
13:13
ロープウェイ乗り場から降り立った人たちがコロッケを買い求めているのを見て、何だか「遅れをとってはいかん、彼らよりも先にぱくつかないと!」と意味もなく危機感を抱いてしまったわたくし32歳独身。
早速飛騨牛コロッケちゃんをほおばる。
うむ。さくさくほくほくして美味。ただし、ステーキ串同様、「おお、飛騨牛旨いのぅ」というのは特に無かった。コロッケで高級和牛を使う意味って、ホントにあるんか?ハンバーグなら兎も角。
なんだかまんまとしてやられた感があるが、でも旅情という名のもとについつい買い求めてしまう、そんな自分が好きだー
と自己弁護しておく。

13:16
この鍋平には「新穂高ビジターセンター」なんてものもあった。中には温泉施設や土産物屋があって、なかなか充実。さすがにここでも温泉に入ろうとは思わなかった。それはやりすぎ。

13:20
飛騨牛を食べて、ビール飲んじゃって、なんかシアワセな気分になって、このまましばらくお昼寝していてもいいなあ、なんていう自堕落な方向に傾きつつあったわけであり。
それは良くない。片道1万円近くもかけてやってきて昼寝して飛騨牛食べてビール、というのはさすがに小市民おかでんにはできない相談だ。気持ちが折れる前に早く上に行こう。
ロープウェイ乗り場に向かうと、新穂高温泉駅の乗り場よりもさらに多い乗客が行列を作っていた。一度ではとても運搬できない人数だ。あらら、30分待ちか・・・とがっかりしたが、アナウンスで「臨時便を出します」ということだったので一安心。おとなしく行列に加わる。

13:20
この乗り場には、蕎麦屋だけでなく、レストランもあった。「あるぷす」という名前。周囲には飲食店が全くないので、食事のあてが無い人はよく利用するようだ。なかなか繁盛していた。

13:20
おお!カレーライスが950円。
サラダ付きとはいえ、なかなかにハイソサエティなお値段と言える。カツカレーなのかしら、とルーをぐっと凝視してしまったくらいだ。
やはり、交通の便があまり良くないところなので、値段は上げざるを得ないのだろう。山の物価は既にここでも始まっていた。

ロープウェー乗り場に掲示されていた注意書き。「最初の50名が2階に乗車、次の70名が1階に乗車」としれっとスゲー事が書いてある。なんだこのスケールは。合計120人が一度に運べるというのだから、驚愕だ。そして、万が一落っこちたら120人が一度に死ぬということでもある。ひゃー。
下の階の方が多くの人が乗れるのだな、と変なところに感心したりする。

ロープウェーは一気に標高を上げてくれる。車道を作らないで、わざわざロープウェーのような面倒な乗り物を用意したくらいだ、そりゃあ傾斜がきつい。出発と同時に120名もの乗客が「わっ、こんなに急角度!?」と驚きの声をあげる。
そして、途中の支柱のところで、ゴンドラがごっとん、と揺れるので、そこでもまた「ひゃー」という声が挙がる。確かに、これは相当スリリングな乗り物だ。

ロープウェーは落っこちることなく、無事「西穂高口駅」に到着した。標高は2,156メートル。かなり稼いだ事になる。いやー登山したって気になるなぁ。嘘だけど。

さすがにここまで標高を稼ぐと、気温も低くなる。9月頭の真昼だけど、気温は16度だった。日陰にいると、かなり涼しい。いいぞいいぞ、こういう非日常的ないろいろが、俺を昂ぶらせてくれるんだ。

ロープウェー乗り場の建屋の屋上が展望台になっていたので、行ってみた。
眼前に広がるは、雄大な笠ヶ岳の姿。すげー。

13:40
これからの進行方向を見やると、おお、何やら稜線上に三角屋根が見える。あれが今日のお泊まり場所、西穂山荘ということになる。案外近く見える。
ただ、この場所から向こうまでの間にくぼ地があるので、いったん標高を下げてから登り直しになる。
標準コースタイムだと約1時間の行程。
待ってろ、生ビール。
・・・またビールっすか。今日で何回目だよ。

13:40
西穂山荘から視線をずずーっと稜線沿いに左側にずらしていくと、えらく立派な山が見える。これが西穂高岳。明日の立ち寄り地点だ。
ひでぇ。いくらなんでも「立ち寄り地点」はひでぇ。本当に山にビールを飲みに来ただけじゃん、それだと。
それは冗談として、今回の山行の目的地となる。
上高地側から見上げると、「どれが西穂高岳?」といまいちよくわからないし、山容もよく理解できない山だ。直下からの視点だからだろう。だから、正直西穂高岳については軽々しく考えていたのだが、どうしてどうして、これが非常に立派なな山であることに気づかされた。
小さなピークを乗り越え乗り越え、徐々に高度を上げていくその様はとても貫禄がある。天気さえよければ楽しい山歩きになりそうだ。
ちなみにこの山、西穂山荘からの登山道の途中にある「独標」というピークまでは初心者でも通行可なのだが、そこから山頂までは中級者以上でないと推奨されていない。岩稜続きとなるため、初心者には厳しいからだ。だから、初心者も混じる団体登山は独標で折り返す事も多いと聞く。さらに、西穂高岳山頂を越えると、奥穂高岳への縦走ルートになるのだが、その間は日本でも有数の難所であるジャンダルム、ロバの耳などがある。ここは熟練者でないとダメ。僕レベルでは到底立ち入りできない場所だ。

13:41
北側を見る。
写真の右端に槍ヶ岳がひょこんとその尖った頭を付きだしているのだが、この写真サイズだと目視はできない。すまぬ。その槍ヶ岳から西鎌尾根と呼ばれる稜線が伸びている。

13:41
で、西側にある笠ヶ岳。ここも日本百名山の一つ。この山に登ろうとすると、新穂高温泉の谷底からぐいっと一気によじ登らないといけない。相当しんどいコースと言える。見ただけで、「うわ、しんどそう・・・」とげんなりしてしまう山だ。いつかは登りたいが、あの山を一気に下ると今の自分の体力だと膝を壊してしまいそうだ。入念にトレーニングをしておかないと。
うわ、何だか文章が山行報告ブログみたいな文章になってきた。違う違う、あくまでもこのコーナーは「へべれけ紀行」。主旨を忘れてはいかん。

13:43
というわけで本題に戻る。
本題がカレーかよ。
何を撮影しとんの、と我ながら思うが、ついつい。展望台から外に出ようとしたら、必然的に食堂の中を通過しなくちゃいけないルートになっているわけだけど、そこでメニューサンプルをみちゃったんですよこれが。そうしたらカレーが750円だったもんで、何だか妙に撮影意欲が燃えさかっちゃって。
ほら、先ほどの鍋平高原だと950円だったカレーが、山の上に登ったにもかかわらず値下がりしてるんで。すげぇ!物価は万有引力を超越した!ってうれしくなっちゃった。
でもよく見たら、サラダついていないでこのお値段。うーん、微妙な価格設定でした。さっきのカレーは、サラダつきで950円だった。
「高いのか、安いのか、よくわからん」
一人カレーのサンプルを前に、不満そうな声をあげてしまった。我ながら変な人だ。
両店舗ともロープウェイの発着駅内にある食堂なので、経営は同じはず。だから、バランスの悪い価格設定になっているはずが無いのだけどね。

13:43
カレー750円也の脇にあったサンプル。「高原ドーナッツ 200円」。
名前つけたもん勝ちじゃん、こんなの。何がどう高原なんだ。
こういうのが商売ってヤツだな。単にドーナッツとして売ってもイマイチ魅力薄だが、「高原」という冠が付くだけで、購買意欲に雲泥の差が出る。
さすがに「旅情という名に常に騙され続ける男」おかでんも、このドーナッツには手を伸ばすことをしなかった。酒の肴にならんものは基本的に興味がない。

13:44
食堂をすり抜けて外に出ると、そこは散策路がある広場になっていた。標高2,100mを越える山中という気があまりしない。森林公園、といった風情だ。このあたりだけ台地になっているのだろう。

13:44
ロープウェイ駅の傍らにあった看板。
「-下山のお客様へ- 下山禁止」
すごい表示だ。一休さんのトンチではなかろうか。ええと、下山がダメなら、山を転がり落ちたらOKですか?それとも、後ろ向きに、登山道を下っていけば良し?
よく読むと、「徒歩」での下山を禁止していると書いてある。遭難の恐れあり、なんだと。すなわち、ロープウェイ以外の下山方法は無いよ、ということだ。台風や吹雪の時にロープウェイが運休してしまうと、飛騨側に降りようとしていた人は完全に足止めを食らってしまうことになる。これは要注意だ。

13:47
さあ出発するぞと。昼下がり、ようやくこの時間になって登山開始。
今日の行程は1時間なので気分が相当楽だ。気楽に、ほいほいほいと登ってしまおう。

13:48
木道が設置され、散策路が作られていた。ロープウェイで登ってきた一般観光客は、展望台の眺めを見るだけだと暇を持て余すため、このあたりをウロウロしていた。ただ、大して見るものがあるわけでもないので、みんな所在なさげだ。
水芭蕉の葉っぱがやけに成長しまくって覆い繁っていた。茶色く変色しているのであまりきれいではない。
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