来日したら標高3,003メートル【立山・黒部アルペンルート】

温泉噴水の横で

全員がお風呂から戻ってきたところで、食事兼宇奈月温泉散策のため外出。

本当は売店や遊行店が並ぶ温泉街だと良かったのだが、宇奈月はそういう作りにはなっていない。19時を回ると、すっかり暗くなってしまっていた。

でも、台湾の皆様は「浴衣で散歩」というのが結構新しい体験だったようだ。かなりエンジョイしている様子。

日本よりもはるかに温かい国である台湾だが、浴衣みたいな無防備な服装で外をうろつくなんて事はまずないだろう。帯を引っ張られたら「あーれー」で丸裸だ。無防備過ぎる。しかも、寝るときはこの格好な訳であり、寝間着で外出するという「ぶしつけ」なスタイル。斬新だったに違いない。

お湯掛薬師

温泉街をざっと歩いて見る。ほとんどお店は閉まっていて特にみどころはないのだが、お湯掛薬師には全員でお参りしておいた。

薬師如来さんの前には温泉がちょろちょろと流れており、それをひしゃくですくって薬師如来さんに掛ける。すなわちお湯掛け薬師、と。

お湯に宗教性を見いだしている日本文化はきっともの珍しかったに違いない。台湾にも温泉はたくさんあるが、どちらかといえばSPAっぽくなっていて、あまり日本のように湯治的な場所・思想はない。

三人+おかでんで交代交代、お湯を掛ける。

「薬師如来というのは仏教においては病気を治してくれる仏様だよ」

とFishには伝えておく。台湾にはこの仏様はいるのだろうか?

河鹿

温泉街の中で夜でも営業している数少ない飲食店、「河鹿」へ。釜めしが名物だとか。

お品書き

お座敷に陣取って、お品書きを見る。

うーん、困った。居酒屋風だが食事もちゃんとできる。しかし、何を選んでよいのやら。

おかでんとしては、「日本らしいもの。富山らしいもの。」を食べていただきたい。しかし、メニューに並ぶ定食類は、うなぎ定食、かれい定食、あじ定食・・・。お昼にお寿司を食べたわけだし、夜もまた魚というのは芸がないと思われそうだ。

安心しろ、お茶漬けがある。

やめとけ。立山黒部旅行の初日、Fishの様子を見ても明らかに盛り上がって上気している。やっぱりここはバーンとですね、何かそれらしいものを一丁。

悩む。悩む。

Fishに助言を求める。というか、Fishに丸投げした方が話が早い。選んでくれ。

「えー。どれがいいんだろう」

いくら日本語が達者なFishとはいえ、ここに書かれている料理が何か、理解できるのは7割程度じゃあるまいか。というかゴメン、おかでん自身100%は理解できていない。「にぎす干物」なんてあるけど、にぎすってどんな魚だろう、とかそんなのがちらほら。

せめて魚はやめて肉にしよう、と思った。しかし「やき肉」「若どり塩焼き」「唐揚げ」・・・。うーん、ちょっと違うなー。台湾でも食べられていそうなものだ。

飲み物を頼む

とりあえずビールで場つなぎ。

あまりに苦しそうにお品書きをにらみつけているおかでんに対し、お店の方があれこれ助言して下さるのは良いんだが、お魚を進められるからちょっと方向が違う。

台湾から来た方なんですよ、と素性を明らかにしたうえで、何かないですかねぇ、と店員さんに聞いてみる。しかし結論出ず。おいFish。アンタ日本と台湾の両方の事情が分かるだろ。何とかしてくれよ。おかでん困ってるぞ。

女性陣はジュース。あーそうか、女性陣はほとんどお酒を飲まないんだった。台湾は日本以上に女性がお酒を飲まない(飲んでもたしなむ程度)と聞く。オレンジジュースで夕食を食べるというのは申し訳なかったな。お茶が出てくるようなお店か、それとも宿の部屋で出前をとった方が良かったかもしれん。

おかでんの生ビールはちょっと浮いた光景になってしまったが、突き出しで枝豆が出てきたのは良かった。しばらくみんなで枝豆をかじり、なんとかその場をしのぐ。

おでん

お店の人はおでんを勧めてくる。カウンターにはおでん鍋があるし、お店としてもおすすめらしい。

「でもなあ、おでんは台湾にもあるし・・・」

と躊躇すると、

「じゃあ台湾の人の口にもあうでしょ」

と切り替えされた。えーい、新規性はあまりないかもしれないけど、おでん頼んじゃえ。

台湾と日本ではおでんといっても違いがいろいろあるだろうから、そのあたりを中心に楽しんでいただければ。

おでんを頼むだけで随分疲れた。

Fish妹だけだったら、「これが日本食だ。判れ」とこちらで食事を指定して押しつけても良かった。でも、今回はFishご母堂が同伴。その年齢から、口に合わないで食が進まないものも多かろう。そのあたりを配慮し出すと、さあ何を選べばよいのやら。

幸い、おでんは口に合ったようでぱくぱく食べてくれた。

とりもつ
ししゃも

おかでん迷走のありさまがまざまざと出る注文の品。

写真上はとりもつ。何か肉料理を、といっても唐揚げは無いだろー、と思っていたところ、拾われた料理。でも、オレンジジュース飲みながらとりもつ食わされる立場としてはたまらんかっただろう。どう考えても合わない。

写真下は言わずと知れたししゃも。魚料理が多いね・・・でも、あじとかかれいはちょっと違うよなあ、と困惑していたときに目に入ったメニューなので。「ししゃも=北の魚。多分台湾の人は馴染みがないはず」という理由でのオーダー。

とりもつにしろししゃもにしろ、完全に居酒屋メニューだ。手元に酒か、ご飯がないとどうも収まりが悪い。

ええい、頼んだ釜めし定食はまだか。釜めし定食が出てくれば一応この場は収まると思うんだが。多分。

すじこ

迷走の極地。

すじこ、頼んでた。

さすがにこれは台湾勢、箸をつけなかった。生(実際は醤油漬け)の魚卵ということで、気持ち悪かったのかもしれん。

やべー。

釜めし定食中身

釜めし定食がやってきた。

このお店の看板メニューらしい。お値段1050円。

具だくさんのお釜

味うんぬんより、見栄えの良さで場つなぎができる。おかでん一安心。

四人で2つ頼んだだけだったので、量が適量だったかどうかわからない。台湾勢の胃袋のキャパシティがさっぱりわからないからだ。

このあたり、Fishに丸投げしておけば良かった。おかでん、変に背負いこみすぎだ。

日本酒

せっかくだから日本らしいものを、という思いが暴走して、日本酒頼んじゃった。

おかでん大汗かきながら、初日は終了。

さあ、明日は称名の滝に行った後、バスで室堂だ。室堂で二泊目。明日の夜はちゃんと食事付きの宿なので、焦らなくて済むぞ。

2009年08月07日(金) 2日目

朝の大浴場

二日目朝。

7時半朝食、とみんなには伝えてあり、それまでの間は朝風呂に入るもよし、近くを散歩してくるもよし、起床時間を遅らせるもよしとなっていた。

おかでんは当然朝風呂。FishとFish妹も朝風呂へと向かった。Fish母は散歩を選択。

「台湾紀行(2)」で体験したが、台湾南部ともなれば熱帯。風呂場にはシャワーのみで風呂桶が存在しないという住居設計も納得がいく。そんなわけで、ただでさえ「お風呂」には無縁なのに加え、「朝風呂」ともなればFish母、不要と判断したのだろう。

一方、すでに日本のライフスタイルに馴染んでいるFishと、お姉ちゃんの言動に感化されたかもしれないFish妹は朝風呂。このギャップが面白い。

朝食会場

全員が身支度したところで、朝食会場へと向かう。

夕食を出さない宿だし、お値段は観光地の割にお安い。だから、食事といっても「パンと、コーヒーやジュースだけ」といったビジネスホテル的なものを想定していた。

朝食カウンター
ずらり並ぶ朝食

しかし、いざ会場に行ってみたら席はしっかりしたものだし、料理はずらりと並んでいるしで朝からわあびっくり。料理の数は「全種類の料理を少しずつお皿に盛り付けると、お皿からあふれてしまう」くらいあった。

これだったら夕食も簡易なバイキング形式で出せばいいのに、と思うが、旅館の経済学というのはおかでんが考えるよりもより複雑なのだろう。

おかでんの朝食

おかでんの朝食。バイキングとなると興奮してしまい、「自制したつもりが自制できていない」盛り付けをしてしまう。今回も、できるだけ多品種を取りそろえてみたらこんなになっちゃった。ご飯だって、このおかずに見合った量じゃないとバランスが悪いから・・・と結構な盛り付け。朝からやりすぎだ。Fish一家が見ているんだから、もう少し控えなさい。

そのFish一家だが、全員ご飯お味噌汁+おかず、の組み合わせを選択していた。日本食はなかなか口に馴染まないから、とパン食だったりするのかな、と勝手に想像していたが、違った。

でも、さすがに生野菜サラダはチョイスしていなかった。生野菜をあまり食べつけないのかもしれない。偶然かもしれない。

オリゼーとともに


8時半、快適な宿をチェックアウト。立山を目指す。

宇奈月から立山は直線距離としてはそれほど離れていないのだが、間に剱岳などのデカくて高い山がそびえている。そのためにぐるりと海沿いを大回りしないといけない。

道中、後部座席ではオリゼーがFish妹と一緒にシートベルトを締めていた。

おかでんカーの後部には、オリゼー(漫画「もやしもん」に出てくるキャラ。味噌や醤油を作る際に使われる菌)のぬいぐるみとonちゃん(北海道のローカルテレビ局HTBのマスコットキャラ)が置いてあった。後部座席に座っているFish妹とFish母には、一体この人何の趣味があるんだ、と思われたに違いない。どちらもいびつな形をした人形であり、解説がないとわけがわからないだろう。

でも、車移動中の抱き枕としては有効だったようで、二体ともFish一家に愛されていた。

※なお、2011年2月現在では、この二体に加えて、枕くらいの大きさがある巨大カピバラさんが鎮座している。ますます変な人形収集家になってしまっている。

立山入口

2時間弱ほど車を走らせ、立山へ。ここからが立山黒部アルペンルートの佳境、というか本番エリア。まず立山から美女平までケーブルカーで急坂を上り、そこからバスに乗って本日のお宿がある室堂まで、解放感ある道を進む。

しかしこのケーブルカーが大変混雑しやすく、キャパシティオーバーで結構待たされることがある。実際、GW中におかでんが立山に来たときには、一日分すべてのチケットが売り切れており、ここから先には進めなかった。

立山は一般自動車が立ち入りできないため、ケーブルカーのチケットが取れなかったら致命傷。

今日は8月で観光客の数が多いはずだから、やや不安。でも、まあなんとかなるだろうと都合の良い方に解釈し、車はそのまま立山駅を素通り。谷筋を走る道路のどん詰まりにある「称名の滝」を目指す。

称名の滝が遠くに見える

称名の滝。

日本三大名瀑に数えられ、落差350m(春には落差500mになる)は日本一の滝。

アルペンルートからはやや外れるが、ぜひ見せておきたかったので立ち寄ることに決めた。

たぶん、国内海外問わずツアー旅行はこの滝を素通りするはずだ。もったいない。

駐車場から、滝の上部が見える。滝つぼの近くまでは、ここから片道20分の徒歩が必要になる。往復40分+観瀑時間で所要時間は約1時間。きついスケジュールを組んでいると、ちょっとここに行くのは躊躇してしまう。おかでんも躊躇した口だが、やはり「日本一」なものは見てもらわないと。

休憩所

すぐに滝に向かうのではなく、駐車場脇にある休憩所でまずは滝のお勉強。

Fishは立山黒部のガイド本をすでに熟読しているので、称名の滝のカッチョ良さは理解している。しかし、Fish母妹はまだそこまでの理解はないだろう。

何がなんだかわからんままに徒歩20分も歩かされるのはしんどかろうから、ぜひ事前学習をしていただき、モチベーションを上げようという計画。

ただ今勉強中

ただ今勉強中・・・。

称名の滝を目指す

勉強終了後、称名の滝を目指す。

駐車場からも見える滝だが、全体像は見えない。全貌は20分歩ききったところでないとつかめないニクイ仕組みになっている。

称名の滝

称名の滝。

遊歩道の最奥までいくと、そこは350m落下してきた水のしぶきが霧状になって満ちている。マイナスイオンがどうの、という次元ではない。轟音の迫力もものすごい。他に比類ない。

台湾にも滝はいくらでもあると思うが、はたしてこの滝はお気に召して頂けただろうか?

さんざん歩かせたので心配だったが、それなりに気に入ってくれたようだ。みんなで入れ替わり立ち代わり、写真を撮りまくっていた。

面白いのが、いろんなポーズをとっていること。口をあーんと開けたところに滝が落下するように撮影位置を調整したり、手にした帽子に滝が落下するように撮影したり。日本人では思いつかないセンスで、えらく感心した。写真の撮り方ひとつとっても、日本と台湾では違うようだ。

悪城の壁

称名の滝であれこれ写真を撮ったが、どれも記念撮影だったのでばっさり省略。

さんざん撮影をしたのち、駐車場へ戻る。

途中、「悪城の壁」と呼ばれる絶壁を見つつ、記念撮影しつつ。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください