07:28
独標から先のルートは、二本の足だけでなく四本足を有効活用していかなくてはいけない。
ちょっと待て、四本足じゃないぞ、二本の足と二本の手だ。僕ぁ犬畜生か。
先ほどまでは稜線歩きのうきうき歩きだったが、道が険しいので稜線に沿って歩くのがもう無理。ルートは、主に飛騨側に巻く形で前へ進め進め。
西穂高岳山頂が見えてきた。
山頂には先着の人がいるのですぐに分かる。
07:35
一部鎖があったり、一枚板の手がかりが無い岩があったりはするが、フィールドアスレチック感覚でとても楽しい山歩きだ。
ただ、確かに初心者は無理だろう。ロープウェイでお気楽に稜線に出ることができるし、山小屋で一泊したら時間の余裕がたっぷりできる。丸山、独標では物足りなくって、ついつい西穂高岳まで行きたくなることは想像できるが、そりゃやめときなはれ。ぐらぐらしている岩が多いし、落石起こして後続の人を怪我させるか、自分が足を滑らせて落っこちるのがオチだ。
とまあ、そんなことを考えつつ、見えてきました西穂高岳山頂。それにしても感心してしまう、こういう岩が積み重なって山ができているわけだけど、すんごい台風が直撃したら標高が1mくらい低くなってしまうんじゃないのか?
07:37
西穂高岳山頂。標高2,909m。登山開始から約2時間。
07:39
西穂高岳山頂から、奥穂高岳方面を見る。
ここからは奥穂高岳山頂を見ることはできない。手前にある、ジャンダルムが邪魔をしているからだ。
07:39
ジャンダルムへの稜線。
今ここにいる場所が標高2,900mオーバーであるとは思えない。ジャンダルムの標高が3,163mなので、約250m程度の差しかないにもかかわらず、ここから先の岩山の圧倒感たるやもう。
大小様々な岩が進路を塞いでおり、朝日を浴びてギラギラしている。見るからに、これまでのルートと比べて難易度の高さを感じさせる。
いいなあ、このまま登山者の憧れ・ジャンダルムまで突っ切ってみたいなあ、とムラムラしたが、ここから先は安直に行くべき所ではない。死にたくなければ、やめておくべきだ。非常に落石が多い場所で、自分がいかにしっかりとしていても、先に進む人が落っことした石が脳天直撃で昇天、ということもあり得る。ヘルメットはぜひ携行したいアイテムだ。
・・・と思ったら、いかにも軽装備なおばちゃん達が、ぞろぞろとジャンダルム方面に突撃していった。「大丈夫かしらん」と、山頂で休んでいる人たちが声を上げる。猪突猛進な人はいるもんだ。まあ、無事に通過できれば結果オーライ、という発想なんだろうが・・・。
07:40
ジャンダルムから視線を左にずらすと、南岳、大食岳、そして槍ヶ岳が見える。槍ヶ岳はその特異なとんがり屋根で、発見するのが大変に容易だ。
07:58
槍ヶ岳からさらに視線を左にずらすと、西鎌尾根がすらりと伸びている。
07:58
西鎌尾根の奥には、三俣蓮華岳、水晶岳、鷲羽岳といった裏銀座縦走路上に展開される名山が見える。
07:58
もう少し視線を左にずらすと、黒部五郎岳も。
おかしいなあ、今年はあの辺りを攻めているはずだったんだけど、何で遠方から眺めるに留まっているんだろ、僕。
07:58
うーわーあー
東側に視線を向けると、雲が大量発生しとる。松本、安曇野方面は本日は曇り。
07:59
おっといかん、乗鞍岳には早速ガスがかかりはじめている。今日の午後は、この辺りの山はガス三昧のガス日よりになるんだろうな。
07:59
狭い西穂高岳山頂は人でいっぱい。
おっと、オッチャンオバチャン混成軍が登頂成功したかと思ったら、早速オッチャンがザックから瓶を取り出したぞ。・・・焼酎の4合瓶!?
「あんまり飲んだら酔っぱらっちゃうからな」と言いつつ、瓶のキャップにお酒を注いで、くいっとあおっていた。さすがの酒飲みのおかでんでも、この険しい岩山でお酒を飲む心境は理解できなかった。すげぇ。なにもんだ、この人。仙人か?
08:00
上高地はガスが晴れて、その姿を見ることができるようになった。帝国ホテルなんぞで優雅に一泊した人は、今頃朝食を楽しんでいる頃だろう。
08:01
険しいのぅ・・・。ここから足を滑らせたら、おろし金で大根おろしを作るようなもんだ。数百メートル滑落している間に、見事なまでに人間おろしができ上がっているに違いない。慎重に下ろう。
08:04
しばらく山頂で楽しんだので、下山開始。
ピラミッドピークがやけに低く、こじんまりとして見える。逆から見たら、すごく堂々としているのに。
08:27
随分おりてきた。ピラミッドピークと、その下に独標が見える。
こちらから見ると、子供が砂場で作った山、程度のかわいらしさだ。
08:45
ぐいぐい下る。いや、特にコメント無しです。
この時間になると、ゆっくりと西穂山荘を出陣した人とのすれ違いが多い。鎖場では、交互通行になるので思ったよりも時間がかかる。
09:02
独標直前。
独標からピラミッドピークに向けての最初の下りは、これからの行程を進むだけの技術があるかを測る試金石。この岩場にビビっているようであれば、独標より奥へは行かない方が良いという。
09:06
独標頂上から、岳沢を眺めていたら岳沢ヒュッテ(跡)を発見した。
あれか!雪崩によって完全崩壊し、主人の命をも奪った現場というのは。
確かに、近くに枯れ沢があるし、雪崩の通り道になりそうな場所だ。標高3,000mからどどどと雪が落っこちてきたらひとたまりもないだろう。
09:27
ありゃりゃ。本日これから向かおうと思っていた焼岳がガスに包まれ始めた。困ったなあ・・・。ガスの中登山しても面白くないしなあ・・・。
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