これは天災ではない、人災だ【西穂高岳】

ビール自販機

14:50
山小屋の探検を開始。これが楽しい。このために山に登っているといっても過言ではない。・・・いや、過言でしたスンマセン。でも、山小屋に一度到着してしまうと、後は夕食までやることがなくなってしまうのでこれくらいしか明確な楽しみが無いのも事実。

あっ、ビールの自動販売機だ。本日の最重要チェックポイントが早速到来。

ビールの銘柄はアサヒ。500mlのロング缶で700円。昨年五竜山荘を訪れた時は800円だったので、今回の方が100円安い。これだけでもの凄くお得感を感じてしまう。いや、お得といったって、下界のコンビニで買い物をすればこの手のビールは258円程度で買えるわけで、2倍以上の高値なんだけど。

西穂山荘のオフィシャルビールの座はアサヒスーパードライが華麗に奪取したわけだが(華麗かどうかはよくわからんが)、その横にはなぜかキリン氷結が。350円。こういうところで、アサヒの商品総合力の弱さがかいま見える。アサヒのビール、アサヒの自販機なのに酎ハイをキリンに持っていかれてしまっている事実。もっとアサヒ頑張らんと。

ソフトドリンク自販機

14:50
ソフトドリンクも自動販売機があった。

よく考えると、自販機が標高2,300mの山小屋に存在していること自体凄いことだ。

お値段は、ポカリスウェットが350円。安曇野の天然水が300円だった。この地においても、水の方が値段が安い。

「でも、この山小屋で使っている水だって、ある意味安曇野の天然水なわけだが」と思うが、それは天然水というか、雨水だ。

西穂山荘の食堂

14:50
食堂をのぞき込んでみた。

がらんとしている。

食事時間以外は談話室として解放しているというわけではないようだ。

まだ夕食の準備は始まっていないようだが、あと1時間もすれば準備が始まるのだろう。

お昼ご飯、少な目にしておいてよかった。ガッツリ下界でお昼を食べていたら、17時からの夕食に全力投球できなかったに違いない。こういうところでも、「下界に近い山小屋」ならではの対処が必要となってくる。

別に「夕食に全力投球」しなくてもいいんだけど、夕食時間が早いので、ちゃんとおなかいっぱいになっておかないと夜中に腹が空く。

食堂の天井

14:50
食堂の天井を見上げると、2階まで吹き抜けになっていて非常に高い。空調のプロペラがくるくる回っていて、ちょっとおしゃれだ。

なんだかぜいたくな山小屋だなあ、と思う。比較的最近に増改築したと思われるが、最近の山小屋っていうのはこういう感じなのだろうか。そういえば、2年前に利用した、新装開店の冷池山荘もおしゃれだったな。

ぞくぞくと詰めかける登山客

14:50
食堂から出てみると、受付にぞくぞくと登山客が押し寄せていた。これからの時間帯が本格的な来客時間のようだ。

神様、お願い。これ以上布団が狭くなりませんように。

テントサイトは結構な混雑状況

14:52
外に出てみたら、テントサイトは結構な混雑状況になっていた。場所を確保できなかったらエライコッチャ、なのでテント泊の人は早めに到着しているわけだ。

既にもう建ぺい率で相当なパーセントになっている気配。

しかし一人用のテントなんぞは非常に薄っぺらいので、絶妙なポジションにテントを張ることができていた。便利だ。ただ、こんな狭いテントだと、寝返りを打ったらテントの幕にぶつかって夜露で冷たい!ってなりそう。小さいが故に居住性は犠牲にせざるを得ない。

・・・だが、よく考えると、「布団1枚につき2名様」の山小屋泊よりははるかに快適なんだよな、これ。山小屋泊って高い値段を払って不自由を買うという、何ともマゾっ気たっぷりな施設だ。

丸山

14:52
山小屋から西穂高岳方面を見たところ。丸山と呼ばれる高台が見える。まだ日が高いし、丸山まで行ってもいいかなー・・・とも思ったが、まあ面倒なのでやめとく。

ちなみに山小屋は稜線上にあるとはいえ、眺望はあまり良くない。

山小屋併設の食堂

14:53
山小屋に併設される形で食堂があった。なかなか本格的で、いちいちこの山小屋には感心させられる。

中をのぞき込んでみると、なかなかに広い。客席には、暇をもてあまして、ビールを並べてガハハハと笑うとっつぁん達が何名もいた。

あっ、「生ビール800円」の文字が!目立つように蛍光イエローの短冊に、でかでかと!

急にそわそわし始めるわたくし。

お品書きいろいろ

14:54
生ビール、の言葉に吸い寄せられるようにカウンターへ。

見ると、結構いろいろなものが売られていた。

西穂ラーメン(しょうゆ、とんこつ)、山菜うどん、山菜そば、カレーライス、おでん、豚汁、お汁粉、生ビール、アイスカフェオレ、ホットコーヒー、アイスコーヒー、甘酒、ストレートティ、ホットカルピス、ホットミルク。

麺類は人気商品なのか、醤油ラーメンとうどん、そばは売り切れになっていた。

西穂ラーメンはどうやらこの山荘のイチオシ商品らしい。高山ラーメンを使ってるということだが、西穂山荘で提供されれば「西穂ラーメン」に早変わりだ。先ほどロープウェイ乗り場で見かけた「高原ドーナッツ」を思い出した。

それはいいとして、いやあ、僕はどうしても「炎に吸い寄せられる蛾」なんですよ。蛍光塗料が塗られている表示を見ちゃうと、分かっちゃいるけど吸い寄せられる。吸い寄せられながら、「あ、すいません生ビール一つ」。

丸山をバックに生ビールを。
うおおお、とビールを飲むおかでん

14:55
えーと、本日3度目のビール時間でございます。山小屋到着直後のビールといえばお約束行事ではあるのだが、今回はあまりココロの底から「飲みてぇぇぇぇッ」って感じはしないのであった。そりゃそうだ。

でも、ひいこら言って汗かいて山を登ってきたのは歴然とした事実であり、やっぱりビールはうまいに決まってるんである。というか、汗をかいていなくてもビールはうまい。

では、大変お待たせしました。飲んで良し。ぐいっと飲んじゃってください。

それ。

・・・。

おおおう。おいし。くるね、グッときちゃうね。やっぱ、ビールって喉で楽しむだけじゃない飲み物ですよ、ホントそう思う。目で泡の様子を見て楽しみ、ジョッキのずっしりとした重さを手、腕で楽しむ。そういえば今日3度目のビールなわけだけど、1回目:缶、2回目:プラコップ、3回目:ジョッキ、とそれぞれ違う容器だった。つくづく、「ジョッキっていいねえ」と感じるアンニュイな午後。

テント村を眺めつつの生ビール

15:22
さすがに、二杯三杯とビールを飲むほどのガッツは無かったので、一杯の生ビールをじっくりと満喫しつつ、風景を愛でる。

「おー、まだテント建てようとしてるかー。頑張れよぉー」

テン場はテトリスの様相を呈してきた。僅かな空きスペースに、いかにうまい具合にテントを押し込めるか。

丸山にガスが出てきた

15:23
少し寒くなってきたな、と思ったら、丸山の方からガスがおりてきた。あたりを見渡すと、先ほどまで広がっていた青空が、ガスに支配されつつあった。山の天気は夕方になると悪くなる。

そろそろ室内に戻ろう。汗が冷えてきた。

いつの間にか枕の数が増えていた

15:26
自分の寝床がどうなってるかな、ということでチェックに戻ってみたら・・・あ!なんてこった、枕の数が増えているではないか。

当初、部屋の入口すぐのところは布団が敷かれておらず、足の踏み場として確保されていたはずだ。それが、布団が敷かれてしまい足の踏み場が完全に無くなってしまった。そして、枕の数が一個増えている。

結果的に、布団3枚に4名ということになったわけだ。ただ、一番入口側の布団は足の踏み場のため「0.5枚分」使用する事になる。だから、実質2.5枚に4名。1名あたり0.625枚ということになる。・・・まあ、「布団1枚につき2名」という当初の想定からすると少しは楽になったわけだが、それにしても狭い。

自分の枕は、登山地図を載せて目印にしてあるのだが、その隣、壁際には既に1名様がお休みになられている。なんか、既に我が陣地を微妙に侵食している気がしなくもない。今晩は憂鬱な夜になりそうだ。

西穂山荘の下駄箱

15:27
再度、建物の外に出ようとしたら、玄関に備え付けてあるゴムぞうりが全部出払っていた。みんな、暇なので外に出ているのだろう。

あらら。

重くてかさばる登山靴を履いてまでして、外に出る気はしなかったので外出は諦める。

探検しがいのある山小屋

15:57
山小屋探検続行。

人一人通るのがやっとの狭い廊下があったり、意外と部屋の数がたくさんあったりして探検しがいのある山小屋でござんした。

食堂脇に書庫

15:59
食堂脇に書庫があった。

登山関係を中心とした本が並んでいる。

暇なので、「岳人」を読んで夕食までの時間を過ごす。

食事の準備が出来た食堂

16:56
さあ夕食時だ!

チェックイン時には、「17時って早すぎだなあ」と思っていたのだが、やることが無い山小屋においてはむしろこのタイミングは有り難かった。大して面白くもなかった本をさっさと書庫に戻して、早速食堂の中に入る。

食堂入口で17時からの回であることを意味する札を従業員さんに渡し、座る場所の指示を受けた。

どこの山小屋でもそうだが、座席は「人間を詰め込めるだけ詰め込んでみました。」という様相。隣の人の肩がぶつかるギリギリに座席間隔を詰めている。少しでも1度にたくさんの人をさばくための策だ。きゅうきゅうになりながら着席。

こういうとき、あまりダイナミックな身動きはできないので、ご飯のお代わりのためおひつに手を伸ばすのもやや難儀だ。さっさと、自分の分を多めに盛っておいて、お代わりしなくても済むようにしておくのがベストなやり方。

西穂山荘の夕食

16:57
本日のディナー。

あら、なかなかな品数だ。ちょっと驚いた。思わず、「おっ、豪華!」と口に出してしまったくらいだ。決して豪華な料理ではないのだが、こうやって何種類も並べられているとなんだか華やかだ。ここが山であることを勘案すると、とてもリッチに感じる。「まるでおせち料理みたいだなあ」とも口にしてしまったが、それはちょっと褒めすぎたか。

また、僕の場合「山小屋の夕飯とはいえ、ビールの肴」というスタンスであるため、こうやっておかずの種類が何種類もあるとうれしくなってしまう。懐に大事に抱えてきたビール500mlを、おもむろに取り出す。

具だくさんのおつゆ

16:58
おっと、おみそ汁かと思ったら、具だくさんのすまし汁が出てきた。何汁というのか名称は不明だが、大根、揚げ、にんじん、ねぎ、豆腐、白菜などが入っていた。

ではいただきます。

お互い、ご飯をよそいあったり、お茶を注ぎあったり、見ず知らずの人同士で融通しあい、仲良くお食事タイムだ。夕食時にお酒を飲んでいる人は全体の1/10程度といったところか。団体登山の人たちは比較的積極的に飲んでいるが、単身登山の人はほとんど飲んでいなかった。自分一人、ぐびり、ぷはあと他の人たちと違うリズムで食事を進める。

お茶、お湯の販売がえらくシビア

17:00
食堂脇にあった看板。

水の確保に苦労している山小屋であるらしい。お茶、お湯の販売がえらくシビアだった。100ml単位で量り売りしていた。それにしても、お茶とお湯で結構値段が違うのだな・・・。安いお茶パックをお湯に投入するか否かの違いだけのような気がするのだが。

お茶1リットル600円というのは相当にハッスルしてしまうお値段だ。それでも中高年の女性を中心に買い求める人が多いようで、翌朝はお茶が良く売れていた。僕は宿泊者無料の水を持参のペットボトルに詰めることにする。この差はデカい。

と、思ったら、下界から持ち込んできた2リットルの水は一切口を付けていないことに気が付いた。明日も引き続き、東京のまずい水で登山で乾いた喉を潤しちゃってください。

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