地獄と山のマリアージュ【阿蘇山・九重連山】

2007年09月07日(金) 2日目

朝食のおかずが並ぶ

二日目の朝。

朝食は昨晩と同じ場所、曲水庵ということになっていた。

バイキング形式になっていて、カウンター状のテーブルに大皿が並ぶ。盛りつけられいる料理はきんぴらやたけのこ、ぜんまいといった山の幸が多く、好感だ。これで「フライドポテト」「スクランブルエッグ」などがあったら驚きだ。

・・・あ、ソーセージ発見。さすがにお子様でも楽しめる食材は一品ぐらい用意していないとダメって配慮なのかもしれない。

おかずを盛りまくる

多分これでほぼひととおり取ったと思う。

こんな感じに仕上がりました。仕切りつきの器に小鉢が収まっていて、そこに盛りつけるので松花堂弁当風だ。

せっかくなのでソーセージも取っておく。

朝食のテーブルには炭火

今日も座る場所は昨晩と同じ。

そして、昨晩同様炭火がおこされていた。一人泊なのに、一つのテーブルを占拠し、そして炭火まで独占する。なんだかありがたいような申し訳ないような。この「一人泊でも複数人泊でも同等のサービスを」という精神は素晴らしいことだ。

お味噌汁が入った鉄鍋

赤々とした炭火は単に風情を味わって貰おうという主旨でおこされているわけではない。お味噌汁が入った鉄鍋が網の上に乗せられ、暖められていたのだった。

固形燃料でやれば楽なのにね。炭に着火させ、各座卓に炭を配り、後片付けをする手間を考えたらうんざりしてしまう。でもそれをやることで、顧客満足度は計り知れなく向上すること間違いなしだ。すばらしい。スタンディングオベーションでこの宿をたたえたい。・・・と、心の中で思った。でも実際スタンディングオベーションやったら変人だ。

味噌汁鍋の手前には鉄の平皿と、それに蓋をするためと思われる陶器が。これは何ですか、と問うたところ、玉子をここで目玉焼きにすることができます、というい回答が返ってきた。なるほど!凝ってるなあ。あと、取ってきた魚やソーセージ、海苔などは炭火で炙ってから食べてくださいねー、だって。ううむ、ますますいい感じではないか。

あれ?でも玉子はどこ?海苔は?

水上を流れてくる生卵

あ!!

昨晩同様、桶船が上流から流れてきたぞ。夜だけの活用じゃ惜しいので、朝も使うのか。

桶は二種類あって、一つには納豆と生玉子が載っている。もう一つは海苔。

あまりに油断していたのとびっくりしたので、一回は見逃してしまった。昨晩のように水の壁ができて止まってはくれない。回転寿司のように水流に任せてノンストップで流れていく。タイミングを見てほいっと取らないといけない。

じゃあ、せっかくだからバイキング形式の料理もここから流せばいいじゃん、と思ったが、さすがに宿泊客が盛りつけするに時間がかかるので無理だ。慌ててしまい料理をこぼすのがオチだ。玉子や納豆のように、簡単につかめるものでないとダメだな。

でも、流れてくるのが3種類だけだったら、わざわざ小川を使わないでバイキング形式のところに並べておけばいいじゃないか、とも思う。いや、それを言っちゃおしまいよ、言うな。風情と施設の有効活用、それを両立しているんだ。わかれ。

海苔は炭火で軽くあぶる

玉子・納豆・海苔を見逃し三振してしまい、しまったァと思った。しかし、しばらく待つとぐるり一周してまた戻ってきました。流水プールのようになってるんだな、この小川は。

ありがたく頂戴して、海苔は炭火で軽くあぶる。

既に取ってきてあるソーセージ、魚も炭火であぶる。玉子は目玉焼きとして鉄皿の上に乗せ、蓋をした。

「玉子、油が敷かれていないからこびりつくかもしれない」と思い、「いっそこのままスクランブルエッグにしてくれようか」とも思ったが、あまりにあまのじゃくなのでやめた。

目玉焼き

スクランブルエッグ刑の難から逃れた目玉焼きちゃん。

さすがにこの鉄皿でスクランブルエッグを作る人はいるまい。オムレツを器用に作る人がいたら、賞賛に値する。

・・・しかし、案の定皿の底に玉子がこびりついてしまい、絶妙な半熟玉子が決壊。結局スクランブルエッグ的な食べ物になってしまったのは事実として認めざるをえない。

元湯

幸せな朝食の後、まだ唯一入ってなかった元湯に向かう。

本館の中にあり、元湯という名前なだけあってそもそも地獄温泉はこの湯船から出発したのだろう。その他の風呂は後から追加で作ったものと推測される。

・・・という推測のことだけあって、入り口が古風だ。なんの小細工もされていない感じ。

女湯の扉がバーンと開いているのが素晴らしい。誰も中に入っていないからなんだけど。じゃあなんで「素晴らしい」のかというと、特に理由はないですごめんなさい。

元湯の湯船

元湯の湯船。

普通はこの湯船が温泉宿に一つあるだけで十分なんだよな。ここの温泉の場合、あちこちに湯船が分散しているので、どうしても気が散る。良い点でもあり、惜しい点でもある。

ここは自炊棟から近いということもあって、湯治客の「行きつけ」になっているようだった。うれしくなって仇討ちの湯やすずめの湯に行くのは素人さんで、玄人になると「近場で、じっくりと」になるのかもしれない。

おっと、ゆっくりしてられないぞ。

今日はこれから阿蘇山に登って、その後さらなるお楽しみ「寒の地獄温泉」に行かなければならないんだ。宿に早めにチェックインするためには、早く登山を開始しないと。さあ、そろそろおいとまさせていただきましょうかね。あ、支払いはクレジットカードでお願いします。

通行止め

地獄温泉は阿蘇山の南麓にある。だから、そのまま山を登っていく道を使えば比較的短距離で登山口に到着できるはず・・・

だったのだが、地獄温泉を出てすぐのところに「道路災害の為全面通行止め」の表示が。

うそーん。

スゲー大回りになるんでスけど。本気ですか。中央突破できませんか。

やめとけ。「全面通行止め」ということは人すら通れないってことだ。いくら軽自動車でも無理なもんは無理だ。

あー、寒の地獄温泉が遠ざかっていくよ。

あと、ナビ設定していて気づいたのだが、寒の地獄温泉って大分県なのね。熊本から隣の県に移動しなくちゃいけないのでした。熊本空港から行くよりも、別府や大分市街からの方がはるかに近い場所。今日そこに行って、明日また熊本に戻って、それで高速バスで博多に移動。なんだか素晴らしく無駄なドライブじゃないかねキミィ。・・・まあ、いいけど。

火口西を目指す
わかりにくいカーナビ

今目指しているところは「火口西」という場所だ。よく「阿蘇山の火口を見てきましたー」という人がいるが、その人が大抵行くところだな。草千里観光とセットで行く。かくいうおかでんも修学旅行で行った。

地獄温泉からは直線距離でそれほど離れていないのだが、先ほどの通行止めのおかげでとんだ大回りだ。一度山を下って、大回りしてからまた登り直しだ。環境に優しくないなあ。

カーナビで大回り具合を見ると写真のような感じ。画面上部に「垂玉温泉」と書かれているのがぼんやり見えると思うが、そのやや下に見える温泉マークが地獄温泉。ピンク色の道路は、自分が今通っている(通った/これから通る)道。山頂方面は画面右側なので、いかに大回りしているかがよくわかる。今見ても悔しい遠回りじゃのう、これは。

ちなみに、道中は「南阿蘇鉄道」という私鉄と併走したのだが、途中の駅で「南阿蘇水の生まれる里白水高原」というやたらと長い駅名に出会った。白水高原、だけでは物足りなかったのだろうか。私鉄最長駅名なんだと。ちなみに隣の駅は「ふれあい温泉阿蘇下田城」とこれまた長い。

ガスがやや見える

天気があまりよろしくない。

山頂付近は大丈夫だろうか。

・・・いや、ここで一つ説明しておかなければならないな。阿蘇山というのは外輪山内輪山のドーナツ構造で山が形成されており、内輪山だけでもいくつも山がある。昨晩の地獄鍋で「5枚の鉄板」があったのもそういう理由だ。

では今日全てその5座に登頂するのかというと、さすがにそういうわけにはいかない。それぞれの山を縦走できるならともかく、あまりに阿蘇山の規模がでかいので山ごとが独立している。

そんなわけで、今回目指すのは阿蘇の山々の中で一番高い標高1592.4mの高岳となる。火口西の展望台から見たら、火口を挟んで対面に位置する山だ。即ち、今回は巨大な火口をぐるりと半周して山頂を目指そうというわけだ。火口辺縁部は「砂千里ヶ浜」と呼ばれ、一面の荒野になっていると聞く。歩いてやろうじゃないの。

阿蘇山高原道路

火口西に行くためには、阿蘇山西というところから「阿蘇山公園道路」という有料道路を通らないといけない。なんでこんな中途半端な距離だけ有料にしたのよ、とつくづく思う。

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