ。大体、「限定○個」のような貴重なものがあったらどうするんだ。早くいかなくちゃ。

・・・そんなものはたぶん扱っていないと思うが。

そもそも、朝市って何だ。朝採れたばかりの農産物、海産物を持ってきて売るというのがそもそもの主旨だと思うが、ここでは何を売ってくれるのか?朝作りたてのこけし、か?

足湯

行く途中、道路の片隅に足湯があることを発見。

とりあえず、足をつけてみる。

なるほど。

以上。

先ほど、貸し切り露天風呂でお湯を満喫したばかりなので「足湯?足だけなんてケチ臭いこと言っちゃあいけねぇや」なんて強気。

旅館の源泉一覧表は壮観

JR鳴子駅前に到着。昨日、宿を手配した場所だ。

壁には各旅館の看板がずらりと並んでいる。1泊2食つき15,000円から。バス・トイレ付き、個室露天有りの部屋もあります・・・なんて書いてあるわけではない。それぞれの旅館がひっぱってきている源泉の泉質が書かれているのだった。これはなかなか壮観。

多くの旅館がナトリウム泉及びその亜流な泉質のようだ。無色透明の場所も多いが、白濁していたり硫化水素臭がしたりといろいろバリエーションがある模様。

一つの源泉を大切に分け合っている温泉地とは大違いだ。さすが、奥州三大名湯・・・

と、ようやく本来の旅の主旨を振り返る事ができた。ここで強引に「さすが、奥州三大名湯」とこじつける事ぁないんだが、そうでもしないとどんどんベクトルがずれていきそうなので、そういう事にしておく。

駐車場で朝市

駐車場には朝市の気配が無かったので不思議に思ったら、駐車場の建物の屋上で開催されていた。なるほど、のぼりが立っている。

現地に急行してみると・・・あらら。お客さん、少なぁ。平日月曜日朝、しかも観光地の朝ということもあって人がまばら。どちらかと言えば、店を出しているお店の人の方が多いときたもんだ。しかも、こっちは旅館の浴衣を着て下駄をカラコロならしてそんな場に飛び込んだものだから、店の人たちから熱いまなざしを送られる状態に。うわぁ、気まずいなあ。

結局、きまずさ半分、お土産ほしさ半分で饅頭を買った。何て名前の饅頭だったか、今となっては覚えていない。

引き上げようとしたら、デンスケとマイクを持った若い女性がすり寄ってきた。こ、これ以上気まずい思いはさせないでくれと逃走。「あの、すいません」と背後から声をかけられても、聞こえない振りをした。しかし、よせばいいのに兄貴が「おい、呼ばれてるぞ」と呼び止めやがる。仕方なしに何やらインタビューに答える羽目になってしまった。

聞けば、地元の有線放送の収録らしい。「どこから来たのか」「なぜ鳴子に来たのか」「鳴子はどうか」という3つについて質問しますから、よろしくお願いしますぅ、とぺこりとおじぎをされてしまった。仕方がない、こちとら勤務先の社内広報番組で2年間キャスターをやっていた身だ、見事にそのお題に答えてやろうじゃないか。

「どこからいらっしゃったんですか?」
「東京からです。」
「どうして鳴子に来よう、と思ったんですか?」
「鳴子は『奥州三大名湯』と呼ばれているって事をつい最近知ったんです。で、ぜひ一度その名湯を体験してみたいと思って、お邪魔させてもらってます」
「その鳴子ですが、如何でしょうか?」
「いや、さすがは奥州三大名湯ですね。お湯は非常に気持ちいいし、とてもリラックスさせてもらっています」
「どうもありがとうございましたぁ」

どうだ、この模範回答のような見事な回答は。我ながら感動してしまった。横にいた兄貴も「よく答えたな、これは放送確定だな」などと寸評を入れてくる。

しかし、他人事のつもりだった兄貴なのだが、

「では、こちらの方にも同じくインタビューを・・・」とマイクを向けられて、「ああっ、いいです、いいです。僕はいいです」と叫んで逃げ出してしまった。

早稲田桟敷湯

宿への帰り道、一本裏道を歩いてみる。

前方になにやら黄色い、周囲から浮きまくった建物が見えてきたので何事かと思ったら、ここが鳴子温泉のもう一つの共同浴場・「早稲田桟敷湯」だった。

何でも、早稲田の学生がこの温泉を掘り当てたらしい。その縁かどうかは知らないが、浴場の建物も早稲田の教授がデザインしたものらしい。

うーん、温泉風情ってコトバ、ご存じなのだろうか。どう見ても、これは場に馴染んでいないぞ。旅情も全くくすぐられない。こんな近代的アートな建物は、都市部にでも作ってればいい。

・・・と思ったのが、非常に保守的発想なんだろうか、僕ぁ。

早稲田桟敷湯の脇

早稲田桟敷湯の脇にあった、温泉の配分器?らしきもの。

一つの桶から、6つの口が出ていてそこからパイプであちこちへと配給されているようだ。パイプの太さが均一ではないのは、高いお金を支払って、より多くの温泉配給権を獲得した旅館なのだろうか。

温泉は空気に触れると酸化し、劣化するからできるだけ空気に触れない方が良い・・・という事を聞いたことがあるが、ここは空気ふれまくり。大丈夫なのだろうか。

私は防火水槽です

帰り道の途中に発見した風景一こま。

「私は防火水槽です」

うそをつけ、お前は単なるタイヤだろう。その横にあるマンホールの事を指しているんだとすれば、

「脇のマンホールは、防火水槽に繋がっています」と表記しないとうそだ。

扇屋朝食

宿に戻ったら、ちょうど朝ご飯の時間だった。

恒例ですね、宿の気合いが入りすぎて、おかずの量が多すぎ。そして、これまた恒例だが、そのおかずをご飯とともにぱくぱく食べるのでご飯がいくらあっても足りない。

あー、朝から食べ過ぎた・・・。

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