草津二十番勝負【ミニ湯治強行軍】

凪の湯から、次の目的地である関乃湯へと向かう。湯畑に向かう道の途中にあるので、ごく至近距離だ。

その間にも蕎麦屋が何軒もあり、一体いつのまにこんなに蕎麦屋が増殖したのか?と不思議でしょうがない。前からあったものを見過ごしていたのだろうか。

しかも、そのどれもが繁盛している。おかでんが慌てて入った「わへい」と同じくらい混んでいる店が多い。結局、草津のランチタイムは胡散臭い雰囲気のお店でなければ混んでしまうということだ。「行列ができているから、おいしいに違いない」という短絡的発想で行列に加わるのは失敗への最短距離。人が多い観光地だからこそ、良い店はネットなどで事前情報収集しておかないといけないだろう。

それにしても、短い道中何軒か「おお?」という蕎麦屋があった。更科を出しているお店だとか、十割を出しているお店とか。そういうお店は大抵が新しい建物であり、新進気鋭というわけだな。そもそも、大観光地・草津に昔から店を営んでいたら、「たくさんやってくるお客をさばくためには手打ちなんて無理無理」という発想に凝り固まってしまうはずだ。新参者であるからこそ、手打ちだったり、さらには十割なんて出す柔軟性があるのだと思う。

ただ、そうはいっても人力で蕎麦を打っていたら自ずと需要と供給のバランスが崩れる。あるお店は、昼下がりでまだまだ食事需要がある時間帯にも関わらずいったんお店を閉めていた。「次の開店は15時です」と店先に表示があった。非常に中途半端な時間に営業再開だが、その間に一所懸命職人さんが蕎麦のストックを作っているのだろう。お疲れさまです。

ちょっと見ないうちにお店が様変わりしたなあ、と思う事しばしの今回のそぞろ歩きだが、新たに発見したのが「杉養蜂園」というお店。その名の通りハチミツの専門店だ。草津は奥が深いな、こういうお店もあるのか。

しかもこのお店、店頭で「ハチミツ入ソフトクリーム」なるものを売っていた。300円。気になるじゃないかこの野郎。甘い物を全然食べないおかでんだが、これには少し惹かれた。

[第15湯 関の湯(湯畑源泉) 13:31]

西の河原から湯畑に向かう道は、途中の「無料配布」饅頭屋のところでY字分岐している。片方はホテル一井の横から湯畑の横っ腹に突き当たる「西の河原通り」。そしてもう片方は、湯畑の滝に行き着く「湯滝通り」。今回は湯滝通りを通る。こちらは西の河原通りと比べて若干人の通行が少なく、地味な印象を受ける。

そんな中に、関の湯がひっそりとたたずんでいる。建物が迷彩塗装されているとか、奥まっているとか、民家とみまごうデザイン、というわけではない。普通に共同浴場だ。でも、ここを通るほとんどの人は気付かずに素通りするのではないか。

わかりにくい理由の一つとして、男湯・女湯の入口が建物正面にはなく、側面にあるということもある。油断禁物だ。

入口には「この風呂は定員3名です」という紙が貼ってあるのが独特。それだけ、狭い。たくさんの人が使うであろう共同浴場で3名しか入れない、というのはなんだか変だが、まあ、通りに面した立地条件を考えると小型化するのはやむを得ないところだ。

ここは18時から22時までが町民専用になるという掲示があった。こんな旅館とお店の狭間にある共同浴場周辺に民家なんてあるのか?

あ、でも、過去にこのお風呂を使わせて貰ったことがあるが、その時地元の人が居たな。そのおっちゃん、脱衣場にあぐらをかいて座り、タバコを吸いながら湯船に浸かっているおかでんとあれこれ話をしたっけ。

この最寄りに住む住人の数はそれほど多くないと思う。でも、「定員3名」という圧倒的な制約がある以上、観光客を一定時間閉め出さないと地元民は入浴できないのだろう。狭いなりに工夫しないといかんのね。

定員3名の関の湯。建物の外はあれだけ人が歩き、店には行列ができているのにここには誰もいなかった。良かった、誰か居たらゆっくりお風呂に入れない。

脱衣場の広さと、浴室の広さがほぼ同じというのがすごい。湯船の形は台形になっていて、その隙間でかろうじてかけ湯をするといった状態だ。定員3名、というのは伊達じゃない。

1名がお湯に浸かった状態。

もうこれで相当湯船を占領している。定員3名、というのは湯船2名+洗い場1名という計算なのだろうか。

もちろん、3名を湯船に押し込める事は可能だが、そうするとお互いの足や肩が当たってしまい、なんだかイイカンジの関係に発展してしまいそう。

お湯は、ぬるい。これまで入ってきた共同浴場の中では一番ぬるい。たくさん入りすぎて、個々の記憶が曖昧になってしまいがちなのに、断言できちゃうくらいぬるい。前回入浴した時も「あれ?ぬるいな」と思ったので、この共同浴場の特徴なのかもしれない。

※ここでいう「ぬるい」とは、一般でいう「適温」の事を指します。本当に「ぬるい」お湯など、草津にはありえん。

おかでんがここを訪れる直前まで誰かが居て、水で薄めたという気配はない。もともと蛇口から注がれるお湯そのものがぬるい。どこかで熱交換しているのだろうか。

狭い湯船だけど、のぼせにくい温度のお湯なのでゆっくりできて良い。でも、草津のお湯に入りまくっていると、適温のお湯が物足りなく感じてくるから不思議だ。人間、慣れるもんだね。

ふと上を見上げると、ここもさりげなくしっかりとした屋根が作られていた。建物の外観は、こじんまりした建物だが、中から見上げると結構天井が高い。

満足行くまでお湯に浸かっていたら、後から人がやってきたのでこれを機に関の湯を後にする。長湯できるお風呂の場合、引き際が難しい。

関の湯のすぐ近くには、居酒屋福ちゃんというお店があった。「名代うどん・そば」というのぼりと、「うまっ!こだわりラーメン」というのぼりが並んでいる、「どっちなんだオイ」とつっこみたくなるお店。

メニューが記されているボードを見ると、執拗なまでに舞茸という言葉が出てきて「なるほど、やはり舞茸は名産なのだな」ということを実感する。舞茸天、舞茸うどん・そば、舞茸天うどん・そば、など。

その中に、「深夜4時まで営業です」という記述があってびっくりした。深夜営業のお店が草津温泉にもあったのか!24時まで営業、であったとしても相当気合いが入った営業スタイルだとは思うが、朝4時って信じられない。その時間にどれほどのお客さんがいるのだろうか?

もちろん、店はビジネスでやっている。寝不足覚悟のマゾなわけでも、慈善活動でもない。深夜営業に商機有り、とふんでやっているのだろう。おかでんの想像の範疇外だな、どんなお客さんが来るのか、いっぺん深夜にこのお店を訪れてみたいもんだ。

そもそも温泉旅館の夕食というのは、大食漢のおかでんでさえ「むやみやたらに」という表現を使いたくなる程皿数と量が多い事がままある。さらに、そこでお酒なんぞ飲んじゃったら、もう翌朝まで何か飲み食いする気にはならないんだがな・・・少なくともおかでんの場合は。しかも、お酒が入っているので寝るのも早い。夜中温泉街を散策して、さらに飲食もなんて発想は全くない。

温泉旅館で夜遅くまで働いている従業員さん、なんかにニーズがあるのかねえ。それとも、素泊まり&共同浴場目当てで深夜にやってきた人目当てなのかねえ。

いずれにしても、不思議。

看板には、「深夜三時は当前」と強気の発言。しかも、その裏側には「深夜三時は序の口」とまで書かれている。よっぽど自信と実績があるのだろう。奥が深いな、草津。

最後まで残された共同浴場、躑躅の湯に向かう。

ここは、草津の町はずれ、道の駅の近くにある。徒歩でも行けるのだが、ちと遠いので車を使うことにした。車を停めているところにいったん戻る。

戻りがてら、今まで通った事がない草津の細道を楽しむ。アップダウンがあり、道は右へ左へと蛇行するのでなかなか楽しい。

写真に写っているのは、湯畑から地蔵湯に向かう途中の道。なにやら渡り廊下がある。旅館の建物が道路をまたいで両側に存在しているから、このような作りになってしまったようだ。

古くからある温泉旅館は、増改築を繰り返している事が多い。そのため、建物の造りが妙にちぐはぐだったり、迷路のような廊下になっていることがある。ましてや坂の町草津、それが立体的に構成されているから旅館は探検しがいがある。

[第16湯 躑躅の湯(万代鉱源泉) 14:20]

共同浴場巡り、最後の場所は躑躅の湯。18ある共同浴場だったが、2箇所が改築中だったので、16湯で最後だ。

事前に情報収集していた写真とは外観が違う。ここも最近改築されたものらしい。使われている木材がまだ新しい。

一般入浴時間は午前10時~午後3時まで。区民専用時間が午後3時~午後10時まで。午後3時以降は鍵がかかります、ということなので、この地域の人たちはみんな躑躅の湯の鍵を持っているということになる。

他の共同浴場でも、「区民(町民)専用タイム」を設けているところはあったが、鍵をかけてまで排他制御するのはここだけで、珍しい。だから、草津町民といえども、躑躅の湯一派でない人は一般入浴時間に入ることになる。

ここから歩いてすぐのところに、道の駅がある。草津車中泊のメッカだ。一般開放していたら、どんどん外来者がやってきて我が物顔に使われる恐れがあるので、ガードを厳しくしたということだろう。区民専用時間外である午後10時以降を一般に開放しないのも、道の駅住人対策だと思われる。

年々、外来の共同浴場利用者のマナーが悪化していて地元民は相当に憤慨していると聞く。浴室に酒を持ち込んで宴会をやったり、騒いだりするなんてのがあるとか。

入口から中に入ったら、「ピンポーン」というチャイムの音がした。何だと思って索敵したら、入口上部に感知センサーが設置されていた。よく、個人商店にあるやつだ。

これに何の意味があるのかはよくわからないが、非常に警戒した作りになっていることは間違いない。こんな調子だと、いずれ、「共同浴場は中心地の有名な場所(白旗の湯など)以外、観光客利用禁止」になるかもしれない。マナーはくれぐれも守ろう。

まだ3歳の女の子が、湯船の中の浅い段差のところで泳いでいた。熱い湯もへっちゃらだ。浴室にいる人たちから賛美の声多数。「産湯から草津の湯に浸かってると違うもんだねえ」だって。

一方、観光客と思しきお父さんと小学生の息子のコンビは、息子がお湯を熱がって足を浸けては「熱いよお父さん・・・」と涙目でお父さんにしがみつくありさま。回りから「あの女の子を見ろ。男の子がそれじゃ駄目だぞ」などとからかわれていた。

草津で男を上げるには、まずは熱い湯に入っても平気な体づくりからだ。

躑躅の湯の向かい側にあった、「草津現代荘」という民宿。既に廃業しちえるのか、障子はボロボロに破け、建物は傷んでいる。一体いつにおける「現代」なんだ。21世紀から取り残されているぞ。

共同浴場巡り、これにて完結。企画は無事満了となった。お疲れさまでした。

で、肝心の体調はどうだい?・・・いや、わからない。いつもと全然変わっていない気がする。翌朝起きたら違った状態になっているかもしれないけど、少なくとも今は普通に首と肩は調子が悪いままだな。

んー。どうしたもんかな。

企画は終わったわけだから、このまま東京に戻ればいい。まだ時刻は15時前。あまり遅くなる前に帰宅できるだろう。三連休の中日だから、渋滞はそれほど心配しなくても良いし。それに、心配されるのは湯あたりだ。あれだけ強烈な温泉に入りまくったので、翌日以降に負の影響が出る可能性が高い。そのためにも、明日一日の休みはゆっくり休養にあてるのが大人の判断ってえもんだ。

でもちょっと待て。「共同浴場全部回ったぜ、イエーイ」で終わりにして本当に良いのか?本来の主旨は、「体調が悪いのを少しでも治したい」というものじゃなかったのか。スタンプラリーやってんじゃねえぞコラ。時間の許す限り湯に浸かりまくって、それで少しでも快癒させるべきでないのか。

※注:温泉は一日にたくさん入れば効果が高まるわけではありません。逆に体調を悪くするので、1日2~3回の入浴が原則。それを分かった上で、敢えて上記のむちゃぶりを発揮してます。

優柔不断のおかでん、しばらく車の運転席で悩みまくった。

じゃあ、草津に残ったとして、後どこに行く?今まで巡った16湯のうち、ベストセレクションでいくつか巡るか?いや、それもいまいち面白くないなあ。

そこで思いついたのが、そういえば草津には有料だけど町営の入浴施設があるじゃないか、ということ。「大滝乃湯」、「ベルツの湯」、「西の河原露天風呂」。これを今晩と明日入ればいいじゃないか。ううむ、そういう展開があったか。どうしようかな。

上記3つを足すと、合計で19湯になる。なんだか、キリが悪い。せっかくだから20湯、入りたいところだ。そこでさらに思いついたのが、「そうだ、時間湯だ!」。病気治癒を願うなら、時間湯を避けて通れないだろう。幸い、千代の湯では時間湯体験を受け付けているのだから、これを試さない手はない。そうだ、そうしよう。

ラスト20湯目に、草津プチ湯治の総決算として時間湯体験をし、この旅を締めくくろうじゃないか。うん、ちゃんとオチがついて良いのではないか。

でもなー、面倒だなー、という気持ちはまだ残っており、やっぱりまだ決めかねていたのは事実。しかし、車の後部座席を見やると、そこには乱雑に投げ込まれたテントや寝袋の山。朝の時点では「今晩もどうせテント設営するんだから」とまともに片付けなかったらこうなっている。これを、帰京後に片付けるのはなんとも侘びしい。しかも、砂利敷きの駐車場でテントを広げて片付けると、砂埃がたくさんついて後々イヤだ。できれば、アスファルトの上で荷物の整理をしたい。

・・・なんだ、もう結論でたじゃん。最終目標は20湯、今晩も草津で一泊、テントは昨晩同様天狗山第一駐車場で張り、翌朝片付け。

これ以上悩むのは不毛なので、とっとと出発だ。

天狗山第一駐車場を目指す。今晩の寝床だから、というわけではなく、ここに車を停めた後に歩いて西の河原露天風呂まで行くつもりだからだ。

しっかし、道は大渋滞。草津白根山方面に行くのも、長野原草津口方面に行くのも、どっちもノロノロ。渋滞の先が見えないくらい、長蛇の列になっていた。草津界隈はちょうど紅葉シーズンだし、三連休だし、ということで人が殺到したのだろうか。

草津白根山に登っていく道は、途中で曲がれば万座温泉だし、真っ直ぐ抜ければ志賀高原にたどり着く観光道路。当然人気は高い。しかし、ヘアピンが続くくねくね道なので、前に観光バスが走っていると後ろは大名行列になってしまう。デカい車はカーブと坂がてきめんに苦手。

駐車場に到着してみると、驚いた、ほぼ満車ではないか。この駐車場を利用したのは、夜から朝にかけてしかないので、この車の数は非常に斬新に見えた。しかも、駐車場の何カ所かに誘導員がいて、「このスペースに車を入れてください」と指示してくれる。ショッピングモールみたいだ。

しかも、車を停めたら係の人がやってみて、アンケートに答えてくださいとアンケート用紙を渡してきた。何だ、これ。読んでみると、草津についてどう思うか、みたいな事があれこれ質問事項として記載されていた。もちろん、たっぷりと書いてやったぜ。

今朝、「あれ?観光協会がテント立ててる・・・」と不思議に思ったのは、この駐車場誘導のためだったわけだ。なぜそんなにこの駐車場に力を入れているかと思えば、答えはテント脇に止められているバスだった。草津温泉街中心地は駐車スペースが乏しいため、この地を拠点としたパーク&ライド方式を実施しているのであった。知らなかった。

おかでんでも知らないということは、一般にはほとんど知られていないということだ。もう少し広報活動が必要だと思う。ただ、現状で既に駐車場はほぼ満車なわけであり、これ以上認知度をあげてもキャパシティオーバーになるだけだが。

駐車場から西の河原へは遊歩道ができている。400m、徒歩6分。

サンダルで歩いていたのだが、小石がどんどんサンダルと足の裏の間に入り込んで、歩くととても痛かった。

遊歩道から川を挟んで西の河原露天風呂が見えてきた。

右の写真では木の枝のせいでなんのこっちゃわからんが、はっきりいって丸見え。ただし男性露天に限る。女性側はがっちりと壁があって、当然伺い知る事はできない。

人通りが結構ある遊歩道から、こうも丸見えなのは公序良俗としてどうなのよ、と思うが、誰もオッサンの裸なんぞには興味を持たないので、問題なしだろう。

岩に登って涼んでいたり、湯に肩まで浸かっていたり、立ち上がっていたりと人それぞれ。水族館でペンギンを見ているような気分になった。

[第17湯 西の河原露天風呂(万代鉱源泉) 15:30]

西の河原露天風呂に到着。入口には長蛇の列。なんじゃ、これは。呆れる人数だ。しかも、出て行く人の数よりも入っていく数の方が多い。先ほどまで「定員3名」なんて風呂に入っていた身からすると、この光景は信じられない。

入湯料500円也。安いとは思うのだが、これまで16湯、全て無料で頂戴してきたために500円でさえすごく高く感じられてしまった。30半ばのオッサンが、交通費かけて草津まで来ておきながら500円ごときで悩んでいるのはなんとも理不尽だが、それでも悩んだ。

悩んでいるそばから、次々と人が吸い込まれていく。多いなあ。

あまりに多いので、原因を考えてみたら時間が関係しているっぽい。15時に宿にチェックインして、まず西の河原露天風呂に行こう、なんて人がぞくぞくと集結してくる時間なわけだな。

500円の件で踏ん切りがつかなくて、結局いったんブレーク。

露天風呂すぐ近くにある草津ビジターセンターで草津の自然をお勉強。入場無料。

ビジターセンターで頭を冷やし、「ここまで来て風呂に入らないという選択肢はないだろう」という結論に落ち着いた。500円払って入湯。

脱衣所は人でごった返していた。「置き引き注意」という張り紙があったが、さすがにこれは危険だ。普通、脱衣所の有料コインロッカーは使わないのだが、ここは使っておかないとやばい。500円の入湯料は相当渋ったが、100円のコインロッカー代は素直に出した。これだけ人が出入りしていれば、仮に悪い人が全体の1%存在したとしても、遭遇する確率が高い。

露天風呂は、草津の名物。その豊富な湯量を背景に、学校にある25mプールよりもデカいくらいの奥行きと幅がある。せっかくだから写真でも・・・と思うところだが、「撮影禁止」と明記されているので写真撮影は不可。そうでなくても、これだけ人がいれば写真を撮ればもう、裸祭りだ。見えてはイカン部分がたくさん写りこんでしまい、使い物にならない。

とはいっても、携帯で写真を撮るけしからん輩は後を絶たないようで、湯船から脱衣所方面を見ていたら、何度もフラッシュが焚かれるのが見えた。写真に収めたくなるでかい風呂、という気持ちは分かるが、結果的に裸祭り状態の写真に仕上がっており単なる変態だ。

西の河原露天風呂の良いところは、その広さだ。一番奥に滝がありお湯が注がれている。ここが一番熱い。そして、脱衣所に近づくにつれ、温度が下がっていく。だから、移動することによって自分にとって一番心地よいお湯を楽しめるというわけだ。

広い湯船の真ん中には、大きな机のような台が沈められてあった。腰掛け用だ。みんな、のぼせたらいったん湯から出ることができるように、露天風呂のへりに鈴なりだ。露天風呂の真ん中にいると、のぼせたら立ち上がるしかない。しかし、この台があるおかげで、真ん中に居ても逃げ場所がある。

その台の上で寝っ転がっている人がいた。股間丸出しで、「ああ、さすがは秋だな」ときのこ狩りを連想してしまったわけだが、それは兎も角として同性としても見たくない光景だ。ぜひ隠すべきところは隠していただきたい。

その台だが、自分も実際横になってみた。するとこれが大層塩梅良い。台は湯から突き出ているわけではなく、水深数センチのところに沈んでいる。このため、あおむけになると、耳たぶあたりまでは湯に浸かる事になるのだった。つまり、おかでんが今回悩んでいる首と肩は常に湯に浸りながら、かつ、体の前半分で放熱してのぼせを防ぐ事ができるというわけだ。素晴らしい、理想型ではないか。すっかり気に入ってしまい、30分以上この台のお世話になった。

結局1時間半くらい滞在し、ご満悦で西の河原露天風呂を後にした。

時刻は17時を回っており、既に暗くなってきている。いったん車に戻り、今晩の食事について検討することにした。

車を停めている天狗山第一駐車場から歩いていけなくもない距離のところに、ドイツ料理の店がある。そこでザワークラウトとソーセージ、そしてドイツビールなんてのは魅力だ。でも、気持ちよくなった後てくてくと歩いて駐車場まで歩くのはなんだかイヤだ。車移動だとすぐの距離なんだが。

結局、今晩も弁当を購入することにした。テントの中で、ランタンの明かりの下で食事をするのはとても楽しい。昨晩、あらためてそれを実感した。今日も同じように楽しくやろうじゃないか。

弁当屋には心当たりがあった。草津交差点にあるセブンイレブンの隣に、弁当屋があったのを覚えているからだ。早速、その弁当屋「中沢弁当」を訪れた。ただし、相変わらず国道は大渋滞のまま。迂回してベルツ通り経由でお店を目指した。

この弁当屋、品数が多い。どうしたもんかと目移りしまくりだ。悩んだすえ、決心してご主人を呼ぶ。「注文お願いします」。すると、「あー、今日は予約の注文がたくさん入っちゃって、もう今日は、ちょっと」という回答。なんじゃそりゃー。誰だ、大口の弁当予約を入れた団体は。

それだったら「営業中」の札を「準備中」にひっくり返しておけよなーと思いつつ、てんてこまいの厨房の状態を見たらそれどころじゃないよなーと思い直しつつ、お店を後にした。

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