「ほれ、ここ」
コダマ青年がたどり着いた先には、なにやら木造二階建ての怪しい建物があった。これが目指す店、「黒三娘」らしい。ちょうちんがぶら下がっていて店頭しており、遠くからみても営業しているかどうかが一目瞭然だ。
「ここ、混むらしんだわ。ミハラさんが19時に予約しようとしたんだけど、入店待ちの人達を飛ばして入店できる優先権みたいなのをとるのがやっとだったって」
「つまり、席の確保はできなかった、ってことか」
「そういうこと」
面白いものだ。普通予約といえば「席の確保」なのだが、このお店の場合それより格下の扱いとして「行列をすっ飛ばして入店できる権利」というのが存在していた。上海では当たり前の制度なのだろうか?
時刻は6時半。
「まだ時間が早いけど入っちゃえ」
と中に入る。ミハラさんは遅れて合流するという連絡が入ったので、彼女の事は考慮外でOK。
結局、今日は客席に空席があったため、そのまま予約者:ミハラさんの名前を出すまでもなく着席することができた。
店内は古い民家?のイメージ。木のテーブル、椅子、そして焦げ茶色の食器類。
テーブルに「お茶請け」のように豆がおいてある。これはご自由にお食べください、という意味合いのようだ。まさか「これは調味料の一つです。お好みにあわせて料理にぱらぱらと振りかけてください」というものではあるまい。
食器が積み重なっておいてあるのは、今日お昼食べた「王四酒家」と一緒。
「氷的!」の注文とともにやってきたビール。「純生」と書いてある。青島ビールかな・・・と思ってよく見ると、ハルビンビールだった。四川料理だけどハルビンか。随分かけ離れた場所のビールを扱っているもんだな。
ビールは湯飲み茶わんのようなコップで飲む。風情がある・・・のかな、これ?
ういー。
そういえば今日はお昼にもビールのんだけど、全然酔った感じがしないんだよな。汗で全部流れたからだろうか?
「こっちのビールは度数が低いよ」
「え。そうだったの?」
あわててラベルを確認してみたら、度数が3.1%だった。こりゃあ低い。日本の一般的なビールが5%であることを考えたら、水みたいなものだ。
「味が薄い、気が抜けている・・・と感じていたけど、それはアルコール度数が低いから、というのもあるんだな。へー。中国人ってぬるくて度数が低いビールが好きなのか」
感心することしきり。
「中国人は医食同源の考え方があるから、あんまり冷えたものは飲まない人が多いね。だからビールもぬるい」
そういうことか。
「ミハラさんが来るまで前菜程度に留めておこう」
ということでコダマ青年が頼んだ料理2品。注文する際、何事かコダマ青年が付け加えたら、店員さんが「マジすか?」と聞き返していた。それに対してコダマ青年が「ああ、それで間違いない」みたいなやりとりをしている。
「おもいっきし辛くしてくれ、って言っておいたよ」
ありがとうございます。コダマ青年は辛いのが得意じゃないのに、わざわざ気を遣ってくれるなんて。感謝。
で、出てきた料理だが、確かに唐辛子がいっぱい入ってる。おおう、これが前菜というのはちょっといかんな。これだけでビールがどれだけ飲めるというのか。なにしろ二人しかいないので、これらを平らげるのは無理。食べても食べても減らない。ましてやおかでんはビールぐいぐい飲み始めたので、料理が減らない。ああ、もったいない。これが日本だったら「お持ち帰り」にするところだが、上海だからなぁー。飛行機に持ち込んで日本に、というのは無理だし、惜しい。
ミハラさんがやってきた。彼女は出張で日本に滞在していて、今日上海に帰ってきたばかりだという。そんな慌ただしいタイミングにもかかわらずわざわざわれわれにつきあってくれるのはありがたい。
「はい、お土産。できるだけ辛くってお願いしておいた」
ミハラさんが取り出したのは、タッパみたいな容器に入った冷菜。豚の内臓肉とネギを辛いソースで和えたもの。
早速食べてみたが、これがうまいんでやんの。この手の料理は四川料理店で食べた事はあるが、途中で塩辛さが鼻についてうんざりしたことがあった。しかしこの目の前の料理は塩分控えめで、唐辛子辛さはきっちり前面に出ていて素敵。あと、弾力のある内臓肉をくちゃくちゃ食べていると食感にうんざりしてくるものだが、これはナッツが入っていて楽しい食感に。
「パクチー入っているのもポイント高いでしょ?」
ミハラさんに言われる。へへえ、その通りです。見透かされてるな、おかでん。パクチーがさわやかな味わいをもたらしており、それがまた味に飽きがこず素敵なのだった。
「これを食べちゃうとお店の料理がどうでもよくなるな」
「テーブルの上に置いとけばいいよ」
「いや、でも店員さんに見つかったらまずいでしょ」
「大丈夫、気づかれないから」
そんなもんか?まじか。
でも実際、店員さんは何度もわれわれのテーブルにやってきて料理を置いたり空いた皿を下げたりしたが、一切この料理について言及が無かった。なぜ?普通、持ち込みはNGでしょ。
「こっちの人って、自分と関係ない事については首突っ込んでこないの。ちゃんと料理頼んでお酒頼んでお金払っている客なんだから、何か持ち込んでも文句は言わない」
「私、駐在が終わって帰国する上司から、フィットネスクラブの会員券を売って貰ったけど、それがそのまま使えちゃってるからね。明らかに顔写真と実物は違う顔なのに、使える。クラブの人からしたら、経緯はどうあれお金はちゃんと払われているんだから、誰が使おうと構わないという発想よ」
なるほどー、そういう割り切りってすっきりしていていいな。
ミハラさんチョイスの料理が出てきた。どれも唐辛子がわっさーと載っていて強烈。辛さ控えめなし、で注文してあるからということもあるが、一体一皿で鷹の爪を何本使っているのやら。
というより、どちらも同じ料理に見えてくる。牛肉を細切りにしたものが入った料理があって、イカと海老を揚げたものが入っている料理があって・・・中身はぜんぜん違うもののはずだけど。あれ?
「やっぱり四川料理だったら水煮は外せないでしょう」
とミハラさんが言う。確かに、四川料理屋に行くといろいろな水煮がメニューに並んでいて目を惹かれるものだ。水煮、というから淡白な味かと思いきや、唐辛子のせいで赤くなったスープに牛肉とか豚肉が沈んでいる、といた風体。
「せっかくだからナマズにしてみよう」
「おう、それは確かに興味深い。それにしてください」
ナマズの水煮があるということなので、それにしてもらった。で、出てきたのはこちら。まず、この水煮はテーブル上にて固形燃料で温めるらしい。台となる鉄皿と固形燃料が出てきた。固形燃料は日本によくある「固形」ではなく、シャーベット状になっているのが興味深い。そして、その上になまずの水煮皿がドッキング。
うわー、これまたしゃれにならない唐辛子の量。先ほどまでの料理の唐辛子量とは比較にならないほど、たくさん唐辛子がまぶしてある。すごいぞ、おい。辛いもの大好きな人にとってあこがれて夢に出そうなシチュエーションが今現実のものに。
ぐつぐつと火を通すと汁気がだんだん上昇してきて、水煮らしくなってきた。具はシンプルで、ナマズと豆もやしと、唐辛子とパクチー。ひたすらナマズ食いやがれ、という潔い構成になっている。
「泥臭いんだよなあ、ナマズって」
とコダマ青年がぼやく。確かに、部位によっては泥臭いところがある。しかし、生臭くないところもあるので、傾向と対策がありそうだ。泥臭さの解決は課題だが、それを除くと辛くてうまい料理だった。いやぁ、汗をだくだくかく。ビールが進むわ、これ。
結局、この唐辛子三昧のナマズ水煮は全部食べきってしまった。うまかった。
「さて、この後どうするかねえ」
という話になった。いろいろミハラさんとコダマ青年が議論した結果、コダマ青年が「もっこす、行きてぇなあ」ということを言いだし、そこに行く事になった。もっこすって何だ?九州の方言だよね、それ。
「焼酎を飲ませてくれるお店。焼酎の品そろえが相当あるよ」
ということなので、興味をそそられた。中国で中国らしいものを楽しむのもいいが、時には「中国社会に住む日本人たちの営み」というのを見るのも面白い。
その焼酎バーのお店は「Mokkos Bar」というらしい。タクシーが停まったところは薄暗い道路。それでも二人はずかずかとさらに暗い路地裏へと入っていった。
「え?え?こんな暗いところにあるの?」
「あるんだよこれが」
心配になるおかでんを尻目に、歩いていった先には灯りが一つ。おお、確かに「Mokkos Bar」だ。それにしてもこれは隠れ家だなー。普通、こんな暗いところの先にお店があるなんて気がつかないぞ。
「空いているかな?空いていればいいけど」
と言いながら中に入る二人。そういえば、さっき黒三娘に居たときにこのお店に電話してたっけ。空席確認のため。
「狭い店だからということもあるけど、すごい混むんだよ。なぜか白人が結構居て、そのせいでお店に入れない事がしばしばある」
という。白人、焼酎飲むんか。それはそれで見てみたい光景だ。
お店に入ってみたら、客はゼロ。日曜日夜だからだろうか。とりあえずは一安心。
それはそうと、カウンター奥にある焼酎の棚にはびっくりだ。これ、全部日本から取り寄せたんスか。凄いな。これは隠れ家的雰囲気満載なお店だ。立地条件にしろ、店の中にしろ。
お店にはメニューがない。お店の人(日本人)に、「芋の・・・癖が強い奴を、ロックで」みたいに飲みたい焼酎の特徴を告げると、では●●と△△と■■がありますけどどれにしましょう、などとお勧めしてくれるスタイル。だいたいいっぱい50元前後。フードメニューも存在しないが、唯一落花生のつかみ取りがあった。ひとつかみ5元。
静かだ。他に客がいないということもあるし、店の照明が暗めになっていることもあり、音を吸収するかのようだ。こういうところで酒をカラカラいわせながら飲み、本でも読んだら幸せだろうな、と思った。
コダマ青年、ここで杯が重なり、4杯も飲んでいた。さすがにあのハルビンビールでは酔わなかった、ということだ。ちなみにおかでんは3杯。コダマ青年に「飲み疲れしてるだろ。顔に出てる」と言われた。つきあいが長いので、こういうところをすぐに見破られる。
各自が満足いくまで飲んだ後、お店を後にした。
帰宅して、2日目は終了。明日何をやるかまだ全然決まっていないのだが、とりあえず翌朝考えることにして思考を放棄。こんなんで大丈夫なんかね。
2011年07月18日(月) 3日目
3日目の朝を迎えた。朝9時リビングに集合。ゆっくりの時間になったのは、まさにノーアイディアだったからだ。当初案では、この日もどこか水郷の街に観光しに行くという案があったのだが、話が煮詰まらないまま立ち消えになっている。
朝、お互い顔をつきあわせても、特にアイディアがあるわけでもなし。
「どうする?」
「どうしようかねえ」
本当は旅行者であるおかでんがしっかりとハンドリングしなければならないのだが、何も考えていないふがいなさ。コダマ青年としてもこんな「のれんに腕押し」状態な奴を相手に提案のしようがないありさま。
「とりあえず午前は僕一人でカルフール行ってくるわ。昼メシから合流してどこかへ行こう」
という方針がようやく出て、話がまとまりはじめた。結局、3日目は
午前中はカルフールを見て回る。めぼしいものを買物する。
昼メシはカルフール近くの香港式の料理店で。
午後は上海動物園に行ってパンダを見る。
夕方、コダマ青年絶賛の焼肉店「オバルタン」に行き焼肉。
夜は上海雑技団の公演を見る。
・・・という段取り。
上海雑技団については前日、四川料理を食べている時に話題になっていたのだが、早速ミハラさんが手配してくれた。朝コダマ青年のところに電話してきて、「予約とれたから」とのこと。
「予約とれた、って、俺たち雑技団の話題をしたけど行くとは断言していなかったと思うんだがなあ」
とコダマ青年は言う。
「ミハラさん、黒三娘の時も検討段階だったのに『予約、取ったから。』って。手を回すのが早い」
ミハラさんを秘書として雇えば有能だと思う。先手先手で手配してくれる。
さておかでんは単身カルフールへ。その前にATMに立ち寄って、お金を300元ほどおろす。今までの生活資金はコダマ青年に持ち込んだ密貿易の対価でまかなってきたが、それが底をついたから補充。元建ての貿易をすれば、コダマ青年にとってもおかでんにとっても為替差損が出ないからお得。
広大なカルフールを子細に見て廻る。2時間半ほど時間があるので、時間は十分にある。棚の一つ一つを見る余裕がある。おかでんはスーパーなどの売り場を見るのが好きなので、いくら時間があっても足りない。
乳製品は思ったより高いね、日本の7掛けくらいの値段だわ・・・物価高いなあ、上海・・・などと見ていたら、野菜が妙に安い(スイカ丸ごと1個1元など)ので、頭が混乱する。日本から見て「特に安い」と感じるもの、「あんまり安くない」と感じるもの様々だ。
面白いのは、精肉コーナー。目の前でバシンバシンと肉を叩き割っているのを見る事ができ(オープンキッチンなので、手が届くところでの実演)、迫力満点。まな板が凹んでしまっている。そして、切り裂いた肉はそのまま陳列される、ラッピングもなにもされない状態で。で、それをお客さんは実際に手に取って、触って肉の張りを確認して吟味している。おーい、衛生的にそれはどうなんだい。大腸菌がついたりしたらよろしくないと思うんだが・・・。でも、堂々とやっているところを見ると、上海的にはOKなのだろう。
お酒売り場ではビールがたくさん売られていてビール党のおかでんにとっては垂涎のスペース。サントリー(三得利)のビールが頑張って売られているが、7,8種類くらい取り扱われていてびっくり。何がどうちがうんだろう?この際全種類買って日本土産に!とも思ったが、関税がかかる量をオーバーしてしまうので却下だ。免税なのは確か「酒類3本まで」だったはずなので、ウィスキーなどはいいけどビールだと何かと都合が悪い。
せっかくだからサントリーのビールを片っ端から裏返して、アルコール度数を調べてみた。すると、ものの見事に度数が3.1%とか3%未満とかそんなのばっかり。「Premium純生」と謳っているものも同じ。ホント中国人ってライトビールが好きなんだな。物足りないと思わないのだろうか?
「ビールは社員食堂に置いてあります。水代わりですよ。勤務中に飲むのもOKです」
なんて事があったら羨ましすぎるが、多分そこまでオープンスタイルではないと思う。
2時間半みっちりカルフールで衣食住を見て廻ったが、結局買ったのは1つ。「桂林風味辣椒醤」19.80元。激辛のチリソースが欲しかったので、買ってみた。昨日四川料理食べて辛いものは十分だったはずなのに、さらに買うおかでん。いいぞ、もっとやれ。
でも、さすがに前回の上海訪問時みたいにあれもこれも食材を買い集める、ということはしなかった。買って帰ったもののうちハズレだったものが結構あったから。まずかった、というより口に合わなかった、というのが正解。だから今回はおとなしめにした。
コダマ青年と合流。「せっかくだから南京西路に行って小籠包食べよう」という提案がコダマ青年からあったので、その話に乗った。
前日夜、ミハラさんを交えて「上海といえば最近は焼き小籠包が有名らしいけど」という話をしていた。ミハラさんが「えっ、おかでんさん
まだ食べたことないの?・・・コダマさん、なんで連れて行ってあげないの」とコダマ青年にチクチク。コダマ青年、「寒いときに食べるんならいいけど、暑い時にあのクソ熱いのを食べるのは拷問でしょう。勘弁」と首を振っていた。
そういう話があったので、どういう風の吹き回しかな、と思ったら、焼き小籠包屋の隣にある南翔饅頭店がわれわれのお昼ご飯会場だった。ああ、なるほど、コダマ青年は「焼き」とは一言も言っていなかったな。単なる小籠包だ、今日のランチは。これはこれで歓迎。
南翔饅頭店は豫園に本店があり、前回上海訪問時に豫園で食べたっけな。というわけで今回二度目だ。うまいから二度目でも歓迎。しかし歓迎できなかったのは、このお店は写真撮影禁止になっていたこと。あらら、残念。食べ物の写真撮りたかったぞ。
ここで食べたのは水餃子、小籠包二種類、油麺、インゲンの炒め物。あと青島ビールの小瓶を2本ずつ。うまいですな。うまいけど昼からおなかいっぱいになってしまった。油麺が腹に相当溜まった。毎食毎食、食べ過ぎ注意だ。注意しても気をつけようという気がさらさらないけど。中国の料理は二人で食べるには量が多すぎる。で、「食事は残さず食べましょう」としつけられたおかでんにとっては、結果的には残すとはいえオーバーペースで食べてしまいまんまるなおなかをさすることになる。いやー、こりゃ太るぞ。
おかでんが中国駐在になったら、確実に肝臓がやられると思う。安いビールと、大量の食事。しかも余ったものはお持ち帰りができる文化の国だから、料理を持ち帰って二次会なんてやりはじめそうだし。
南京西路から一駅、人民広場で下車。そこから上海の目抜き通りである南京東路を散歩することにした。
コダマ青年が道のようすを見て驚いている。「地面が見える!こんなに空いているのを見るのは滅多にないことだ」と。「地面が見える」事に対して驚いているあたり、いつもいかにここが混んでいるかということの表れ。
「そういえば、前回来た時にあった上海万博のグッズ売り場はどうなったんだろう?」
「まだ残ってるよ、ほれ」
確かに、ちょうど目の前に上海万博グッズ売り場があった。前回は2009年訪問だったので、上海万博まであと1年切った!もうすぐ!ってことで盛り上がっていた。しかし万博が閉幕して1年近くになる2011年だと・・・わ。まだグッズ売ってるのか。というかこれ、売れ残り処分市みたいな状態になっている。処分市とはいえ、まだ営業しているというのはすごい。賃料ちゃんと払えているのだろうか?
Tシャツとかノートやボールペンといったシンプルなものはもう売られておらず、中国館の建物のミニチュアとか、誰が買うんだこんなの、といったものが中心に売られていた。おーい、誰か買ってあげてくださーい、早く買ってあげないと店が完全閉店できないんですけどー。
南京東路駅まで歩いたところで、地下鉄。ここから中心地から外れたところにある上海動物園へと向かう。虹橋空港の近く。最近動物園と直結の地下鉄駅ができたので便利になった。上海は今猛烈な勢いで地下鉄が建設されているので、2009年度版の地球の歩き方では、2011年は歩けない。
入場料40元払って入場。
あれ?パンダがチケットに描かれている。パンダって中国じゃ珍しくない生き物で、日本みたいに大騒ぎになるほどじゃないと思っていたのだが。本場中国でも人気者だったのね。ちょっと意外だった。
上海動物園の敷地。地図がないとどこに何がいるのかさっぱりわからない。数元払って地図を買った方が良い。お目当ての動物がどこにいるかわかるだけでなく、道に迷わなくて済む。
とにかく広い。園内を乗り合いカートが走っているのが納得だ(一回10元)。動物園の外周は5キロほどあるらしい。
広い分動物たちの居住空間が広いのかというと、確かにその通りだけどそれ以上に「公園部分」が広い。観覧車があったりする。
この動物園は、順路らしき順路が存在していない。そのため、最短ルートでぐるっと楕円形の敷地内を見て廻ると随分と見そびれる動物がでてくる。かといって、全部の動物を見ようとすると複雑にジグザグなルートをたどらないといけなくなる。そこで地図が必要になってくるというわけ。
おかでんは最初全部の動物を見てやろうと思っていた。どうせこの後夕メシまで時間が相当余っているわけだし。しかし、歩き始めてみてあまりに広大な敷地なのでやめた。ふらふら歩いて見て、気になった動物がいたらそれを見る、というお気楽路線に切り替えた。何しろ、上海に来てからこの方、結構歩き回っているので足の裏が痛くてかなわん。
動物たちを見ていく。
レッサーパンダが愛嬌あって良かった。四川省でジャイアントパンダが発見されるまでは「パンダ」の名前を名乗っていたらしいが、今では「レッサー(小さい、の意味)」が冠につけられてしまった。さぞやレッサーパンダとしては無念なことだろう。・・・関係ないか。人間がなんて呼ぼうが、レッサーパンダはレッサーパンダの生活を送るだけだ。
ある時はふてぶてしい態度を見せるパンダと比べると、猫っぽい愛嬌があってレッサーパンダも良いものだ。レッサー可愛いよレッサー。
うおっと、パンダの悪口を言ったらいきなりパンダ舎に到着してしまった。何この無防備さ。
なにせ、これだもの。さりげなさ過ぎる。パンダ目当てで行列ができているかと思ったら、大した人混みにはなっていなかった。こっちも完全に油断していた時にパンダとの遭遇。ああ、どうもどうも。
多分週末になればもっとお客さんがいっぱいくるのだろうが、だとしてもこのパンダ舎の構造からして大量の客をさばくようにはなっていない。日本ほどパンダフィーバーはないのだろう。パンダはいつも居て当たり前の動物、ということだからか。
みんなパンダの写真を撮影しようとしているが、仕切りのガラスのせいで外の景色が映り込み、うまく撮影できていなかった。パンダ撮影は難しい。
たそがれるパンダ発見。背中が丸まっていて向こうは見えないが、きっとカップ酒とあたりめが置いてあって、「ちくしょう、オレだってやればできるんだ。なのにあの上司は・・・」と愚痴っているに違いない。
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