密輸商人おかでんの上海貿易顛末【上海1】

食事カウンター1
食事カウンター2

「自分で好きなモン取る仕組みだから」

と、コダマ青年は壁面にあるカウンターを指さす。何から何までホテル的だ。

さすがに豊富な品そろえとはいかず、下からアルコールランプで熱せられているオムレツだとかウィンナーといった「ホテル朝食の定番」はない。パン2種類と、フレークと、果物、ゆで玉子程度。あとはコーヒーと牛乳、オレンジジュース、豆乳。

でも、お一人様「住居」にこのサービスがついているのだから凄すぎる。賄い付き・・・というのはちょっと大げさだが、なんともぜいたくだ。

スタッフが一名、ここには常駐していて料理や皿の補充を常に行っていた。人件費かかっているなあ。ホテル併設のサービスアパートメントだからこそ、できるのかもしれない。

ただ、さすがに「調理」されているものは一つもなかった。リンゴが置いてあるのだが、まるごと一個だ。丸かじりするか、自分で皮を剥くかしなければならない。その他、加熱されたものもなし。あくまでも「朝食も、簡単ではありますが用意してあります。よろしければどうぞ」というスタンスに留めているのだろう。

実際、コダマ青年は「あまりここでは朝は食べない」と言っていた。何をもったいないことを、と最初聞いた時には思ったが、365日ずっとこのメニューだとたしかにうんざりだ。

今朝の食事

朝食。

温かい豆乳が用意されているところが、いかにも中国っぽい。甘みがやや強めで、それがかえっておいしい。

パンの味は、まあ、こんなものかな程度。たしかにこれを毎日食べ続けるのはしんどい。

「外に行ったら、粥屋なんてのがあっていろいろ食べられるんじゃないか?」

と聞いてみたら、

「いやー、食べるとすればコンビニのおにぎりか、マックかって感じだなあ。屋台は止めた方がいい、危なすぎる」

と言う。そうなのか。外食で粥=中国の正しい朝食スタイル、というイメージがあったので、上海でもそういうものなんだろうと思っていたのだが。

そういえば、上海滞在中、粥屋というのはほとんど見かけなかった。もちろん、探せばあちこちにあるのだとは思うが、日本人が想像するほど「粥食べまくり」な人種ではないのかもしれない。

コダマ青年、ここでも屋台を否定する。一体何があるというのだろう。上海に着く前から、「屋台なんぞ風情があっていいねえ」というおかでんに対し、「止めた方が」とコダマ青年は一貫して窘める立場だった。

日経を読むコダマ青年

おや。

コダマ青年が新聞をどこかから持ってきたな、と思ったら、それは日本経済新聞だった。凄いなこのアパート。外国の新聞まで取り寄せているのか。

でもどうせ昨日の日付だろ・・・と思ったら、あれれれ、ちゃんと今日付のものだ。早いな、今じゃほとんどタイムラグなく外国にも配信されているのか。

そのせいで、紙質は当然違うし(上海の方がむしろ良さそうだった)、紙の余白が非常に大きく取られていた。

それにしても、こうやってコダマ青年は日本の情報をちゃんと把握していたとは。得意げに、「最近の日本は・・・」と昨晩彼に語っていたが、全くの無意味だったというわけだ。うわ、恥ずかしいなお前。

しかもコダマ青年の部屋のTVでは、NHK-BSがちゃんと映るのだった。活字も動画も、両方とも日本と変わらない環境。あとはネットがあるし、日本にいるのと何ら変わりないのだった。

「でもネットって、中国当局から相当検閲があるでしょう?」

と聞いてみたが、特に実害がでるほどのものはないという回答だった。へー。

地下鉄の窓口

今日の午前中は浦東(pǔ dōng =プードン)地区を散策する予定。

浦東は、上海が紹介される際に必ず写真ででてくる場所。高層ビル群があって、変な丸いタワーがあって、というあそこだ。あの一帯だけ、全力でシムシティをやっている状態。何も上海全体がああいう町なのではないのでご安心を。東京全部が浅草だったり、東京全部が新宿ではないのと一緒だ。

地下鉄駅にて、コダマ青年はなにやら有人券売窓口に行っていた。聞くと、チャージをしてもらっていたらしい。あれ?チャージは有人か。

地下鉄の路線図

地下鉄の路線図を見ると、結構あれこれできているのが分かる。環状線があるし、東西に延びるやつ、南北に延びるやつ、とひとまず鉄道建設の王道を進んでいる。これらの整備はこの10年そこそこで急速に行われたものなので、感心する。将来的には、今の倍以上の距離を開通させようという計画があるのだから、まだまだ上海は元気だ。そりゃそうだ、2,000万人以上が住んでいるのだから、理論的には地下鉄および地上の鉄道は東京以上に複雑怪奇に仕上がるはずだ。

地下鉄自動改札
自動改札のICカードリーダ

地下鉄の自動改札。

無骨なステンレス仕上げの、四角い箱。こういうところの工業デザインは、明らかに日本の方がセンスがある。というか、日本人は実用性だけでは納得できない、無駄な美意識が備わっている。明らかにコスト増大要素であり、国際競争力はこのご時世劣るだろう。でもそんな日本人の感性が好きだ。美意識のために、日本がガラパゴス化して滅亡してもいいんじゃないかとさえ思えてくる。

日本の自動改札機は、ICカードをかざす部分に絶妙な傾斜をつけてあり、「タッチ&ゴー」が極限までスムーズにいくようになっている。しかし、こちらの自動改札機は、ただ単に平面で、フリスビーのような、フライパンのような「もっこり」があるだけだ。

それもそのはず、日本と中国では電波法が違うので、中国の方が電波が強い。日本だと、まさに「タッチ」しないと認識しないのに対し、中国だと少々離れていてもICカードが認識できてしまう。故に、セカンドバッグなどをこのもっこりの上に乗せ、それで通過していく人が大勢いた。あー、楽だなあそれは。日本じゃ、財布ごしのタッチでさえNGな場合があるのに。

東昌路から徒歩

地下鉄2号線の「東昌路」站で下車。

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