・・・こらぁ。ここまで来て引き返すな。
山頂の姿を見て満足して帰るんじゃなくって、ちゃんと山頂まで登らんかい。くつろぐにしちゃ、まだ朝が早すぎる。ビールを開栓するにはまだ早すぎる時間だ。きっちりとてっぺんまで登らないと承知しないぞ。
幸い、膝の具合は今のところ快適。危惧されていた歩きにくさも特に感じられない。まあ、膝が痛くなるのは下山時の事なので、今のところ問題が起きていないのは当然なのだが。
御浜小屋から快晴の空の下でそびえ立つ山頂を眺めて、やや満足感を覚えたのは事実だ。しかし、それと同時に「あの山頂でビールを飲めば、もっと満足しちゃうんだろうな、俺」という新たなる野望が沸いたのも事実。ここで引き返すわけにはいくもんか。
ただ、一気に登って疲れ果てるのもイヤなので、ここでいったん大休止だ。せいぜい、この後飲めるであろうビールに思いを馳せ、唾液を口の中に貯めながら喉の渇きを癒そう。御浜小屋脇で休憩している人たちよりもやや離れた岩場で、休憩をとる。07:27。
眼下には、鳥ノ海と呼ばれる池が見えた。恐らく噴火口跡なのだろう。空の色を映していて、神秘的なきれいさだった。
きっと、あそこに斧を沈めたら、天使が出てきて「アナタが落としたのは金の斧ですか、それとも銀の斧ですか」と聞いてくるに違いないべ。
調べてみたら、やはりこの池には伝説が数々あるらしい。写真右側に見える丘「鍋守」にいたっては、「登る人はあっても帰ってきた人はいない」と言われているらしいし。
・・・きっと、UFOとか何かそういうオカルトぉな何かがあるに違いないべ。ガクガクブルブル
それにしても、こんな近くにあった池なのに、前回訪問時には全く見えなかったのか。07:27。
5分ほど鳥ノ海の神秘についてあれこれ妄想した。いい加減頭の中でネタ出尽くし感がでてきたので、先に進むことにした。
扇子森(1,759m)という丘を登っていく。その先には山頂がとげとげしい姿を見せている。
ここまでは比較的穏やかな山並みだったが、どうやら山頂近辺になると様相が変わってくるらしい。用心しておかないと。07:33。
07:44、扇子森通過。
たまにはセルフポートレートも、ということで背後から一枚。
いやあ、それにしても天気がよい。こりゃ日に焼けるぞ。
扇子森を越えると、一度高度を下げて御田ヶ原というところにたどり着く。そして、そこから鳥海山の山頂まで登って登って登って、という段取りだ。
ここまでくると、鳥海山の全貌が見えてきた。左側のピークが、新山と呼ばれる山頂。そして、その右側にあるのは外輪山だ。
構図としては、山頂を取り囲むような形で外輪山が180度、盾を作っていると言えばよかろうか。ううむ、魅力的だ。07:44。
前も見ないでこっちも見てくれ、というささやきが聞こえてきたので振り向いてみたら、そこには酒田市街が見下ろせた。
むむ。画像を縮小表示すると、酒田市が潰れてよく見えない。知名度の割には案外小さな市街地だった。07:46。
御田ヶ原への下り。ここも石段が整備されている。確かに、鉾立の駐車場で見かけた大量の登山客を考えれば、こうして道を整備しておかなければならないだろう。それは「誰でも訪れやすくする」という趣旨ではなく、「道を整備しておかないと、無造作にみんなが歩き回り、道周辺の自然が壊れる」という理由での事だ。
それにしても、一度高度を下げてから、また登り直すという様が見事なまでにばっちり見えてしまっている。激しくガッツが萎える。眺めが良すぎると、こういうところでちょっと悔しい。07:48。
しばらくはカメラそっちのけでもくもくと登る。08:07、七五三掛という地点に到着した。「しちごさんかけ」と読むのかと思ったが、「しめかけ」と読むそうだ。何か修験道などに通じる意味があるっぽいが、真相は不明。
ここで、外輪山経由で山頂に向かうか、それとも外輪山と新山の間にある谷筋経由で登っていくかの分岐がある。
外輪山経由の方がやや遠回りになるのだが、何が悲しくて眺めが悪い谷筋を登らないといけんのよ。眼下に絶景を見下ろしながら、ズシンズシンと前に進んでこそ、山ってもんよ。問答無用で外輪山経由を選択。
分岐直後に見えた、千蛇谷経由の山頂ルート。この谷をえっちらおっちら、登っていかなければならない。しかし、ずいぶんと山頂が近くに見えてきたのは事実。ここから標準コースタイムで1時間40分(千蛇谷経由の場合)といったところ。・・・あれ、案外かかるもんだなあ。あんまり標高差がないように見えたのだが。08:15。
※実際は400mほど差がありました
08:27、外輪山の一番目のピーク、文殊岳に到着した。
山頂を記す木の棒が突き刺さっていた。その木の棒はものすごく高く、鳥海山山頂とほぼ同じ高さまで聳えていた。
・・・落ち着け、たんなる遠近法だ。まだここは標高2000mくらいしかないぞ。山頂は2,236m、まだ相当先だ。
ちぇーっ、まだ登るのね。
外輪山は、狙ったとおり絶景が楽しめるルートだった。右手には絶景、左手には鳥海山山頂。山ヤにとって「両手に花」とはまさにこの事だ。女性をはべらせて「両手に花」なんて軟派な事を言っちゃいかん。
と強がってみる。ああしんどい。
はるか彼方に見える山は、月山だ。月山って、山の中にある山だと思っていたのだが、こうしてみると一つだけ飛び抜けている山だということに気づく。
月山の左側・・・要するに、日本でいう東側は、一面の雲が広がっていた。丁度月山を境に、雲ひとつない快晴と雲だらけのお天気が区切られていた。もちろん、月山の南側もずーっと雲、雲、雲。
鳥海山に来て良かったぁ。つくづく、そう思った。作戦大成功、と。08:33。
稜線の反対側の光景は、こんな感じ。山頂を遠目に眺める形だ。こうしてみると、さすが外輪山だけあって遠回りするなあ。これからぐるーっと回りこんでいかないといけないわけだ。山頂直下に、大物忌神社と御室という山小屋があるはずなのだが、ここからはまだ目視できない。08:33。
この辺りはハイマツになっていて、登山道に伸びた根っこが足にひっかかるのでちょっとだけ危ない。あまり人が通らないのか、登山道を覆うようにハイマツが茂っている。だから、足下の根っこに気づかず、つまづいてしまうのだ。
自分で写真を撮ろうとした瞬間、足下がふらついてしまった。そのため、僅かに「おっと」という顔つきで写真に収まってしまった。08:36。
なんでこんな写真を撮ったのか記憶にないのだが、恐らく「こんな道を歩いているんでスヨ僕ぁ」という事を言いたかっただけだろう。岩と、ハイマツの道。08:41。
前方にとんがったピークが見えてきた。伏拝岳らしい。
遠くから見ると荒々しい鳥海山とその外輪山だが、少なくとも外輪山に関して言うとそれほど険しくはない。裏山に登る感覚だ。その代わり、稜線歩きで崖っぷちなので、相当な高度感はあるが。08:46。
伏拝岳。ここから南に降りる登山道があり、下ると湯ノ台口に至る。
恐らく、湯ノ台口から登ってきた昔の信者は、ここで初めて聖なる山・鳥海山の山頂を目の当たりにしたはずだ。あまりのうれしさに、山頂を伏して拝したのだろう。
どれ。自分もやってみるか。
さっきからさんざん山頂を見てきた訳だが、昔の人に倣ってやってみたくなった。周囲に誰もいない事を確認して、こっそり土下座して山頂を拝んでみた。アラーの神に祈りを捧げるがごとく。
・・・御利益があった。
山の精霊が御利益を与えた、というより、正座したことによって疲労物質が溜まった太股をストレッチできた、ということでだが。08:53。
そんなこんながあって、遂におかでんは鳥海山山頂に到着した。山頂には小さなほこらがあって、疲れた登山客を優しく迎え入れてくれた。
・・・またうそつくんかい。
まあね、この写真を撮ろうと思った時、「記事にするときは『無事山頂に到着したのだった』という文章にしよう、しめしめ」と思っていたし、実際。
これは、伏拝岳の山頂に据えてあったもの。ひょっとしたら、天気が悪くて先に進むのは断念、という時にはここにお詣りすることで勘弁してもらう、なんて事があったかもしれない。無かったかも知れない。
じゃあ、ボクもここで引き上げさせて貰うことにしましょうか。と、とりあえずビールを飲んでから、下山
やめんか。あともう少しだ、50分もすれば山頂だ、そこまで頑張れ。08:55。
先ほどまで見上げていた鳥海山山頂が、いよいよ真横に見えてきた。そのとげとげしい山肌が、今や眼前に迫ってきている。
まるでゴジラの背中だ。山全体が大小様々な岩に覆われていて、それが太陽の光を浴びてギラギラしている。
左の写真を見ても、ギらつき加減がよく分かると思う。写真サイズを小さくした関係でギラギラ見えるのではない。まさにこんな光景なのだ。しばらく眺めていたら、目がチカチカしてきた。太陽に面している岩は真っ白に光り、日陰のところはあくまでも黒い。このギャップが、視界の中で何千、何万と展開されているので視覚神経をいたく混乱させた。
おっと、山頂裾野右側に、赤い屋根の建造物が見えるぞ。あそこが「御室」なのだな。すでに今、御室の標高までには到達できたっぽい。08:55。
花。以上。08:59。
外輪山を進んでいくうちに、鳥海山の東側が見渡せるようになってきた。
!!!
一面の雲。まるで自分が飛行機で高度1万メートルの空を飛行している気分になった。
うっわぁ、見渡す限り雲だ。
はるか先に目線をやると、地球は丸い星だということがよく分かる。それくらい、バーンと雲がまんべんなく、均一に広がっている。日本全国本日は荒天。そりゃそうだわ、この雲見てれば確かにその通りだ。
それにしても東北地方って高い山、無いんだな。今この地点が標高2,100m程度なのだが、周りになーんにも山が見えない。おかげで、富士山のてっぺんにでも登ったかのような得意な気分だ。09:00。
しかし、自分が今居る鳥海山と、日本海側はご覧の快晴。雲一つない状態。
どーですかお客さん!この絶景を。
こういう、「一気に2,000m下の平野&海を見下ろす」って、凄いと思わないか?さあ、君もレッツトライ!ご注文は今すぐお電話で。
・・・何の通販だ?
初夏の頃は花が咲き乱れるという鳥海山だが、花もいいけど、この絶景の方がもっと素敵だと思う。「日本百名山」「花の百名山」などというくくりが日本山岳界には存在するが、対抗しておかでん編「絶景百名山」というのをぜひご提案したい。とりあえずエントリーナンバー1番、と。09:03。
外輪山は裏山みたい、と失敬な事を言っていたが、段々ごつごつしたアップダウンになってきた。両手使ってよじ登るといった箇所はないので、特に危険はない。でも、子供連れの登山だったらこのコースは通らない方がいいかもしれない。
と、役に立つかどうかわからん登山ワンポイントアドバイス。
目の前に行者岳が見えてきた。これも外輪山のひとつ。
標高2,159m。09:04。
おや。行者岳を通過したら、急にそこは崖だった。ハシゴ段が用意されている。急にやる気を出してきたな?
やる気があることはね、まあいい事ですよええ。
と言いつつ、ハシゴを下る。ちょっとグラグラしているので要注意。
ハシゴを降りたところで分岐がある。まだしつこく外輪山を回り続けるマイムマイムなコースと、千蛇谷に降りて御室に向かうコースの二つだ。当然、御室経由で山頂に向かおうとしたのだが・・・
あら。通行止でしたか。崩落の危険があるだかなんだかで、通行しちゃなんねぇと看板さんに強くたしなめられてしまった。
仕方がないので、外輪山をさらに進んで、鳥海さんが油断したところで脇からこそこそっと登っちゃうルートを選択することにした。09:06。
あーあー、山頂を真っ直ぐに見ながらぐいぐいと距離を縮めていく予定だったのに、相変わらず左手に眺めつつ山登り続行だ。一体ボクはどこに行くの?
というか、山頂をさっきからあらゆる角度から眺め倒しているわけで、なんか山頂マニアかよ俺は、というツッコミを自らにガツン。
山頂マニアというか、なんて形容すりゃいいのかね、ああそうそう、電子レンジのターンテーブルを回っている冷凍食品を、扉の外からじっと眺めているってシチュエーション?あれに限りなく近い。09:10。
おや。急に険しくなってきたぞ。大きな岩がゴロゴロと転がっている山肌をよじ登る。09:11。
ここまでくると、鳥海山の山頂が水平方向に見えるようになってきた。うわ、面倒くせぇ、一度あの山小屋のある高さまで外輪山を駆け下りて、そしてまた登り直しか。
いいじゃん、こっちが本峰って事で。大して高さ違っていないじゃん。
・・・と思うが、どう考えても「外輪山の一つのピーク」にすぎないこちらと、ででーんと独立して聳えているあっちの山じゃ、あちらさんの方に分がある。登らないと収まりがつかんだろうなあ。
この写真だと縮小しているのでわかりにくいが、山頂に向かうルートがここからでもうかがい知る事ができる(山肌に、わずかに白い筋がついているのが分かるだろうか?)。御室の赤い屋根のすぐ上から直登していくコースと、赤い屋根の右側から山を巻いていく形でゆっくりと登っていくコース。一般的に直登コースがよく使われているらしい。09:14。
こちらは相変わらずの外輪山散歩。山頂を左手に見るようになってからかれこれ何時間が経過しただろうか?こんなにぐるぐる回っていたら、じきにバターになってしまいそうだ。
・・・「ぐるぐる回る」→「バターになる」という、端から見ると意味不明なつながりは、言うまでもなく「ちびくろサンボ」のおはなしから来ているんだけど、今の子供には通じない話なんだろうな。
道は、アルピニズムを感じさせる岩と、石ころと、わずかにへばりついた草だけ。山頂が近いということも相まって、気分は高揚する。09:15。
前方に、何やらケルンと標識が見えてきた。慰霊碑か、どこぞの自治体の首長が「登山道整備したぞエヘンエヘン」と自分の功績をたたえたアホまるだし石碑のいずれかと思って近づいてみたが、特に精神的な意味はないようだ。ちょうどここから、東側斜面に百宅口登山道が延びているので、その目印になっているらしい。
確かに、ケルンでも建てておかないと、この登山口は見落としてしまいそうだ。09:17。
最後の外輪山、七高山が見えてきた。標高2,230m。
ということは、鳥海山本峰と比べてたったの6m、負けてしまっている事になる。残念。きっと、今頃は「地殻変動でも起きないかな」と臥薪嘗胆しているに違いない。
斜めに突き出した岩が山頂になっている。登山者が岩の先端に交代で立っているのが見えた。まるで、ブラジル・サンパウロにある丘の上のキリスト像みたいだった。
せっかくだから、七高山山頂に行って、自分もその絶壁でキリストっぽいポーズでもとってみようかと思ったのだが、遠巻きでカメラのシャッターを押してくれる人がいないことに気づいてやめた。まさか、セルフタイマーをセットして、10秒であの山の上まで登ってこい、というのはどう考えても無理だ。09:18。
七高山に登らない理由は、その手前のところから外輪山を離脱する登山道があるからだった。崖を一気に下り、新山と呼ばれる鳥海山本峰にとりつくルートだ。
一気に100m近く標高を下げる崖のため、鎖場となっていた。鎖に沿ってそろりそろりと下っていく。相当急だ。膝にサポーターをはめている身としては、歩きにくくて動きがぎくしゃくした。
途中、こちらに登ってくる人とすれ違ったのだが、相当荒い息を吐きながら苦しそうに登っていた。ちと面倒なルート。09:20。
崖を降りきって谷にでたところに、「→水場」とペンキで書かれた岩があった。矢印の方向を見てみると、そこには雪渓があった。8月末でもまだ生き残っていたとは。恐らく万年雪だろう。9月に入れば涼しくなるので、今シーズンも無事溶けきらずに乗り切った、といえる。おめでとう。よくやった。
と、感情のこもっていないお褒めの言葉を与えつつ、先に進む。さすがにここで雪解け水を飲んでみよう、という気にはならなかった。09:26。
登山道通りに進むと、御室のすぐ近くまで連れて行かれてしまう。山頂を目指すには大回りだ。よって、道が無いところを直登開始。
すぐに登山道にぶつかるだろう、と踏んでいたのだが、登山道がなかなか見つからずに少々動揺。山がこんな岩だらけなので、「道」と呼べるようなものがない。だから、遠目だとわかりにくかった。よーく見ると、ペンキで矢印が書かれている岩がところどころに見られる。あ、あそこが登山道らしい。
登山道に合流したが、その道は右往左往だ。なんとかローインパクトで標高を稼ごう、と努力している道なのだが、岩に阻まれ、地形に阻まれ、困惑気味といった風情。「はい、ここは真っ直ぐ登ってね」「あっ、ちょっと待ってここは右に水平移動」「いや、待った、ここは上だ」と、せわしない。
道に迷わないように、登っているこちらとしても数歩歩くたびに道がどのように延びているのかを確認する必要があった。登山は楽しいスポーツだが、視力が悪い人には向かない種目と言える。09:30。
しばらく、うねうねと岩と戯れていたら、正面に人の話し声が聞こえてきた。
おや、あそこに人の姿が。どうやら、あのてっぺんが山頂らしい。もう少しだ。
岩が大きくなってきた。両手両足を使った登山になってきた。総力戦だ。09:35。
おっと。
近づいてみたら、山頂ってばかでかい岩、そのものなのだな。いや、でもこの岩どうやって登ればいいの?
目だけで、ペンキ矢印を追いかけてみるがどうもよく分からない。あまりに岩がごつごつしているので、ここから目視で矢印を確認できる範囲が非常に限られてしまっている。
まあいいや、とりあえず矢印を見落とさないように、山頂に接近。こっそりと、こっっそりと。山頂さんにバレないように。
いや、バレてもいいんですけど。09:36。
全体的にペンキ矢印が小さくてわかりにくいのだが、一カ所だけやけに目立つのがあるなあ、と思って近づいてみたら、これだった。
「世界人類が平和でありますように」
ボクは今非常に心中穏やかじゃありません。世界を平和にしたいんだったら、今すぐこの『落書き』を消せ、馬鹿。正義ぶってるつもりだろうが、この光景がいかに全体の美観を損ねているかをよくわきまえろ。09:36。
山頂岩にとりついたところ。こっちからはちょっと登れそうにない。回り込むしかなさそうだ。09:38。
道は、何やら洞窟みたいな中を通るように指示していた。岩と岩の間にできた真っ暗な隙間を、くぐり抜ける。09:39。
洞窟から出てみたら、そこには「胎内くぐり」「安産の神様」という文字が岩に書かれていた。なるほど、そういう事か。
でも、妊婦は危険だからこんなところに来ちゃいけません。
道はますます難解になる。この胎内くぐりに至っては、道がらせん状になっていた。二次元的なルートではなく、三次元なのでわかりにくい。自分の背後にその先の道があったりする。ゆえに、次の一歩を決めるときには、自分の前方180度の角度でルートを探すのではなく、後ろも含めて270度くらいの視野角で矢印探しをしなければならない状態。09:41。
右手にはデジカメ+三脚を持っていたのだが、崖をよじ登る際にがつんがつんと岩にぶつけてしまい、傷だらけになってしまった。あああ何て事を。
ちょっとブルーになりながら、両手両足をフル稼働させながら山頂に到着。9時46分。登山開始から3時間半だ。
最後の登りは、ちょっと岩と岩との段差が大きい。子供連れ登山は無理だろう。
それにしても、山頂は狭い!そしてものすごい高度感!写真を撮るのもおっかなびっくりだ。足下からすぱーんと切れ落ちていて、はるか先には日本海。いやあ、絶景。しかし、絶景というのは少々の恐怖感がスパイスとしてついてくるのですね。
・・・いや、絶景を一つ汚してるもの、発見。山頂表示のすぐ右側に、何やらまた無責任なキャッチコピーが。かすれていてよく読めないが、「宇宙が○○○でありますように」という文字が見える。だーかーらー、お前がそう思うのは勝手だけど、山の岩に書くのはやめれ。宇宙をどうにかしたいんだったら、夜お星様にでも祈ってろ。
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