天丼一杯六万円也【仙台旅行】

2005年03月20日(日)

ジオン軍のアジトが仙台にあった

食べ過ぎ・飲み過ぎでけだるい朝を迎えた。さすがにシメでラーメンはあんまりだった。体重激増の予感だが、幸い自宅ではないので体重計がない。まあ、太っているような「気がする」だけかもしれない。きっとそうだ。

昨晩食べ損ねた牛タンを今日こそ食べたいのぅ、ということでいろいろ調査してみたが、さすがに朝から営業しているお店は無かった。当たり前だな、朝から牛タン食べる人ってどんな人だ。

・・・と思ったが、朝から牛丼屋で焼き肉系の定食を食べている人がいても何ら違和感がないわけで、別におかしい話ではないか。

この日は福島県の大内宿で、「長ネギ1本を箸替わりに使って蕎麦を手繰り、時折そのネギを薬味替わりにかじる」という風変わりな葱蕎麦を食べる予定にしていた。その移動時間を考えると、ちょっと牛タンは無理そう。あと、僕の「食べ過ぎ危険注意センサー」が「これ以上肉はやめとけ。悪いことはいわん」と言っていた。そうか、そういうお告げがあるなら仕方がないやめておくか。

結局、LEO-NETのVODは2時間の映画1本すらまともに見終わることができず、チェックアウトになった。部屋に籠もりっきりな人には良いサービスだけど、僕みたいに外にフラフラと飲み歩きに行っちゃう人にはあまり使われないということだ。

外に出たら、ホテル裏手になにやらZIONと書きなぐった看板が出ていた。階段を見上げると、そこにはジオン公国の紋章まで掲げてある。(注:ジオン公国>TVアニメ「機動戦士ガンダム」に出てくる、地球から独立を宣言したスペースコロニーの国家の名前。ガンダム世代である30代~40代の男性では常識中の常識)

思わずその場で手を掲げ、「ジーク・ジオン」と叫んでしまった。

どうやらこの「ZION」というのは、バーらしい。一体どんなバーなんだろう。きっと赤色のカクテルには「赤い彗星」なんていう名前がついているに違いない。バーテンダーが角付きの鉄かぶとをかぶっていたら笑う。

車をタワー型駐車場から引っ張り出し、仙台を後にした。

地鶏蕎麦
丸丸とした地鶏

さあて、とりあえず今回の連載は「炉ばた」が紹介できればいいや、くらいの感覚だったので、この後はさくさくと記述していくぞ。

東北のガイドブックを見ていたら、磐梯山のふもとに変わった蕎麦を提供するお店がある、という情報をキャッチしたので、そちらに向かってみる。

到着したのは「蕎麦物語 遊山」というお店。遊山、といったらどうしても僕は「主を呼べい」と怖い顔をして叫ぶ、美食倶楽部主宰の顔を思い浮かべてしまう。

この時の訪問記録は蕎麦喰い人種行動観察に詳しい。

大内宿へのカーナビガイド

このあと、会津若松に立ち寄っていろいろお城などを見学したいという魅惑に駆られたのだが、大内宿のねぎそばを食べるという使命を考えたらこんなところでゆっくりしていられない。さっさと大内宿に向かう。

初日は天丼と炉ばた。二日目は蕎麦。食べることしか目的がない旅行になってるな。

大内宿は会津若松と日光今市を結ぶ「会津西街道」と呼ばれる街道の宿場町だった。今となっては、会津鉄道や国道が走る阿賀川からは外れているので「何でこんなところに街道が?」という場所だ。

大内宿が有名なのは、旧街道筋に40軒ほどの茅葺きの家が現存しており、その整然とした町並みは国の重要・・・ええと、なんだっけな、重要文化財ではなかったぞ、ええと、重要伝統的建造物保存地区、だ。ややこしいな。・・・に指定されている。

雪に埋もれた大内宿の茅葺き家群はとても風情があるので、写真などでもよく登場する。

ただ、その風情とは別に大内宿を有名にしているのが、独特な蕎麦だ。その蕎麦とは

・・・今気づいた。このあたりの紹介は、既に蕎麦喰い人種行動観察記録の「三澤屋」の回で報告済みだった。詳しくはそっちを読んでください。あー。

大内宿の地図

大内宿の入り口にある200円の有料駐車場に車を停める。

大内宿には車乗り入れが禁止されているための措置だ。観光バス、観光客の車が広い駐車場いっぱいに停まっているのは壮観。よくもまあ、こんな山奥の田舎集落に人が集まるもんだ。

観光って、不思議なもんだと思う。

さてその大内宿だが、あっちこっち見るべきものがあるわけではない。さすがに田舎の集落だけあって、滞留型アトラクションがあるわけではない。街道筋沿いに茅葺きの家が並んでいて、そこをざーっと街道沿いに見て回ればそれでお終いだ。

大内宿入り口

大内宿入り口。

えっ、普通の田舎道ですよ?・・・とちょっと心配になるが、この先にちゃんと集落があるのでご安心を。

舗装されているが、ここから先は車立ち入り禁止。

なお、お店が並んでいるあたりは風情を出すためだろうか、砂利道にしてあるとのことだ。(この日は、路面が雪で覆われていたので確認できず)

独特の屋根の作り

独特の屋根の作り。

この屋根の下にはいろりがあるのだろうか?

大相撲の土俵の上につり下げられている屋根みたいだ。

大内宿の民家

さすがに集落すべての民家がかやぶき屋根になっているわけではなく、普通の屋根の民家もある。

おっとっと、これ、布団が干してあるから民家かと思ったけど、通りに面した軒先にはなにやらいろいろ商品が並べてある。おみやげ物屋さんでもあるらしい。じ、地味だ・・・。

この集落の建物の特徴は、通りに面して縁側があり、開放的な作りになっているのだが玄関が建物側面にある。普通、玄関って通りに面しているところにあるものだが、ここの集落は例外なく正面には無かった。

そのせいもあって、どの民家も通り沿いの廊下にモノを並べておみやげ物屋を営んでいた。自分ちの廊下が展示ブース。お客さんは軒先から物色するという構図。ありそうであまりないちょっと変わったスタイルだ。

大内宿の目抜き通り

さあ保存地区の中枢部に突入ですよ。

坂道である上に路面は凍結しているので、ちょっとだけ注意。

通りの両脇と民家の間には溝が掘られており水が流れている。昔は、通りの真ん中に溝があって用水として使われていたらしい。

ねぎそば、の表示

どの家も、軒先でおみやげ物屋を営んでいる。売られているものはどこもほぼ一緒で、あまり代わり映えしない。友達とこの地を訪れたら、「わー」とか言いながらお土産を物色するのだろうが、一人旅だといまいちおみやげ物屋をハシゴする気にもならず、ほとんどスルーしてしまった。

おみやげ物屋は、蕎麦屋も営んでいることが多かった。写真のお店のように、縁側ではおみやげ物屋を営み、お座敷では蕎麦屋を営んでいる。二毛作営業というわけだ。なかなかに場所が有効活用できていて効率良いね。

ただこの蕎麦屋の入り口がわかりにくい。例のごとく、建物の入り口は側面にさりげなくあるからだ。

「テレビ・雑誌でおなじみ ねぎそば」と書かれている。軒先からは「ねぎ一本で食べるねぎそば」なんて看板がぶら下げられている。そのねぎそばを目当てでこの地に訪れた僕としては、闘牛がマタドールに赤い布をつきつけられたような興奮を覚えた。

集落はさほど長くない

10分も歩けば、集落の端までやってきてしまう。あとは折り返すだけだ。

蕎麦屋と土産物屋しか見あたらないので、「この地元の人は蕎麦しか食わない蕎麦星人か!?」と思ったのだが、集落突き当たりにあった食堂では普通の料理も提供しているのを知って「まあさすがにそうだよな」と妙に納得した。

さて、折り返しますか。

大内宿町並み展示館

おみやげ物屋を除いて唯一、観光客が立ち寄り施設として使えるのがここ、「大内宿町並み展示館」だ。非常に渋い。というか雪に埋もれかかっている。

もともとこの建物は本陣として使われていたそうだ。

あまりにさりげない建物だったので、てっきり入場料無料かと思って中に入ろうとしたのだが、入り口にこれまたさりげなく料金支払い窓口があった。さすがに無料は無理か。入場料金250円。

大内宿の古民具や建物の構造を愛でる

しばし大内宿の古民具や建物の構造を愛でる。

三澤屋

さあ今回の旅行における最後の目的、ねぎそばを頂こう。

本当は大内宿到着直後に食べようと思っていたのだが、昼下がりということで行列がすごく、後回しにした経緯がある。

もう時刻は14時過ぎ。いい加減空いているだろうと思って暖簾を潜ってみたが・・・うはぁ、まだ30分待ちですか。

三澤屋のねぎそばが大内宿では一番有名だ。美味いからなのか、それとも「お土産物屋に併存」していない蕎麦専門店だからなのかは不明だ。ねぎそばを食べることだけを考えれば、そこら辺のお土産屋併設蕎麦屋で並ばずに食べることはできたはずだ。でも、やっぱりここはミーハーと言われようがなんだろうが、有名なお店の蕎麦を食べてこそ「なるほど、これがアレなのか」と納得できるだろう。覚悟を決めて並ぶ。

ネギ一本丸ごと!
麺をネギに引っかけて食べる

で、待ちに待って、ようやく食べることができた。ねぎそば!

名の通り、葱一本を箸替わりにして蕎麦を食らうというなんとも豪快というか退行というか無邪気というか、不思議な蕎麦だった。

オラウータンが木の枝で蟻塚をつついて、中に居る蟻を引っ張り出して食べる・・・そういうシチュエーションを思い出してしまった。

このお店のレポートは、蕎麦喰い人種に詳しく載っているのでそちらを参照のこと。

ねぎそばを食べた後、塩原温泉経由で東北道に乗り、東京へ。

いやー、食べたなぁ。新しい発見がいろいろある旅で、一人旅とはいえ満足感が非常に高い一泊二日となった。一人旅ならではの「思いつき行動」だったな。良い哉良い哉。あと、一人旅だったからこそ、LEO-NETでこっそりエッチなビデオも見られたし。・・・おい、余計なことをカミングアウトすんな。

それは兎も角、後になってこの日の旅を精算してみたら・・・。えーと、宿代があって、食事代が・・・結構かかってるなあ・・・高速代金とガス代は・・・うわ、一人車旅をすると相当負担がでかい・・・そして最後に、反則金25,000円。うはぁ。なんやかやで結局この1泊2日で6万円以上の出費をしていることが判明。おい、台湾や韓国くらいだったら旅行できちまうぞそれじゃあ。

あまりの現実に愕然としてしまったが、この満足度を得るための対価であったと考え、なんとか心を落ち着かせた。

でも最後に一言。「安全第一」で。スピードの出し過ぎには気を付けよう。

PS。後日免停のご案内が家に届いた。忘れかけていた「あまりの現実に愕然」がふたたび。

愕然としたのは、「アワレみ隊奥のマゾ道」でえん罪を主張し、裁判で争おうとしていた山形県警の取り締まりがちゃんと行政処分として加点されていたこと。これは不起訴処分になったことだし、てっきり点数はつかないものだと思っていたのだが・・・いろいろ調べてみたら、「刑事処分と行政処分は別」なんだそうな。裁判で争うのは刑事処分(要するに反則金の支払いの是非)についてであって、免許を発行し車の運転を許可している行政機関における加点とは全く別次元なんだと。

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