おもてなし三昧な世界【台湾南部滞在】

ガラスとテレビ

ベッドの正面には、鏡と、テレビと、冷蔵庫があった。

この鏡がくせ者だ。場所的にたまたまここしか姿見を設置できなかったのかもしれないが、それにしてもベッドの正面って。

試しにベッドの上に乗り、M字開脚してみたら大層良い塩梅に自分の姿が鏡に映った。その写真もあるのだが、破廉恥なので掲載はやめておく。

テレビの位置は微妙すぎる。ベッドから見るにしても斜め方面だし、そもそも部屋の隅にある座椅子と全く向きが違う。あの座椅子、単なる飾りとしか思えない。

テレビの下にある冷蔵庫は空。好きなものを入れてよろしい。

なお、500mlのペットボトル水が2本用意されてあったのは有り難かった。買わなくて済んだ。

恐らく非常灯

天井近くに、なにやら巨大なライトが据え付けてあった。何かは不明だが、恐らく非常灯なのだろう。

今はあまりないとは思うが、一頃は電力事情が相当悪かったのだと思う。停電がたびたびあって、その名残だろう。

それとも、台風が頻繁に訪れる国なので、停電になりやすいという地理的事情があるのかもしれない。この辺りの事情はわからない。

日本人的発想だったら、「万が一の停電に備えて、枕元に懐中電灯」となる。しかし、台灣だとこんなド派手なサーチライトみたいなものになるのだな。でもこれじゃ、部屋から出られないよ。部屋だけ明るくても困る。停電が復旧するまで大人しく部屋で待機していなさい、ということか。

この宿だけのものかと思ったら、翌日お世話になった部屋でも同じ物を見た。台灣では一般的なもののようだ。

懷寧旅店の御案内

懷寧旅店の御案内。

日本だと必ず非常時の脱出経路が記載されているが、台灣ではそういうルールは無いらしい。「緊急事件の時は安全門から逃げろ」とだけ書かれてあった。安全門、どこですか。後で確認しておかないと。宿の構造上、火事になるとヤバそうだ。

わざわざ部屋代が記載されているのが面白い。

住宿:2,160元 休息:540元

と記されている。ほらー、やっぱり休息ってそういう意味じゃん。

Fishに、「このホテル、『住宿・休息』って記載があるけど、休息ってやっぱり連れ込み宿って意味だよね?」と聞いた際、「さあ?違うんじゃない?」と言われていた。しかしやっぱりそうじゃん。

とはいっても、ちゃんとビジネス/観光ユースにも対応していて、よく読むとモーニングコールやらタクシー手配、按摩さんの呼び寄せ、クリーニングなども対応しているようだ。米ドル、香港ドル、日本円の両替までやってくれる。幅広い客層に対応しています、ということか。日本人的感覚からいったら幅広すぎだけど。

チェックアウトが12時というのが、大層ゆっくりできてよろしい。ただし、観光で台北を訪れる限り、このチェックアウト時間はあんまり意味がないとは言える。あ、でも台北最終日が午後便の飛行機だったら、チェックアウトぎりぎりまで大きな荷物を置いておくメリットがあるな。

浴槽
トイレ

トイレ兼風呂場を見に行く。

いったん段差を降りて玄関に出て、スリッパに履き替える必要があるのでやや面倒くさい。

中にはいると、無駄に広いスペースが広がっていた。こんなに長細い洗面所は見たことがない。もっとコンパクトにまとめても良いだろうに、と思うのは貧乏人の発想だからだろうか。

広いが故に、浴槽のところにシャワーカーテンが存在しない。少々水しぶきが飛び散っても問題はないという考えなんだろう。

タオル、バスタオルは完備されていて問題なし。

トイレは・・・さすがにここまで和風套房ではなかった。洋式。便座の上部に大きなボタンがあり、それを押すと流れる。日本のように「大」とか「小」といった水量切り替えは無しだ。台灣の人、日本に来てトイレを流そうとすると困惑するのではないか?「大」「小」って何だよ、って。

なお、中国語でトイレの事は「馬桶(まーとん)」という。なんちゅう名前だ。まあ、日本の「便所」というのも露骨っちゃあ露骨な名前だが。やはりここは「洗面所」という奥ゆかしい表現を積極的に使いたいところだ。

台灣で忘れてはいけないのが、使用した紙の始末だ。台灣では原則、紙をトイレに流してはいけない。使用済みの紙は、便座脇にあるゴミ箱に捨てる事になる。大変に不潔だと思うが、現状そうなっているから仕方がない。台灣の人が日本に来て驚き、喜ぶのはトイレの清潔さと利便性らしい。ただこれは台灣の人に限った話ではないが。

なぜ紙を捨ててはいけないのだろうか。Fishに聞いてみたら、「さあ?」で終わってしまった。「便所では紙を捨てない」ということを当たり前として育ってきたので、疑問にすら思わなかったのだろう。もっとも、疑問に思ったとしてもFishは台灣の雑学王でも何でもないわけで、知らないことがたくさんあって当然なのだが。

ホテルや立派な観光施設/飲食店などを除き、台灣の洗面所には紙が設置されていない。自分で持参するのが原則だ。だから、台灣の人、特に女性はティッシュペーパーの携行が欠かせない。Fishは台灣に帰国する前、日本で「鼻セレブ」というポケットティッシュをたくさん購入していた。なぜそんなものを、と聞くと、台灣では必需品であるということと、紙質は日本の方が上だという答えが返ってきた。

そんな「水に溶けない」ティッシュが洗面所で利用するから詰まってしまうのではないか?と思うわけだが、調べてみるとそうではないらしい。台灣は下水道事情があまり良くなく、パイプが細いために紙を流すと目詰まりを起こすというのが事の真相。下水道の基本設計を甘く見積もってしまったらしい。

たとえ水溶性のトイレットペーパーであっても、溶けるまでは時間がかかるわけであり、台灣のトイレに流すと危険。ネットで検索してみたら、「逆流して酷い目にあった」という悲惨話を散見することができる。涙無しでは読めない。中には、「もうこんな生活耐えられない」と帰国してしまった日本人妻もいるようで。トイレというのは、生活に密着しているだけに重要だ。日本の上下水道を管理している行政及びトイレ用品メーカーに感謝だ。

なお、台灣滞在5日のうち、1回だけどこかで「紙をトイレに流しても良し」という張り紙がしてある洗面所を見かけたな。どこだったかなあ・・・。高鐵站だったかな・・・。まあ、それくらい珍しいってことだ。

アメニティ
武骨な石けん

アメニティ類は問題なし。廉価ホテルではあるが、この辺り全く抜かりがない。

まあ、「廉価」といっても日本人的感覚での話であって、台灣物価から考えるとそれなりにお高い宿ではあるのだが。本当に安宿を探せば、台北車站近辺でも500元(=約1,600円)程度の宿はある。ただし、二段ベッドの相部屋だったりするが。

さてここのアメニティだが、当然二人が泊まる事を想定して歯ブラシなどは2セット用意されている。しかし・・・

ええと、ひげ剃りは1つだけか。そのかわり、シャワーキャップが1つ。

やっぱり、明らかに「男女が泊まる」事を前提にしておるな。全くもってけしからん。

「けしからん」といいながら写真をとるおかでん35歳男性独身。そろそろ身の振り方考えろ。

さて、アメニティの中に石けんがあったので、試しに開封してみた。普通、日本の宿ではボディソープとシャンプーなどの「液体系」なものしかないからだ。珍しい。

開けてみたら、見事なまでに無骨な、真四角な石けんが出てきた。しかも、製造工程時に付いたと思われる縦筋(というか、キズ)があちこちに入っている。これは現代日本では絶対にお目にかかれないレアアイテムだ。思わず石けんごときを写真に収めてしまった。

國際観光商業大樓

部屋の写真を撮影していたら、あっという間に時間が過ぎてしまった。

いかんいかん、荷ほどきすらまともにできていないのに。

慌てて20時から予約を入れてある整体に向かう。ここで時刻が遅延すると、21時30分待ち合わせのJennyにも迷惑がかかる。何ともせわしない。

横断歩道がないので、やっぱりいったん地下道に降り、台北車站前の交差点をアンダーパスしてから地上に出る。3番出口出てすぐ、「國際観光商業大樓」。先ほど、奇妙なタイ式オイルマッサージ屋の看板を見かけたところだ。

日本で雑居ビルといえば、秋葉原の電気街を除けばほとんどが「飲食店」だと思う。しかし台灣ではそうではなく、多様な店がビルの中にひしめき合っているから面白い。ただし、日本の店舗に慣れている身からすると、胡散臭く感じてしまう。多分、おかでんの母親なんてこういう雑居ビルに入るのは嫌がると思う。

で、「國際観光商業大樓」。名前は大層なものだが、実際は間口の狭い、何がどう「國際観光」なんだかわからないビルだった。こんなところに整体が、と思うが、まあ場所さえあれば何でも商売はできるってことだ。

一階には「台北火車頭」という店が出ていた。何を商いしているのかさっぱりわからないが、いちいちこういうのに反応していたらきりがない。スルーしよう。

「Taibeiの鉄道エソジソ」と書いてあったが、こういうのにも突っ込み入れるといくら時間があっても足りない。

知足健康中心

この雑居ビルの6階が、目指す「知足健康中心」だ。台北車站すぐという立地条件の良さ、日本語がある程度通じること、台北ナビなどへの広告宣伝に抜かりなしということで日本人観光客に人気のマッサージ店らしい。

入口には「いらっしゃいませ」という表示と、「ちそくけんこうセンター」の文字。

入口が二重になっていて、木の扉と、格子扉があるというのがいかにも台灣風。・・・いや、この時点ではまだそのことに気がついていないんだけど。

カーテンで仕切られているベッド

整体を始めるには、特殊な設備は特に必要がない。最悪、ベッド一つで事足りる。健康医療関係では、精神科医に次いで初期投資が不要な業態ではないか。そんなことを感じさせる、店の作り。

もちろん、ベッドだけじゃ客は来ない。特に女性は嫌がる。だから、カーテンつけたりリネン類を頻繁に交換したりいろいろするわけで、結局ある程度の投資は必要なのだが。

この店の場合、ベッドが3つあって満員御礼。その客全てが日本人だったのにはちょっと驚いた。また、自分の施術後にやってきたお客、予約の電話をかけてきたお客全員が日本人というのも驚きだった。日本人専門店舗か、ここは。

きっと、日本にも「アメリカ人ばかりの店」とか「アラブ人ばかりの店」ってのがあるんだろうな。日本人が知らないだけで。

そんな店だったが、一応入店時のごあいさつは中国語で。「晩上好!(わんしゃんはお=こんばんは)」。

そうしたら、店の奥から「いらしゃいませー」と日本語で応答されて、半分がっかり、半分ほっとした。発音がネイティブじゃないので、すぐに「あ、日本人だ」とバレたらしい。

知足健康中心の値段表

台北ナビで既に予約してあり、ペーパーで予約票を印刷してあったので話は早い。

台北ナビのwebサイトでは、希望日と時間を第三候補まで入力することができ、予約の仲介をしてくれる。店と連絡をとりあって、予約が確定したら予約票を発行してくれるからありがたい。なお、支払いは台北ナビ経由ではなく、直接店舗にて。

台北ナビには、知足健康中心の10%割引クーポンがついていたのでありがたく使わせてもらうことにする。

ここは足裏マッサージ、全身マッサージなどを受けることができる。いずれを選んでも60分1,000元(=約3,200円)。日本のマッサージ相場は10分=1,000円なので、それを考えれば半額近い。とはいえ、台灣物価(大卒初任給が10万円~12万円程度)を考えると、結構高額だ。お客が日本人だらけというのはうなずける。

なお、60分1,000元というのは台北の中でも高い部類だと思う。もっと安い店はいくらでもある。ただ、日本語ができるとか、台北ナビで予約できる、といった安心料込みということでこの価格設定だ。

マッサージは製造業や流通業ではないので、経費は場所代と人件費と、その他少々で済む。うまく商売が軌道に乗れば、相当儲かるはずだ。ましてや、日本人相手のビジネスとくれば儲かりやすい。しかし、旅館業と一緒で、観光客が来ない閑散期や平日は商売あがったりになるので、辛いところだ。為替レート次第で日本人客が増減するだろうし。簡単そうで、気苦労が多いビジネスかもしれない。

おかでんは全身マッサージ60分コースをお願いする。足裏マッサージが気持ちよい、と感じた事が一度もないからだ。とはいえ、これだけ足裏マッサージ店があるということは、実は相当気持ちよいに違いない。時間とお金があったら、歩けなくなるくらいまでぐりぐりやってもらいたいのだが・・・。

このお店のメニュー先頭に、「足裏60分+全身90分=2,500元」という記述があった。こりゃ全身骨抜きにされそうだ。試してみたいのぅ。

マッサージを受ける。

日本の一般的なマッサージと何か違うところがあるのか、慎重に様子をうかがってみたが特に違いは見つけられなかった。台北ナビの口コミ欄にあるような、ハードなゴキゴキもなし。期待していただけに、若干拍子抜けだった。まあ、ゴキゴキ言わせるのが正解かどうかは大きく疑問だけど。

これだったら、いつもお世話になっている自宅近所の中国気功整体の方が上手だと思った。吉林省出身の方がやっている。こちらだと、回数券利用で60分4,500円くらい。

ただ、「技術」と「値段」のバランスというのはとても難しく、少々雑でも安くて時間が長い方が有りがたかったりする。このあたり、整体選びの難しいところだ。

ゴッドハンドと名高いこのお店の店主だが、施術をお願いしようとすれば指名料が別途かかる。300元だったかな?。割引クーポン適用外。少々高いお金を払ってでも(それでも日本と比べれば安い)、ゴッドハンドでボキバキやられたいという方はぜひそちらをどうぞ、なのです。

地下鉄の駅に向かう
地下鉄の電光掲示

21時、診療終了。

漢方茶を頂戴し、一息ついてお店を後にする。ふう、良い感じ。

ベストな気分か、というと「ベターである」と言わざるをえないが、それでも満足度が高い。場所も良いし、また訪れたいところではある。感謝感謝でお店を後にした。

さあ、引き続いてすぐに台北車站から捷運(じえゆん=MRT)に乗らないと。早足で地下街に潜り込む。Jennyを待たせるわけにはいかない。

台北車站から、士林夜市の最寄り駅である剣潭站まで約15分。21時30分集合にしてあるので、すぐに移動しないと。ホンマ秒刻みだなあ。

台北を南北に貫く「MRT淡水線」に乗る必要がある。台北車站は、その他MRT板南線、台鐵、高鐵がそれぞれ地下にホームを持つので紛らわしい。地上に大きな駅舎を持つ駅だけど、乗り入れている路線は全て地下ホームだ。

自動券売機でチケット代わりのICメダルを購入し、自動改札に向かう。

自動券売機の動作のトロさ、自動改札の構造の非効率性は、台灣風といえる。日本だったらクレームものだ。逆に、日本が神経質すぎるんだな。0コンマ何秒の世界で効率を競い合っちゃってる。日本人がいかにせっかちか、というのが分かる瞬間。ということは「台灣風」なのではなく、「日本だけが世界で孤立」しているというのが正解なのだろう。

とはいえ、台灣人も負けてはいない。電光掲示板に、次の電車があと何秒で入線するかをカウントダウンタイマーで表示しているのだった。5秒刻みで、カウントダウンされていく。おかでんが乗らないといけない淡水線は、行き先が「北投」行きなのだが、写真の表示だと0:55。これが到着時刻なのか出発時刻なのかはわからんが、いずれにせよせっぱ詰まっているのは事実だ。それ急げ。急いでホームに舞い降りろ。

台北車站は全ての接続路線が地下ホームであるため、淡水線の場合は深く潜らないといけない。改札をくぐったからといって油断してはいけない。その後、長い階段が二階層、待っている。

あのカウントダウン電光掲示、駆け込み乗車を助長する気がするけど大丈夫か?

それとも、「ああもう間に合わない」と諦める人が出てくるから、逆に効果的なのだろうか。大変に興味深い。

少なくとも、JR東日本を中心に実施している「発車を告げる音楽」は、日本においては「それ急げ、全力ダッシュだ」と奮起を促す音楽にしかなっていない。

士林夜市の「美食広場」

15分足らずで、MRT劍潭站に到着。

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