日本満喫お接待【群馬ぐるぐる観光】

大澤屋客席

順番待ちをしている間、客席を覗きに行く。このお店の場合、「覗きに行く」ということをしなければ客席が見えないくらい、でかい。180席あるという話をどこかで聞いたが、「世界一客席数の多いうどん屋」でギネス狙ってるんか?というくらいでかい。平日は観光客が少ないからガラガラなんじゃないか?と心配になるが、その空席を補って余りあるほど、休みの日は客が殺到するってことだ。実際、われわれは30分以上待つことになった。

「席に通される→メニューを前に悩む→注文する→待つ→食べる→一息つく→退店」

という一連のお作法は、相手がうどんだからせいぜい30分もありゃ十分だろ、と事前に仮定していた。だから、180席あるんなら、あっという間に順番は回ってくるぜ、と。

でも、結果的に30分待ったということは、われわれの前に180人も待ちがいたのか?・・・いや、そういうことはない。さすがにぎちぎちにお客さんに相席にさせるわけにはいかず、ある程度空席がちらほらしているのが実情だった。あと、百数十人を相手に上げ膳下げ全全て対応する店員さんがてんてこまい。いっそのこと、カラオケボックスにあるようなタッチパネル型オーダー機を各テーブルに配置した方が良いのでは?と思ってしまうくらいだ。なるほど、机上の空論と実際の客の流れは全然違うものなんだな。

あと、待たされじらされたお客さんは、客席に着くと何だか開放感と達成感を覚えちゃうらしく、ビールを飲んじゃってる人が結構いた。舞茸の天ぷらで一献。こうなると、30分じゃ一回転はしない。お客さん、なんだか座席に座った事が既得権益みたいになっちゃって、すっかりくつろいじゃってる。

そういう光景を見て、若干焦るおかでん。この後のスケジュール構成が気になっているのもあるが、あんまりこうやって待ち時間を作ってしまうと、Jenny(及びFish)に過剰な期待を与えてしまうのではないか、というのが心配だからだ。

人間の心理ってのは、「ここまで待たされたんだから」や「これだけ値段が高いんだから」と、それとは直接関係のない味に過剰な期待を抱く事がよくある。そんなわけで、Jennyに「ここの烏龍麺は旨いに違いない。すっごく楽しみ」とマイ・ハードルをあんまり高くされちゃうと、正直困る。うどんは確かに旨いが、おしっこ漏らすほどの感動を期待されたら、どんなうどんでもその期待に応えるのは無理だ。できるだけ、Jennyたちの気を逸らせつつ、順番を待つ。

メニュー1
メニュー2
メニュー3

席に通されて、お品書きを見る。

「基本うどん屋ですが、そばもあります。あ、お子様にはカレーもお勧め」なんて手広くはやらないのが水沢のうどん屋の特徴。このお店も、うどんで勝負。うどんも、かけうどんに相当するものはなかった。なんでも、温かいつゆに浸けていると麺が大変によく伸びてしまうかららしい。だから、ざるうどんがメニューに並ぶ。あとは、それにどんなサイドメニューを組み合わせますか、でメニューは決まる。

だから、我が一品のチョイスというのは非常に簡単に決まりそうなものだ。しかし、なかなかそうはいかないのが水沢うどんがくせ者たるゆえn。値段が一桁多いんですけどー、というメニューがずらり。セットメニューということで値段の高さが正当化されてはいるが、やっぱり1,000円越えのメニューがずらずらと並ぶと躊躇する。

このお店の「おすすめ」といううセットメニューは、1,680円。お店側としては自信があるんだろうが、おすすめされるこちらとしては「これくらいの値段でさえ食えない奴は貧乏人。カエレ」と店から言われているかのような卑屈な気分に。いや、冗談だけど。

さすがにこれだけ待って、うどん一枚を手繰ってさようなら、というお客さんはほとんどいない。見渡した限り、皆無だった。一応「ざる」が735円であるのだが、たとえこいつが旨かろうが、ものの数分でずるずるっと食べ終わってしまうと大変に損した気分になる。

(世の中には、正味20分弱の滞在時間で数万円を支払うという寿司屋なんぞも銀座にはあるので、そういうのも有りなんだろうが、別世界の話だわな)

結局、ほとんどのお客さんは舞茸の天ぷらがついているセットメニューを注文していたようだ。安いやつだと1,260円。あとはいろいろ小皿がついたりすると、それに応じてお値段もこれまたよい塩梅に熟成が進みます。うへえ。実際、水沢のうどん屋ではこの舞茸の天ぷらを名物とするところが多く(というか、全店舗提供してるんじゃないか?)、これがまた結構旨いんだわ。悔しいけど天ぷらを頼まずにはおれんのですよ。

ただ、この1,260円のセットだと、巨大舞茸天ぷらが2個ついてくる。Jennyたち女性にはちょっと重たいかもしれない。もともとそんなに食が太くない人たちだし、日本の食にそれほど耐性がないので、いきなりげんこつ大の天ぷら食え!というのはよくない。

そこで、Jennyたちにはざるうどん単品を選んでもらい、おかでんは舞茸天ぷら3個(と小鉢1皿)がセットになっているメニューを選んだ。舞茸天ぷらはシェアだ。

水沢うどん
舞茸天ぷらアップ

広い店内なので、店員さんを呼び止めるのも大変。呼び止めて注文をした後も、そわそわしてしまう。何とも落ち着かない店内だ。このお店でくつろぐことを目的に来店する人はもともといないだろうが、もしそういう人がいるなら、このお店、いや水沢うどんは性に合わないだろうから止めたほうがよろし。

「あれ?あのお客さん、僕たちよりも後から注文したんじゃなかったっけ?もう料理来てるぞ」

なんて、疑心暗鬼になりながら料理の到着を待つ。ひょっとしたら注文を忘れられているのではないか、なんて心配しながら。

何かの精神修練か、と思いながら待っているとやってきましたようどんうどんうどん。

写真左は、「桜」セット。大ざる、舞茸天ぷら3個、小鉢(この日は切り干し大根)の構成。これで1,575円。舞茸の天ぷらがみっちりと、大きいのがうれしい。まさに「かじりつく」サイズ。天ぷら屋でも蕎麦屋でも、スーパーのお総菜売り場でも、こういうデカさで舞茸を提供することはあまりないので、このデカさはごちそうだ。やっぱり実物を見て思ったが、女の子は一人一個で十分だわ、これ。我が選択に一寸の狂いなし。・・・ということにしておこう。

うどんの脇に、豆乳のような白い液体が入っている蕎麦猪口(この場合、うどん猪口と言うのか?)がある。これは、ごまだれ。ごまだれをつゆとして選ぶと、通常のつゆより105円高くなる。ちなみに数量限定。これは、Fishが「味は二種類あったほうがいい」と選んだもの。

ざるを頭に載せる人

うどん、悔しいけどうまいんだよなあ。「これだけ高いンだから旨くて当然」と言ってしまえばおしまいなんだが、旨いのは旨いと認めないとな。むっちり感がとてもヤラシイ感じで、たまらん。「もっちり」でも「麺のコシが・・・」でもないぞ、「むっちり」だぞ。その方がエロい表現でしょ?つまりは、そういう食感のうどんということだ。けしからん、大変にけしからん。

ただ、つゆがそれに負けているというかなんというか。うどん圧勝の前に、つゆがひねくれてやる気を失ってしまっているような感じ。頑張れ、つゆ。

蕎麦を手繰る感覚でずるずるっとうどんを食べてしまったので、あっという間にざるがカラになってしまった。女性陣は今まさにお食事中。間がもたなくなって、なんか変な事をしているわたくし。

言うまでもないことだが、麺を「ずるずるっ」とすすりあげる文化なんぞ、日本にしかない。台湾でも、麺線というどろどろに溶けたそうめんというか春雨みたいな麺を食べる際、ずぞぞぞと音が出てしまうことはあるが、それは結果論。「手繰る」という手技は台湾の人は習得していない。

よって、日本のうどんを食べる際は、慎重に箸に巻き付け、それでも長い麺の扱いに困って、しょうがないので一気に猪口にどぶんと移動願って、そこから少しずつビーバーのように麺をかじるという食べ方をする。何とものんびりした食べ方。

多分、台湾人からいわせれば、日本人の食べ方は汚いんだと思う。いやまあ、そうかもしれん。その点は日本人であるおかでんも否定はできんが、でもそれがいい。

女性陣はウフフとかキャハハなどと言い合いながら、うどんを食べ、ごまだれと醤油だれを交換し、またウフフと笑い、食べていた。巨大かき揚げに至っては、これはどうやって食べれば良いのか?猪口に入らないぞ、と思案してみたり。

台湾も麺をよく食べる国ではあるが、日本のそばやうどんのように「味がしない麺を、辛っらいつゆに浸けて味を中和させ、すすり上げる」という食べ方は全く理解の及ばないところだ。そもそも、台湾人は塩分耐性が低く、日本の「つゆ」は濃すぎると感じる。あと、単調な味故に飽きが来るのも早いようだ。そのことをよくわかっているので、敢えてFishはごまだれとしょうゆだれの両方をチョイスしたのだろう。

なおFishだが、以前山梨でほうとうを食べた際に「もうほうとうはいいや」と「ほうとう卒業宣言」をしていた。煮立った味噌の濃厚さと塩気にげっそりしてしまったらしい。

教訓。外国からくる人に「これが日本のスープだ!」とお味噌汁を振る舞う際は要注意。日本人って、自分たちが思っている以上に塩っ気の強いものばかり食べているので、塩分感覚が麻痺している。

榛名山

お店を後にしたのは、14時を回った頃だった。

この後、伊香保温泉に行き、榛名湖まで行って、ようやく本日のお宿である法師温泉を目指すことになる。

伊香保温泉観光案内所
伊香保温泉の石段

伊香保温泉は石段の町で有名。そこで、二人を石段の一番下のところで降ろし、おかでんは車で先回りして上で待っている事にした。

「なんで?3人一緒に行って戻ってくればいいじゃない」

とFishに言われたが、いや、宿のチェックイン時間が頭にちらついちゃって、そういう事やってられんのよ。時間を最大限有効活用するために、車を先回りさせたい。

「だったら上から歩いたほうが、階段を登らなくて済むんじゃない?」

ええい黙れ黙れ、伊香保の石段は下から歩いた方が楽しいのですよ。最後には源泉があるし。上からだと、重力に引かれてそのままテテテーと降りてしまい、周囲の風景を楽しむ間もない。ふうふういいながらでも、下から歩いた方が絶対に楽しい。それ、君たち歩きたまえ。頑張れ、腹ごなしだと思って。

伊香保源泉
伊香保温泉露天風呂近くの橋

車を回り込ましておいたおかでんと、女子二人は石段の上部で合流。

後でその間に撮影した写真を見せてもらったのだが、いやまあ、なんというか、台湾ですなあ。多分、写真の構図やら、写る際のポーズやらを総合的に見れば、「あ、これ日本人が撮影したものじゃないでしょ?」と分かる。それくらい、微妙とはいえ違いがある。

話はやや逸れるが。

台湾では、結婚する際にコスプレしまくりの分厚い結婚記念写真集を新郎新婦で作るのが一般的と聞く。一日がかり(もしくはそれ以上の日数)で、観光名所をあちこち移動し、そこでいろいろなドレスや民族衣装を着て、舞台のワンシーンかのような恥ずかしいポーズをビシッと決め、写真に収まる。で、「離婚の際のゴタゴタ時には、鈍器として武器になる」くらいの極厚なアルバムに仕上げるのだった。興味がある人はネット検索してみれば良いが、とにかく日本人の感覚からすると「何かの悪ふざけ」の域に達しているくらい、その写真はすごい。気合いが入っているものになると、霧けむる明け方の湖の上に手こぎボート一艘、そこに新郎新婦がドレスとスーツ姿でいて、二人肩を寄せ合っている・・・というのを望遠で撮影、とか。このショットを撮るためにどれだけ苦労してるんだ。

そういう民族性なので、日常における写真撮影においても、カメラを向けられたら大げさなポーズをとるのは当然だし、撮影場所も何だか凝っているのであった。

見せてもらった写真は、冒頭部分は伊香保関所跡にある「顔の部分だけくりぬいた、町娘のボードに自分の顔をはめて撮影」という定番からスタートするのだが、だんだん「観光客が通らないような裏道で、脇の石垣に片手をついた状態で首をかしげてポーズ」とか、スカートをちょっと持ち上げて「ごきげんよう」なポーズとってるとか、そんなのばっかり。比較文化論の論文が書けそうな素材だ。

伊香保の源泉を飲む

そんな二人をピックアップした後、山の上にある伊香保の源泉が湧き出ているところを見て、飲泉所で「まずい!」と言いながら源泉を飲んで、赤い橋の上で記念撮影して。伊香保観光はこれにて完了。

赤い橋は台湾人的にもワクワクさせられるものがあったらしく、我々は記念撮影ができるように橋が空くのを順番待ちした。日本人でも、この橋を見れば記念撮影をしたくなるものだが、台湾の人からするとなおさら、らしい。なんかこういうのが「日本的旅情」なんだという。

まだ緑色で、色づいていないもみじと私を一緒に撮ってーと言われた。ほー、そういうのもイイもんなのですか。勉強になるなあ。

藤原とうふ店の気分

この後、榛名山を登り、山上湖である榛名湖に向かう。

榛名湖はそれはそれで風光明媚なところだが、どうしても外国からの賓客を連れて行かねばならんほどの場所ではない。特に、宿のチェックイン時間が気になっている現状においてはなおさらだ。このまま伊香保温泉から宿に直行しても良いくらいだ。

でも、敢えて榛名湖に向かったのは、道中が漫画「頭文字D」の舞台となった「秋名」だからだ。ドリフト野郎どもの話なので、女性、しかも外国の人にとっては馴染みはないと思われがち。しかし、台湾の超有名ミュージシャン「周杰倫(ジェイ・チョウ)」が実写映画版で主人公・琢海役を演じたので、中華圏ではこの作品の知名度が高い。そんなわけで、「あの『頭文字D』の舞台がここだよ」と説明すると、案外喜んでもらえる。

ただ、漫画を読んで内容に精通しているわけではないので、「ここが五連ヘアピンで」とか「溝落としをした場所はここで」なんて説明しても通じないんだが。そもそも、「ドリフトって何?」ってところから説明しないとダメだったっぽい。

Jennyからは「おかでんサン、運転上手ですネー」とお世辞の言葉を頂く。「よーしならばガムテープデスマッチだ」と、右手をステアリングに縛り付けようかと思ったが、それはやめとけ。本当に死ぬぞ。

今回、車を運転する立場としては、何が何でも安全運転をしなければならない。もちろんいつだってそうなのだが、今回は何しろ乗っている人が台湾人だ。万が一事故が起きて怪我したり、最悪死亡したら、どうやって台湾に連絡をつければ良いのだ?言葉通じないし、そもそも連絡先知らないし。

だから、「インベタのさらにイン」などは狙わず、ひたすらチキンな運転っぷりでクライムヒルをするおかでんだった。どっちにせよ、1,300ccの車なので、馬力不足で大して坂道じゃスピードでないんだけど。

榛名山
榛名湖
榛名湖1
榛名湖2
榛名湖3

榛名湖。

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