デジャブな旅【岡山/広島旅行】

ビールを飲むおかでん

ビールのお値段が900円というのは相当シビレるプライスだが、こういうお店だと仕方がない。でも、ぐいぐいとお代わりして飲むことはできない価格だ。ま、居酒屋じゃないんだから、TPOをわきまえておかないと。

おかでん、自らを少し押さえつけつつビールを飲む。・・・うん!うまい!これはすごい。過去数年のうちで一番うまいビールが、これだ!間違いない。さすが一日2.5万歩歩いただけのことはある。体にビールが染み渡る。くー、本当のビールの実力ってのはこんなものだったのか!

思わず一度に全部飲みほしてしまいそうになったが、止まれ止まれ、これ以上一息に飲むな。あとは落ち着いてゆったりと飲むようにしなさい、アンタ貧乏人なんだから。いや!でも!今日は特別な日だし、ちょっとくらい!・・・こういう「言い訳」が出てくるあたり、アルコール依存の気配濃厚。やばい。店員さんを呼び止め、「枝豆ください」なんて思わず口走るようなことがあったら、ただちにこのお店から出ていけ。

テーブルセッティング

蔵の中というのは密室空間で息苦しいものではないかと思われるだろうが、天井が筒抜けで高いため、閉所恐怖症の人も安心(?)。むしろ、雑音を蔵が吸収しているような印象で、瞑想をするには適している。というわけで、じゃんけんで負けた方が食事抜きで、食事が終わるまでひたすら瞑想しているというのはどうだ。

どうだ、といっても、1/2の確率で「食事抜き」になってしまう高リスク案件。やめといた方がよさげだ。

メインディッシュ

八間蔵の料理(一例)。

「倉敷に来てまでわざわざフレンチを食べることもないだろうに」

と言われるかもしれないけど、おいしいから許せ。メイン料理は牛フィレ肉のステーキまたは牛タンのやわらか煮。

八間蔵のほかに、次点候補としてイタリアンのおいしいお店も知ってる。うーん、これも和食じゃないな。きっと和食で良店というのが倉敷にはあるのだろうけど、情報収集不足。和食となると、下津井(倉敷市の沿岸部にある漁港)の魚!なんてのが魅力だけど、鮮度とかそういうのは食べてみないとなんともいえないのでねぇ・・・。

夜の倉敷川
夜の美観地区1
夜の美観地区2

食後、倉敷川のほとりを散歩する。

夜の倉敷川は昼間の喧騒からほど遠く、静かで、気持ちが落ち着く。川面には白鳥が相変わらず一匹、ふわふわと泳いでいた。

上高地に行ったときも思ったことだが、昼間人が大勢訪れる場所は、夜、人気が引いて静かになれば、それだけで幻想的な空間になるものだ。

夜鳴きそば

ホテルに戻る。今回利用したホテルの良い点は、無料で「夜鳴きそば」を食べることができることだ。21:30~23:00の間と限定されるが、これは魅力的。朝食無料サービス、というホテルは存在するが、お夜食が無料、というのはあまりないと思う。

われわれも、「胃袋に空きがあるなら食べてみたいものだ」とチェックイン時に話をしていたのだが、八間蔵で案外おなかいっぱいになっちゃった。Fishも同様に満腹。しまったぁぁぁ。

「夜鳴きそば」。無料で提供するからには、どんな量なのか?どんな具なのか?など気になることがいっぱい。おかでんとFish、二人で一杯を分け合う形式でも良いから実物を見てみたかったのだが・・・寝るまで全くおなかが空かなかった。残念!

夕食を食べないで、夜鳴きそばを夕食代わりにするというのも一つの手だぞ、とふと思ったが、21時半まで夕食を我慢するのはしんどいので、その案却下。

風呂の案内

夜鳴きそばは諦めて、お風呂に入りに行く。

女性の風呂は日替わりのパスワードをドアに入力しないと開錠されない仕組みになっている。パスワードはチェックイン時に紙に書かれたものが渡される。非常に細かい。ちなみに男子はフリーで入ることができる。男性の裸がいかに価値がないかということだ。まあ、そりゃそうだ。当たり前だ。

ここの風呂には露天風呂がある。丁度今の時期、暑くもなく寒くもないので露天風呂はかなり心地よかった。大浴場が併設されているホテルは、それだけで選ぶ価値があるよな。

風呂から帰って、明日の行程のおさらいを二人でして、それぞれ24時過ぎに就寝。おやすみなさい。

2012年04月22日(日) 2日目

倉敷の朝

二日目朝、7時半起床。

外は曇り。今日は山陽地方は雨が降る予報になっているので、この天気ならまだ上でき。このまま降らないでいてくれればありがたいのだが。でも、雨が降ることを見越して今日は屋内のイベントを多くしてある。少々の雨でも大丈夫だ。雨くらい平気、それがコーディネーターのお仕事。

超食

ホテルは素泊まりのプランで申し込んであったので、朝ご飯は自前で用意しなくちゃいけない。幸い、ホテルから徒歩30秒のところにファミリーマートがあるので便利。昨晩のうちに買っておいたおにぎりやサンドイッチを食べ、腹ごしらえをしておく。

今日はこの後、大原美術館を見学することにしている。その後、新幹線で広島に移動。そこからホテルに荷物を預けて、宇品にあるかき小屋で焼き牡蠣の昼食。そして平和公園に移動して資料館、原爆ドームなどを見る。あと、お好み村を見学して、ホテルへ。そこからは自由行動となり、Fishは広島の友達と会う予定、おかでんは一人で広島の夜を満喫する予定。これにて今回の旅行第2日目は終わり。

大原美術館入り口

朝9時過ぎ、大原美術館到着。大原美術館は朝9時から開館しており、観光客にとってはありがたい。10時開館だとしたら、それまで暇を持てあましてしまうところだった。

この美術館の入館料は1,300円だが、オフィシャルサイトでアンケートに答えたら200円引きの1,100円になる。お得なので、覚えておくと良いテクニック。

館内は写真撮影禁止なので、ずーっと話をすっとばすと、11時に見学終了。ざっと見て2時間弱で見て回る事ができた。ただ、工芸・東洋館などは素通りにほぼ近いスピードで通過していったが。本当に全部をじっくり見ようとすると3時間程度はかかるのではないか。美術館正面の宮殿風建物だけ見たら、中に大した展示物は無いのではないかと思ってしまうが、奥行きが結構あるので案外時間がかかるのだった。

倉敷川の白鳥2匹

美術館脇にあるミュージアムショップで先ほど見た名画のレプリカを買おうかどうしようか悩んだりしてみる。結局荷物になるので何も買わなかった。Fishのかばんは既に衣類でぱんぱんであり、これ以上お土産などを入れる余地はなかった。

お店から外に出てみると、倉敷川に二匹のスワンちゃんがすいすい泳いでいた。あ、やっぱりつがいでいたんだ。昨日はもう一匹が見当たらなかったのでどうしたものかと思ったけど、良かった。

新幹線回数券

われわれの旅の岡山編はこれにて終了。高速移動して今日これからと明日は広島編に突入だ。

まずは新幹線に乗るため、岡山駅まで戻る。ちなみに、倉敷-岡山間のJR山陽本線は、回数券を金券ショップで購入してあるので安く乗る事ができた。同様に、岡山-広島間の新幹線も回数券を調達済み。移動するなら賢く乗ろう。

新幹線の駅で「新倉敷」という駅があるのだが、これはあまり使えない駅だ。JR山陽本線直結の駅なので一見便利そうなのだが、なにしろこだま号しか停車しない駅。便数が少ないし、各駅停車だし、途中駅でのぞみ号などにバンバン追い越されるし。そんなわけで、遠回りではあるが、岡山から新幹線に接続した方が早くて快適なのだった。

新幹線さくら車内

おっと、われわれが乗る新幹線は、九州新幹線「さくら」だぞ。おかでんも初乗車の九州新幹線。これはうれしい。

ひろでん乗り場

広島駅到着。新幹線で40分弱の距離。

おかでんが小学1年生の途中から高校卒業まで過ごした街だ。岡山、倉敷以上におかでんにとっては「ありふれた場所」。とはいえ、既に人生の半分以上を別の場所で過ごしているので、「勝手知ったる町」とはいえ一部忘却してしまっていることもあろう。今回の旅行ではそういう「忘れかけたこと」を体験できれば良いと思っている。

ひろでんの2dayパス

広電(路面電車)の電車乗り場にフリーパス券を売っている自販機があるので、そこで2日間有効なフリーパスを購入した。2,000円/人。広電は広島市の中心部を移動する場合、一律150円の料金。それを踏まえると、2,000円なんてどうやっても元が取れないっぽい。しかし、このフリーパスが優れているのは、宮島口までの電車代、フェリー代、そしてロープウェー代も併せてフリーだということだ。ロープウェー往復だけで1,800円するので、それを考えると結構お得となる。

おかでんはこれを買うのは初めて。

市内を走るひろでん

昔は「路面電車の博物館」と言われた広電。各地から取り寄せたいろいろな種類の電車が広島市内を走り回っていた。しかし、最近では「グリーンムーバー」と「グリーンライナー」が広電の主役として走っており、電車の多様性は減ってしまった。ただ、中には半世紀以上前から運行されている電車もまだ現役で走っているので驚きだ。

チサンホテル広島

まずは今晩チェックインする予定のホテルに荷物を預けることから始めよう。今回のホテルは銀山(かなやま)町にあるチサンホテル広島。中心部に近く、廉価だったので選んだ。もっと安い宿はまだあったが、歓楽街の一角にあったり、妙に安すぎて逆に不安になったことから、値段と場所とのバランスでチサンホテルに落ち着いた。ちなみにここは大浴場がない。

おかでん一人だったら広島駅から銀山町までは歩いて行く距離だが、今回はフリーパスを買っていることだし、広電に乗って移動することにする。

ちなみに広島市内を移動する手段として最速なのは当然タクシー。その次がバス、さらに次点が路面電車になる。いや、ひょっとすると路面電車はチャリンコより遅いかもしれない。なにしろ、電停は多いし、信号機に頻繁に引っかかるので、なかなか前に進まないからだ。

ひろでん路線図

荷物を預けたのち、われわれは再度広電に乗る。次に目指すのは何はともあれお昼ごはん。今回は広島を代表する名物、牡蠣を食べようと思う。

4月ともなれば牡蠣のシーズンは終わり。最盛期は1月~2月くらいなので、もう取り扱っていないお店も出てきている。計画立案段階でFishから「牡蠣が食べたい」と打診されたとき、「無理だろー」とおかでんは思った。たとえ取り扱いがあったとしても、味と値段のバランスが悪かろう、と。

かき小屋

しかし、まだこの時期でもやっていたのだな、牡蠣って。宇品(広島港)に「かき小屋」が冬季限定でおっ立っていて、そこで牡蠣の炭火焼が楽しめるのだという。1年前か2年前かにできたばかりなので、まだ観光名所の定番とはなっていないのだが、おかでんはたまたまその存在を知っていた。ダメもとで調べてみたら、まだ今季の営業を終了していないではないか。ラッキー。

このかき小屋は、「広島オイスターロード」という企画で生まれたものだ。

牡蠣(殻付き)の生産量1位を誇る新鮮な広島かきを安く気軽に楽しめる場所こそがひろしまオイスターロードの掲げる「かき小屋」なのです。

と解説には書いてある。実際問題、牡蠣料理目当てで広島を訪れた人に対して、「ここなら手ごろだよ」とお奨めできるお店がいままではほとんどなかった。お好み焼き屋で牡蠣の鉄板焼きを食べる、とか和食店で牡蠣を食べる、といったことはできるのだが、「頭の中が牡蠣でいっぱい。」な人を満足させられるだけの店はなかった。そこで現れたのが広島オイスターロードのかき小屋。呉、三原にも同様のかき小屋ができていて、県を挙げての体制になっている。メイン料理はなんと言っても焼き牡蠣。自分の手で殻付きの生牡蠣を炭火で炙る。そんで、できたてをハフハフ言いながら食べる、というシンプルイズベストな料理。

宇品駅

広電はゴトゴトと市内をゆっくりと進み、50分かけてかき小屋がある宇品に到着した。こんなに時間がかかるんだったら、タクシーに乗れば良かったと少々後悔。でも、フリーパスがあるからね、有効に使わないと。

かき小屋店内

かき小屋の中に入る。時刻は既に14時になっており、店内は空いていた。シーズン外れということもあるだろう。最盛期には非常に混雑するらしい。

オフシーズンのときは建物を撤去するのだろう、店内のつくりは非常に簡単に、ざっくばらんにできている。

メニュー

お店の人に話を聞いてみると、宇品のかき小屋は5月末まで営業をしているという。そんな時期でも牡蠣が収穫されているんだ!と驚きを覚える。広島出身とはいえ、案外知らないことはあるもんだ。ちなみに今日の牡蠣の産地は江田島産。

お店のシステムは、ビュッフェ形式となっている。入口近くに牡蠣をはじめとするいろいろな食材が並んでいるので、それを欲しいだけピックアップ。レジでお会計して、店員さんの誘導に従って空いている席に着席。あとは焼くべし、焼くべし。

冷蔵ケース2
冷蔵ケース1

牡蠣は1キログラム1,000円。殻つきの牡蠣のお値段なので、どれくらい食べるのが適量なのか見当が付かない。実物を見て、判断するしかない。とりあえずわれわれは1kgを確保。数でいったら8個~10個くらいかな。

あと、イカ好きのFishが食材陳列の中からイカを発見し、「これも!」という。じゃあ、これも焼いてやれ。おっと、その隣にはタコもあるぞ。串に刺されている。瀬戸内海のタコは名物の一つなので、せっかくなのでこいつも頼んでおこう。

広島の春の味覚といえば、小イワシの料理が定番。人間の小指程度のイワシを刺身にしたり、天ぷらにしたりすると美味なり。このかき小屋でも取り扱いがあることは事前調査で分かっていたので、小イワシの刺身も注文することにした。だが、実物を見ると、身を開いてから時間が経っているパックものだったので、あまりおいしそうではなかった。「魚へんに弱い」と書いてイワシ。やっぱりおろしたてのやつを食べたいところ。小イワシの刺身は諦めよう。

そうそう、食材代金とは別に、1テーブルにつき炭代が300円かかるんだった。結局、今回のわれわれは、牡蠣1kg1,000円、浜田産イカ500円、蛸串500円、瀬戸田産レモン100円、炭火代300円で合計2,400円のお昼ごはんとなった。ちなみに広島は国産レモンの生産量日本一なので、レモンも名物のひとつ。忘れずにピックアップしておこう。

U字溝で牡蠣を焼く

各テーブルには中央にU字溝があり、中には既に着火された炭が入っている。その上に網がかぶさり、いつでも調理OK状態になっていた。早速牡蠣を網の上に乗せ、調理開始だ。店員さんが随時各テーブルを巡回しているので、焼き方などは丁寧にレクチャーしてくれるので安心。

牡蠣の焼き方注意

注意書きの紙。

生の状態で食べると食中毒の恐れがあるので、必ず十分に火を通してから食べろよ、という内容だった。牡蠣でノロウィルスにかかると相当酷い目に遭うらしいので、仰せのとおりしっかり加熱しなければ。

牡蠣の中心部を85度で1分加熱すれば良いそうだが、それが一体どれくらいなのかはよくわからない。あさりのように火が通ったらカパ!と貝殻が開くならわかりやすいんだけど、牡蠣の場合は貝殻オープンがないから。

(つづく)

岡山/広島旅行(その6)

天井からぶら下がる警告

「牡蠣が弾くことがあります ご注意ください」という警告が天井からぶら下がっていた。実際問題、加熱途中の牡蠣からは結構元気よく細かい殻が飛び散った。このかき小屋、おしゃれして行く場所じゃないな。服が灰にまみれる。

でも、鞄はちゃんとそれ用のかごが用意されていて、かごに鞄を入れたのちに上からビニールシートをかぶせて完全防備可能。ざっくばらんな施設の割には、こういうところは細かい配慮がされている。

牡蠣がはぜるのもなんのその、で牡蠣に火を通す。炭の火力はMAXに達しており、牡蠣をさわるのは相当熱い。軍手が一人1枚支給されているが、軍手していても熱さには変わりなかった。しかし、これが「自分で牡蠣を調理する」醍醐味(だいごみ)。他の飲食店で牡蠣料理を頼むのとは大違いだ。熱さもおいしさの一部。

ビールを手にする

牡蠣が焼きあがるころになると、どうにも我慢ができなくなった。かき小屋内にビールの自動販売機があったので、そこでビールを調達。今日は車じゃないからビール飲んでも大丈夫だぜ。

以前のかき小屋は持ち込み可能だったらしいが、今は持ち込み禁止になっている。店のざっくばらんな雰囲気から、持ち込み可能と勘違いしそうだが、NGなので注意。

焼きたての牡蠣

焼き立ての牡蠣を頂く。牡蠣の殻を専用の殻むきナイフでむくのだが、その際チンチンに熱くなった殻をがっちりと手で固定しなければならない。これが結構つらい。熱すぎて、せっかくの牡蠣を落っことしそうになる。我慢して、できるだけ素早くナイフで牡蠣を切り開く。

うん、うまい。熱すぎてちょっと冷ましてからでないと食べられないくらいだ。うっかりするとやけどしそうなので、「あちちち」と言いながら一息でぷるん、と食べてしまう。ああ、もっと味わって食べなくちゃ、もったいない!

Fishも「おいしいねー」とご満悦状態。台湾の牡蠣は日本のものと比べると非常に小ぶりなので、日本の、特に広島の、大振りな牡蠣は台湾にない味覚。楽しんでもらえているようで何よりだ。

イカを焼く

イカも焼いてみる。しかしこれは作戦失敗。イカの味が強すぎて、さっき食べた牡蠣の印象がすっかり薄れてしまった。せっかく広島に来たんだから、満腹になるまでひたすら牡蠣、でもよかったかもしれない。タコも余計だったかな。ついつい炭火を見てテンションあがってしまい、いろいろ頼んじゃった。

かき飯

Fishが「かき飯も食べたい」というので、頼んでみた。300円。牡蠣が3個入っているので、お得かもしれない。味はまあまあ。

これにてひとまず満腹になったので、広島のお昼ごはん終了。

結果論になるが、タコイカやめて牡蠣をもう1kg買っておくのが正解だったかも。牡蠣の量は一人あたり1キロ、にすると大満足できそうな気がする。いや、さすがに牡蠣1キロだと途中で味に飽きがくるか?

平和記念資料館

食後、また広電に乗って移動。30分ほど揺られたところで、「中電前」電停で下車。徒歩で平和公園へ。

言うまでもないが、「中電」とは中国電力のことだ。中部電力ではない。この点非常に紛らわしい。似たような話は大学にもあり、「東北大学」を略して「東大」とか。そのため、東北大学は「トンペー大」と言い方をするとかしないとか。

世界遺産である原爆ドームを見る前に、平和記念資料館に行くことにする。ここは広島市内の小学校なら、遠足で必ず一度は行くであろう場所だ。で、展示物のエグさに衝撃を受けておしっこちびりそうになり、その日からしばらくは夜眠れなくなったりもする。トラウマ植え付けマシーンだ。そんなわけで、この資料館を訪れるのは小学生の時以来となる。

入場料は50円なんだな。非常に安い。毎日通っても一か月で1,500円ちょっとだ。まあ、毎日通う必然性なんてないけど。

平和記念資料館

おかでんが小学生時代に見たときよりも展示スペースは増えていた。広島に原爆が落とされる前の時代背景などの解説が豊富になっている感じ。それ故に、見学者は最初の展示を見て「なんだ、こんなものか」と油断してしまい、原爆投下後の展示エリアに移動するとそのギャップにショックを受けることになる。

展示物もそれなりの衝撃だが、パネルに書かれた解説を読むとより一層衝撃が増す。面倒くさがらずに全部見た方がいい。原爆という爆弾一発で何が広島に起きたのかがよくわかる。

この施設のすばらしいところは、決して「無差別殺人をやったアメリカが悪い」とか、「日本の軍国主義は駄目だ」といった政治的意図を含んだ主義主張を強調していないことだ。ただ単に、原爆が落ちるとこういうことになる、という過去の事実を伝えることに徹しようとしている。

平和記念資料館から原爆ドームを眺める

記念資料館から平和公園を眺める。原爆死没者慰霊碑、原爆ドームが今いるところ(資料館)から一直線に見える。原爆ドームの奥にある黒い建物は商工会議所。平和公園から原爆ドームを眺めた際、原爆ドームの背景に写りこんでしまうので景観を損ねている。景色を良くするために移転するという話もあるが、どうなることやら。

原爆死没者慰霊碑

正面からみた原爆死没者慰霊碑。やはり商工会議所が目につく。以前はこの商工会議所のとなりに広島市民球場があり、もっと雑然とした背景だった。しかし、今では広島駅の近くに球場が移転したため(MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島)、取り残された商工会議所の存在が際立っちゃった状態。

原爆ドーム
原爆ドーム

原爆ドーム。どの角度から撮るのが一番良いのだろうか?Fishは何枚も写真を撮っていたが、どの写真も背景に建物が写りこんでいて、これだ!というものがなかった。まあ、焼け野原からここまで広島の町は復興しましたよ、という象徴として、こういう背景があっても良いのかも知れない。・・・と、前向きに捉えてみる。

お好み村遠景

原爆ドームからホテルまでは広電で一本だが、われわれは本通りを歩いて行くことにした。本通りは、広島の中心地である紙屋町と八丁堀を結ぶ、大動脈の商店街だ。観光客が見て楽しい場所ではないが、広島の盛り場を見せたかったので通ってみることにした。

本通りをわざわざ歩いたのには他にも理由がある。本通りからほど近いところにある「お好み村」をFishに見せたかったからだ。

お好み村

「お好み村」とは、ビルの中にお好み焼き屋がずらりと並ぶ、「お好み焼きのテーマパーク」的な場所だ。新横浜ラーメン博物館のお好み焼きバージョンと言おうか。もちろん、ラーメン博物館より長い長い歴史があるけど。

最近は修学旅行のコースに組み込まれることが多いほどで、すっかり観光地となった。札幌のラーメン横丁と一緒。逆に言えば、お好み村は観光客が行く場所であり、地元民はあまり訪れない場所でもある。これは、「お好み村=観光地物価で味はいまいち」だから、というという安直な構図によるものだけではない。広島には住宅街の奥深くまであちこちにお好み焼き屋があり、なおかつ広島人にとってお好み焼きは日常食だから、「わざわざ遠くのお店に行く」という発想を持ちにくいからだ。お好み焼き食べたくなったら、家の近所にあるお店で十分、というわけだ。

「八昌」や「みっちゃん」「麗ちゃん」などといった「行列ができるお好み焼き屋」は観光ガイド本に載っているから行列ができる、という側面がある(実際それなりにおいしいのだが)。讃岐うどん同様、「地元民が好む隠れた名店」というのは広島にはたくさんあり、広島人に「お好み焼き食べたいんだけど、どこがいい?」と聞くと十人十色の回答になる。

お好み村マップ

お好み村の発祥は、戦後新天地広場にできた50軒ほどのお好み焼き屋台だ。まだお好み焼きのことを「一銭洋食」と呼んでいたころからの歴史となる。その広場が公園になったため、一部のお店がまとまって近くのビルに入居したのが今のお好み村のはじまり。今では複合ビルの3フロアにまたがって構成されており、合計24店舗が並ぶ。

なお、お好み村から2軒となりに「お好み共和国」という、やっぱり複数のお好み焼き屋さんが軒を連ねる施設がある。紛らわしい。お好み村と比べるとずいぶん後発で、お好み村人気にあやかりたかったのかもしれない。ただし、どっちの施設の方が美味いとかまずいとかはないので、気にいった方に行くとよいと思う。ちなみに「村」の方はサンフーズのソースで統一されており、「共和国」の方はオタフクソースを使っている。その辺も留意するとよろしいかと。

さらに紛らわしいのは、「村」と「共和国」の間に挟まる形で、「村長の店」というお好み焼き屋があるということだ。知らない人が見たら、「あの有名なお好み村」の一番偉い人が営業しているお店だろう、と推測する。でも、お好み村サイドは「この店とは関係ありません」とつれない態度を取っているので、何か事情がありそうだ。ちなみに「村長の店」を営業している方は、お好み村の初代村長のお孫さんらしいので、店名はあながち間違っているわけではない。とはいえ、村とは直接関係ないお孫さんの店なわけであり、正しいとも言い難いが。

お好み村店内1
お好み村店内2
お好み村店内3

お好み村の中に侵入してみる。食べる気はないので、観光目的で。

どの店も鉄板があるカウンターのみ。テーブル席などはない。だから、大人数で訪れ、わいわいしゃべりながら食べるというのは少々向かないと思う。

お店がたくさんあるけど、どのお店がいいの?と最初は悩むと思う。事前情報があればそれを頼りにお店を選べばよいが、特に何も考えなしで訪れた場合は、あとはもう直観で判断するしかない。お店の人と鉄板を挟んで対面する形で座るので、お店のおばちゃん(おじちゃん)の人柄や手つきで判断するのがよさそうだ。

お好み焼き屋といっても、お好み焼き専門店というわけではない。お酒を飲んだりあれこれつまみが食べたい人向けに、どのお店も鉄板焼きメニューが豊富にある。お好み焼きが焼きあがるまで15分程度はかかるので、その間の場繋ぎのため鉄板焼きを頼むとよろしかろう。ねぎ焼き、とん平焼きなどが定番メニュー。

八丁堀の夜

18時、ホテルに戻る。ここからは自由行動時間となり、二人ともバラバラになる。なぜかというと、Fishが広島在住の友達と会うからだ。

おかでんは一人で広島の夜を楽しむつもり。Fishは「今日は実家に泊まればいいのに」と何度も言う。でも、一泊するとなれば実家の方は受け入れ準備(布団とかあれやこれや)が大変そうなので、「遠慮」しておいた。それがFishにとっては不思議というか、親不孝者に見えたらしく、「実家に帰れば少々準備が大変でも喜ばれるはずなのに」と言っていた。

なみに、今回は実家に立ち寄らなかったものの、岡山と広島を旅するという話は事前に実家には伝えてあった。そのメールを送った直後に父親から電話が。「一体どういう趣旨の旅行なんだ?」と。「岡山(倉敷)と広島、どちらもおかでん家の実家があるところをピンポイントで旅行するということは、そういうことなのか?」と。「そういうこと」とは、結婚を前提としたおつきあい、という事だろう。で、父親は「会った方がいいのか?」と気を回してくる。しかし、幸か不幸か、僕ら友達づきあいにすぎないのよね。これが現実。「いやー、単なる友達なので、会ってもらうに及ばないよ」と回答しておいた。おかでん齢38歳、独身。いまだ結婚の予定立たず。

実家に立ち寄らなかったのは、「遠慮」のほかにもう一つ理由がある。

おかでんは広島出身とはいえ、ほとんど夜の広島を楽しんだことがない。そりゃそうだ、大学以降からは関東に移住したわけであり、「夜の広島で酒を酌み交わす」なんてのは滅多に機会がないからだ。実家に帰っている間はほとんど外で食べないし。だからこそ、今回はせっかくの一人身、夜の街を楽しもうと思っている。

とはいえ、あまりに馴染みのない行為なので、どこに行けばいいのか全く思いつかない。広島在住の友達を招聘するという手もあったのだが、旅行直前までバタバタしていたのでうっかり手配しそびれた。いざ、広島の夜の街に放り出されたら、「あれ・・・友達の連絡先すら誰もわからないぞ。こまった」という有様だった。うわあ孤独。

結局、おかでんは行きつけのお好み焼き屋「貴家。」で酒を飲みつつ鉄板焼きを楽しみ、そのあとお好み焼きを食べることにした。「貴家。」はお昼ごはんに利用することがよくあるので、わざわざ夜に訪れる必要性はなかったのだが・・・。他に思いつかなかったのだ、実際問題。アドリブきかねえなぁ、我ながら。

Fishと別れ、貴家。へ。すじポンをはじめ何品か食べ、ビール飲んで焼酎飲んで、シメにお好み焼き。お会計をしてみてびっくり、5,000円に達していた。わおう。食べ過ぎ、飲みすぎ。昨日の「八間蔵」でフレンチのコースを食べたのと同じくらいのお金をお好み焼き屋に支払っちゃったよ、オレ。お店の名誉のために言っておくが、ここはぼったくり店ではない。ふつうの値段だ。しかしそれが幾多の注文で相当積み重なってしまったらしく、こんな値段になっちゃった。

自分の健啖家ぶりにショックを受け、軽く酔いが冷めながらホテルに戻る。

ますゐ店内

一方のFish。別れ際に「今晩はどこへ行くの?」と聞いてみたら、「ますゐに行くつもり!」とうれしそうに言う。おお、この人「アワレみ隊OnTheWeb」をちゃんと読んでいたのか。ちょっとびっくり。

「ますゐに行ったら、サービストンカツと寿き焼きを食べるといいよ」

とアドバイスをしておいたが、釈迦に説教だったらしい。最初からそうする気満々だった。

「お好み焼きも食べたい」とFishは言う。だったら、ますゐで軽く食べて、そのあとお好み焼き屋に移動する「ハシゴ方式」でも良いのではないか、とアドバイスを送っておいた。どうせますゐは21時前には閉店してしまうので、そのあと二次会に出かけるのはちょうどよいと思う。

サービストンカツ350円

予定通り、ますゐでは寿き焼きとサービストンカツを頼んだらしい。後で感想を求めたところ、「おいしかった!」と興奮気味にFishは語った。そりゃよかった、お口にあったようで何よりだ。

Fishと合流した友達もますゐは初体験だったらしく、彼らもうまいうまいと言って食べたそうだ。広島にわざわざ訪れて、トンカツとすき焼き?なんで?と知らない人は思うだろう。でも、時間を割いてこのお店を訪れる価値は十分にある。

とん平焼き

そのあと、Fish御一行様は貴家。に移動して二次会を開催したらしい。なんだ、おかでんと入れ違いだったのか。ついさっきまでおかでんは同じ場所で焼酎を飲んで相当酩酊していたのに。もうすこし居残って、Fishたちの宴席をぶち壊してやればよかった。冗談だけど。

お好み焼き

あとでそのとき撮影した写真を見せてもらったら、ご一行様はとん平焼きらしきものをつまみにして、シメにお好み焼きを食べたようだ。おう、いいね。

Fishは言う。「(お好み焼きの)麺はパリパリよりもしっとりしている方がいい」と。

ははは、こいつめ。言うようになったわ。

広島のお好み焼きは中華麺が入っているというのが最大の特徴だが、固焼き焼きそばのようにパリパリに仕上げるタイプのお好み焼きと、麺をふわっと仕上げるお好み焼きなどいろいろなタイプがある。その辺は人それぞれの好みだ。今後も広島を訪れる機会があるなら、ぜひいろいろなお店を楽しんでほしい。「お好み焼きなんてソースの味で食べるものだ。どれを食べても同じ」と思われがちな料理だが、店ごとに味が違うことに気が付くはずだ。Fishの今後に期待したい。

2012年04月23日(月) 3日目

朝6時半起床。身支度をして、8時前に宿をチェックアウト。

今日の予定は、朝ごはんを食べたのち宮島へ移動、宮島観光に半日をかけるつもりだ。そして、17:15広島空港発の飛行機で帰京する。

宮島観光は「手抜きコース」と「充実コース」の二つに大別できる(おかでんが勝手に命名)。

「手抜きコース」とは、フェリー桟橋からお土産物屋が並ぶ商店街を通り、そのあと厳島神社参拝するパターン。これだと2~3時間あれば十分だ。「充実コース」は、「手抜きコース」に加えて、宮島の最高峰・「弥山(みせん)」にロープウェーで登る。宮島が世界遺産なのは、厳島神社があるだけではない。弥山に広がる原生林が大変よろしいという事も理由の一つだ。だから、時間が許すならば「充実コース」をお勧めしたい。山頂からは瀬戸内海の多島美を楽しむことができるし。ただし、お時間は少々余計にかかり、半日がかりの時間が必要だ。

アンデルセン本店

さて、朝ごはんなのだが、今回は本通りに面した「アンデルセン」で食べることにした。アンデルセンとは、全国展開しているパン屋さんだが、ここ広島にあるのが本店。本店は被爆建物であり、月日の経過を受け止めている重厚なつくり。

ちなみに「リトルマーメード」というパン屋も、このアンデルセン系列。直営店舗が「アンデルセン」、フランチャイズ店舗が「リトルマーメード」。これ、豆知識。

アンデルセンモーニングメニュー

なぜアンデルセンで朝ごはんを?というと、あちこちで本店の朝食はおいしい、という話を聞くからだ。ずいぶん前から「いつか訪れてみたい」と思っていたが、一度もその機会に恵まれていなかった。どうしても帰省先の両親に配慮してしまい、「朝ごはんは外で食べるから!じゃあね!」とこれまで言うことができなかった。

ブランケットが用意されている

今回、Fishとの旅行にかこつけて念願だったアンデルセンでの朝食を楽しむことができる。ありがたいことです。

朝食メニューは07:30~10:30の3時間だけ提供されている。お値段は420円から840円まで9種類。もちろん、全てのメニューはパンだ。ご飯と納豆、みたいな和食は存在しない。当たり前だ。

「スープセット」735円

おかでんとFish、二人ともがそろって選んだのが「スープセット」735円。朝ごはんで735円というのはちょっと高い気がするが、なかなか充実の内容なので不満はない。

お好きなスープ1品、本日のパン、卵、ロースハム、サラダ、バター、ジャム。

スープはコーンポタージュを選んだ。パンは3枚。

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