草津二十番勝負【ミニ湯治強行軍】

長寿の湯、脱衣所。

この写真を見て後で気がついたのだが、ここにも椅子がある。どこだったっけ、昨日お湯を拝借した共同浴場も椅子が並んでいたな。

湯上がり、一息つくための椅子・・・なわけだが、それとは別に足腰が弱っている高齢者対策という意味合いが強そうだ。

浴室入口の扉脇の壁にも、縦の手すりがついている。扉の開け閉めでさえふらつくようなお年寄りをも想定している作りだ。

長寿の湯浴室。建物全体を比較的最近にやり変えたと思われるのだが、早速床が赤く変色していた。これは一体どういう化学反応で発生してしまうものなのだろうか?

多くの共同浴場で、「水色のコンクリートのようなもの」を壁及び床に採用している。酸性に強い素材を採用したものだろうが、それでも変色しやがりますか。この変色が進むと、今度は表面が剥がれたりギザギザになったりして危険となり、また作り直しという事になるのだろう。そりゃあちこちの共同浴場で改修が行われているわけだわ。呆れる。

ちょっとだけ目を引くのが、L字型をした手すり。ここにも高齢者対策が施されている。大半の共同浴場でこの手すりが徹底されていた。特に草津のお湯は熱めなので、湯上がりに起立性貧血を起こして倒れる恐れがあるから、というわけか。

そういえばあらためて湯船を見ると、湯の中に段差が設けられている共同浴場、結構多かったな。これも高齢者対策の一環だ。草津町はその辺ぬかりなく手を打っている。

浴槽の片隅には、黒いゴムシートらしきものが沈んでいる。これも多くの共同浴場で見られた光景。さすがにめくって中をのぞき込むことはしなかったが、排水穴が隠れているはずだ。清掃の際、お湯を抜くのに使っていると思われる。

草津の風呂の場合、洗剤いらずだな。お湯そのものが洗剤のようなものだ。とはいっても、細かい髪の毛や垢、ゴミを清掃しなければいけない手間は同じなので、特に草津だと風呂掃除が楽、ということは無いと思う。

たくさんの人が入ったお湯を何日も放置していたら、やっぱり湯垢ってつくのだろうか?それとも、完全にお湯に溶けてしまい浴槽壁面にはこびりつかないのだろうか?実験してみたいところだ。

写真上は、大半の共同浴場で採用されている「温泉ドバドバ蛇口」。ぶっとい口径のたくましい奴だが、この口径にふさわしい量のお湯が常時供給されている。しかも、蛇口近くの壁には「お湯を止めないでください」なんて注意書きが張ってあることもあり、まさに「ブレーキの壊れたダンプカー」状態。

写真下は、ごく普通の蛇口。恐らく水が出る蛇口だと思われる。それそのものは温泉とは無縁だが、浴槽からあがる湯気のせいですっかり腐食してしまっていた。破壊力すげぇ。

ふと思ったのだが、草津の湯は浸かるだけでなく、ミストサウナにして鼻から口から肺から取り入れたらもっと効能にてきめんになるんじゃあるまいか?いや、その前に効果が強すぎて倒れるかもしれないが。

長寿の湯を堪能したあと、引き続き車両通行止めの道を進み次の千代の湯を目指す。

ちょっと歩いたら、その先は狭い急坂だった。なるほど、これは確かに車両進入禁止だわ。

標高差50mはあろうかという坂を一気に下っていく。

その坂の途中にも、こじんまりした民宿があったりして草津の奥深さをまじまじと体感する。

坂の途中から見える、大型観光ホテル。

壁が劣化し、表面が剥げ落ちている箇所がいくつもある。

老朽化した、とか経営が傾いた、というわけではないはずだ。直しても直しても追いつかない、というのが実情といったところか。

以前、長野県の別所温泉の宿に泊まった時、宿の女将さんが「温泉地の建物は傷みが激しいので、20年に一度くらいは建て直さないといけなくて大変なんですよ」と言っていたのを思いだした。

大型旅館ともなると、集客力が大きく売上もそれなりにあるだろうが、修繕するとなると直すべき場所も増える。大変だ。

草津観光協会は、草津のキャッチコピーを「泉質主義」としている。その通りで納得の一言だが、その泉質故に建物が傷み、懐具合も傷むという痛し痒しなところが、宿泊業経営者の悩みどころだろう。

[第13湯 千代の湯(湯畑源泉) 11:01]

急坂を下り、よく知っている温泉旅館街を少し歩くとそこにあるのが千代の湯。湯畑からも近く、観光客が入りやすい雰囲気の共同浴場だ。

洗面所が併設されているのがありがたい。

千代の湯は左右に男女入口が分かれており、その真ん中にはなにやら張り紙がいっぱいしてある扉が。

この先が、時間湯専用の浴室になっている。インターフォンが設置されている上に、ドアノブ上部には「関係者以外立ち入り禁止」というステッカーが貼ってある。当然鍵がかけられており、なにやらものものしい。気安く時間湯の世界に足を踏み入れたら火傷するぜ、ということか。

時間湯についての説明書きが地蔵湯同様、ここにも貼ってあった。なぜか同じフォーマットではなく異なった書かれ方がされていたので、興味深くて写真を撮っておいた。

写真上は、手書きでポップな感じの解説。

時間湯では・・・
※ここが違う!!
・数多の草津源泉の中から、湯治用に厳選された湯を使用しております。
・古来からの自然流下法による取り入れで濃厚な温泉が楽しめます。
※何が起こるか
・真冬でも汗を呼びます。
・体の芯から悪いものがでる感じ。(デトックス効果)


一般の湯より湯あたりしやすいので十分な水分補給と休養が必要です。湯治目的に研究されてきた温泉と浴槽は想像以上に疲れを呼びます。

観光での体験の方も、神聖なお気持ちで、心静かにご参加願います。

何か健康商品の宣伝文句を見ているかのようだ。「悪いものがでる感じ。」というなんだか曖昧な表現と、そこに吹き出しで「デトックス効果」なんて書いてあるあたり、女性的センスが伺える。そういえば、時間湯の副湯長さんって女性だったっけ。その人が書いたんだな、きっと。

前半はポップなのだが、後半になるにつれ真面目になってくる。最後には「神聖なお気持ちで」となるので、ああやはり時間湯は誰でもウェルカムな世界ではないんだなという事に気付く。病気治療のための、真面目かつ必死な場所だ。温泉入って美肌効果、なんていう世界とは全然違う世界。

写真下は時間湯の解説。地蔵湯のものと比べて簡略化されているが、地蔵湯の張り紙には書かれていない事も書かれているので興味深い。

時間湯について

簡単に言うと、含硫化水素強酸性明礬緑礬泉(りゅうかすいそ、きょうさんせい、みょうばんりょくばん、せん)という強力な殺菌力のある温泉です。皮膚病や免疫力の低下した人でも入浴感染しにくい温泉と言えます。

【時間湯について】
1.源泉100%の湧き立ての温泉をそのままの形で取り入れて、湯もみ(六尺から七尺の長板でかき回して温度を下げ成分を均一化、柔らかな湯にする)して入湯する伝統的な入湯法です。
様々な症状に効能があると言われていますが、時間湯では、源泉近くから成分の濃いお湯を取り入れて入浴するだけでなく、蒸し、足湯等の組み合わせによって、リハビリや様々な体質改善に取り組んでいます。継続しての湯治は、免疫系、自律神経系、内分泌系を介して様々な効能を表すと言われます。代表的なものに腰痛、関節痛、乾癬、水虫等の改善がありますが、最近では花粉症、アトピー性比普遍、喘息、化学物質等への過敏症などのアレルギー体質などの特異体質改善にも力を入れています。

【入浴の相談について】
2.湯長の面談により決定しますが、泉質が体に合うかを確かめる意味で、体験入湯のように短期入湯を受け付けることもあります。いずれの場合も、入湯継続に支障があると判断された場合、中止勧告を受け入れて頂きます。時間湯建物内の源泉取入れ口でも約50度前後の湯温がありますが、病状だけでなく入湯者の体力や年齢によって、主に40度から48度で使い分けています。(一つの大きな浴槽で数種類の成分濃度と湯温を設定することにより効率的な湯治が可能と言われています。)

【申し込み決定】
新規の申し込みの方は基本的に、電話連絡の上、指定された時間に時間湯に来て頂きます。
毎週月曜は、新規入湯申し込みや相談等は受け付けていません。

地蔵湯では時間湯を申し込むプロセスについて一切言及されておらず、クローズドな感じだったが、ここは明確に病める人のための入口が指し示されている。連絡先電話番号も記述があった。

「湯長の面談により決定する」と書かれているように、湯長がこの時間湯において絶対的存在。「3分、熱いお湯に我慢して浸かってりゃいいんでしょ?」なんて甘い考えでは駄目、ということだ。遊び半分で時間湯やりたい、なんて押しかけたら、湯長に追い返されるだろう。

さすがは歴史があり神聖な時間湯だ、と感心していたら、あれれ、「時間湯御案内」なんて張り紙もあったぞ。

1日4回、560円で誰でも時間湯体験ができるらしい。しかも、「予約は特に必要ありません」なんて書いてある。もの凄く敷居が高く、本当に病に苦しみ抜いている人だけが入ることを許された場所だと思っていたので、これには驚いた。

とはいっても、熱の湯の「湯もみショー」とは違うんだぞ、ということで「尚、見学のみはお断りしております」という但し書きがついていた。あくまでも真面目に、神聖に、時間湯を開放しているということだ。

地蔵湯では時間湯が一般開放されていない。あちらはより真剣に治療に専念する人専用、ということか。

ちょうど時刻は11時を回ったところ。温泉街の目立つところにある共同浴場だけど、誰もお風呂にはいなかった。風呂から上がるまで、誰一人としてやってこなかった。時間湯にみんな行ってしまったのだろうか?いや、そんなわけはない。普通の人が気楽に入れるほど、気安いところじゃないぞ時間湯は。連休中日なのに、こんなに空いてて良いんだろうか。なんだか不安になりながら、お風呂に入る。

良いお湯でした。さて、時刻は良い頃合い。そろそろお昼を食べに行こう。残すところあと3湯なので、時間の余裕は十分にある。

今日は、草津の蕎麦事情を探るために蕎麦屋を3軒ほど回ってみるつもり。観光地に美味いものなし、というのは定番だし、ましてや蕎麦はもともと当たり外れの大きい食べ物。ハズレの方に思いっきり当たってしまう確立は高い。でも、ひょっとしたら美味い店もあるかもしれない。偏見を捨て、とにかく食べてみようではないか。

千代の湯からちょっと歩くと、湯畑に到着した。湯畑に着いた途端に臭うのは硫黄の香り・・・かとおもったら、肉を焼いている臭いがする。なんだこれは。

よく見ると、湯畑の滝のすぐ脇に、2軒も焼き鳥を店頭販売するお店が軒を連ねていた。いつのまに営業を開始したんだ。知らなかった。しかもこれが結構な繁盛で、行列ができているありさま。そりゃ、周囲が肉臭くなるわ。行列をさばくために肉をフル回転で焼きまくっている。温泉街をそぞろ歩きする際に食べるには、確かに焼き鳥は手頃だ。最後、串の扱いに困るが。

西の河原通りの入口にセブンイレブンができていたのも、今回訪れて驚いた事の一つ。一番観光客が通る、草津においては特Aランクの立地条件のところに店を構えているのだからすごい。以前はしょぼくれたゲームセンターがあったのだが、変わったんだな。

さすがに周囲の景観に配慮して、渋い色あいの看板。那須などの観光地では、景観条例に基づいて地味な看板に制約されているお店に遭遇することがある。本当は赤色がトレードマークなのに、茶色、とか。ここもまさにそういう「カメレオン型変形」を遂げた看板だが、それにしてもこんな地味な看板は初めて見た。うっかり見過ごしてもおかしくないくらいだ。

ここでお茶を購入し、ぐいぐい飲む。水分補給、しておかなくちゃ。そういえば、朝からずっとトイレ行ってないな。水分が全部汗で出てしまっているようだ。これはまずい。体内の毒素がどんどん濃縮されているぞ。

それにしても、こんなところにコンビニがあったら、周囲のお店は商売あがったりだな。観光客の立場からすると非常に便利なのだが。

西の河原通りを、西の河原に向けて歩いて行くと「噴火ラーメン」というインパクト大な暖簾を掲げるお店があった。てっきりそういう名前のお店なのかと思ったが、店名は「ひょうたん食堂」。

それにしてもなんと勇ましい名前か。

きっと、噴火するくらい辛いラーメンが出てくるに違いない。大いに食指が動いたが、今日は蕎麦と心に決めているので食べるのを見送った。

帰宅後、ネットで調べてみたら「ピリ辛の味噌ラーメン」が噴火ラーメンの正体らしい。ピリ辛なら、噴火とはほど遠いと思うのだがどうか。火口から噴煙がわずかに観測されました、程度だな。

もうね、スープが唐辛子で真っ赤になっていて、丼に焼け石が投入されてグラグラゆでられていて、みたいな誇大妄想を抱いていたので、ちょっと拍子抜け。でも、ピリ辛程度で十分な人は、草津観光の記念に食べてみると良いかも。

豊富な品ぞろえ

しばらく歩くと、店頭に人だかりができているお店があった。せんべい屋さんだ。西の河原あたりを散歩する際、ここで買った煎餅をかじりながら歩くと楽しい。1枚から売ってくれるので、お手頃だ。おかでんも草津を訪れた時はよく利用する。浅草にもこんな店頭販売の煎餅屋さんがあるよな、そういえば。

扱っている商品は豊富で、ざっと列挙すると

甘口醤油、マヨネーズ、胡麻、七味、抹茶、ざらめ、梅ざらめ、激辛一味、青のり、赤しそ、黒ごま、ぴり辛七味、醤油、たこ焼きソース味、特上のり、わさびのり

の全16種類。そろえにそろえたもんだ、と感心する。値段は120円~200円。やや高いとは思うが、この繁盛っぷりを見れば需要と供給のバランスはとれているようだ。

辛いものに目がないので、ここではいつも「激辛一味」を買ってしまう。次こそは赤しそを、なんて思っているのだが。

今回はこのあと蕎麦屋巡りを予定しているので、買い食いはせず素通り。そのかわり、帰京時のお土産として「超激辛」という煎餅を一袋買った。完全に渡す相手の嗜好を無視し、自分の趣味の押し売りだ。

赤い暖簾が目立つお店には行列ができていた。暖簾には「舞茸とんかつ」と書かれていた。ほおー、なんとも珍妙なものを出すもんだな。気になって後で調べてみたら、豚カツの豚肉の中に舞茸が挟まっているというもの。なるほど。豚カツの中にチーズ、というのは見たことも食べたこともあるが、舞茸入りとは恐れ入った。うまいのかどうかは謎。

焼き魚を売っているお店。その隣は串焼き肉を売っている店なので、草津のあちこちでテイクアウト&歩き食いができる環境が整っている。肝心のゴミ箱が道路脇にはあんまりないので、結局ゴミはどこへ消えるんだろうか。セブンイレブンのゴミ箱に捨てられたら、それはセブンイレブンとしてはたまったもんじゃないな。

焼かれている魚は、「千曲川産の鮎」と、「地元産の岩魚・山女魚」だそうだ。そうかぁ、草津って関東だけど、志賀高原越えれば長野だもんな。利根川の鮎、じゃなくて千曲川の鮎が売られていても何らおかしくないのだな。

上記2店の間に挟まれているのが、蕎麦店「わへい」。11時30分開店で、現在11時45分なのに既に大行列。しまった、観光地草津を舐めていた。千代の湯がガラガラだったので、昼飯は余裕でありつけると思っていたのだが、とんでもない。このお店に限らず、どこも行列になっているぞ。

・・・あ、噴火ラーメンの店は空いていたけど。

本当は、西の河原近くにある蕎麦屋を1軒目とし、湯畑方面に戻りながら2軒、3軒と蕎麦屋ハシゴをするつもりだった。でもこの行列を見て焦ってしまい、予定変更。急きょこのお店を1軒目とした。

1軒目、だったはずだが、店を後にしたのはそれから1時間後、ほぼ1時近くなっていた。こりゃ蕎麦屋のハシゴなんて無理だ。今日は1軒だけで断念。

そもそも、3時までに町はずれの「躑躅の湯」に入らないといけない。3時以降は地元住民優先タイムだ。それまでに、温泉街中心地の残り2つの湯を巡り、車までいったん戻って、移動して、躑躅の湯に入らないといけない。あんまり時間の余裕はないぞ。

温泉まんじゅう店

わへいの斜め向かいにある、温泉饅頭店。草津の名物として名高い。それは、

・草津に来た観光客のほぼ全てが湯畑と西の河原を見るため、この店の前を通る
・無料で饅頭を配って試食させている

の二つの理由がある。特に後者がこのお店の存在を知らしめているゆえんで、批判が強い。

もともとこの西の河原通りは車一台がちょうど通れる程度の幅しかないが、その通りの真ん中に複数名で店員さんが観光客を待ちかまえている。片手には蒸かしたての温泉饅頭がいくつも乗ったトレイ、もう片手は饅頭を掴むトングの出で立ち。それで、道行く観光客に「無料で試食できますからね、食べていってくださいね」とばんばん配りまくっているのだった。

なんという慈善行為。なんという大盤振る舞い。

ただ、お店だって当然商売でやってるわけで、慈善活動ではない。大概の人は、該当のティッシュ配りからポケットティッシュを貰った時と同様、饅頭を手にしてそのまま立ち去ろうとする。そこで登場するのがお茶配り店員さん。湯飲みを手渡し、「どうぞ店の中でゆっくり召し上がっていってください」と言う。湯飲みを受け取ってしまった以上、その観光客は足止めになるわけで、店に入れば様々なセールストークを聞くことになるのだった。この連携プレーはすごいし、よく考えられた手法だ。

ただ、やり方の強引さが批判の的になっているの。強引に歩いている人の前に立ちふさがり饅頭を押しつけてくるし、店に入るとしつこく購入をすすめられ、果てには同業他社の饅頭の批判をしたりもする。おかでん個人としては、とても印象が悪いお店だ。草津に通い始めの頃は、この店の前を通るのが嫌で、わざわざ裏道に迂回していたくらいだ。最近はスルーする技術を身につけたので、この店の前を通るのは平気になったけど。押しの強さに笑顔でスルーできる人は、西の河原に行く際に1個、帰りに1個と都合2個の饅頭をタダで食べることができるともいえるが。

わへいで数十分行列を作っていたので、この饅頭店の無料配布をつぶさに観察する事ができた。そこで、若干認識が変わったところがある。

以前と比べて、強引さが落ち着いたような印象をまずうけた。昔は、進路を塞ぐようにして饅頭を渡していたくらいだったが、今回見ていたら、饅頭を通行人に差し出すような動きだった。クレームが来たので改善したのだろうか。それとも、第三者として客観的に見ているから、強引さを感じなかったのだろうか。それはわからない。

あと、なんといっても配っている個数がべらぼうに多い。ひっきりなしにバックヤードから蒸かしたての饅頭が載ったトレイが補充されていく。いくら批判されているとはいえ、これだけ無料配布しているのは尊敬に値する。この調子だったら、1日数千個無料配布している日なんてざらにあるんじゃないか。

ちょっと見直したぜ。おっと、でも悪いが僕は温泉饅頭を草津で買うときは「ちちや」と決めている。今回も、帰りがけにちちやで温泉饅頭を買って帰ろうと思う。

蕎麦屋の待ち行列時間中に、次の目的地である凪の湯の場所を確認した。この近くのはずなんだが・・・と地図を取り出してみたら、ありゃ、素通りしているぞ。どこにあったんだ、凪の湯。全然きがつかなかっった。

食後、イージスシステムのように360度全方位に哨戒していたら・・・おや?例の饅頭店の脇に細道がある。その奥に、なにやら怪しい建物発見。これは確認してみなければ。

この細道、ひっきりなしに饅頭店の人が「道路で饅頭配り部隊」に弾薬(饅頭)を補充するため行ったり来たりしている道。建坪率の関係でできた「隙間」のように見えたのだが、れっきとした道のようだ。

[第14湯 凪の湯(西の河原源泉) 12:57]

ああ!勘はあたった。こんなところに凪の湯が!

良く気がついたな、俺・・・と、まずは自分を褒める。

いやね、風呂独特の「窓に格子」がちらっと見えたんで、共同浴場じゃあるまいか、と思ったんすよ。

ここの浴室は半地下。階段を下り、扉をあけて中に入る。

誰もいない、靜かな空間。西の河原通りの喧噪がうそのようだ。まさに「凪」の湯だ。表通りは突風っすわ。

湯船は小さく、体育座りして4名入るのも少々しんどいくらいのサイズ。誰もいないことを良いことに、のんびりを足を伸ばして入らせてもらいますよ・・・温泉街中心地なのに穴場だなあ、ここは。うひひ。

って、熱い!なんじゃこの熱さは。

白旗の湯の「熱い方の湯船」でさえ大丈夫だったおかでんでさえ、ギャースと叫ぶ熱さ。肩まで浸かるのがなかなか困難。ようやく肩まで湯が届いた、と思った頃には既に足の指が熱さで痛くなってきており、慌てて逃げ出す羽目に。痛烈な攻撃を受けたプロレスラーがリング下に転がり落ちてエスケープするのと同じ。転がりながら外に逃げ出した。

落ち着いたところでもう一度チャレンジするが、駄目だ、敵は強すぎる。ヒグマ対人間の素手による格闘、みたいなもんだ。足を温まらせても駄目なんよ、今回草津に来たのは首と肩の酷い凝りを解消するためなんだから。肩までしっかりと浸からないと。

途方に暮れていたら、一人の男性がやってきた。「あれ?昨日どこかでお見かけしませんでした?」なんて聞かれたのでびっくりしたが、話を聞いてみるとどうやら千歳の湯で僕を見かけたらしい。

それは兎も角、その方は昨日もここに入りに来たのだという。「熱くて入れなかったんじゃないですか?なぜ今回も?」と聞くと、水道の蛇口とホースがあるので、水で埋めれば適温になるのだと教えてくれた。ああ、言われてみれば浴室の片隅に確かに蛇口とホースがある。源泉を薄めるのは感心できない行為だが、あまりの温度なので最小限薄めさせてもらっった。ふう、これでようやく肩まで入ることができたよ。

後で気がついたのだが、ここは共同浴場唯一「西の河原源泉」を引っ張っている。お湯の感想?いや、もうただただ熱いだけで、それしか記憶に残っていません。

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