ついに食い地獄に沈む【シンガポール】

2006年01月30日(月) 3日目

3日目スケジュール

3日目の朝を迎えた。8時45分に、バスがホテルに迎えにくるので朝7時半起きとなった。

3日目は、シンガポール最後の日だ。この日の夜、飛行機に乗り、翌朝に関空に到着する予定となっている。

午前
<ジョホールバル観光>
○ジョホール水道 ◎アブバカール回教寺院 ●サルタン王宮博物館、バティック工房 ◎マレー村、民芸品店 ●蘭園
※参加当日6カ月以上有効のパスポートが必要となります。
※サルタン王宮博物館は祝日等は休館となります。その場合、●マワギャラリーへご案内します。

午後
昼食は、マレー料理。

昼食後、オーチャードロードにて自由行動。
※ご希望のお客様は、こちらで解散できます。観光後、ホテルへ。

夕刻
<ナイトサファリ観光>


夕食は、ナイトサファリ内レストランにてビュッフェ。

バス
現地係員とともに空港へ。

実質、シンガポールには丸二日とちょっと、滞在することになる。まるで国内旅行並みの慌ただしさだ。しかし、こういう日程でもないと仕事とのかねあいでやりくりができない。さて、慌ただしいなら慌ただしいなりに、ぎゅっと短時間でシンガポールを満喫しようじゃあないか。

とはいっても、今日の午前中はシンガポールを離脱し、国境を越えてすぐのところにあるマレーシアのジョホールバルに行く行程になっていた。「たった半日」外国に行って戻ってくる、という感覚が島国日本人にはあまり理解できない。国境ってかくも気軽なものだったんだな。2泊4日の行程で、2カ国入りできるなんてあらお得。

朝食

さあ、そんなわけで旅行に対するテンションもますます盛ん、といきたいところだったのだが・・・

昨晩から、ひどくおなかを壊してしまったのだった。食べたものも、吐いた。ラッフルズホテルから帰ってきた直後から体調不良に突入してしまった。

夜寝ている間、「お尻の力を抜いたら大変なことになりそう」とずっと腹筋に力を入れていたため、熟睡ができなかった。体調不良プラス寝不足で、今朝はげっそり。

まあ、おなかを壊すというのはそんなに驚く事ではない。1年前、タイに行ったときも帰国後1カ月間、下痢に悩まされた。大学病院に行って、レントゲンを撮って貰ったのだが「んー、腸のあちこちにガスが貯まってますね。腸の働きが低下しているということです。海外に行ったとき、軽い腸炎にでもなって、その後腸の動きが戻っていないのかもしれませんね」と言われた。そのとき処方してもらったお薬が、「ビオフェルミン」だった。び、ビオフェルミン?あの市販されている乳酸菌のお薬?大学病院まで行ってこれかよ、と結構落胆したものだ。

でも、ビオフェルミンを飲んだら、あら不思議、これが2-3日で快方に向かったのだから痛快だ。腸の中に悪玉菌が増えすぎたということなのかもしれない。辛い物いっぱい食べたもんなあ。

それからというものは、悪玉菌を増やさないように食生活に気を配るようになり、野菜中心の食事を心がけているし、納豆やヨーグルトをよく食べるようになった。

多分今回もそれだ。どうも僕の腸は、海外仕様にはなっていないようだ。3日目にして、悲鳴をあげてしまい仕事を放棄してしまった、ということなんだろう。

怪しむべきは、昨日の晩ご飯で「水道水」をがぶがぶ飲んだ事だが、もしそれで食あたりになったんだとしたらおなかが痛むはずだ。しかし、そんなことはないので、水道水を疑うのは筋違いな気がする。恐らく、1日3食、結構な量を食べたから腸がギブアップした、というのが事の真相だろう。これくらいで悲鳴を上げるとは、僕も老いたなぁ・・・。しみじみ。

ということで、朝食は控えめにたべることにした。

控えてないじゃないか、って?

いや、これでも十二分に控えたつもりですが、何か。

変な形の便器

ただ当然、食後はすぐにお手洗いに行かないと。

フロント脇のお手洗いに行ってみたら、便器がこんな感じだった。

何だか見たことがない形だ。

和式便所風というんごあ面白いが、それにしても一風変わっている。思わず、用をたすのを忘れて、カメラを取り出して撮影してしまった。

部屋に戻って、正露丸と大正漢方胃腸薬を母親から貰って、飲む。

マイクロバス

8時45分、予定通りの時間にガイドさんが迎えにやってきた。今日もガイドさんは別人だ。日替わりが徹底している。聞くところによると、今日のガイドさんはジョホールバル方面をメインにやっている人らしい。

バスは昨日の観光バスとは異なり、マイクロバスだった。乗車してみると、昨日と同じ面子もいれば、みたことがない面子もいる。旅行会社は観光客さばき、大変だろうなあ。裏ではデフラグのように旅行客をツアーにはめ込んでいるに違いない。

車内送風口にも正月飾り

中に乗り込むと、送風口のところにこんな正月飾りがぶら下がっていた。

1つだけじゃ飽きたらず、3つも4つも、赤い飾りがぶら下がっていた。縁起を担ぐということなんだろう。

日本では、正月に車を飾るってことはほとんどしなくなったなあ。昔は、車の前面にミカンをくくりつけるってことをよくしていたけど、今じゃそんな車、まずお目にかからなくなった。

蘭園

バスは、高速道路に乗り一路国境に向かう。「国境」といえば非常に遠いところにあるイメージだが、この国だとせいぜい30~40分程度突っ走れば、もうそこが国境だ。狭い。

陸路国境を越えるのは初めての体験だったので、ちょっと楽しみにしていた。空港の入国審査とはどう違うんだろうか。

・・・と思っていたら、その期待感に水を差すようにガイドさんが「これから蘭園に行きます」と宣言。えー、また蘭を見なくちゃいかんのですか?

昨日の行程もランを見ることから始まったけど、まさか二日連続、シンガポールの朝をラン園で迎えることになるとは思わなかった。いくら花好きの人であっても、そんなにランばっかり見たいとは思わないぞ。

こうやってラン園が組み込まれるあたり、ラン業界が旅行会社にリベートをたんまりつんでいるのか、それとも旅行会社は「日本人はランが好きで好きでしょうがない」と勘違いしているのか。

もし後者だとしたら、誤解なきように言っておきます。んなこたぁ、ない、と。

あっ、もしかして、日本語ではウキウキしているときに「ランランラン・・・」と口ずさむことがあることから、「ランの花=日本人にとって幸福を意味する花でとても縁起がよい=ならば、縁起がよい正月だからこそ、日本人にランを見せなくちゃ!」という思考回路になってないだろうな?それはとんでもない勘違いだぞ。

到着したのはマンダイ・ラン園というところ。シンガポール動物園、それから今晩訪れる予定のナイト・サファリのすぐそばだ。うわ、効率わりぃ。ナイト・サファリに訪れる際に立ち寄ればいいのに。

恐らくこういうのも、時間配分ってのがいろいろあるんだろう。まあ、ツアー客は背景にある複雑な事情を理解してあげなくちゃいかん。・・・ん?何でわざわざ裏事情を理解してあげなくちゃいかんのだ、僕ら?

はぁ、興味ないですけどとりあえず下車してみますかね。

マンダイ・ラン園

ゲートに書かれている金額をみると、大人お一人様$3の入場料がかかるらしい。

金額としては、大したことはない。

この$3ほしさに、旅行会社にリベート払って観光客の送迎を斡旋してもらっているのだろうか?不思議だ。おみやげ物屋もあるにはあったが、それほど力を入れているような感じではない。

と、いうことは、やはりシンガポール人は「日本人はランが好き」と・・・?

まあ、いいや、そんなのは。裏事情はどうであれ、まずは目の前の状況を楽しまないと。

さて、ゲートをくぐるとそこはなだらかな斜面にそって切り開かれた気持ちの良い庭園になっていた。そのあちこちに、いろいろな形、色をしたランが咲き誇っていた。

日本だと四季があるので、見たい花を見たいときに見ることができるというのはラッキーなことだが、常夏のこの国においては年中花が見ることができる。とてもお手軽だ。

ランを眺める

花は兎も角、とりあえずお手洗いお手洗い。

・・・

正露丸飲んだせいか、少しは落ち着いたのだけど体は衰弱する一方。困ったもんだ。

傍らでは、母親がぐったりとして東屋で休んでいた。特におなかを壊したわけではないものの、昨日の疲れからか今日は気分が悪い、という。ほとんどラン園を見ることなく、東屋で休憩していた。

高速道路を走るバス

30分ほどラン園で「見学」というよりも「休息」した状態で、またバスは出発した。ほんと、謎の時間だった。時間調整されたんじゃないか、と考えてしまうくらいだ。昨日の国立ラン園と比べてみどころが少なく、全員がやることがなくぼーっと立ちつくしていたありさま。

「ナイト・サファリ」という看板を横に見やりながら、バスはまた高速道路に戻る。そして、一路国境へ。

途中、「この先スピード測定カメラがあるぞ」という警告が、いくつかあった。日本で言うオービスに相当するものだろう。さてシンガポールのオービスはどんなものだろう、とわくわくしながら待ちかまえていたら、ああ、あったあった。中央分離帯に、カメラが設置されていた。最近日本で多いゲート型のタイプではない。そのカメラだが、正面から撮影するようにセッティングされているのではなく、レンズが進行方向を向いているのが日本とは逆だった。要するに、ナンバープレートは後ろから撮影するよ、ということだ。日本人の感覚からすれば、オービスが全然あさっての方向を向いてしまっている印象を受けるので、ついつい油断してしまいそうだ。

この高速道路で、オービスは一カ所しか見つからなかった。シンガポール国内で非常に貴重なオービスなのだろう。

警告表示

マレーシア国境が近づいてくると、道ばたに警告表示が目立つようになってきた。

シンガポール車、と書かれた下にメーターの絵が描かれ、そして「$500 FINE」と書かれている。おっ、シンガポール名物の罰金がここでも登場すか。

これ、シンガポールならではの法律「3クオーター・タンク法」に基づく罰則規定だ。マレーシアに車で入国する際、ガソリンタンクにガソリンが3/4以上入っていないと罰金、という奇妙なルールが存在する。マレーシアの方がガソリンの値段が安く、みんなマレーシアで給油をすることに腹を立てたシンガポール政府がこしらえた。昔は「ハーフタンク法」だったらしいのだが、それでも効き目が薄く、ならばということで3クォーターにまで引き上げたらしい。

それにしても、「ガソリンタンクに3/4入っていなかったら$500罰金」ってすげー話だ。何も悪いことしてないのにねぇ。日本じゃあり得ない法律だけど、こういう厳しいルールがあるからこそ成り立っている国なのだろう。

3クオータータンクの注意書きの上には、「オートパスカードもしくはキャッシュカードのチャージ金額をたくさん用意しとけよ」と書かれている。オートパスカードとは、日本でいうETCカードに相当するもの。道路通行料の支払いができるだけでなく、入出国時の手数料もこれで払うことができる。なにげに先進的だ。

シンガポール国境

おっと、シンガポール国境が見えてきた。

これ以降は写真撮影禁止。ドイツH&K社製のマシンガン、MP5の引き金に手をやっている兵隊さんがあちこちに配備されているので、写真撮影は自粛。

いったん乗客は全員車から降ろされ、道路の階上にあるコンコースに登る。そこが出国審査場になっていて、シンガポール人とそうでない人とでゲートが分かれている。ゲート数は相当な数があり、成田空港の出国ゲートよりも大きい。

審査を終え、そのまままっすぐ進んで階段を下りると、先ほど乗っていたバスが出国審査を終えて待機していた。またバスに乗り込み、出発。

コーズウェイを渡る

シンガポールは島国なのだが、マレーシアとの国境には長い堤(コーズウェイ)を作っていて、陸続きになっている。そのままバスで走っていけば、そのままマレーシアだ。ほら、前方に異国が見えてきたぞ。

既に自分が居るところ(シンガポール)が異国なのだが、さらに別の異国に足を踏み入れるとなると、何だかわくわくしてくる。

国境の印

これが国境の印。

ここからが、マレーシア。

モスクと思われるモニュメントが特徴。

マレーシア国境の大渋滞

うわぁ。

ものすごい数の車が並んでいる。

中央高速道路八王子料金所を思い出してしまった。

バスはこことは別のゲートになっているらしく、マイカー大行列を見下ろしながらすいすいと移動。

入国審査場は、「えっ、ここッすか?」というくらい、威厳のない建物だった。もうちょっと「停まれ、ここから先には許可無く入ったら許さん」みたいな感じなのかと思ったが、車を建物の横に停め、その建物の中で入国審査して、またバスに戻る・・・程度のものだった。

入国審査場の女性は、頭からスカーフをかぶっていた。おお、イスラム教国に突入なのだなと。

ここで、マレーシアのガイドさんが加わった。何でも、マレー国内はマレーシアのガイドを同伴させないといけないらしい。マレー滞在中、ガイドさんは二人。何だか無駄な気がするけど、まあ仕方がない。

ガイドさんが

「マレーシアのガイドさん、いいねー。2,3時間働いて今日はもうお終い。家帰って寝るだけ。私もそうしたいよ。でも向こうのガイドさんは稼ぎが少ない、もっと働きたいって思ってるかもしれないけど」

と言っていた。中国系人種の文化なのだろうか?この手の「ラクしたいのぅ、働きたくないのぅ」的な冗談は中華系の人の口からよく聞くような気がする。少しは勤勉である日本人にとって、この手の冗談というのはあまり好まれないということに気が付いていないようだ。

町は一気におんぼろになる

街を走る。

シンガポールが、ほぼ全ての建物が比較的新しくきれいなのに対して、ここは・・・

国力の違い、というのを感じる。

でも、時々急にきれいなビルが建っているので、シンガポールからの資金流入もあって徐々に力を付けてきているのだろう。

さっきまでシンガポールを走っていた車がそのままマレーシアも走り続けることに、当たり前とはいえ軽く驚きを感じた。陸続きの他国を持っていない日本人にとって、軽くカルチャーショックだ。

マレーシアになったら右側通行になったりするんか?と思って見ていたが、シンガポールと同じ右ハンドル、左側通行の国だった。日本と同じだ。国を越えた瞬間、右左が逆になったらさぞや事故が多発しそうだが、この両国においてはそういう問題はなし。

現在建造中の入出国審査場

遠くに、現在建造中の入出国審査場が見えた。現在のひどい渋滞っぷりを解消するために作っているらしい。

「今日の午後はもうダメ。すごく混む。マレーシアからシンガポールに向かう方が混む。数時間はかかる」

とガイドさんは言う。旧正月中、マレーシアに帰省した人たちがこの日の午後あたりから一斉にシンガポールに戻るらしい。おお、Uターンラッシュという概念がこの地にもあったのか。

「だから今日は早めにシンガポールに戻る。午前中に戻れば多分問題ない。午後になると・・・」

ダメ、と大きな身振りで首を横に振るガイドさんであった。

アブバカール回教寺院

まずわれわれが向かったのはアブバカール回教寺院。

ん・・・モスク?

目の前に見えるのは、真っ白な西洋風建築物。

お城、とか教会、と言ったほうがぴったりする。モスクといえばドーム型建築物のイメージが強いので、なんだかとても違和感を感じる。

1892年の建造というから、イギリス植民地支配の影響を受けたものだろう。

足を洗う場所

それにしてもなぁ、日本植民地時代が短かったとはいえ、かくも全くその痕跡というか、文化に根ざしたものが残っていないというのは残念なことだ。

モスクの敷地に入ってすぐのところに、なにやらタイル張りのスペースがあった。蛇口がついている。

ここで足を洗うらしい。

なるほどー、日本の神社に手を清めるところがあるのと一緒だ。

アブバカール回教寺院

美しいモスクを満喫するのだが、建物前の広場にテントが敷き詰められ、全景写真を撮るのが非常に難儀だ。

なんだ、これ。

ガイドさんに聞いてみると、「今晩ここで王様が新年のパーティーをやるから、そのためのものだ」という。

えー。王様がここで野外パーティーやるのか。すごいな。

何しろ、ドイツのオクトーバーフェスト(ビール祭り)を連想させるような、数百人が収容できる巨大テントが左右にある。一体何人を招待してるんだ。王様、財力ありすぎ。

広場に張られたテント

われわれが訪れた時は、いろいろセッティングをやっている最中だった。

おっ、黄色いテント発見。他のテーブルよりも椅子が豪華だ。ここに王様が座るというわけだな。黄色が尊い色、という概念は中国と一緒。

それにしても王様、わざわざこんな国境の地・ジョホールバルにまで来るんだねぇ。感心してしまった。そういえばさっきバスで移動中、「あ、前を走ってる車、あれは王様の車ですよ」ってガイドさんから言われたっけ。「お正月なので王様も大変。子供や親戚の家を回っているから」だって。なんと、王様の子供はここに住んでいるのか。首都・クアラルンプールからよくもまあここまで・・・

非常に不思議に思っていたのだが、後になって判明したのは「この国には州ごとに王様がいる」ということだった。なるほど、それで納得だ。ジョホール州の王様だったわけだ。

それにしても、そんな「豪族」的な王様がこんな豪華な宴を開催できるなんて・・・よっぽど国が豊かなのか。

テントの屋根部分

このテント、なかなかしっかりしていて、天井から空気をかき混ぜる扇風機みたいなやつ(名称不明)がぶら下がっていた。これを回すために配電もされているわけで、よくできてるなあと感心。

でも、屋外なのにこういう装置が必要なのだろうか?とちょっと考えてしまうが。

サルタン王宮

引き続いて、サルタン王宮に向かう。

サルタン王宮外観

やー、これも立派な建物だ。真っ白の壁、青い屋根というのは先ほどのモスクと同一。

ここも写真撮影は禁止だったので、外観だけ。

中は、王様の財宝ざっくざく。親日派な王様がいたようで、有田焼があちこちに飾られていた。

王様の寝室、とかいろいろ見て回ることができ、なかなかに面白い。

現在この王宮には王様が居住していないのだが、レセプションがあるときには使われているらしい。ふかふかの絨毯を歩きながら、「へー」「ほー」と感心しっぱなしだった。

街の風景

街の風景。

高床式住居

車でジョホール・バルの中心地から外れることしばし、次に向かったのはマレー村というところだった。

「マレー独特の高床式住居を見ることができます」

とガイドさんは言う。

到着してみると、なるほど確かに高床式の住居っぽい。

もう少し観光客向けのテーマパークっぽいところかと思ったが、至って普通の民家だ。いや、普通の民家といっても広くて立派なのだが。

舞台がある

いや、観光っぽさはあるぞ。

敷地に入ってすぐのこところに舞台があって、そこでなにやら記念撮影をやっている。何だろう。

マレーの民族舞踊

3人組の男女ペア(こういうのをドリカム構成、と昔は言っていたが、もういい加減死語だろうな)がマレーの民族舞踊を踊ってくれた。

民族音楽をベースにしつつも、今風にアレンジされたビートのある曲で、2-3分程度の踊りだった。

男性二人は黒い帽子をかぶっている。ここがイスラム国だということをあらためて知る。なんでも、メッカに巡礼したことがある人は白い帽子になるらしい。

マレーの民族衣装なのだろうが、ちょっと面白い。男性はスカートみたいなものをはいている。暑いんじゃないか、と思うが、きっと通気性が良い生地なのだろう。

記念撮影してもらって、その後舞台の隅にある献金ボックスに寸志を入れてどうもありがとうございました。

アンクロン

舞台脇では、竹製の民族楽器「アンクロン」が置いてあった。

すごく涼しげな音を出しており、耳に心地よい。

カレンダー

ガイドさんが「これから家の中を案内します」と僕らを手招きしている。

民家に勝手に入り込むんスか?

「家の人の好意で、中に入ることができるんです」だ、そうな。

まぁ、そうは言っても観光客向けにちゃんと「ほら、これがマレーの民家です」というディスプレイがされているんだろうな、と思って部屋にあがらせてもらったら、そのまんま普通の民家なのでびっくりした。見知らぬ人の家にずかずか上がり込んだ気まずさ、って感じだ。

何だか居心地の悪さを少し感じつつも、家の中を見学させてもらう。

おや、壁にカレンダーがかけられているけど・・・何だこれは。どうやってみるんだ?

一瞬悩んだが、これは縦読みすることに気が付いて感心した。なるほど、国が変わればカレンダーも変わるもんだねぇ。ただ、日曜日から一週間が始まるのは日本のカレンダーと一緒。

漢字、英語、マレー語それぞれで記述があるのが面白い。また、小さく漢字で旧暦の日付もかかれている。へぇ、太陽暦1月1日って、旧暦だと「十二月初二日」なのだな。

おや、1月10日と11日は赤字になっているぞ。ということはこの日はマレーシアでは休日なのかしらん。まさか、日本と同じ「成人の日」じゃないよな?10日のところにはモスクの絵が描かれているので、なにかイスラム教にまつわるお祝いの日なのかもしれない。

正月三が日が休み

正月三が日が休みというのはこの国でも同じのようで。

12月29日のところに、にこにこしたチャイナ服の男女が描かれていた。ああ、お店の入り口でよく見かけたやつだな。「Chinese New Year」と書かれている。

いろいろな絵が描かれているので、まるですごろくのようだ。

ダイニングキッチン

カレンダーのある部屋から階段を下りると、そこには食事をするスペースがあった。その奥には台所があり、家の人がお昼ご飯の準備で中華鍋を振るっていた。

まさに調理真っ最中のおかーさんの横を「いやどうもどうも」といいながらすり抜ける。

弁当箱です

食卓の上には、なにやら取ってのついた金属の容器が。

ガイドさん曰く「弁当箱です」。あー、ここに食事を入れておくのか。

いや、そんなことよりも気になる事がある。横にある見慣れないのは何だ。・・・あ、これ、調味料入れだ。へぇー、初めてみた、こんなの。くるくる回転するようになっていて、自分のお好みの調味料をピックアップする仕組みだ。合計12種類の調味料をセットすることができる。

「さすが南の国だな。いろいろ調味料を組み合わせて食べないと、暑い国だからやってられんのかもしれない」

と兄貴はしきりに感心していた。

ゴムの木

裏庭にはゴムの木が生えていて、傷つけられた木の表面からは白い液が垂れていた。

土産物売り場

まぁ、想像はしていたが、敷地の奥には土産物売り場が用意されていた。まだしばらく出発する気配がないので、全く興味がなかったのだがここで時間をつぶすしかない。

ここでは、真ちゅう製のいろいろな飾り物が売られていた。タイでもよく見かけたなあ・・・。真ちゅう製のビアマグや象の置物。全然欲しいとは思わない。店員さんの猛烈なアタックにとまどいつつ、その場を逃げ出した。

売り場の入り口には、実際に製品を作るところを実演しているコーナーがあった。中華鍋で真ちゅうを溶かし、型に流し込んでしばらくしたらトントンと叩いて型を取り外し、はいできあがり。

横に着いた人が、「熟練の技です。」と言う。そして、実際実演していた人も僕らに完成品を見せつけ、「どうだ」と自信満々な顔をする。いや、でも型に流し込んだだけでしょ?精巧な型を作った人には拍手だけど、アンタのやっとる「型抜き」にはさほど感動せんのですが。

マレーシアのトイレ

お手洗いから戻ってきた兄貴がうれしそうに僕のところにやってきた。

「トイレ、凄いぞ。ぜひ一度見ておけ」

ああそうだ、トイレに行っておかなくちゃ。おなかの状態が相変わらずなんだっけ。

トイレに行ってみてなるほど納得、これは初体験だ。水洗・・・と言っていいのかな、どうなのかな。小さめの便器の傍らには、水が入ったバケツがあった。用が済んだらこれで流せ、というわけだ。

紙などは、ない。必要なら手でふいて、後で水で手を洗え、ということらしい。うはぁ。

さすがにこれには躊躇したが、幸いポケットティッシュを持ち合わせていたので助かった。

ツアーで同行していた女性陣もこのトイレには参ったらしく、「結局我慢した」という人もちらほらいた。

トイレの鍵

ちなみにトイレのかぎ。

非常にシンプルでがたがたしている。強く押したら扉が開いてしまいそうだ。

バティック工房

マレー村で最も印象が残ったもの=トイレ

という、恐らくマレー村からすれば不本意な結果になりつつも、われわれはバスの人となった。

もうこれで終わりかなと思ったら、「バティック工房に行く」ということだった。バティックとはなんぞや。

ろうけつ染め

聞くと、バティックとはろうけつ染めのことらしい。

今回は、そのろうけつ染めを実際に作っている工場に行って、実演を見るのだという。

ろうけつ染め実演中

なるほど、ろうけつ染めだ。

それにしても正月早々ご苦労さまです・・・。

後で調べたら、このバティックはインドネシアとマレーシアの特産品らしい。生地の上に溶かしたろうで絵を描く。その後、生地を染色したら、ろうで絵を描いた部分だけ色がつかないので、絵が浮かび上がってくるという仕組み。

で、見学は数分で、あとは隣にあるお土産売り場へごあんなーい、と。まあ、想像はしてたけどね。高尚な社会見学だけで済むはずがないとは思っていたのだが。

日本人観光客がたくさんくるようで、売り場の店員さんは日本語が理解できた。これは先ほどのマレー村でもそうだったのだが、ジャパンマネー強し。

ストールを買う

ただ、さすがに手が込んでいるバティックはお値段が高い。ハンカチ程度を買うのが関の山だ。

んー、値段が高いからねえ、と思って素通りしようとしたら、ストールがたくさん売られているのに気が付いた。この暑い国でストールを売るというのはなかなかミスマッチで面白い。やっぱ、日本人が買っていくんだろうな。

かくいう僕も、最近手や首が冷えやすく、ちょうど真剣に「マフラー買わないと寒くてかなわん」と思っていたところだった。値段が安ければ買っても良いかな。いくらですか?

「3,000円。日本円でいいですよ」

おや、本当にジャパンマネー強し、だな。マレーシアのこんなところで日本円が流通するとは思わなかった。でもちょっと現地物価を考えたら高すぎじゃございませんか。

「これ、カシミア。ホンモノだから。とっても良いよ。色もいろいろある。日本に帰ったら寒い。これ、最高」

ほぅ、カシミアっすか。兄貴が「待て、この袋にはパシミナって書いてあるぞ。カシミアの偽物じゃないか?」と割って入ってきたが、「パシミナはカシミアのこと。同じ」との事だった。後で調べてみたが、確かにその通り。

「1,500円なら買っても良いけど」

と、あまり買う気が無かったのでふっかけてみた。すると、「1,500円?オーケー」だって。あれっ、すんなり半額になっちゃったよ。ホントかよ。

ってことは定価は相当ぼったくってるな、こりゃ。この国に入るとき、シンガポールのガイドさんは「必ず値引きさせること。定価の2割から3割。それくらい」と言っていた。まあそんなもんだろうとは思っていたが、まさか半額とはねぇ。ま、1,500円でカシミアのマフラーなら買ってもいいや。

「もう一つ、どですか?彼女とペアで。色違いで」

ほっとけ。まだ商売しようってか。

「うーん、そうだねぇ、安くしてくれるんならもう一つ買ってもいいよ」
「安く。どれくらい?」
「もう一つを1,000円にしてくれるなら」

さすがにこれは無理だろう。いくらボリュームディスカウントといってもやりすぎだ。

店員さん、諦めたように首を横に振り肩をすくめ、

「1,000円?二つで2,500円?・・・オーケー、お客さん商売上手。商売繁盛。すごいねー」

ありゃ、了解とれちゃった。結局、1枚あたり1,250円という価格でカシミアストール2枚ゲット。とはいっても、二枚目を買うつもりなんてさらさらなかったので、あわててどの色にするか選んだ。

「彼女にプレゼント。最高ね。良いお土産。良いプレゼント」

知るか、そんなの。

ガソリンスタンド

バティック工房を発つと、あとはシンガポールに戻ることになった。

あれっ、ツアースケジュールを読むと、お昼は「マレー料理」になっているんですけど。シンガポールに戻って、さっきまで居たマレーシアの料理を食べるって何だか間抜けだ。

ま、Uターンラッシュに巻き込まれるよりかははるかにましだ。

国境に向かう道には、巨大なガソリンスタンドがあった。そうか、シンガポールの人たちはこういうところで給油していくわけだな。3クォーター法の影響でガラガラかと思いきや、満員御礼状態だった。少しでも安いガソリンを給油していくのだろう。

出国審査場は大渋滞

あちゃー。

出国審査場の手前数百メートルから、大渋滞。

これでもUターンラッシュが始まる前だというんだから、呆れる。

信号待ちによる渋滞なんかと違うので、なかなか前に進まない。昨日のセントーサ島の行列に続いて、何かとこの旅行は行列が多いな。

ジョホールバルの中心地

車窓から、ジョホールバルの中心地を眺める。

こういうところには一切行かなかったな。町歩きが全くなく、観光スポットをピンポイントで見て回っただけだった。それはそれでもったいないが、ツアーだから仕方がない。

ジョホール水道のパイプライン

国境を越え、シンガポールに戻る。

コーズウェイ上の道路は、脇にマレー鉄道の線路、そしてジョホール水道のパイプラインが並んでいた。

シンガポールは、マレーシアから水を買っている。

外国から水道水を購入している、というのは島国日本ではあまり想像できないが、シンガポールの場合はこうしてマレーシアから水を運んでいるのであった。

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